1998年5月1日(通巻98号)

目   次
巻頭言三池炭鉱労働者のあたらしいたたかい…鈴木ふみ
論 文今日の住民生活と社会的政策の課題─高齢者調査をとおして…浜岡政好
4月の研究活動などなど

三池炭鉱労働者のあたらしいたたかい

鈴木ふみ

 昨年3月末の三池炭鉱閉山から、一年余りが過ぎた。労働者の再就職、炭鉱なき後の「地域振興」など重要問題は「灰色」で、市中の生活も活気がとぼしい。が、このなかで、三池で働いて「じん肺」に冒された労働者たちが、積年の分裂支配をのりこえて団結し、三井の責任を真正面から指摘して、謝罪と補償を要求するたたかいを開始している。
 閉山のとき、職員組合と三池新労は、前途不安の組合員を残して、組織の解体をいそいだ(5月末、それぞれ正式解散)。そんなとき、全日自労大牟田支部(幹部、組合員の多くがもとは炭鉱労働者)が民主診療所や法律事務所と相談して、「じん肺相談と自主健診」の会を計画、離職者たちに熱心に参加をよびかけた。三池炭鉱は、周知のように、三井百余年の経営の間、終始、強烈な反共理念による労働者分裂支配を貫いたやまである。その三井が“敵視”する自労の呼びかけに、どれだけの炭鉱離職者が応じてくるか、予想の難しいところだったが、当日(4月19日)、151人が受診した。職員も新労組組合員も下請労働者もいた。そのうちの93人(64.5%)に「所見」が見られた。
 この日につづき、閉山の数年前から裁判で三井の責任を追及していた三池じん肺会原告団との連携が成った。自主健診と、「あやまれ・つぐなえ・なくせじん肺」を三井資本に要求する運動は、呼びかけた自労でさえおどろく速さで拡大した。今年1月には、罹患者本人100人で原告団を形成、三井の責任を追及する裁判をおこした。第1回公判は4月28日、福岡地裁で開かれている。
 自労大牟田支部の一階に置かれた原告団事務所には、事務局長と事務局員がボランティアで常駐し、そこへ、じん肺訴訟を先発した闘士たち、三池労組の古い職場活動家、閉山までの職員、新労組組合員、下請、孫請け労働者ら原告の人々が、表情明るく出入りしている。昔日の陰うつな分裂、対立などは、まったくカゲもない。安らいだ、うちとけた、お互いの信頼の滲む談笑。その中であれこれ打ち合わせが進む。さまざまの、言い尽くせぬ苦闘を闘い抜いてきた三池炭鉱労働者だからこそ、いま、この新しい闘いがあるのだと私はおもう。

(会員・もと炭労本部書記)


今日の住民生活と社会的政策の課題

−高齢者調査をとおして

浜岡政好

はじめに

 この間いくつかの地域調査に携わってきた。調査主体は地方自治体、生活協同組合、社会保障団体、研究者のグループとさまざまであり、調査の方法も個人や行政からのヒアリングもあれば、アンケート調査もあった。調査は以下のように、調査課題をそれぞれに異にするものであるが、現段階の地域と暮らしの状況を映し出しており、今日における社会的政策を考察する格好の素材となっている。
  1. 「京都市高齢社会対策実態調査」(95年7月)
  2. 「生協しまね組合員調査」(95年10月)
  3. 第1回阪神・淡路大震災仮設居住者調査(96年1月)
  4. 桜江町高齢者調査(96年7月)
  5. 第2回阪神・淡路大震災仮設居住者調査(97年1月)
  6. 「京都生協組合員調査」(97年5月)
  7. 第3回阪神・淡路大震災仮設居住者調査(98年3月)
 これらの調査結果の全体を詳しく紹介することはできないが、特徴的な傾向としては高齢化、女性の就業率の高まりと家族関係の変化、コミュニティーの変容、競争激化と従来の労働生活慣行の破壊、社会保障・社会サービスの後退、そしてこれらを受けての生活困難の急激な進行などが見受けられる。また、困難な状況下において生活の防衛や保障をめぐる運動も各地でとり組まれている。新しい経験をいかに交流、共有し、制度を創っていくかが、困難な状況を切り開くうえで不可欠になっている。ここでは紙幅の関係もあるので高齢者調査結果を中心に今日の住民生活とそこから引き出される社会的政策の課題を考えてみたい。

1.大都市の高齢化と社会的課題(95年京都市高齢者調査)

