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2023年杉並区議会第二回定例会一般質問(富田たく) |
日本共産党杉並区議団を代表して、1.杉並区内の有機フッ素化合物(PFAS)汚染について、2.性の多様性条例、パートナーシップについて、3.就学援助制度について、4.区内公共交通のバリアフリー化について、質問いたします。 1.杉並区内のPFAS汚染について 最初のテーマは、杉並区内の有機フッ素化合物・PFAS・ピーファスの汚染についてです。 本年5月19日、東京都水道局による「有機フッ素化合物検出状況」が公表され、善福寺3丁目に設置されている杉並区浄水所の取水井戸から有機フッ素化合物、以下ピーファスと言います、が検出されたことが明らかとなりました。 検出された値は、1号取水井戸でPFOS(ピーフォス)・PFOA(ピーフォア)の合計値が1リットル当たり210ナノグラムと、環境省が設定している「指針値」の1リットル当たり50ナノグラムに比べ4倍以上と、高濃度の汚染となっています。 現在、運用を停止している浄水施設であり、給水栓の水、いわゆる蛇口から出る水道水には影響はないとされていますが、杉並区の地下水が有機フッ素化合物で汚染されていることは大きな問題です。 【問1】杉並区での有機フッ素化合物(PFAS)の検出の区の受け止め 最初にお聞きしますが、こうした東京都水道局の検出状況の公表について、区長はどのように受け止めたのか、確認いたします。 有機フッ素化合物・PFAS・ピーファスとは、フッ素と炭素からなる人工の化合物の総称で、4700種類以上が存在すると言われています。原子間の結合力が強く、耐熱性、耐水性等に優れており、1930年代にアメリカで発見されてから、空港や軍事基地での大規模火災の泡消火剤や、テフロン加工のフライパン、撥水加工の衣服、化粧品やファストフードの包装紙など様々な製品に利用されてきました。 便利な化合物である反面、自然環境に放出されたPFASは分解されるまでに相当の期間が必要と言われ、生物の生体内に取り込まれると、長く蓄積されることになります。 多くの科学者は、蓄積されたPFASが様々な健康被害を及ぼすことを指摘しており、現在、PFASのうち、 PFOS・ピーフォスと呼ばれる「ペル フルオロ オクタン スルホン酸」、PFOA・ピーフォアと呼ばれる「ペル フルオロ オクタン酸」、PFHxSと表記される「ペル フルオロ ヘキサン スルホン酸」の3つの化合物については国際条約で製造、使用、輸入が禁止されるようになりました。 アメリカでは2012年に、テフロン製造企業によるPFOA汚染によって、製造工場近隣の住民に多くの健康被害が発生しており、法廷闘争の結果、①妊娠高血圧症並びに妊娠高血圧腎症、②精巣がん、③腎細胞がん、④甲状腺疾患、⑤潰瘍性大腸炎、⑥高コレステロールの6つの疾患について、PFOAとの関連性が確認されました。3500件以上の訴訟が行われ、製造企業が解決のために支払った額は6億7070万ドル、日本円にして724億円にのぼることが、ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏の著書で紹介されています。 アメリカの訴訟で関連が確認された疾患以外にも、妊娠中の胎児への影響として免疫力の低下や低出生体重・いわゆる未熟児などの健康被害も指摘されています。 こうした健康被害の危険性があるPFASが、在日米軍基地周辺の地下水などで高濃度に検出されていることが、問題となっています。 先に紹介した、ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏による米国への情報公開では、在日米軍司令部が置かれた東京の横田基地で、2012年にPFASを含む泡消火剤が3000リットル以上も流出する事故が発生していたことが明らかとなりました。 【問2】多摩地域の排出源と考えられる 井戸水を水道水として長年利用していた多摩地域ではPFASの汚染によって井戸からの取水を停止せざるを得ない状況が発生しており大きな問題となっています。 東京都の地下水は多摩地方から東へと流れており、杉並区で検出されたPFASも多摩地方と同じ排出源の可能性が高いと考えられますが、区の見解はいかがでしょうか。 【問3】汚染が10年以上継続していた 水道局の公表では、杉並浄水所では2005年(H17)からPFOS、PFOAが検出されており、2012年(H24)には1L中の合計値が150ng以上と高濃度の汚染状況であったことが分かります。 当時、水道局から杉並区に対して、こうした検出結果の情報提供はなかったのか、確認いたします。 