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2021年杉並区議会第三回定例会一般質問(野垣あきこ) |
日本共産党杉並区議団の野垣あきこです。党区議団を代表して、商店・事業者支援について、および西武新宿線について質問いたします。 1、商店、事業者支援について まずは、新型コロナ感染拡大のもとでの小売業など事業者支援についてです。 ①現状と対応姿勢 はじめに、小売業などの現状と区の対応について伺います。小売業など区内の多くの事業所は、政府の大企業優遇の経済政策や、消費税の連続増税のもとで深刻な事態に追い込まれてきました。その結果、小売業でみると区内事業者数は減少が続いています。杉並区が実施した産業実態調査でも、2012年から16年の4年間で小売業事業所数は6.3%減少と報告されていますが、1999年と2016年を比べると事業所数は5割に半減しているのです。 そのうえ、コロナ禍による経営困難が商店を直撃しています。区の調査では、最近1年間で売り上げが下がったと回答した小売業は約69%・7割にも及びます。 Q1−1、このような事態が続けば、区内の商店の減少はさらに加速しかねない事態ではないでしょうか。それは、区が強調する住宅都市としての機能、魅力の後退にもなりかねません。これまで以上に区が商店、小売業振興のための支援を抜本的に強化することが求められているのではないでしょうか。区の認識と、対応についてお答えください。 ②消費向上 小売業の経営が深刻化している要因には、大手スーパーの進出やオンライン販売などの新たな購買スタイルの広がりなどがありますが、根本的な問題は、区民の購買力の低下があるのではないでしょうか。その責任はもちろん政府にあります。長期にわたる賃金低下、非正規雇用の拡大、そして消費税増税です。私は東京都生計分析調査を調べましたが、昨年の都民の消費支出は、10年前にくらべ月額1万3千円も減少しています。 ・消費税率の引き下げを Q、2−1、私のもとに、コロナ禍で売上が月25万円減少したお総菜屋さんから「消費税は上げないでほしい。買い物するにも仕入れするにも消費税の額が大きい。きついですよ。」と、売上減少に加え、依然として消費税負担が厳しいという悲鳴が寄せられました。世界でもドイツ、フランスなど56の国と地域ではコロナ禍での経済対策として消費税の税率引き下げが行われています。 事業者支援や区民生活を守るという観点からも、国に対して消費税率の引き下げを求めるべきではありませんか。 ・国保料減免制度 同時に、区としても購買力を後退させた要因があります。それは、国保料など税とともに社会保険料負担の急増です。たとえば、年収400万円4人世帯の場合、11年間で税と国保料、年金保険料の合計が約2倍に増加し、買い物などに使えるお金は年間で26万8千円も減少しています。 Q2−2、税とともに国保料など社会保険料の連続値上げが区民消費に及ぼす影響について、どのように認識していますか。区民の購買力を引き上げるために区として国保料などの値上げ抑制の努力をすべきではありませんか。 Q2−3、区の産業振興に関する施策の中には、一番重要な区民の消費向上・購買力引き上げに関する施策が商品券事業以外に読み取れません。区としては区民の購買力向上のためにどのような努力を行い、今後どうしようとしているのですか? Q2―4、事業者の国保料に関連して、至急解決が求められる課題があります。それは、国保料のコロナ減免制度についてです。制度では、昨年度の収入にくらべ、今年度3割以上の減収が見込まれる場合、今年度の保険料が大幅減額されます。しかし、昨年度の収入がゼロで今年度もゼロと見込まれるケースでは、ゼロからゼロでは減収でないとして、減免対象から除外されています。こうした問題を解決するために、例えば都の時短営業協力金のように、収入を比較する年度を前年度と前々年度のどちらからでも選択でき、コロナ禍以前の収入と比較できるようにする算定方法を導入すべきと考えますが、いかがですか。 Q2−5、この点で、私は要綱を調べてみましたが、要綱は区が定めたものであり、区の判断で見直しが可能であり、さらに必要な事項は保健福祉部長が定めることができるのではありませんか。いかがですか。 ③商店、飲食店の支援策について 冒頭紹介した産業実態調査では、小売業、飲食業等にたいする区の支援策について調査しており、新たに策定する産業振興計画に反映するとともに、可能なかぎり早期の具体化を検討すべきだと思います。 Q3−1、実態調査では、コロナ対策で最も効果があった対策の1位は、「国や東京都・杉並区の助成金、補助制度を利用」することでした。さらに、支援策について出された意見は、売り上げが減少した全事業者へ給付金の提供、わかりやすい情報提供などです。わが党の聞き取り調査でも「飲食店だけでなく、他の業種にも手厚い制度を設けてほしい」「売上げにみあった支援制度を平等に行ってほしい」という意見が寄せられました。