 はじめに大都市の高齢社会をめぐる政策上の課題をみてみよう。95年の京都市調査では高齢者状態にいくつか特徴的な傾向があらわれている。1つは女性の75歳以上比率が急テンポで上昇していること、2つは世帯形態では単独世帯や高齢夫婦のみ世帯が増大していることである。3つは同居希望が低下していることである。ここから読みとれることは、核家族型の高齢期の過ごし方へ急速に転換していることである。
 4つに高齢者の健康状態では「健康」とする比率が増大し、「寝たり起きたり」や「床につききり」など要介護高齢者の比率が5年前の調査より若干低下している。これはリハビリ等の保健活動が功を奏して健康な高齢者が増大したことを示す喜ぶべきデータというわけではあるまい。むしろ家族の介護力が低下して、在宅から施設へと要介護高齢者がシフトしたことの反映であるとみるべきであろう。確かにこの間、特養老人ホームや老健施設などの整備が一定進んできている。とはいえ、膨大な特養老人ホームの待機者の存在は、家族の介護力の減退が施設整備のテンポを大きく上回っていることを物語っている。
 5つに高齢者の所得構成では公的年金のウェイトが上がってきている。厳しい経済環境のなかで高齢者の勤労収入や同居家族の収入が低下するなかで、公的年金が今や高齢期の所得保障の基軸にすわってきている。しかし、高齢者本人の収入は年間収入額100万円未満層が24%も存在しているように、依然として低位である。特に女性は100万円未満層が36%にも達している。これは年金額の低さを反映しているが、性別役割分業による女性の不就業や不安定就業が高齢期の経済的自立を阻害しているのである。
 6として性別役割分業は家庭内での家事分担率の性差としてあらわれている。例えば、買物は男性の14%に対して女性は65%、食事づくりは男性11%、女性70%などとなっている。これは生活自立度の差として、単独生活期の男性の在宅生活の継続を困難にしている。前記の経済的自立の問題にしても、生活の自立性の問題にしても、現在のわれわれの暮らし方におけるジェンダー問題が深くかかわっている。
 7つに住宅をめぐる問題がある。高齢者は一般に持家比率が高く、京都市の場合でもそれは7割を超えている。しかし、持家率の高さは居住問題の解決を意味しない。狭小・老朽など安全性に問題のある持家で暮らしている高齢者は自力でそれらの課題に対応できない。その結果、危険家屋に住んでいる高齢者が放置されている。また政策的に在宅介護が強調されながら、居宅のバリアーフリー化はあまり進展していない。
 8つはコミュニティの変化である。京都市でも中心部の行政区は高齢化率が20%を超え始めている。現在の高齢者は自営業の割合や中小零細企業などで働いてきた者も多く、比較的地域密着型の暮らし方をしてきている。居住年数も長くなっている。したがって、自治会の行事に参加する27%、留守を頼む26%、お互いの家を行き来する17%などのように、近隣関係は大都市圏のなかではかなり親密な関係になっている。しかし、壮青年世代では地域密着型の暮らし方にはなっていない。都市の中心部でもベッドタウン化が進んでいる。これは従来のようなコミュニティの担い手が消失することを意味し、行政等による地域生活の支援の必要性を増大させる。
 9つには生活上の悩みなどの相談相手は依然として家族や親族が圧倒的な比率を占めているが、そのなかで配偶者のウエイトが高くなっている。ここでも夫婦型への動きがみられる。しかし、他方で単独生活期が長くなっており、家族や親族に代わる地域におけるネットワークの構築が不可欠になっている。現在、被災地の仮設住宅で多発している「孤独死」が大都市地域で再発することを防止するには、こうした課題への取り組みを急ぐ必要がある。

