2001年11月1日(通巻140号)



目   次
巻頭言

 小泉流「構造改革」のNTT版・11万人リストラ計画
    NTT社員2人に1人のリストラ人べらし……………………………岩崎 俊 

論 文

「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」発足の経過と意義
                          …………………………林 萬太郎 
研究部会プロジェクト活動報告B
  賃金・最低賃金問題研究部会の活動報告と今後の課題………小越 洋之助 




小泉流「構造改革」のNTT版・11万人リストラ計画

NTT社員2人に1人のリストラ人べらし

岩崎 俊

 4月16日、純粋持株会社NTTは、11万人リストラの新「NTTグループ3カ年経営計画(2001〜2003年度)」を発表しました。リストラのやり方は、国民の電話に関る業務を全て外注化し、その業務に携わる社員を、50歳以上はいったん全員首切り(退職)、約3割減の賃金で外注する新会社に再雇用、50歳以下は、在籍出向(50歳まで)で新会社へというものです。
 NTTは、日本政府が株の45.9%を持ち、電気通信事業法・NTT法に規定された半国営の日本最大の大企業です。この企業が、完全失業者350万人といわれる状況でさらに11万人におよぶリストラなど許せないものです。そして、この「50歳退職・30%賃下げ再雇用制度」は、現行労働協約(同じ労働条件で転籍)や法律(60歳未満の定年を禁じた「高齢者等の雇用安定等に関する法律」、会社分割時に同じ労働条件での転籍を義務づけた「労働契約承継法」)に反する違法なものです。
 全労連・通信労組は、計画が発表されて以降、11万人リストラの撤回を求めて、全国で150万枚以上におよぶビラ宣伝、全国のNTT支店への「リストラやめよ」の要請、「NTTを告発するシンポ」、NTT本社前での座り込み抗議行動を行ってきました。10月22〜24日、3日間連続でNTT本社前での座り込み抗議・要請行動、10月24日には全国全県の拠点職場で時限ストを打ち、NTTを追及してきました。11月2日には、NTT本社前で通信労組全組合員と家族1200名が決起し、通信労組のたたかう決意を内外に示し、当日9名が通信労組に加入しました。
 たたかいは、これからが大きな山場となります。通信労組は、職場の「怒りの声」を力に、全力でたたかいます。
 さらなるご支援をお願いします。

(通信産業労働組合 中央執行委員長)




「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」

発足の経過と意義

林 萬太郎


1.「連絡会」の発足

 10月31日、「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」の結成会議が労働スクエア東京で開催され、「連絡会」が13団体の参加で発足しました。この会の目的などは次のとおりです。
<目的>
@ 高校・大学卒業生の就職保障及び青年の不安定雇用など雇用問題を打開するために、 関係する諸団体が集まって、現状と打開の方策について交流・検討し、一致する課題に ついては共同のとりくみを追求する。
A 青年の雇用形態を含む「働くルール」の現状と改善の方策について交流・検討し、一 致する課題については共同のとりくみを追求する。
<性格と運営>
@ 上記の目的に賛同する団体のゆるやかな連絡会組織とする。
A 参加団体は対等・平等とし、「会」の運営等については合意をたいせつにし、民主的に運営する。
B 事務局は日高教が担当する。
C 財政分担は、必要に応じて協議して決める。
<体制>
若干名の世話人をおき、必要に応じて世話人会議を開く。

 結成時の参加団体は次の通りです。
 全労働省労働組合
 全国部落解放運動連合会
 全日本教職員組合
 全国私立学校教職員組合連合
 日本高等学校教職員組合
 全国労働組合総連合青年部
 全日本学生自治会総連合
 就職難に泣き寝入りしない女子学生の会
 首都圏青年ユニオン
 日本民主青年同盟
 日本青年団体協議会
 神奈川の高校生・大学生の就職問題を考える会
 日本母親大会連絡会
なお、このほかに参加を呼びかけ、現在検討中の団体がいくつかあります。

