佐賀県の県産材活用の方針
県内産木材の安定供給と需要拡大をめざす県の「流域林業活性化推進本部」が発足したということが新聞で報道されていました。県産材の需要拡大策として、県庁内や市町村の公共建築物の木造化、県産材をふんだんに使った民間住宅の建設などをあげています。
また、鹿島市や太良町など多良岳周辺の林業関係者によって多良岳材の産地化形成を推進する「鹿島藤津林政協議会」の総会が開催されたことも報道されていました。
率直にいって、県のとりくみとしては遅きに失したという感じがしますが、ようやく県が「県産材の活用」ということにとりくみだしたこと自体はよいことだと思います。私たち夫婦が太良町で多良岳産材を使った家をつくった思いにも一致することです。「多良岳産材をつかうこと」など設計に三つの条件
太良町でどういう家をつくるか設計士さんと検討をはじめたのは昨年の4月からですが、そのとき、私は三つの条件をつけました。@家の構造材、外壁、床、内壁など基本部分は地元・太良町産の桧と杉の木を使うこと。A在来工法によること。B地元の業者によって施工することの3点です。
私たち夫婦がこういう条件をつけたことにはそれなりの理由があります。
私も妻も「地球環境をまもる」という立場で環境運動や自治体問題に取り組んできましたが、そのためにも日本の森林を守る事が大切だと思ってきました。日本の森林を守るとは、森林が森林としての機能を果たせるようにちゃんと手をいれること、そのためには、林業が業として成り立つようにぜひともしなければならないと言う事でした。林業が業として成り立つために私たちにできることの一つは、マイホームを新築するさい外材でなく国産材を使うことです。もう一つ、太良町へ転居するということにきめてから、太良町や佐賀県のことについて考えてみましたが、そのカナメの一つは、多良岳山麓の林業をいかにして再生するかということです。そこで、多良岳産の桧や杉の木を使えばこんな家ができるんだということを実際に示してみようという気になったのです。
在来工法ができる大工さんがいた
この思いは設計士さんと完全に一致し、設計士さんは設計図をかいてくれました。その仕様書には「太良産の桧と杉の木」と明記されました。また、工法については、在来の工法が生かされ、設計士さんは「古くからの建築用語がわかる大工さんでなければこの仕事はできない」といっていました。設計図をみた私の叔父も「70過ぎの大工でないとこんな仕事は出来ない。できる大工がいるんだろうか」と思ったそうです。
在来工法による仕事をやってくれる工務店と大工さんがいました。そして、今年の4月に完成しました。見ていただければわかりますが、家の構造材、外壁、床、天井、内壁とほとんどの部分を木材で作った家です。それも、基本的には多良岳産の桧と杉の木を使っています。住みはじめて2ヶ月ですが、住みごごちは上々です。
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外壁は全部木材です
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多良岳材を思いきりつかった家の内部 多良岳産材をもっと生かすために
私は、以前から太良町に戻ってくるたびに多良岳周辺の林道を自動車で走るのを楽しみにしています。そして、どこまでも続く桧と杉の木の山を見ると先輩たちの労苦と勤勉さがしのばれます。ところが、林業一筋に生きてきた叔父が「50年の苦労が水の泡になった」と言っているように林業が経済的に全くひきあわないものになっています。
私は、多良岳周辺のこの宝の山をいかに生かすかがこの地域の再生のひとつのカギになっているような気がします。同時に水源地である多良岳周辺の山を桧と杉の木で埋め尽くすことは長期的に見てそれでいいのかという疑問も持っています。100年、200年という将来をみすえた樹種の多様化、特に広葉樹の植林、まだ残されている雑木林の保全などもふくめて今考えるべき課題がいっぱいあるような気がします。
たとえば、太良町の百武町長には昨年提案しましたが、多良岳産材をつかって家を作ったら材木代の一部を補助することです。また、多良岳産材をつかって机や椅子をつくり町役場や小中学校のスチール製の備品ととりかえていくことです。
太良町や周辺の自治体で多良岳産材をつかった木材加工業、インテリア産業を興せないものかと思います。町で工房を作り、美大の工芸科卒業生など若くて意欲のある人達に一定期間無償で貸与する、作った製品は町で買い上げるなどということもしたらどうでしょうか。全国から人材が集まり、新しいインテリア産業を生み出す可能性もあると思います。
伐採したあとは、桧や杉などの針葉樹だけでなく、ケヤキなど広葉樹をうえてはどうでしょうか。こんな思いで、私の家を作りました。
「一度見てみたい」という方はぜひご覧ください。歓迎します。