こんにちは、川上賢二です

どうしたら、太良町の経済に元気をとりもどし、暮らしをよくすることができるのか?

太良町の経済と産業について考える@

2001年7月2日(第一稿)


 このレポートは、太良町の経済や産業について研究していく途中でまとめたものです。
 なぜ、町の産業が振るわなくなったのか、どうしたら活気をとりもどすことができるのか、町民のみなさんといっしょに考えていきたいと思います。経済や産業の問題が中心になって、福祉や教育の問題にまで及んでいませんが、次の機会に全面的に検討したいと思います。
 なお、資料が手にはいらなかったため、空欄にしている表もあります。表の補充もふくめて、このあと、必要な補足や訂正も行いたいと思います。ご意見をお寄せください。


目次


1、町民の所得と生産の急速な低下

 この数年、太良町では町民の暮らしがどんどん悪くなっていることがいろんなことにあらわれています。たとえば、商店の売り上げは、1997年から減っています。町民一人あたりの分配所得(企業の所得も含めた町民一人あたりの平均ですが)は、1996年をピークに減っています。「太良だけでない。どこも不景気だ」という方があるかもしれませんが、佐賀県民一人当たり分配所得との格差は大きくなるばかりなのです。県がまとめた1998年度の「市町村民分配所得」の統計を見ると、太良町の町民一人あたり分配所得は県平均の75.8%で、七山村(61.7%)、肥前町(64.0%)についで下から3番目という状況です。
 佐賀県自体が全国的に落ち込みがひどい中での、県平均との格差の拡大ですから全国的に見れば落ち込みの度合いはさらに大きいと思います。(1997年で佐賀県は全国平均の81.7%。全国の都道府県のうちで39位)。

 そこで、なぜ、町民の暮らし向きがわるくなってきたのか、しかも、全国や佐賀県の平均に比べて急激に悪くなってきたのか、町民のみなさんといっしょに考えてみたいと思います。
 次の表は、町民一人あたりの分配所得がどのように変化してきたかを示す表です。関連があるので、町内でどれだけ物やサービスを新たに作り出したかという「町内純生産」もいっしょにならべてあります。
 この表を見ると、1997年から町民一人あたりの分配所得が減っていることがわかります。また、佐賀県平均との格差は、90年代半ば少しちじまったのですが、そのあと、また格差が開きつつあることを示しています。  

町内純生産と町民分配所得の推移、県平均との比較
年度 町内純生産(100万円) 町民分配所得(100万円) 町民一人あたり分配所得(円) 佐賀県民一人あたり分配所得(円) 県平均との格差(%)
1991年度 16,113 20,448 1,691,891 2,282,924 74.1%
92年度 16,642 21,775 1,818,459 2,441,773 75.0%
93年度 17,428 21,603 1,823,002 2,490,844 73.2%
94年度 18,187 24,413 2,074,035 2,535,468 81.8%
95年度 16,965 23,295 1,994,291 2,560,788 77.9%
96年度 19,113 23,840 2,061,719 2,626,668 78.5%
97年度 17,050 23,145 2,016,670 2,609,466 77.3%
98年度 17,753 22,323 1,965,197 2,592,272 75.8%
(「佐賀県統計年鑑」)

 町民の暮らしを支える町の産業がどうであったかを示すのが次の表です。
 これを見ると、この数年間、農業、林業、水産業という町の基幹産業が急激に落ちこんだこと、それを建設業とサービス業でささえてきたが持ちこたえることができず、全体として97年度以降大きく落ち込んでいることがわかります。

太良町内の産業別純生産の推移(単位は100万円)
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産業分類 1991年度 92年度 93年度 94年度 95年度 96年度 97年度 98年度
総   額 16,134 16,536 17,428 18,187 16,965 19,113 17,050 17,753
第1次産業合計 4,247 3,880 2,910 4,862 4,100 4,407 3,150 3,192
 内、農業 3,064 2,739 1,597 3,318 2,880 2,872 1,973 2,259
 内、林業 189 271 104 357 105 238 73 38
 内、水産業 994 869 1,209 1,187 1,115 1,297 1,103 896
第2次産業合計 3,105 3,578 4,942 3,562 3,346 4,939 3,879 4,392
 内、鉱業 96 126 87 121 200 148 115 88
 内、建設業 2,142 2,729 3,551 2,615 2,416 4,052 2,941 3,474
 内、製造業 866 772 1,304 826 731 738 823 829
第3次産業合計 9,706 10,000 10,359 10,692 10,262 10,537 10,726 10,729
 内、卸・小売業 1,547 1,645 1,697 1,704 1,576 1,714 1,384 1,291
 内、金融・保険・不動産業 1,879 1,784 2,334 2,506 2,305 2,350 2,583 2,520
 内、運輸・通信業 882 968 1,077 1,080 854 912 897 779
 内、電気・ガス・水道業 191 196 168 180 193 130 160 165
 内、サービス業 4,423 4,575 4,249 4,348 4,451 4,544 4,805 5,133
 内、公務 783 832 833 874 882 886 896 891
(「佐賀県統計年鑑」)

2、所得低下と基幹産業停滞の原因は何か?