2.発足までの経過

 今回の連絡会結成は夏からの取り組みでしたが、この前段には日本高等学校教職員(日高教)と全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)の7年にわたる取り組みがあります。日高教と全国私教連は公立と私立の高等学校教職員組合の全国組織ですが、バブル経済が崩壊し高校卒業生の就職に影響が出始めた1994年度から実態調査と政府・経営者団体等への要請行動に取り組んできました。7月末(求人状況)、10月末(1次試験結果)、3月末(卒業時)の年3回、全国の状況を調査して集約・発表し、12月に各省庁と経営者団体に要請し、渋谷駅で宣伝行動を行い、高校卒業生への就職保障を求めてきました。また、各県でも独自に要請・宣伝行動を取り組んでいます。
 しかしながら、この2・3年求人数の大幅減少と合格率の低下など高校卒業生の就職は一層厳しくなって「就職希望生徒数に求人数が足りない」「はじめから就職をあきらめて、『フリーターになるからいい』という生徒が増えた」等々、現場の悲鳴ともいうべき報告が続きました。日高教は、これらの声をうけて今年6月の定期大会で「こんにちの政治・経済の行き詰まりを象徴する高校生の就職難問題を重視し、全国で1000団体を目標に、自治体・地域の産業界などとの対話・懇談活動をすすめ」「青年・学生組織や大学教職員組合などとの共同を追求し、高校生・大学生の就職保障を求める広範な世論づくりをすすめます」という方針を決定しました。この方針を具体化するために、中央執行委員7名中、3名で就職問題プロジェクトを構成し、6月末からとりくみを展開しました。
 まず、全労連・全労働・全解連・全教・全国私教連に申し入れ、6団体で7月19日に第1回準備会議を持ちました。各団体とも趣旨には賛同され、当該の青年団体を入れてもう1回準備会議を持つことになり、全労連青年部・全学連・女子学生の会・青年ユニオン・民青同盟・日青協の青年6団体に申し入れ、10月10日に第2回の準備会議を持ちました。青年団体からは、厳しい実態と「会」への期待が語られ、さらに大学教職員組合や親の立場の団体などにも広げていくこと、第3回目の会議を連絡会発足会として開くことが確認されました。
 当初は手探りでのスタートで、「申し入れても集まってもらえるだろうか」「いろいろな団体の意見が一致するだろうか」等々の不安もありましたが、始めてみると杞憂でした。むしろ、各団体がそれぞれの立場でこの問題に様々に取りくんでいること、何とかしたいとの熱心な思いと期待に申し入れに行った我々が励まされる思いでした。これだけ多くの団体が積極的な反応を示され、特に、青年団体が強い関心と期待を持って参加された理由は、今日、高校生・大学生・青年にとって雇用を確保し、働くルールを守らせ、青年が人間らしい労働と生活を実現することが如何に困難な状況におかれているか、これに対して青年たちが「何とかしたい」という思い・願い・期待を強く持っていることにあると思っています。
 もう一つ理由を挙げるとすれば、6月からのていねいな取り組みと、「性格と運営」にしめされているように、ゆるやかな連絡会組織とした点にあろうかと思われます。参加団体は、様々な性格・経緯を持っており、組織の性格をかっちりとしたものにした場合は入れないということもあったろうし、運営についてもきちんとした規約などをつくる場合はその内容や手続きが障害になるということもあったかと思われます。

3.「会」のとりくみ

 「会」は当面のとりくみとして、「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを考えるシンポジウム」を準備しています。青年の雇用問題の厳しい状況と打開の必要性を広く社会にアピールしていくこと、現状と各団体のとりくみを交流し展望を探ることを目的に、12月10日夜に飯田橋のシニアワーク東京で開きます。「会」参加団体を中心としたシンポジウムですが、参加団体以外からの参加も歓迎します。関心ある人は是非のぞいて見てください。
 また、今後のとりくみとしては、「政策づくり」を考えています。各団体ともそれぞれの要求事項を要望書などをまとめており、署名活動も行っていますが、政府の施策なども学習したうえで、「青年の雇用と働くルールを求める」ことにまとめることができれば参加団体の力を結集して大きな運動に発展させることができると考えています。このために、各団体の要求書などを持ち寄って交流すること、その交流を発展させて政策にまとめていく議論を深めていくこと、まとまった段階で賛同署名や議員要請などの共同のとりくみを実施することについて検討することを確認しています。
 なお、連絡会は「会」の目的等に賛同される諸団体の参加を歓迎します。関心のある団体はご連絡ください。