これらの要望は、ただちに対応すべきことではありませんか。区はどう受け止め対応するのですか。 関連して、飲食店からの要望で、東京都の「営業時間短縮等に係る感染拡大防止協力金」について伺います。 Q3−2、4度目の緊急事態宣言の発令は7月12日からでしたが、始まる際に営業時間短縮協力金の支給を前倒しするという都の施策に対して、5月、6月の支給さえまだなのにどうして前倒しができるのかという声が寄せられました。至急実態を調査するとともに、未支給が放置されないよう、都にはたらきかけることを求めますが、いかがですか。 Q3−3、実態調査で、経営課題解決のために区に求める支援は、という質問に対し、小売業も飲食業も、一番には資金繰り支援、二番目に人材確保、三番目に設備投資の支援と答えています。そして四番目に、小売業は販路拡張、飲食業は区の魅力創出をあげています。区は、これらの要望を正面から受け止め、要望に応えるため努力を尽くす責任があると考えますが、認識を伺います。 Q3−4、区内小売業の振興のためには、個々の商店の売上向上に向けた店舗改修や販売促進活動への支援が不可欠です。墨田区が2017年に策定した「新産業振興プラン」では、「個店支援の必要性」という項を設け、中小企業庁の調査を紹介しています。そこでは、個店の改善や活性化策の中で、店舗改装やレイアウトの変更、パソコン・ITの活用を一度でも実施したことがあると回答した商店街は3割を超えたものの、その他の多くの施策については行っていないと回答しています。そのため「商店街内のみの活動だけでは、個店の改善・活性化策を行うことは非常に難しい」と分析し、今後の方向性として「個店の経営課題解決を支援すること、魅力ある個店の増加を図ること」を強調しています。 区としては個店支援の必要性についてどう認識していますか。 Q3−5、これまでも江東区の生鮮3品を扱う商店への200万円上限の改修費支援など、多くの自治体で積極的な個店支援策が始まっています。 練馬区では、「魅力ある個店づくりを支援します」と題して、①個店連携事業(複数の商店が連携してイベント事業や商品開発事業費補助)とともに、②店舗改修事業、店舗改修に係る工事費の2分の1、上限100万円補助を実施しています。 小平市では、小売業、飲食、理美容などが店舗を改修、備品の購入をする場合、上限50万円で3分の2を補助、補助要件に市内の事業所が施工することを条件とし、建設業への支援にもなるようにしています。 台東区では、空き店舗を借りて事業をはじめる中小業者に対し、家賃の一部を3年間助成します。1年目は月額5万円、2年目は4万円、3年目は3万円です。 品川区では、複数の店舗が共同して販路開拓のための催事開催やECサイト(ネットを使ったモノやサービスの販売サイト)の開設等に対し、事業実施1回につき45万円、10分の10を補助するものです。 区はこうした事例を把握していると思いますが、どのように分析していますか。優れた施策は区としても積極的に実施すべきではありませんか。 Q3−6、これまでも、東京都が毎年発行する特別区決算状況報告書では、杉並区の商工費の歳出総額に占める比率は1%にも満たず、23区で最低レベルであることを指摘してきましたが、令和元年度の人口1人あたりの商工費は23位と最下位でした。今回あらためて、商工費の決算額の実額そのものを比較してみました。すると、実額でも23区中18位と低い結果でした。区は、この間、杉並区は住宅地であり、商工費のうち工業に関する予算がどうしても少なくなり、他の自治体に比べて、予算総額に占める割合が低くなると答弁してきましたが、工業等の分野への支出が低いのであれば、その分を個店支援にあてることは可能ではないですか。 ④クリーニング店 ここまで小売業、飲食業を取り上げてきましたが、区内には区民生活に欠かせないさまざまな業種があり、コロナ禍で深刻な影響を受けていながら、支援の対象外となっている業種が多数あります。たとえばクリーニング業です。 私たちは訪問して聞き取り調査を行いましたが、次のような声が寄せられました。 「今まではコンスタントに出されていたワイシャツが激減した」 「緊急事態宣言で人は出かけないのでよそ行きの服を着ない、リモートワークになれば家で過ごすのでクリーニング屋へ出す服がない。どうやって仕事を増やすように努力してよいのかわからない」 「コロナ禍で2割〜5割の減収」 「もしも家族全員がコロナにかかって店をしばらく閉めたら、預かっている品物を渡せない状況になったらと思うと不安になる」 持続化給付金は「減収50%を超えれば補助が出るが、そこまでいかないので出なかった」 Q4−1、区内のクリーニング店は2008年には457軒ありましたが、2019年には320件と10年間で137軒もなくなり、約7割に減少しています。そのうえコロナ禍の影響が続けばさらに深刻な事態になりかねません。