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公立昭和病院官製談合事件

 10月22日に施設担当課長が官製談合事件を引き起こしたことを受けて、10月30日(火)午後、公立昭和病院企業団議会の臨時会が開かれた。事件の概要は、昭和病院の空調設備の保守・整備業務委託の指名競争入札をめぐって、施設担当課長が予定価格の算定基礎となる情報などを業者側に漏らし、情報を得た業者が委託業務を落札したというもの。警察は、応札した4業者すべてが談合にかかわっていたのではないかとみて、調査をすすめている。

 臨時会は午後2時から始まった。冒頭、企業長から謝罪があり、部局から事件の概要と経緯、今後の対応等の説明があった。質疑では、出席議員13人中(一人欠席)、議長を除く9人が質問。私を含めた共産党議員3人も質問を行なった。そのなかの答弁内容を中心に臨時会の模様を記していきたい。

 まず、官製談合事件となった業務委託内容から紹介する。事案は、空調設備の保守・整備業務委託。2018年10月1日から2021年9月30日までの3年契約の業務委託で、予定価格は7,608万100円(税抜き)。今年8月17日午前10時30分からの4者による指名競争入札によって、大協設備株式会社が金額7,596万6,000円(税抜き)、落札率99.84%で落札した。応札した4者は以下のとおり。(1)大協設備株式会社、(2)東京ビジネスサービス株式会社、(3)株式会社オーエンス、(4)新生ビルテクノ株式会社。このうち、(1)と(2)の2業者と公立昭和病院施設担当課長が逮捕され、報道によると3人とも容疑を認めているという。

 逮捕された施設担当課長は60歳、来年3月末で定年を迎える。1987年4月に採用され、配布された経歴一覧によると、施設担当部署一筋で歩んできたことがわかる。施設担当課長職には、5年前の2013年4月から就任している。

 施設担当課の業務は、(1)物品の調達、出納、管理に関すること、(2)財産の管理に関すること、(3)施設、設備の維持保全及び修繕、その他の工事の実施に関すること、(4)施設の使用管理に関すること、(5)建物及び構内の清潔保持に関すること、(6)洗濯及び縫工に関すること、となっており、この業務を課長をトップに計4人で担っているという。この部署に入所以来、一筋で関わってきたのが、逮捕された施設担当課長である。

 一方、逮捕された業者の一つ「大協設備」は報道によると、約20年前から昭和病院の業務に参入し、逮捕された容疑者は10数年間、保守整備を行なうために昭和病院に常駐していたとのこと。このことから、相互に顔なじみであり、癒着を生みやすい構造になっていたことがうかがえる。

 空調設備の保守・整備業務委託は、今回から入札にかけるようになった。それまでは複数業者から見積もり合わせを行ない、随意契約で業者に発注していた。逮捕された「大協設備株式会社」は「約20年前から」同一業務を随意契約で受注しており、今回、入札方式に改められたことから、引き続き業務を得るために官製談合が起きたと考えられる。

 8月17日の入札では入札指名業者4者が応札したが、「大協設備株式会社」のみが予定価格以内で応札し、他の3者は予定価格を超過した。受注した「大協設備株式会社」の応札率は予定価格の99.84%である。

 「大協設備株式会社」は「約20年前から」(報道を引用しているのは、関連資料を警察が押収したことから、病院側でも詳細がわからない事態となっているため。)この業務を担っているが、先述のように、見積もり合わせを行なっても随意契約で業務を受注しており、以前からも何らかの便宜を得ていたのではないかとの推測が働く。

 では、前回の見積もり合わせによる業務受諾はいつだったのか?。説明によると、2015年4月1日から2018年3月31日の3年契約での見積もり合わせの時で、予定価格が7,567万2,000円に対して、契約金額は7,565万4,000円(99.97%)であった。議場に驚きの声が沸き起こったのは当然であろう。当時の見積もり合わせ業者が「大協設備」以外にどこだったのかは、資料が押収されたために不明とのこと。なお、今年10月からは入札での業者選定を予定していたことから、今年4月から9月末までの半年間の空調設備の保守・整備業務は、随意契約で「大協設備株式会社」が受注しており、現在もこの業者が業務を継続しているという。