4.連絡会発足の意義

 今回の「連絡会」発足の意義を整理してみますと、次の3点になると思います。
 @ 従来の枠を超えた共同のはじまり
 この会の特徴は参加団体の幅の広さです。青年6団体を中心に、ハローワーク職員を含む労働行政の現場にいる全労働、西日本を中心に「就職差別撤廃共闘」の運動に長年取り組んできている全解連、学校現場で児童・生徒の教育と就職指導にかかわっている教職員3組合、父母の立場から参加する母親連絡会、さらに各地で就職問題やフリーター問題にとりくむ地域の会など幅広い団体が集まっています。従来の枠を超えた共同ができたのは、今日、高校生・大学生、青年の雇用確保と働くルールの問題が如何に大きいか、関係者の「何とかしたい」という思いが如何に強いかを示しています。
 A 青年の働きかたも視野に
 連絡会は「目的」で、青年の雇用問題打開だけでなく「働くルール」問題も取り上げています。今日、青年の働きかたは多様化しています。パート・派遣からアルバイト・フリーター、さらには任期付き正規採用や請負などさまざまな雇用形態があり、サ−ビス残業問題を含む勤務時間や待遇もさまざまです。この中で、「働くルール」が守られないという問題が急増しています。一方、当該の青年たちが法律や権利などを知らないという報告も多く、学校教育の中で職業準備教育をきちんとすべきだという指摘もされています。
 また、高校生・大学生の多くがアルバイトをしています。アルバイトの時間帯や時間数、報酬の使途などさまざまなケースがありますが、学業への影響とともに就業体験としてどう見るかという視点、報酬額や諸権利・保険などの労働条件を一人前にすべきではないかという指摘など、考えるべき点が多くあります。
 B 政策づくりを展望
 連絡会は、先にも述べたように、高校生・大学生・青年の雇用確保と働くルール問題についての「政策づくり」を展望しています。参加団体の要求を練り上げて政策化して、広く社会にアピールしていき、青年の雇用問題を社会問題にしていきたい。その声を広げて、政府・財界に政策転換を迫るとりくみに発展させていきたいと考えています。

5.青年に雇用と働くルールを

 青年の雇用問題は、単なる雇用問題でなく日本社会の問題です。青年の未来を保障できない社会に未来はありません。人はどんなに困難な状況に置かれても未来への希望があれば頑張れるものです。しかも、今や青年の雇用問題は一部の人の話ではなく、多くの国民にとって自分の問題であり、自分の子どもの問題になっています。「失業率5.3%の時代」ですが、日本社会全体が厳しくとも補正予算を組む体力があるのなら、その一部を未来への投資として青年の雇用保障に使うことに国民の異議は無いと思います。
 とりわけ、就職を希望している高校・大学の新規学卒者が職につけないということは重要な問題です。日高教と全国私教連の調査では、今年3月、全国で推定30,000人の高校生が就職を希望しながら就職できずに卒業していきました。さらに、「1回目の試験で落ちたから」などの理由で途中で就職希望を取り下げた生徒を入れれば、この数は42,000人にもなります。本来、希望と期待にあふれるべき社会への第1歩を挫折と悩みの中で卒業していった生徒たちのことを思うと、教職員として強い憤りを感じます。
 しかも、今年度の高校生への求人倍率は0.61倍と過去最低です。今日も、全国の高校で生徒と教職員がさまざまな努力を重ねていますが、このままでは昨年度以上の高校生たちが未来が決まらないまま、年末・正月を迎えることになり、3月には卒業していくことになるでしょう。一人でも多くの高校生・大学生に就職を保障できるように、働く青年が「当たり前の働くルール」のもとで安心して働き続けられるように、青年たちが元気に働く姿の中に日本社会の未来を確信できる日をめざして、参加団体の力を集めてがんばっていきたいと思っています。