PFASが検出された2005年から、大腸菌の検出による取水停止となる2016年(H28)までの約10年間、水道水としても利用されていた杉並浄水所の取水井戸ではPFAS汚染が高濃度の常態が続いていたと考えられるが、区の見解はいかがでしょうか。 【問4】杉並各地の井戸水、湧水の検査が必要では? 多摩地方からの地下水がPFASに汚染されていとすれば、杉並区内のPFAS汚染は杉並浄水所の取水井戸のみに限ったことでは有りません。この点について、区はどのように考えているか確認します。 井戸水、湧き水については区内でも様々利用されていいます。早急に区内の井戸水、湧き水の検査を行い、地下水の汚染状況を把握するべきと考えますが、如何でしょうか。 【問5】同様に土壌の検査も 同様に、区内の土壌の汚染状況の把握も必要です。農作物の安全性を担保するためにも土壌の検査及び、ボーリング等による地中の汚染検査も行うべきと考えますが如何でしょうか。 【問6】血液検査の実施 多摩地方では民間で血液検査が行われており、国が行った全国調査の3倍近い値で血液中のPFASが検出されている方もいます。杉並としても区民の血液検査を実施し、実態を把握することを求めますが、区の見解は如何でしょうか。 2020年6月に環境省が自治体に送付した「PFOS 及びPFOA に関する対応の手引き」では、「排出源の特定のための調査を実施し、濃度低減のために必要な措置を検討することが考えられる。」として、各自治体に対し発生源の調査と必要な対応を行うよう指摘しています。 【問7】横田基地の立ち入り調査を 多摩地域での最大の汚染源と疑われる横田基地では、立ち入り調査が米軍によって拒否され実現しておらず、汚染源の特定に至っていません。 環境省の手引きにもとづき汚染源の特定するためにも、杉並区からも横田基地の現地立入調査の必要性を、国と東京都に求めるべきと考えますが、区の見解を伺い、次の質問テーマ移ります。 2.性の多様性条例、パートナーシップについて 次のテーマは、性の多様性条例とパートナーシップ制度についてです。 4月から「杉並区 性の多様性が尊重される地域社会を実現するための取組の推進に関する条例」とパートナーシップ制度がスタートしました。我が党区議団は、2015年から区議会で提案してきましたので、今回の制度開始を歓迎するものです。 【問8】パートナーシップ制度の利用者 パートナーシップ制度については、届出の手続きが開始された初日4月24日に、制度利用の届出を行ったと、二組のカップルからお聞きしました。当事者の方々が待ち望んでいたのだと、あらためて実感しています。 パートナーシップ制度については、現在までに、何組の利用があったのか確認いたします。 二組のカップルからは受理証カードも見せていただきました。パートナーであることを自治体が認めたことの証明として、受理証カードの発行はよい取り組みだと感じております。 【問9】受理証カードの発行を無料へ ただし、届出後に受理証カードの発行にあたっては手数料が発生します。通常時の婚姻届けを提出する際には手数料はかかりません。 受理証カードの発行手数料については無料とするべきではないでしょうか。紛失等での再発行時には手数料が発生しても、少なくとも、初回の発行は無料とすべきと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。 【問10】事実婚も対象に 私は2015年にパートナーシップ制度の実施を求めた際、事実婚カップルも含める制度を提案してきました。 この間、事実婚当事者だけでなく、区内で制度創設を求めてきたセクシャルマイノリティ当事者の方々からも、事実婚を含めた制度にすることが必要との声が寄せられています。 パートナーシップ制度について、事実婚カップルを対象とするよう制度を拡充していくことを、あらためて求めますが、区の認識を伺います。 この間、元首相秘書官をはじめ多くの政治家等から、セクシャルマイノリティの方々に対する差別発言が問題となっています。杉並区でも性の多様性条例の議会審議の前後で、トランスジェンダーの方々を性犯罪者と同一視するような発言や、性犯罪が増加するといった女性の不安をあおるような発言が相次いでいることは問題です。 家父長制度が色濃く残る日本社会では様々な場面で女性が差別的な扱いを受けてきました。また、セクシャルマイノリティの方々も日常的に様々な偏見・差別にさらされています。ある意味、日本社会の被害者である女性とセクシャルマイノリティの方々に、対立構造や分断を持ち込むことは絶対に許されないことです。 こうしたもとで、「性の多様性条例」の第8条で「相談体制の整備」や「苦情の申し出」等を規定したことは、大変重要だと思います。 【問11】苦情処理機関の設置 条文では、差別等に対する苦情の申し出があった場合、区長が適切かつ迅速に処理するもの、とされていますが、この間、区民から苦情の申し出はあったのか確認します。 