議会報告

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一般質問(ジェンダー平等)全文と答弁の概要

 続いて、ジェンダー平等について質問します。
 私は、昨年の第1回定例会でもこの問題について質問しましたが、その後の1年間は、世界でも日本でも、ジェンダー平等をめざす運動が大きく広がりました。
しかし、日本のジェンダーギャップ指数は、153か国中121位と立ち遅れているうえに、新型コロナウイルスの感染拡大によって、女性たちがさらに深刻な事態に追い込まれていることを見なければいけないと思います。
 その一つは、雇用と生活の危機です。1月29日に総務省が発表した労働力調査によれば、昨年1年間の平均の非正規労働者数は、前の年と比べ75万人減少しましたが、そのうち7割近くを占める50万人が女性でした。女性の非正規の就業者が多い観光、宿泊、飲食業などが大打撃を受けたことによるものです。また、野村総研は、女性のパート・アルバイトで、仕事が半分以下に減り、休業手当も支払われない「実質的失業者」は90万人にのぼるという衝撃的なリポートを発表しました。
私たちが取り組んでいるアンケートにも「ホテル勤務であったために、昨年2月以降仕事が全くなくなり、常勤でなかったので会社からの保障はなく、どこからも助けてもらえず借金しています」などの声がよせられています。
 二つ目は、家庭内労働による負担の増加です。一律の学校休校や保育園の休園などにより、家事や育児の負担が増大し、その多くが女性に集中しました。さらにリモートワークによる負担も重なりました。アンケートでは、「夫婦ともにリモートワーク、保育園休園により、家事、仕事、育児がすべてのしかかりました。本当に辛かったです」という声がよせられました。
 三つ目は、家庭内暴力が増加したことです。外出自粛や経済的不安によるストレスで、夫がいらだつことが多くなり、妻や子どもに暴力をふるうケースが増加したと報道されています。さらに見過ごせないことは、女性の自殺者の急増です。昨年10月の女性の自殺者は全国で852人と、前年同月比で8割も増加し、同時期の男性の増加率約2割を大きく上回っています。
 
Q1 これまでも、就労や家庭内の労働で、困難や負担を背負ってきた女性が、新型コロナ感染拡大の長期化のもとで、さらに追い込まれるという事態が起きていることについて、区長はどう認識していますか。

Q2 私は、こうした事態を放置してはならないと思います。雇用問題でいえば、改めて、非正規雇用の正規化、賃金格差の是正、一方的な非正規切りの是正など、国に対策を強く求めるべきではありませんか。

Q3 家事、育児、教育、介護など、女性の負担解消のために、区はどのように取り組んでいるのでしょうか。さらに、今後、取組をどう強化していくのですか。

Q4 関連して、杉並区区民意向調査の自由意見欄の記載には、子育てへの支援について様々な要望が記載されています。例えば、子育て応援券についてオムツやミルクの購入等、使える幅を広げて欲しいなどの要望は複数ありました。この自由意見欄は、「杉並区に対するご意見や要望がありましたら、ご自由にお書きください」と書かれており、区としての検討が求められています。寄せられた要望に対して、どのように検討し、対応するのか、うかがいます。

 次に、ジェンダー平等の実現にとって、深刻で重要な課題であり、さらにコロナ禍のもとで、深刻さを増しているDVや児童虐待への対応について、具体的にうかがいます。
 内閣府研究会のデータでは、昨年5月から6月のDVの相談件数は前年同月比の約1・6倍で、4月から9月の性犯罪・性暴力の相談件数も前年同期比の約1・2倍となったことが示されています。

Q5 コロナ禍のもと、杉並区における児童虐待の相談件数および前年との増減はどうなっていますか。さらに、今後、虐待防止の取組について、どう強化していくべきと考えているのでしょうか。

Q6 また、DVの相談件数、前年度との比較、相談体制についても、どうなっているのか、お答えください。

 私たちのアンケートには、ストレスや悩みがたまっても、誰とも話すことができず、相談することができないという声が寄せられました。相談機関の周知、体制の強化は、これまでにも増して大事になっていると思います。
平成29年の区の調査では、配偶者暴力相談支援センターやDVダイヤルを知っていると答えた人は5%前後でした。

Q7 区は、昨年の私の質問に対し、相談窓口のリーフやカードを作成し、区の施設や大学、医療機関に置くとともに、広報やホームページで周知に努めていると答えましたが、コロナ禍のもとで、さらに周知を強化する必要があると思います。いかがですか。