(日本高等学校教職員組合中央執行委員)




研究部会プロジェクト活動報告B

賃金・最低賃金問題研究部会の
活動報告と今後の課題

小越 洋之助


・2000年度活動報告について

 賃金問題は現在大変重要ではあるが、複雑で難しい課題の解決を必要としている。日本の労働運動は大幅賃上げとしてベースアップを要求し、獲得してきたが、1990年代以降の内外環境の激変と多国籍化する大企業の攻勢で賃金引き上げは守勢に立たされている。それと併行して、雇用の流動化と一体となった成果主義賃金化の攻撃に立たされている。また、パートタイム労働者など従来の組織労働者の賃上げ闘争に縁がない非正規雇用が著しく増加している。家族形態の変化、その役割変化がとくに若者において顕著である。男女間の賃金格差の大きさは男性正規社員を中心とした賃金モデルを堀り崩している。しかも、日本は大企業と中小零細企業との企業規模別賃金格差、大都市部と農村・漁村部との地域的賃金格差が大きく、企業によるそのような賃金格差の利用がアジアの低賃金国への資本移動ともからんで新しい問題も登場している。
 このような状況のなかで登場している新たな課題は、賃金問題だけをみてもけっして企業内だけでは解決できない。そして不況・リストラ、雇用・不安が顕在化している時代では賃金問題は正規労働者だけに限定しない課題と結びつかざるをえない。当部会は正規労働者の賃金問題には多大な関心をもっている。
 他方、雇用構造、労働市場の激変のなかで、もはや正規労働者だけの賃金問題だけを対象とする時代ではない、と認識している。広範な非正規雇用、あるいは自営業者・農民も視野にいれた研究(例えば、雇用・就業保障、社会保障など全国民的課題と賃金問題との関係)も重要な課題となっている。2000年度の研究活動は以上の視点を持ちつつ、さしあたり下記のような活動を実施した。

1.『今日の賃金』執筆内容の総括

 部会メンバ−の共同執筆による『今日の賃金−財界の政策と矛盾』(2001年7月刊.新日本出版社)は、成果主義賃金が広まっていたなかでの刊行であり、労働者・労働組合はもちろん、日経連刊行『経営者ダイジェスト』(平成12年10月1日)にも紹介されるなど、反響があった。部会としては、執筆内容について相互評価、率直な相互批判を行うべく、2回にわたって合評会を行なった。

2.最低賃金制問題についての討論

 部会メンバ−が執筆した『全労連情報』『労働運動』誌を素材に、全国一律最賃制のあり方、現行地域包括最賃の評価などについて討論を行った。これはナショナル・ミニマム政策を具体化する、という課題と関係している。ナショナル・ミニマムについては、運動のなかの一部にはそれをかなり広義に捉えるケースもみられ、また、全国一律最賃制はその基軸として位置づけられてきたが、最近では現行地域包括最賃の活用を重視するという方向性が出ている。現行地域包括最賃の評価について、および労働者が確信を持てる全国一律最賃制のあり方など、多くの論点があることを確認した。

3.成果主義賃金の検討

○成果主義賃金について、その先導役であった富士通におけるその見直しについての意味を報告し討論した。ここでは総額人件費削減、査定による労働者分断とともに、人事考課基準の不公正、非納得性、短期的成果査定の問題など労働者にマイナスのインセンティブを与えている事実や、企業業績の貢献にも矛盾が発生したこととして、経営側のその手直しの意味を吟味した。
○日経連『経営のグローバル化に対応した日本型人事システムの革新』(2000年12月刊)を取り上げ、グローバル経営における人事制度についての経営側の方針とその矛盾点の討論を行った。この報告書ではグローバル経営では世界共通のジョブ・グレードなど人事制度の共通化が必要になり、年功給・職能給から役割給・職務給への移行、成果主義に基づく成果・インセンティブ給への移行、企業目標に連動した目標管理制度の確立、「エンプロイヤビリティ」形成のために人材育成などを強調するが、「能力主義に基づく潜在能力評価と登用」として能力要因を人材育成に用いるなど、「仕事」基準、成果基準に還元されない主張に注目して討議を行った。