2.中山間地の超高齢化と地域での取り組み −96年島根県桜江町高齢者調査−

 島根県は95年の国勢調査で高齢化率21.7%の全国一の高齢県である。特に県西部の中山間地域や離島の隠岐では高齢化率が高く、65歳以上の比率が30%を超えている自治体は20町村にのぼっている。こうした超高齢地域においては介護問題をはじめさまざまな社会的問題が発生している。しかし、それに対する社会的対応力は大きな限界を抱えている。コミュニティは共同性の維持が困難になっている。他方、自治体は行財政力が弱く、深刻化する社会的課題に十分に応えられない。超高齢地域の厳しい状況に対して、行政まかせでは問題に対処できないために、地域の存亡をかけた「地域ぐるみ」の取り組みが始まっている。
 この地域社会資源の「総動員」は、地域社会の危機的対応であるが、これまでの公(行政)と私(家族、親族、ボランティアなど)と民間(住民団体、企業等)との関係性を突き崩し、新しい関係性を否応なく創りつつあるようにみえる。こうした関係性の再編成を危機における一時的な現象としてではなく、住民自治や公共性のあり方の新しい動きとして位置づける必要はないか。同様な状況は阪神・淡路大震災後の、被災地においても現れている。
 ここでは島根県西部の江川流域の桜江町の高齢化の実態とそこでの地域ぐるみの対応を、公と民と私のあり方の新しい関係という視角から考えてみたい。まず、桜江町の高齢者生活の実態を概観しておこう。表1は郡内の高齢化の状況である。
 桜江町の高齢化率は34.7%であるから、郡内では際だって高いわけではない。しかし、平均で約35%ということは、合併前の旧村単位では40%を超えている地区もあるし、集落単位では65歳以上が大半を占めている所も少なくない。桜江町には39の集落があるが、このうち70歳以上比率30%超が12を数えている。そして高齢者だけしか住んでいない集落が急速に増えてきている。ここでは高齢者はどのような問題に直面しているであろうか。
 1つは日常生活に必要な食料品などを入手することが困難になっていること、2つはほとんどの高齢者が健康上の問題をかかえていながら、医療機関へのアクセスが困難なこと、3つは住居の維持管理の困難(屋根の修理、家の周囲の草引き、上水の管理、屎尿の処理など)なことである。さらに4つとしてコミュニティの共同事務(地域内の道路や溝など生活環境維持の共同作業、消防、防犯、葬式の講組、地域の祭りなど)が解体しつつあることである。
 こうした状況のなかで単独、または夫婦だけの世帯で高齢者は暮らし続けている。空き家の多い集落では近隣で助け合うこともかなわないし、また高齢者ばかりだとお互いに何かと頼みにくい。比較的体調が良いときに何人かでタクシーを利用し連れ立って病院に出かける。それは帰りにはスーパーなどで買い物をしてこなければならないからである。
 これらの高齢者を日常的に支えているのは、第1に近くに住む親族である。今の高齢者は子どもやきょうだいの数も多く、そのうちの何人かは週に何度かは顔を見せることができる距離に住んでいる。それらの非同居親族が買い物や通院など実際に何かにつけて世話をしている。第2は少なくなったとはいえやはり大きな役割を果たしているのは顔見知りの近隣の人による見守りである。分散した小集落では集落単位での見守り活動などが意識的に行われている。
 第3は行政などによる専門的な保健福祉サービスである。邑智郡内の保健福祉サービスの整備は県下でも先進的である。特別養護老人ホームは高齢者保健福祉計画の目標160床に対して95年度で既に210床が整備され、ホームヘルパーは常勤、非常勤を含めて60人が確保され、これも計画目標以上に達成されている。しかし、それでもまだ50人の特養の待機者がおり、施設福祉へのニーズは充足されていない。
 施設福祉については、整備目標の数量の不足という問題だけでなく、施設がカバーしているエリアが重要な課題になっている。対象者の数との関係で広域に設置されている施設は入居者がコミュニティとの関係を維持しにくく、孤立的状況におかれる。そのため桜江町など町内に特養老人ホーームのない自治体では小規模な特養老人ホームやグループホームなどの施設を地域内に設置したいという要望が極めて強い。デイサービスなどは町村内に複数のセンターが設置されるなど地理的条件を配慮した整備が進められている。

【表1】島根県・邑智郡内の高齢化の状況町(95年国勢調査)
 人口世帯数世帯人員65歳以上人口65歳以上のみ世帯
桜 江 町 3,782 1,791 1,991 1,316 2,87 1,311(34.7) 397(30.2)
川 本 町 5,099 2,434 2,665 1,953 2.61 1,529(30.0) 472(24.2)
邑 智 町5,0362,3672,6691,861 2.701,682(33.4) 543(29.2)
大 和 村2,1751,0261,1497912.75811(37.3)232(29.3)
羽須美村2,3041,0441,2609162.56951(41.3)341(37.2)
瑞 穂 町5,3912,5422,8191,8672.891,933(35.9)579(31.0)
石 見 町6,7613,2203,5412,0663.272,031(30.0) 480(23.3)

