労働総研緊急提案

国民生活と経済活動を混乱させる「計画停電」をやめ、
政府の責任で、電力の供給力確保と大口需要家の電力規制を(概要)

2011年4月22日
労働運動総合研究所


 東日本大震災と東京電力・福島原発事故によって、東電は一方的に「計画停電」をおこない、産業活動、市民生活は重大な被害を受けた。「計画停電」は、停電による操業短縮などによって、労働者の生活、賃金・雇用にも深刻な影響を与えた。
 労働総研は、「計画停電」の弊害をなくし、労働者の生活と雇用を守るという見地から今回の緊急提案をするものである。その要点は以下のとおりである。

 1 今夏の電力需給については、「計画停電」をやめることを原則として、東京電力まかせにせず、政府がイニシアチブを発揮して、その責任で、供給力の確保と大口需要家に対する実効ある電力規制をおこなう。

 電力規制の基本は、大口需要家にたいする電力規制。需給調整契約による電力規制でも不足する場合は、電気事業法第27条にもとづく電力規制をおこなう。

 2 電力規制によって、操業短縮等をおこなう企業が生まれることが予想されるが、操業短縮による労働者への犠牲転嫁は許されない。正規労働者への賃金カット、非正規労働者への解雇、無給の自宅待機をしないように、企業はできるだけの努力をすることが基本。経営がひっ迫して休業補償ができない場合は、雇用調整助成金制度を活用して「休業手当」を保障する。

 3 福島原発事故は、原発の「安全神話」をうち砕いた。「安全神話」を一掃し、原発にかわる再生エネルギーの拡大へ、エネルギー政策を切り替える。

 4 日本の電力需要の65%以上は生産工場やオフィスで使用されている。これら大口需要家が国際的にみても異常な長時間労働を労働者に押し付けている。サービス残業の根絶、異常な長時間労働・夜間労働の規制などをおこなうことは、省エネルギー社会への一歩につながり、日本のエネルギー問題を解決するうえで重要になっている。
 労働時間短縮は、エネルギー問題にとどまらず、深刻な雇用問題の解決にとっても、内需中心の日本経済の再生にとっても重要なカギとなっており、労働組合がこの課題に本格的に取り組むことが期待される。

以上

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