・今後の研究課題

 これについては、労働総研の2001年度の事業計画中クプロジェクト・研究部会の課題と目標1)賃金・最低賃金問題研究部会として掲載されている。念のためにそれを掲げておく。

・成果主義賃金の検討

○民間大企業において流行している成果主義賃金について、最近における矛盾の顕在化、その手直しの意味を解明する。とくにグローバル化した企業における人事=賃金制度の新たな展開の意味を解明する。また、成果主義賃金への対抗策を検討する。
○公務員における成果主義賃金導入の動きについて、提案内容を解明し、そのねらい、労働者・労働組合への批判的検討をおこなう。
 この課題について若干解説を加えると、すでに部会研究会でも取り上げた富士通の成果主義賃金見直しなどに示されるように、この流行している制度は、総額人件費の抑制・削減、査定による労働者の個人別分断、労働者への成果刺激と査定基準の問題、成果刺激と現実の労働との矛盾など、労働者にマイナスのインセンティブ効果や、企業業績の貢献にも直結しないなど、その矛盾を明らかにすることである。
 また、公務部門では、国家公務員・地方公務員にもこの制度の導入が持ち込まれつつある。このようなとき、提案内容を具体的に解明し、当局側の導入意図を明確にしていくことが重要となっている。同時に、民間・公務を問わず、この制度が賃金決定を経営の側に掌握するねらいがること、集団的労資関係を解体し、個人化、自己責任化させ、管理体制を強化させる道具立てであることを明確にし、労働者や労働組合が職場の実情を理解した具体的で積極的な対抗策を職場労働者に示すことが必要である、ということである。(例えば、全損保安田支部発行のパンフレット『“年俸制”3原則の確立を』(2001.5)は『今日の賃金』の分析をヒントに、職場からの工夫で作成された)

・賃率問題の検討

 賃金問題は、最近、サービス残業・正規雇用と非正規雇用との賃金格差、裁量労働など労働時間問題との関連を深めている。以上の問題を解明するキーワードは賃率(wage rate)の問題である。部会としては労働時間問題研究部会とも連携してこのテーマに接近していく予定である。
 以上は8月の労働総研の総会で承認された文章である。その後の部会研究会において、最近のリストラ、規制緩和のなかで偽装派遣、請負型・契約型労働者が広がっており、賃率問題に限定するのは狭すぎ、賃率・報酬問題の検討として捉え直す視点が提起された。この部会においても、そのように位置づけて問題に接近していきたい。
 なお、ナショナル・ミニマム問題は、今年3月21日、日本共産党の吉川春子参議院議員が国会(参議院社会労働委員会)において、現行地域包括最賃が生活保護基準より低い事実を暴露したこと、アメリカで現在、幅広い層の支援による「生活賃金運動」が起こっているなど、それに関連した新しい動きがある。
 雇用・就業、生活不安のなかでの所得保障問題として、当部会としては看過できないきわめて重要な研究テ−マであると認識している。しかしながら、現在ではそのための合意の認識が十分でない現状にかんがみ、当面、部会メンバ−それぞれが個人論文を発表し、論点を整理したのちに改めてこのテーマを検討することとしたい。

(部会責任者:小越 洋之助 理事・国学院大学)