 第4は行政と協動した民間の総力をあげた地域活動である。その中心的役割を果たしているのは町の社会福祉協議会であるが、93年から「見守り安心ネットワーク」(集落内のボランティアと福祉、保健、医療の専門スタッフが協力して、友愛訪問、会食サービスなどを行う活動)や「いきいきワーキングセンター」(ボランティアによるホームヘルプサービスなどの提供と住民参加支援の調整、ボランティア登録の拡大など)が取り組まれている。また3級ヘルパー要請研修が熱心に取り組まれ、その修了生たちを中心に集落ごとのミニデイサービス(「ふれあいいきいきサロン」)がもたれている。
 こうした地域のあらゆる個人、機関・団体の協働による日常的な活動によって、高齢化率30%超の地域社会において高齢者が暮らしつづける社会的条件を創り出しているのである。このように超高齢社会が突きつけている課題は、保健・医療・福祉サービスの質量をどのように整備するのかに止まらず、地域社会のハードとソフトを超高齢社会にふさわしい形で再構築する総合的なまちづくりそのものの課題である。高齢期だけでなく、生涯を通して住み続けられる社会的条件を整えなければ、高齢期生活の安定もまた保障できない。保育や教育の環境整備や青壮年層の安定した就業の確保も超高齢社会への社会的対応の重要な柱となる。  公・民・私の新しい関係性の形成という点では、その変化の起動力が民・私の側にあることに注視したい。新しい動きを主導しているのは女性たちである。ヘルパー講習を積極的に受け、地域で福祉をはじめとするさまざまな地域活動へ意欲的に参加している。もちろん放置しておけば解体しかねない地域社会の危機がバネになっていることは確かであるが、これは決して上からの「動員」という性格のものではない。個人の自主的・自発的な活動の積み上げになっている。学習や活動を通して自分たちの地域が再発見され、地域の状況が共有される。そのうえに自分たちの地域に見合った必要な活動が創造され、実践に移されている。こうして公共性の住民の側からの問い直しが行われている。
 桜江町など邑智郡の町や村は、行政による専門的な社会サービスの提供を基礎に、地域におけるさまざまな住民の集団的、共同的力量を発揮させ、より発展させる「福祉のまちづくり」という課題に取り組み、貴重な経験を生み出しつつあるように思う。

3.高齢社会と社会的政策の課題

 これらの高齢者調査結果から読みとれる政策上の課題のいくつかを最後にまとめておくことにする。個人に対する政策レベル、コミュニティの共同関係レベルの政策という2つのレベルで整理する。第1の個人レベルの政策課題では、一代型の夫婦家族制の定着という変化に対する生活支援政策の抜本的転換が求められている。今日の社会的政策の不十分さやそれへの信頼の危機はこうした変化に対応できていないことにある。現在の家族の下では人生の最後の時期に単独生活期を不可避とする。このことが社会保障制度などの生活保障政策の前提に据えられていない。
 単独生活期を含めて高齢期を自立的に住み慣れた地域で暮らし続けるためには、少なくとも@自立できる所得保障、A地域で住み続けられる住生活の保障、B要介護時の保健・医療・福祉サービスの整備、C近隣関係など地域社会における親密な社会関係の形成、D家事などの生活自立能力の形成という社会的条件が欠かせない。残念ながら現段階の日本はこれらの条件が満たされていない。それが厳しい高齢生活と深刻な老後不安を呼び起こしているのである。
 @自立できる所得保障ということでは、公的年金(基礎年金)の水準は単独の自立的な生活を可能にするものにはなっていない。公的介護保険などはこの少ない年金額からさらに保険料を天引きしようとしている。さらに医療保険料や医療費の定率負担が想定されている。仮設住宅での実例を引くまでもなく、女性の低年金が単独生活を実に厳しいものにしていることを想うべきである。今、求められているのは、現在の「構造改革」政策とは逆に、すべての人々に自立生活を可能にする公的年金を保障することである。
 A地域で住み続けられる住生活の保障については、持家の場合でも、借家の場合でも、高齢期に住み慣れた場所を移動することが高齢者にとって大きな打撃になることをまず押えておくべきであろう。その上で馴染んだ住宅や地域で暮らしつづけるために、住宅の補修や改造などを援助する仕組みを拡充する必要がある。要介護状態になった時にも、生活拠点としての住宅を追い出されることなどがないように、借家居住者には十分の配慮が求められる。
 B要介護時の保健・医療・福祉サービスの整備は、今、大きな焦点になっている政策課題である。まずは介護保険が実施されるまでに少なくとも高齢者保健福祉計画の目標を達成すること、これが最低の条件である。そして高齢者保健福祉計画を即見直すことである。在宅の保健福祉サービスも、施設福祉サービスも、質量ともに現在の高齢化、家族、地域の実態に応えるものになっていない。ほとんどの高齢者が一定期間の単独生活期を過ごすことを前提に政策の抜本的拡充を行うべきである。
 C近隣関係など地域社会における親密な社会関係の形成と、D家事などの生活自立能力の形成は、ライフステージの高齢単独生活期を想定して、個々人が自らのライフスタイルを転換させることをバックアップする政策的課題である。仕事一途で地域生活を欠如させる職業生活や、家事などの生活自立能力の形成を軽視する教育など、これまでの生涯生活の枠組みを抜本的に組み替えることが必要となっている。これらの政策課題の多くは、男女共同参画社会に向けての課題と重なっている。
 第2のコミュニティレベルの政策課題については、既に桜江町の高齢者調査においてもふれたが、高齢期を住み慣れた場所で生き生き暮らすには地域社会の質が決定的に重要であるということである。特に小中学校区のような狭域のなかに家族以外の親密なネットワークを形成していくことが高齢期の生活の質を左右する。さまざまな社会参加や交流のチャンネルを用意して、コミュニティにおける関係性が維持され、再生産できる仕組みや取り組みを積極的に行う必要がある。
 このことはソフトなまちづくりという政策課題であるが、この課題の重要性を、大きな犠牲をともなって痛切に示しているのは、大震災後の仮設住宅における「孤独死」問題である。われわれは3回の仮設居住者調査を通じて、「孤独死」をもし防止することができるとしたら、それは生活の最低限の保障とともにコミュニティの共同の力、住民の自治力であることを確信した。