 それでは、何がこんなに急激な町民所得の低下と基幹産業の停滞をもたらしたのか、その原因を考えてみましょう。

消費不況と農林水産物の輸入増が太良町の基幹産業を直撃

 全国の他の地域にも共通することですが、第一の原因は消費税増税、医療費値上げなどによる国民の購買力の低下、それに銀行の「不良債権処理」、企業の倒産、リストラによる失業などを主な原因とする全国的な不況の影響です。
 たとえば、不況で国民が家を新築する件数が少なくなったことが林業の不振をひどくしています。また、家計費が窮屈になったことが果樹、野菜、畜産、漁業など食生活に直結する太良町の産業に大きなマイナス要因となっていることは間違いありません。
 原因はそれだけではありません。この数年間コメの自由化が進められ、林産物、野菜、果樹、水産物、畜産物など農林水産物の輸入が「経済の国際化」のもとに急激に増加したことが、太良町の基幹産業を一段と苦境に追い込んできたと思います。
 そこで、太良町の基幹産業が不況と「経済の国際化」のなかでどのような影響をこうむってきたのか見てみたいと思います。

ミカンとコメと畜産−−太良農業の柱に大きな打撃

 次の表は、太良町内の農業の生産額の動きを示したものです。これを見ると、コメの自由化、低米価政策を反映してコメの粗収入は一貫して減っていることがわかります。この5年ぐらいで年間2億円ぐらいの減収です。
 ミカンは隔年ごとにデコボコをくりかえしながら長期的には生産を減らしています。
 畜産は、1997年を境に大きく落ち込んでいます。
 農家一戸あたりの農業所得は、大きくデコボコを繰り返しながら長期的には減っています。

太良町の農業粗生産額および生産農業所得(単位は100万円)
項  目 1991年度 92年度 93年度 94年度 95年度 96年度 97年度 98年度 99年度
農業粗生産額合計 7,944 7,471 6,134 7,918 7,308 8,288 7,184 7,313 5,850
耕種合計 4,677 4,040 2,989 4,719 4,021 4,780 3,545 4,184 2,680
 内、コメ 442 575 464 503 487 460 373 354 260
 内、麦類 2 9 7 3 4 2 0 0 0
 内、雑穀、豆、いも類 41 45 23 21 24 25 22 20 20
 内、野菜 474 283 296 271 336 382 329 355 380
 内、果実 3,263 2,569 1,741 3,542 2,729 3,352 2,375 2,909 1,520
 内、花き 77 71 88 79 118 114 176 269 230
 内、工芸農作物 36 34 24 55 47 60 48 49 50
 内、種苗・苗木そのた 342 454 346 245 276 215 222 228 230
畜産合計 3,255 3,406 3,119 3,175 3,239 3,470 3,604 3,107 3,130
 内、肉用牛 469 603 203 288 309 329 452 369 370
 内、乳用牛 149 150 149 153 137 156 156 116 110
 内、豚 884 900 973 951 1,090 1,170 1,261 943  890
 内、鶏 1,753 1,753 1,794 1,783 1,703 1,814 1,734 1,678 1,760
加工農産物 10 25 26 24 48 1 35 1 30
生産農業所得 3,690 2,666 1,715 3,78 2,602 2,654 1,802 2,236 1,560
農家一戸あたり農業所得(万円) 279 201 130 240 223 228 155 192 134
(「佐賀県統計年鑑」)

 農業をもう少しこまかく見てみます。
 次の表は、太良町内でのミカンの収穫量と生産額をあらわしたものです。その次に、ミカンの価格とミカン農家の収入にかんする表を掲載します。
 この二つの表から、ミカンの卸売価格が隔年ごとに激しい上下を繰り返しながら大きな流れとしては、低下傾向にあること、それを反映して農家所得が低下していること、町内のミカン栽培面積が減っていることがわかります。

太良町内でのミカンの収穫量と生産高
項  目 1991年度 92年度 93年度 94年度 95年度 96年度 97年度 98年度 99年度
栽培面積(ヘクタール) 1,010 955 984 954 958 954 924 923 923
収穫量(トン) 21,900 22,100 18,100 17,300 23,400 15,500 24,000 19,100 25,200
粗生産額(100万円) 3,263 2,569 1,741 3,522 2,729 3,542 2,375 2,909 1,520
(「佐賀県統計要覧」)

みかんの価格とみかん農家の収入(佐賀県平均)
年度 露地みかんの卸売価格(円/キロ) みかん農家の10アールあたり農業経営の収支(1000円)
全国平均 佐賀県平均 粗収益 農家所得
1991年 276 274    
92年 196 172 218.1 97.1
93年 185 164 165.1 48.6
94年 293 277    
95年 218 180    
96年 298 261 305.8 152.0
97年 151 132 213.5 65.3
98年 282 247 341.9 188.5
99年 151 126 219.7 65.6
(佐賀県農林部園芸課資料)

