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避難所運営ゲーム(HUG)
 私が住んでいる貫井南町には、地域住民の自主防災組織が4つある。その中の一つ「貫井南町東自主防災会」が先日、避難所運営ゲーム(HUG)を取り組んだ。会場は市立南中学校の会議室。周辺の自治会・防災会のメンバーや南中学校PTAの方々など、総勢30名余の参加である。

 「HUG=ハグ」と呼ばれる避難所運営ゲームは、大災害が発生した時に、地域住民の避難所に指定されている施設をどのように避難所として立ち上げるか、どのように被災者へ対応していくかといったことをグループで議論しながら、避難所の機能確保と被災者の収容配置を机上の図面に記していくというものである。

 指導は小金井消防署の署員が担当した。机の上には避難所となっている学校施設見取り図をA全判の用紙に記したものが置かれ、消防署員の手には避難所に辿り着いた人物の特徴を記したカードの束が握られている。たとえば、「夫65歳、妻51歳、子どもは20歳で女性、犬一頭」という具合である。この例でいえば、家族3人は体育館奥の隅っこをあてがわれ、犬は校庭の樹木に繋がれる、という具合である。このようなカードを消防署員が次々に読み上げ、参加者の面々は、ああだこうだ言いながら、そのカードを避難所施設のどこに置くか、つまりはその被災者・家族の生活スペースを施設のどこに設けるかということを決めていくのである。

 消防署員がカードを読み上げる。「夫80歳で糖尿病、妻75歳で認知症あり。車で来ており、車に寝泊まりしたいとの希望あり」。いきなりの難題である。まずは車をどこに駐車させるか、車での寝泊まりは可能なのか、状況設定は、外は雨とのことだった・・・。医者や看護士はこの施設にいるのか、薬はあるのか、車中は寒くはないのかなど、頭の中にいろんな思いが駆けめぐる。消防署員はさらに難題を持ち込む。「両親とはぐれた知的障がいを持つ5歳の女の子と、その子と知り合いの50歳女性、女の子の自宅で飼っていた犬1頭」。女の子と女性は同じスペースでよいとしても、体育館でいいのか、一つの教室をまるまるこの2人にあてがっていいのか、犬がそばにいなくてその子は大丈夫なのか等々。そのうえで誰かが言う。「体育館入口に掲示板を設けて、女の子を探しに来た両親がわかるように貼り紙をすべき」。

 意地悪なカードもある。「避難所に市議会議員が多数、視察にくるとの連絡あり。対応求む」。私の頭の中では、視察様ご一行をどのように迎えるか、どのように施設を案内すべきかなどが所狭しと駆け回る。そんななかで誰かが叫ぶ。「そんな視察、断ってしまえ!」。なるほど、そのとおり。

 「夫40歳、妻35歳、子どもは女の子10歳、男の子7歳、小鳥を入れた籠を保有」。なにも小鳥を持って来なくても・・・。この機に逃がしてやればいいではないかなどと思ってしまう。「市内の研究施設に来ていた男性5人と女性3人の大学生グループ、うさぎ3匹」。うさぎ3匹・・・なんでそんなモノがいるんだ。男性、女性ともに大学生となると、すくなくとも女性の場合は、体育館での雑居というわけにはいかないだろう。教室対応でどうか。男性・女性ともに一つの教室に入ってもらい、カーテンや段ボール、机・椅子などで教室を半分に区分けしたほうがいいだろう等々、あちこちから言葉が飛び交う。「うさぎは、いざというときのための非常食だ」などという言葉まで。

 2年前の熊本地震では地震そのもので50人が亡くなり、避難所で150人が亡くなったという。それだけに避難所運営が大変なことがわかる。

 車で避難所へ辿り着く人もいる。体育館での避難所は人が通るスペースが必要。居住地域ごとの避難所区割のほうがコミュニケーションがとりやすい。救援物資の受付設置・保管場所の確保、避難所内の配置・誘導、駐車スペース確保や校庭での誘導、被災者受入れのための本部機能の設置、それらを誰が担うのか。仮設トイレやゴミ置場、仮設風呂、仮設テントなどはどこに設けるのか。加えて、どんな状況の被災者や家族が来るのか、何人この避難所に押し寄せるのかなど、かいもくわからない。医師や看護士、介護士、保健士、保育士など、そのような人が避難所にいてくれたら助かる。避難所となる施設のどの部屋が使えるのかなどの把握や確保が必要。もし避難所が学校施設の場合には、学校再開のことも考えた対応が求められる――――。実にさまざまなことを学ぶことができた。

 「板倉さん、議会でもこの取り組みをやりましょうよ」と主催者の東自主防災会長の鈴木成夫議員が言う。「そうですね。やるべきでしょうね」と応えたそばから、“議会でやったら、船頭多しで、とんでもない方向に行くだろうな”との思いが脳裏を激しく駆け回った。

(2018年1月17日付)


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