苦情の処理については、豊島区や板橋区など他自治体では、性別等による差別等により人権が侵害されたと認められる事項について、区長の付属機関として3名程度の有識者による苦情処理委員会を設置し、調査、改善意見の表明、助言や是正の要請を行うこととしています。 「性の多様性条例」の差別禁止条項に実効性を持たせるためにも、杉並区としてもこうした苦情処理を行う第3者機関の設置や、指導に従わない場合の個人名、団体名の公表等の規定も検討すべきと考えますが如何でしょうか。この点、区の認識を伺い、次のテーマに移ります。 3.就学援助について 次に、就学援助制度についてです。 昨年10月、子どもの教育格差の解消に取り組む公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンは、全国の小学生の子どもを持つ保護者2,097人を対象に、子どもの学校外でのスポーツ、音楽などの習い事・クラブ活動、キャンプ、芸術・スポーツ鑑賞、旅行など、いわゆる「体験活動」の実施状況等について、実態調査を行いました。 その結果、年収300万円未満の低所得世帯の小学生のうち3人に1人が調査実施前の1年、習い事や旅行などの「体験活動」を何もしていないことがわかりました。世帯年収600万円以上の家庭と比較すると、2.6倍の差が生じています。 調査からは、物価高騰が小学生の「体験格差」にも影響していることもわかりました。年収300万円未満の世帯では、30.8%が「物価高によって体験の機会が減った」と回答、一方で年収600万以上では13.7%にとどまっており、2倍以上の差があります。 このような調査結果からも物価高騰が家計を直撃し、子育て世帯では子どもたちの体験の機会が奪われている実態が浮き彫りとなっています。 区内の子育て世帯の方々からは、「食費が値上がりして、子どもたちに食べさせる量を制限しなくてはいけないのが辛い」という声や、「自分の食べる分を減らしている」という声が寄せられており、 物価高騰のもと、困窮する子育て世帯への経済的支援の拡充は急務です。 【問12】今年度の申請者数についての受け止めは こうした下で、我が党区議団が長年訴えてきた就学援助制度の拡充が今年度から実施され、就学援助の認定基準額が、生活保護基準の1.2倍から1.3倍へと引き上げられました。制度の対象者が拡大されたことは、困窮する子育て世帯の支援拡充への重要な一歩だと受け止めています。 しかし、担当所管への事前ヒアリングでは、申請者数について、前年度と比較しても大きく増えたわけではないとのことでした。まず、この点についての認識を伺います。 【問13】10年間で2億円以上も予算が削られる結果に 杉並区の就学援助制度は前区長のもとで認定基準が段階的に引き下げられ、2012年度の認定者数約5800人から、2022年には約3400人まで減少しました。 就学援助の決算額でみると2012年度執行されたのは約5億3800万円でしたが、2021年度には約3億3700万円と9年間で2億円以上、4割近くの削減となりました。 前区政下で、困窮する子育て世帯への予算が10年間で4割も削られ、2400人もの子ども達が支援制度から除外されたことを、どのように受け止めているか、あらためて確認いたします。 【問14】認定基準額のさらなる拡充を 今回、杉並区は認定基準額の算出方法を生活保護基準の1.2倍から1.3倍に引き上げましたが、世田谷区や大田区では生活保護基準の1.4倍としていますし、文京区では1.67倍です。こうした他自治体の取り組みを参考に更なる制度の拡充に取り組むべきではないでしょうか。 困窮世帯する子育て世帯のさらなる支援拡充に向けて、前区長のもとで切り下げられた認定基準額を早急に切り下げ前に戻すとともに、今後、認定基準額を生活保護基準の1.5倍へ拡充するための検討を早急に進めるべきと提案いたしますが、見解を伺います。 【問15】ひとり親世帯の基準の拡充を また、墨田区で通常の就学援助の基準は生活保護基準の1.2倍ですが、ひとり親世帯については1.5倍の係数で認定基準額を計算しています。江東区も同様に通常の係数は1.12倍としていますが、ひとり親世帯については1.45倍としています。こうした自治体のように、ひとり親世帯の生活保護基準の係数を引き上げ、認定基準を拡充することも必要と考えますが、いかがでしょうか。 【問16】認定率の目標値の設定を 我が党区議団は就学援助の拡充をする場合、認定率、認定者数については目標値を設定して取り組むことを以前から提案してきました。 杉並区で認定基準額の切り下げが行われる前年度、2012年度の認定率は小学校中学校あわせて23.9%でしたので、杉並区として認定率約24%を目指すなど、目標を明確に設定し就学援助の拡充に取り組むことを提案いたしますが、いかがでしょうか。 