 次は、畜産業です。佐賀県における太良町の畜産業にしめる地位は高く、とくに豚とブロイラーは県内で一番の飼育頭羽数です。次の表を見ると、豚は、90年代半ばは飼育頭数も多く粗生産額も大きく伸びていますが、そのあと飼育頭数も粗生産額も減らしています。これが、畜産業全体を引き下げる役割を果たしています。

太良町の畜産業の推移
年度 乳用牛 肉用牛 ブロイラー(1000羽)
頭 数  戸  頭 数  戸  頭 数  戸  羽 数
1991年 14 297 115 1,680 21 17,300 19 858
92年 14 306 111 1,930 21 15,300 17 655
93年 12 333 111 1930 22 7,300 19 780
94年 10 315 104 2,050 22 18,800 16 759
95年 10 303 98 1,980 22 19,700 15 618
96年 10 312 96 2,060 22 20,700 14 776
97年 10 294 88 1,990 19 18,800 13 629
98年 9 211 80 1,880 18 18,500 9 693
99年 9 200 69 2,020 17 17,300 14 780
2000年 9 210 63 2,120 17 18,400 12 633
(採卵鶏については数字の公表がないので省略した)(「佐賀県統計要覧」)

林業−−−外材輸入と木造建築減少のダブルパンチ

 次に林業です。
 太良町の林産物生産高は次の表のとおりです。木材素材は96年度一時的に生産が増えていますが、それをのぞけば90年代一貫して生産高を減らしています。その次の、材木価格の推移を見れば、この10年間でヒノキ、スギとも山元価格はいずれも半値になってしまったことがわかります。
 その結果、林業の純生産額は90年代はじめにくらべて1割以下に下がるという深刻な事態になっているのです。

太良町の林産物生産高
 
年度 木材素材(リューベ) たけのこ(s) 木炭(s) 乾しいたけ(s) 生しいたけ(s) 林業純生産額(100万円
1991年度 5,631 12,433 787 1,003 30,363 994
92年度 14,077 10,239 900 883 27,380 869
93年度 4,569 9,722 14,760 764 31,900 104
94年度 22,088 8,800 11,175 810 29,800 387
95年度 8,046 8,514 11,751 773 24,198 105
96年度 21,388 9,684 11,175 642 21,326 238
97年度 5,320 11,101 10,620 559 23,492 73
98年度 2,915 8,818 10,155 547 21,451 38
(太良町役場発行「多良の風」)

材木価格の推移(佐賀市場)(単位は円)
年度 スギ ヒノキ
山元立木(リューベあたり) 素材(16cm*4.0m) 山元立木(リューベあたり) 素材(16cm*4.0m)
1985年 14,198 23,300 24,412 37,900
1990年 12,333 22,400 26,071 48,600
1995年 8,000 17,800 16,917 37,800
1996年 6,800 20,500 15,320 41,800
1997年 6,240 16,600 15,320 32,800
1998年 4,950 15,800 13,422 29,200
1999年 4,440 15,800 13,426 30,100
(「佐賀県林業統計要覧」)

諫早湾干拓、有明海異変の直撃をうけた太良町漁業

 諫早湾干拓による有明海異変の直撃を受けたのが太良町漁業です。
 1998年ころから海苔の生産量は減少し、タイラギ、あさりなども激減しています。  

太良町の主な漁獲物
 
年度 のり(万枚) もがい(トン) タイラギ(トン) えび類(トン) あさり(トン) かに(トン) その他(トン)
1991年度 1,338 2,023 2,745 91 96 299 2,268
92年度 2,650 1,481 1,276 74 123 224 1,936
93年度 6,280 1,260 360 62 144 247 1,993
94年度 5,232 1,410 120 124 139 223 2,002
95年度 5,976 1,295 320 102 152 156 2,040
96年度 2,813 1,335 2,035 96 168 187 1,777
97年度 5,008 1,335 1,621 80 58 178 1,580
98年度 3,568 655 468 100 51 182 1,476
99年度 3,514 590 65 87 68 156 1,013
(太良町役場発行「多良の風」)

のり養殖の生産額推移
年度 経営体(戸数) 生産量(1000枚) 生産金額(1000円) 一戸あたり平均生産額(1000円)
1991年度 69 13,382 101,107 1,487
92年度 53 26,501 224,149 5,173
93年度 55 62,803 915,924 15,972
94年度 55 52,315 465,418 8,462
95年度 57 59,758 555,749 9,750
96年度 51 28,128 374,102 7.335
97年度 48 50,079 666,051 13,876
98年度 46 35,683 324,715 7,059
(太良町役場発行「多良の風」)

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