(労働総研常任理事・佛教大学教授)


労働総研/国際労働研究部会執筆

『世界の労働者のたたかい─1997』刊行

─世界の労働組合運動の現状調査報告・第4集─

 全労連は表題の現状調査報告書を発刊した(98年3月)。この現状調査報告書の作成には、労働総研/国際労働研究部会の97年度1年間の研究活動をふまえ、構成メンバーは執筆をはじめ全面的に協力した。これは1994年版、1995年版、1996年版に次ぐ第4集である。
 この1997年版には、アジア、オセアニア、中東、アフリカ、北米、南米、西欧、東欧、独立国家共同体なと53ヶ国を取り上げるとともに、それぞれの地域の概観を付している。データーファイル的な事例調査を基本としながら、この1997年版ではとくに、韓国、ベトナム、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどいくつかの国々について、それぞれのたたかいの背景や筆者の視点を含めて詳述している。B5版・127ページ。

頒 価 500円(送料240円)
申込先 全労連国際局
〒105-0004 東京都港区新橋6-19-23 平和と労働会館6F
TEL:(03)5472−5841  FAX:(03)5472−5845


図書紹介

愛知労働問題研究所編

『自動車産業の賃金』

 愛知労働問題研究所は、日本の主な自動車メーカーの賃金を調査・分析した冊子「自動車産業の賃金」を発行した(98年2月)。これは同研究所の「自動車産業職場政策研究会」に参加している研究者、労働者が4年がかりでとりくみまとめたもの。
 トヨタ、日産、三菱、本田の4社とトヨタグループ主要5社の賃金制度を、職能資格制度、評価制度とともに分析し、自動車メーカーの高収益を支える能力・業績主義強化による低コスト構造を明らかにしている。B5版・132ページ。

頒 価 1500円(送料240円)
申込先 愛知労働問題研究所
〒456−0006 名古屋市熱田区沢下町9−3
労働会館本館304
TEL・FAX:(052)883−6978


4月の研究活動

4月9日国際労働研究部会=報告・討論/国際労働情勢について
13日賃金・最賃問題研究部会=報告・討論/「職務給問題」および「これまでの中間総括」
20日国際労働研究部会=報告・討論/「世界へ労働者のたたかい1997/世界の労働組合の現状調査報告・第4集」の編集について
21日女性労働研究部会=報告・討論/「税制・社会保障制度等の見直しの動向をめぐって」
24日青年問題研究部会=報告・討論/「臨教審以降の生涯教育政策」
関西圏産業労働研究部会=報告・討論/「今日の経済と金融再編」
25日社会保障研究部会=報告・討論/「介護保障について、なにを重点に考える必要があるか」
28日全労連からの委託研究「持株会社化の問題点─NTT分割・再編成に関連して」第2回=NTTの経営分析、情報通信産業の国際国内動向、持株会社の諸問題、持株会社の労使関係
(3月の追加)
3月28日全労連からの委託研究「持株会社化の問題点─NTT分割・再編成に関連して」第1回=委託研究の趣旨と研究のすすめ方について協議

寄贈・入手図書資料コーナー


4月の事務局日誌

4月18日「労働総研クォータリー」編集会議(責任者加藤常任理事ほか)
労働者教育協会第39回へのメッセージ
27日建設一般「公的就労政策」検討会(草島)