Q8 区は、DV対策の推進として、各相談窓口や関係機関との連携体制を更に強化し、総合的な支援体制の充実を図るとしていますが、具体的にどのように取り組んでいるのですか。

Q9 また、一時保護から自立までの支援の充実については、具体的にどのように取り組んでいるのか、また、今後どう推進していこうとしているのか、うかがいます。 
 
次に、ひとり親家庭への支援についてです。
昨年12月に「杉並区ひとり親家庭実態調査」報告書が発表されましたが、母子世帯の45.7%が年収300万円以下で、貯金額では10万円未満が26%、住宅では母子世帯の場合半数近い45.2%が民間賃貸住宅であること、家賃負担では8万円から11万円未満が37.2%、11万円以上が35.8%と報告されています。そして現在の悩みや困りごとの第1位は「家計(生活費、家賃、養育費等)に関すること」で、61.3%でした。

Q10 調査結果から、経済的支援の強化が求められていることは明らかです。自由意見欄にも「コロナの影響で収入が減った。追加給付金だけでなく、継続的な支援をしてほしい」「ひとり親家庭等ホームヘルプサービスの利用を希望していたが、コロナ禍により頓挫している状況。毎日の子育て、家事、仕事により疲弊している」などの声が記載されています。区はこの調査結果をどう受け止め、どう取り組んでいくのですか。

Q11 年収300万円の場合、月額の収入は25万円となりますが、そこから10万円の家賃を負担するとなれば、生活が圧迫されることは明らかです。公営住宅や家賃助成などの支援策は急務と思いますが、どうお考えですか。
 
 次に、「選択的夫婦別姓」の導入と「世帯主」既定の廃止についてうかがいます。
 同姓を法律で強制している国は世界で日本だけで、しかも女性が改姓するケースが96%と圧倒的多数です。改姓は、通帳などの名義変更にかかる膨大な労力などをもたらすだけではなく、今までの自分が失われてしまったような感じを持つ人も多いといわれています。わが党区議団のアンケートにも「結婚によって姓を変えることが非常にわずらわしく、それ以上にアイデンティティを失うようで抵抗感がありました」との声が寄せられました。
 選択的夫婦別姓は、別姓を選びたい人は別姓にできるというもので、同姓にしたい人にとってはこれまでと何も変わらず、不利益もおこりません。国連の女性差別撤廃委員会からも、夫婦同姓の義務づけを見直すように、何度も勧告されていますが、第5次男女共同参画計画で。
しかしながら、近年、選択的夫婦別姓の実施を求める世論が高まっています。
 2018年の内閣府の調査では選択的夫婦別姓に「賛成」は43%で、「反対」の29%を上回り、50歳代以下では賛成が半数を超えています。また、選択的夫婦別姓制度の導入などを求める意見書を可決した地方議会は、これまで178にのぼります。
 
Q12 区長は、こうした選択的夫婦別姓を求める世論の高まりをどう受けとめますか。お答えください。

 コロナ対策で、一人一律10万円の特別定額給付金が、原則として世帯主の口座に家族全員分振り込まれたことに対し、「なぜ自分の10万円を引き出すのに夫に頼まなければならないのか」などの声が上がりました。
「世帯主」について、一般は、主に世帯の生計を担っている人で、社会通念上妥当と認められる人ということになっていますが、これは、戦前の封建的な「家制度」の「戸主」を引き継いだもので、法的裏付けはありません。

Q13 夫婦のどちらかを「主」にして上下関係を持ちこむ「世帯主」制度は、婚姻における両性の本質的平等と個人の尊厳を定めた憲法24条の理念に反するもので、ジェンダー平等社会を実現するうえで大きな弊害と考えますが、区長の認識はいかがですか。

 次に、同性パートナーシップ制度についてうかがいます。
同性パートナーシップ制度は、同性のカップルを「結婚に相当する関係」と認めるもので、導入した自治体では、公営住宅への入居、緊急時の病院での面会や病状説明を受けることなどが可能になっています。制度を導入した自治体は、昨年1月時点34自治体から今年1月72自治体へと2倍以上に増えています。

Q14 昨年の一般質問でも、区に対し、制度の導入を求めましたが、他自治体の動向を注視する旨の答弁でした。この1年だけをみても導入する自治体が急速に広がっていることをどう認識していますか。区内の当事者からも制度の導入の要望が区長に届けられていると思います。ぜひ実施に踏み切ってほしいと思いますが、いかがですか。
 