 8・9・10月の研究活動
8月3日  社会保障研究部会=報告・討議/医療改革をめぐって/政府の社会保障改革について
  6日  賃金最賃問題研究部会=報告・討議/公務員の賃金問題
  7日  地域政策研究プロジェクト=アンケート調査と聞き取り調査について
      中小企業問題研究部会=報告・討議/小泉改革の下の中小企業への融資・回収問題の実態について/労働総研2001年度年次総会の報告
  18日  日産経営分析チーム「財務諸表」検討会
  21日  女性労働研究部会=報告・討議/政府「経済財政・構造改革の基本方針」について
      労働時間問題研究部会=出版企画について
      政治経済動向研究部会=報告・討議/今日の政党配置と小泉「改革」のねらい
9月4日  社会保障研究部会=報告・討議/雇用・失業問題
  11日  賃金最賃問題研究部会=報告・討議/公務員の賃金・人事制度
  18日  政治経済動向研究部会=出版計画について
  19日  中小企業問題研究部会=報告・討議/各単産の定期大会より「中小企業対策」について/今後の研究テーマについて
  20日  青年問題研究部会=報告・討議/最近の高校生の状態と動向
  21日  労働時間問題研究部会=出版企画の章立てと執筆者の検討
  26日  女性労働研究部会=全労連女性部役員との懇談
      国際労働研究部会=「世界の労働者のたたかい−2002」について
  28日  政治経済動向研究部会=出版企画レジメ討議
  29日  公的雇用拡大のための政策プロジェクト打合せ
      地域政策研究プロジェクト=大阪・神奈川・埼玉・福島など4府県労連調査(4チーム・9月中に終了)
10月1日  賃金最賃問題研究部会=報告・討論/アメリカの賃金の評価システム
  5日  社会保障研究部会=出版企画の最終調整
      賃金最賃問題研究部会=報告・討議/新しい段階の賃金闘争
  12日  地域政策研究プロジェクト=調査集約について
  14日  公的雇用拡大のための政策プロジェクト
  21日  公的雇用拡大のための政策プロジェクト
  23日  労働時間問題研究部会=出版企画「章立てメモ」の内容検討
      女性労働研究部会=報告・討議/国連社会権規約委員会による日本政府の報告書に対する「総括所見」について
  25日  青年問題研究部会=労働総研2001年度方針と部会の研究活動
  26日  国際労働研究部会=「世界の労働者のたたかい─2002」について
  31日  中小企業問題研究部会=各単産の「中小企業対策」について



 8・9・10月の事務局日誌
8月4日 静岡県労働研究所設立総会へメッセージ
  22日 全教第17回定期大会へメッセージ
  24日 全労連・全国一般第13回定期大会へメッセージ
  25日 建交労第3回定期大会へメッセージ
  27日 自治労連第23回定期大会へメッセージ
  28日 国公労連第47回定期大会へメッセージ
9月1日 労働者教育協会第42回総会へメッセージ
     神奈川労連第17回定期大会へメッセージ
  8日 東京労連第18回定期大会へメッセージ
     第14回奈労連定期大会へメッセージ
  11日 全法務第56回定期大会へメッセージ
  14日 第1回企画委員会
     第1回常任理事会
  15日 第2回編集委員会
  17日 全運輸第40回定期大会へメッセージ
  20日 生協労連第34回定期大会へメッセージ
     建交労と雇用政策問題打合せ
  22日 福祉保育労第17回定期大会へメッセージ
  26日 労働共済第11回総会へメッセージ
     「02版国民春闘白書」全労連と打合せ
  29日 建交労と雇用政策問題打合せ
     「02版国民春闘白書」編集企画検討
  30日 東京靴工組合第42回定期大会へメッセージ
10月3日 第29回医療研究全国集会へメッセージ
  10日 自交総連第24回定期大会へメッセージ
  12日 日産自動車の赤字から黒字への転換の内容分析−日産リバイバルプラン(NRP)とリストラ−」記者発表
  26日 自由法曹団創立80周年記念行事(籐吉)
  27日 第2回常任理事会
  31日 自治労連前福島譲委員長退任・励ます会(草島)




●中国における中小企業の現状と日本企業の進出
公開「中小企業問題研究部会」の案内
 日 時 12月5日ケ午後6時〜8時30分
 会 場 全労連会館4F・全労連打合会議室
      TEL03-5842-5611
 協 賛 全労連・調査政策局/国際局
 議 題 1.中国における中小企業の現状について
  ─日本企業の進出にふれて─
  報告者 干金(ユー・ジン)黒龍江大学助教授
                    (中小企業論)
2.中国の「中小企業白書」の概要について
  報告者 高久保豊 日本大学商学部助教授
(注)干金助教授は、日本大学・福島久一教授(前部会長)らの共同研究グループの招きで11月下旬より来日しています。