クリーニング店から寄せられた声をどう受け止めますか、こうした業種にもきめ細かな支援の手を差し伸べることを求めますが、いかがですか。 ⑤プレミアム商品券 区として直接的に区民の消費を喚起し、購買力を引き上げる施策はあります。その一つがプレミアム商品券事業だと思います。 Q5−1、商品券は7月30日から利用がスタートしましたが、緊急事態宣言は今月末まで延長され、ほとんどの飲食店などはやむなく休業や時短営業をしています。感染拡大のなか緊急事態宣言がいつまで続くのか、取扱店舗や利用者は想定できず、商品券を10月31日までに使い切らなければいけないとなると、一部の店舗に利用が偏る可能性もあります。そうした事態を回避するために、利用期間の延長を提案しますが、いかがですか。もし、延長ができない理由があればお答えください。 Q5−2、今回のプレミアム商品券事業では、全体の75%を占めたデジタル券の大量売れ残りが発生し、購入期間を延長するとともに、1人当りの枚数制限が撤廃され、特定の人が何冊も購入できるという結果となりました。区はこの結果をどう受け止めていますか。今後の事業にあたって、こうした点をきちんと総括し、活かすべきではありませんか。 店主の高齢化でデジタル商品券に対応できない、チェーン店でもシステムの都合上、紙商品券しか扱えない店舗もあり、そういった商店がデジタル商品券も取り扱うためには、私は充分な周知期間やスキルの獲得のための支援が必要だと思います。デジタル券は初めての試みであり、紙商品券の需要を多めに見込んでおくべきだったと考えます。 Q5−3、都の求めるスキームのままだと、店舗や利用者にデジタル商品券を押し付けることとなります。実態に見合った商品券事業を区独自で行うべきで、総括のうえに来年度の商品券の発行を検討していただきたいと考えますが、いかがですか。 Q5−4、わが党区議団には、「取り扱い店舗の募集と発券が同時では矛盾が起きる」「デジタル券は一回一回の売上でメールが来るが、管理画面がなく手書きでまとめろというのか」「取扱店舗や消費者の使い勝手をもう少し考えてほしい」という声が寄せられており、こうした声も今後の事業に活かすべきと考えますが、いかがですか。 Q5−5、商品券の発行検討について、第1回定例会でのわが党富田議員の質問に対し、区は前回の杉並商店街応援キャンペーン事業について「商連さんと総括させていただき」と答弁しています。商品券の発行検討について、まさに前回以上に関係団体の意見を聞き、協議を尽くし、次回の発行に活かしていくべきと考えますが、いかがですか。 ⑥イベント支援について ・チャレンジ支援補助金 Q6−1、「商店街チャレンジ戦略支援事業補助金」について伺います。今年度予算には1億2千万円余が計上されていますが、コロナ禍で執行が困難になっており、予算執行の見通しはどうなっているのか伺います。チャレンジのために積んだ予算を、商店街支援のための有効利用に向けて検討すべきではありませんか。 ・イベント準備費用の補填について、 Q6−2、第1回定例会の金子区議の質問で、イベントが中止となり準備費用が商店会の持ち出しとなっていたことについて、補填を求めました。その後要綱が変わったと聞いていますが、どのような要綱になったのか、具体的に説明してください。 ⑦芸術・文化支援 ・すぎなみアート応援事業 Q7−1、第2回定例会のくすやま区議の質問では、感染拡大の深刻化のなか、すぎなみアート応援事業(活動への支援)の新しい芸術鑑賞様式助成金の補助対象を昨年度の600件から、今年度50件に激減させたことへの是正を求めました。今回の補正予算で、追加措置をとったことは評価します。1,000万円ということは、25件と推計されるのですが、1期で助成から漏れた件数、および2期目の申請件数はどうなっていますか。 要件を満たした申請については、助成対象とすることを求めますが、いかがですか? 2、西武新宿線 次に、西武新宿線についてです。我が党区議団は、鉄道連続立体交差化事業(以下、連立事業と言います)については早期に実現を、という立場です。 西武新宿〜上石神井間の複々線化の廃止と、井荻〜西武柳沢間の連立事業が高架化で行われることが都決定となり、7月21日の杉並区都市計画審議会に諮問されました。そこで行った質疑により明らかになったことや問題点を土台に質問します。 沿線住民からは「複々線化はいつになるのか期待したのに残念だ」「区内の3駅は、各駅停車以外は全て通過してしまうので、連立事業で地下化または複々線化とならなければ、区民は騒音や振動の被害者なだけ」という声が寄せられています。上井草地域の住民からは、子どもたちの通学路に関わる問題なので早く進めてほしいとの要望もあります。 連立事業を進めるにあたり、私は5つの問題点があると考えます。 Q8−1、1つ目の問題点は、西武新宿線の中井〜野方間の連立事業の工期が6年延長となってしまったことです。その理由を伺います。