 議員から次のような質問が出された。「過去の落札率はどの程度になっているのか?」。答弁は「資料が手元にないのでわからないが、昨年度の平均落札率は98.09%、業務委託だけでみると98.08%の平均落札率となっている」。誰もが思う。談合が行なわれているのではないか?。予定価格が漏れているのではないか?。そうであれば、今回逮捕された施設担当課長ではないか?────。しかし総務課長の答弁は「過去の金額含めて精査
していることから、ぎりぎりの額を設定しており、その結果、落札率は高くなっている」「今回の事案も、この予定価格でよく落札できたものだとホッとしている。不調になるのではないかと心配していたほど」という状況。なお、予定価格は事前も事後も非公表となっており、年間の契約案件は300件以上あるという。

 病院側は今回の官製談合事件を受けて、「調査委員会」を設置する。メンバーは「院長(企業長)、副院長、事務局次長、弁護士、構成市主管部長(3名以内)」を予定。しかし、これで果たして全容解明ができるのであろうか。なぜなら、第一に、今回の事案の決裁権者は企業長(院長)であり、院長が決裁している事案を院長を筆頭に解明していくという構図は理解しがたい。第二に、警察は病院を家宅捜索しており、組織ぐるみも視野に入れていることがうかがえる。調査委員会のメンバーも容疑の対象に入る可能性があるのである。第三に、弁護士は当然に顧問弁護士となる。顧問弁護士は、雇用主の都合が悪い方向には立たないのが一般的である。客観的な業務遂行とはならないであろう。────そのため私は、第三者による調査委員会設置の検討が必要だと指摘した。同様な意見は、他の議員からも出されている。

 答弁に立ったのは、企業長(院長)と事務局長、総務課長の3名である。総務課で契約を担当し、算定・積算は施設担当で行なっているという。ところで、逮捕された施設担当課長は、2013年4月1日から2015年3月末日までの2年間、契約を担う総務課長と請負金額の算定・積算を担う施設担当課長を兼務していた。金額を決め、契約を行なうという、実に都合の良い位置に逮捕された職員はいたのである。議会から、これは問題だと指摘され、企業長は「適切ではなかった」と述べた。なお、一部報道の「見積額の算定を、談合で逮捕された事業者に行なわせていた」については、「施設担当課内の担当係で算定している」と述べ、否定した。

 病院側では、どのような経過で官製談合が発覚したかは「不明」だという。施設担当課長が逮捕された当日(10月22日)の朝9時頃、読売新聞記者から業務委託等契約案件の情報公開請求が行なわれ、午前10時30分頃に、警視庁捜査二課から当該職員を取り調べ中である旨の連絡が入り、午後1時頃以降、マスコミ各社で報道されたという。病院への家宅捜索は23日の午前10時30分から夜8時頃まで行なわれ、26日の午前以降、病院内での警察による事情聴取開始。事情聴取は当分の間、継続することになるという。

 東大和市議会選出の共産党の尾崎利一議員が、議会決議が必要だと議長に要求した。内容は、(1)今回の事件だけでなく、過去のものを含めた発注業務の全容解明、(2)再発防止策の確立、(3)責任の所在の明確化 ────である。また、他の議員からは、過去の契約
案件の落札率の一覧が資料請求された。決議は11月26日(月)に開かれる定例議会で扱われることになるが、警察に資料等を押収されたもとで、要求された資料が作成できるかどうかは不明である。

 臨時会に提出された資料は、以下のとおりである。(1)昭和病院企業団における職員の官製談合の関与等について(経過)、(2)当該職員の企業団歴、(3)職員の官製談合の関与等と考えられる案件について、(4)昭和病院企業団における職員の官製談合の関与等に係る調査委員会要綱、(5)昭和病院企業団組織規程(抄)、(6)昭和病院企業団事案決裁規程(抄)、(7)入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律、(8)刑法(抄)、(9)昭和病院企業団契約事務規程(抄)、(10)昭和病院企業団指名業者選定委員会要綱、(11)昭和病院企業団長期継続契約を締結することができる契約を定める条例、(12)昭和病院企業団長期継続契約を締結することができる契約を定める条例施行規程、(13)事件を報じた新聞記事。なお、これら13件の資料は、臨時会当日に配布された。傍聴者は1名であった。

(2018年10月31日付)

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