【問17】費目別認定の実施を 世田谷区では、通常の就学援助の認定基準額より高い基準額を設定し「給食費のみ」を支給するの費目認定を2019年から実施しており、2021年度は4140人、8.3%の児童生徒が支給を受けています。葛飾区でも、通常の就学援助とは別に、給食費、新入学児童生徒学用品費や入学準備金、修学旅行費、卒業アルバム費に限った「費目認定」を行っています。 就学援助の認定基準を上回るが、生活がまだまだ苦しい世帯、いわゆるボーダーライン上の世帯に対しても、支援が届くよう、杉並区でも支給費目を限定した費目認定の導入を検討するよう求めますが、いかがでしょうか。 【問18】入学準備金など支給内容の拡充を 基準額の拡充による対象人数の拡大とあわせて、就学援助の支給内容の拡充も必要だと思います。例えば、入学準備金の金額も自治体によって様々ですが、杉並区は小学校47,780円、中学校56,040円ですが、財政規模も児童生徒数も杉並区と同程度の葛飾区や近隣の中野区では、小学校で64,300円、中学校で81,000円と杉並区より約1万7千円から2万5千円も高い金額を支給しています。 入学準備金の支給額の増額や、支給費目、金額の拡充も、物価高騰で苦しむ世帯への有効な支援になると考えます。こうした就学援助の支給内容の充実を是非進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 【問19】あわせて、全生徒への修学旅行費補助金の復活を。 あわせて、前・区政のもとで、コロナ禍にもかかわらず廃止されてしまった中学校修学旅行費補助金の再開を求めますが、いかがでしょうか。 【問20】就学援助の案内の多言語化の推進を HPやチラシでの就学援助の案内は現在、英語とネパール語の2か国語を用意しているとのことです。杉並区の防災マップは7種類で、英語、中国語の簡体字(かんたいじ)と繁体字(はんたいじ)、韓国語、タガログ語、ベトナム語、ネパール語が作られています。就学援助の案内も同様に多言語化を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 4.区内公共交通のバリアフリー化について 最後のテーマは公共交通のバリアフリー化についてです。 【問21】ホームドアの設置 2020年7月JR阿佐ヶ谷駅で視覚障害者の転落死亡事故が発生したことは記憶に新しいと思います。我が党区議団は、区内鉄道駅のホーム転落防止対策としてホームドアの設置を求めてきた。 ホームドアの設置は、視覚障害者の方々だけでなく駅を利用する全ての人の安全を確保するためにも急がれます。 そこでお聞きしますが、区内の鉄道路線ごとのホームドア設置の見通し、計画の現状を確認いたします。 【問22】CPラインについて ホームドアが設置されるまでの間の転落防止対策として、弱視の方がホームの端を見やすくする、蛍光オレンジなど着色するCPラインの設置が進められていますが、未だ未設置のホームが残っている状況です。CPラインの早期の設置を鉄道事業者に求めるべきと考えますが、区の認識を伺います。 【問23】方南町のエレベータ、事業者との連携の強化を 車いすの方や、高齢者、ベビーカーを押す子育て世帯の方々にとって、駅を利用する際の縦の移動にはエレベータやエスカレーターが必須です。 東京メトロ方南町駅では、2017年に駅西側にエレベータ、エスカレーター、多目的トイレが設置されましたが、東側出入口は未だにエレベータもエスカレーターも設置されていないだけでなく、普通のトイレも設置されていません。利用者からは改善を求める根強い要望が寄せられています。 杉並区としても東京メトロと協力してエレベータ、多目的トイレ等の設置用地を探すなど、バリアフリー化に向けた連携を強化する必要があると考えますが、区の見解は如何でしょうか。 【問24】既にバリアフリー設備が設置された駅でも改善の要望が 荻窪駅南口についても、下りのエスカレーターがなく、エレベータも狭くてベビーカーやシルバーカーの方がいると乗り切れない状況です。バリアフリー設備が設置されている駅でも、利用者にとってまだまだ利用しづらい駅があります。こうした状況を把握し、改善を進めることも必要と考えますが、見解をお聞きします。 【問25】区内バス停のベンチ、上屋の設置を 路線バスのバス停について、区民から待ち時間に腰掛けられるベンチの設置や、雨除けとなる上屋を設置してほしいとの声が寄せられています。ベンチや上屋の設置に向けて、路線バス事業者や道路管理者等と協議を進めることを求めます。この点について最後に区の見解をお聞きして、私の一般質問を終わります。 以上 |
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