また、全体の事業費はいくらで、今回の工期延長により新たに発生する費用はあるのか、その金額はいくらなのか、どこが負担することとなるのかお答えください。 2つ目の問題点は、用地買収の困難性です。井荻〜西武柳沢間を高架化にした場合の都の試算ですが、用地取得に5年、工事期間が13年で、重複期間があり全体で15年かかります。地下化の場合は用地取得に4年、工事期間が16年で全体で16年と、高架と地下では1年の違いです。中井〜野方間は試算では、60棟の用地取得に4年、工事に8年で事業期間は8年でした。しかし、実際は用地の9割を取得するのに、試算の倍の8年かかっています。 Q9−1、井荻〜西武柳沢間は高架化のため、用地取得は230棟で5年という試算ですが、中井〜野方間で60棟を8年かけても取得できないのに、その約4倍の用地を5年で取得できるという都の試算は現実的ではないと考えますが、いかがですか。用地買収の度合いによっては、同様に事業期間が何年も延びてしまう恐れがあると考えますが、認識を伺います。 Q9−2、3つ目の問題点は、井荻〜西武柳沢間にある6年前に完成したばかりの練馬区内のマンションの管理組合が、高架化の用地買収により建物を削られてしまうため、大手管理会社も含めて高架化に反対していることです。私は、都市計画審議会でも、事業期間がさらに延びる可能性があり、都市計画決定前に事業的条件の評価についても再検討する必要がある、と指摘しました。これに対し、区は、区内の事業用地にもマンションがあると認めており、それであれば、工期延長とそれに伴う費用の増大も想定されることは当然と考えますが、区民の住環境を保障することや用地買収の困難性をどう考えているのか伺います。 4つ目の問題点は、工法の検討が尽くされていないことです。地下化のためのシールド工事には様々な工法があり、技術も年々進化しています。上下線のトンネルを1本ずつ別々に掘る単線シールドに対して、大き目のトンネルを1本掘り、その中に上下線のレールを通す複線シールドという工法もあります。そのため、複線シールドは2本並べる単線シールドより横幅が狭くて済みます。 横浜市の相模鉄道本線の鶴ヶ峰駅付近の連立事業では、地下構造、複線シールド工法で計画しています。横浜市はその理由として、事業を現在の鉄道敷地内におさめて、用地買収を少なくするためだと我が党都議団の調査に答えています。廃止された西武線の複々線化事業も、地下化であり複線シールドでした。 地下化は既設構造物への影響も心配されますが、事業に必要な空間、必要内空から考えると、多少ロスが出てしまう円形シールドに比べ、縦や横に並列にした復円形や矩形のタイプもあり、都内の地下鉄工事でも採用されています。いま問題になっている建設残土を必要最小限に抑える工法とも言えると思います。 Q10−1、東京都と西武鉄道は、地下化でもこういった様々な工法を含めて検討したのかと言えば、単線シールドのみの検討で比較しています。一番のネックである用地買収をできるだけ少なくし、かつ費用や工期が縮減できるかも知れないのに検討さえしないという姿勢では、住民は納得できないと考えますが、区の認識はいかがですか。 また、中井〜野方間の地下化の理由については、都自らが「都市計画として新たに定める面積を比較し、拡幅する面積が小さい地下方式を選定いたしました」と今回の井荻〜西武柳沢間の都決定と矛盾した答弁を都議会でしているのです。 5つ目の問題点は、環境影響評価書についてです。都民の意見を聞く会でも、その枠組みや評価に対する指摘が相次ぎ、環境影響評価の視点に欠けていることが明白となりました。 Q11−1、地下と高架では、騒音や振動は大きな差があるはずなのに、比較検討では同レベルの評価になってしまっています。都は、環境保全のための措置を適切に講じることで対応が可能かどうかで判断するので、同一評価となるという答弁をしていますが、他の鉄道連立事業では明白に地下案の方が二重丸で評価されているのに、西武線だけが対応可能として同一評価になっている。区はこの評価についてどう考えていますか。 Q11−2、環境影響評価書案に対し、区長は主に騒音・振動について意見を提出していますが、その内容をお示しください。また、連立事業について区長意見はどのように反映されると考えていますか? 以上、5つの問題点を指摘しました。高架化、地下化はそれぞれにメリット、デメリットはあるとは思いますが、連立事業は進めなければなりません。住民にとっては立ち退きの影響も大きく、また50年後、100年後の環境やまちづくりという観点ではどう進めていくのが良いのかと考えれば、今回の都決定をそのまま区決定としてしまうのは問題だと考えます。 Q11−3、費用効果や工期を短くする可能性を追求するため、また早期に住民も納得のできる連立事業を進めるためには地下化を検討すべきではなかったのか、見解を伺って私の質問を終わります。 |
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