最後に、政策・意思決定の場への女性登用の促進についてうかがいます。
 「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性を増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらない」。東京五輪パラリンピック組織委員会の森会長の発言は、様々な意思決定の場で女性が積極的に活躍することを拒否するあからさまな差別発言にほかなりません。会議での女性の活発な議論を敵視する姿勢は、多様な意見表明を保障する民主主義の否定にも通じる重大な発言です。
 日本のジェンダーギャップ指数が極めて低い位置にあるのは、政治・経済の分野で指導的地位に女性が占める割合が極端に低いためです。いま、国際社会は、意思決定の場に女性の参加を増やす努力を積極的に行っており、日本も、その遅れを取り戻そうと努力をしているときに、水を差し嘲笑するような発言は許されるものではありません。
 国内外からの高まる批判に追い込まれ、ようやく辞任の意向を表明しましたが、森氏の暴言を止める者がいなかったJOCや、擁護し続けた菅政権の責任が厳しく問われます。これを機に、『ジェンダー平等・後進国』日本の社会の歪みをただす取り組みが一層重要になっています。

昨年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」で、「2020年までに指導的地位に女性が占める割合」30%という従来の目標を「2020年代の可能な限り早期」と先送りしましたが、国連など国際社会は2030年までに男女50%50%、完全な平等をめざしています。
Q15 杉並区では男女共同参画行動計画とともに、女性活躍推進法にもとづく行動計画を策定していますが、この計画では、管理職に占める女性職員の割合を2020年度すなわち今年度目標で20%以上としています。また、係長級に占める女性職員の割合は45%以上という目標ですが、この目標は達成されたのですか、最新到達をお答えください。

Q16 審議会等における女性委員の登用については、男女共同参画基本計画の目標では2021年度までに40%としていますが、どこまで到達したのですか。

Q17 そもそも20%、40%という目標は、あるべき姿としては低いものだと思います。
他区では高い目標かかげている自治体もあり、より高い目標を設定すべきと思いますが、どのように検討されていますか。

Q18 そのためには、女性が管理職として活躍できるような条件整備が大前提です。どのように取り組んでゆくのか、うかがい、質問を終わります。


<答弁>

・国は、新型コロナの感染拡大によって特に女性への影響が深刻であることから、昨年9月に「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」を発足し、本年3月春を目途に必要な対策等をまとめ、今後のコロナ対策や男女共同参画基本計画に反映させることとしています。
 この研究会では、国の統計を基に、非正規雇用労働者を中心として女性の就業者数が大きく減少していることや、DV・性暴力野増加・深刻化、女性の自殺者数が増加していることなどが報告されているところです
 これらに関する本区のデータの推移は明らかになっておりませんが、引き続き、国の動向等を注視するとともに、来年度に予定している男女共同参画に関する調査等を通して区内の実態把握に努め、現在行っている産前・産後における母子支援や、ひとり親家庭等に対する各種支援、家族介護者支援など、女性に対する支援の推進につなげていきたいと存じます。

・これまでも区では、特別区長会等を通じて、労働者の収入確保や雇用対策について国へ要望しており、今後とも、機会をとらえて適切に対応してまいりたいと存じます。

・区民意向調査の結果につきましては、すべての部・課に送付しており、区民の方から自由意見欄に記載された意見・要望についても、ご指摘のあった子育て支援に関するものに限らず、関係する書簡において、しっかりと受け止め、施策・事業の参考とさせていただいております。

・コロナ禍での区における児童虐待相談件数ですが、12月末時点での合計件数は879件で、昨年と比較すると、155件の増加となっており、特に10,11月は大幅に増加しています。今後は、職を通じて定期的に子どもの状況把握を行う事業を実施することなどにより、子どもの見守り体制の強化を図ります。

・令和2年1月から12月までのDV相談件数は、1861件で、その前年同時期に比べ728件減少しています。これらのDV相談については、各保健センターや子ども家庭支援センター等が把握した事案も含め、配偶者暴力相談支援センターに位置づけている男女平等推進センター及び3か所の福祉事務所が核となって、関係機関と連携しつつ、対応を図っているところです。
 ご指摘のとおり、DV被害者が速やかに相談できるよう、区のDV相談体制の周知を図ることは重要と考えておりますので、区のホームページや広報に加え、SNS等を活用した周知にもとりくんでまいりたいと存じます。

・福祉事務所、保健センター、子ども家庭支援センター等の各女性相談窓口の職員間で行う連絡会において、個別ケースの検討や、相談内容の傾向・分析などの取組を通して事例対応の蓄積と連携強化を図っております。

・要保護者からの相談には、福祉事務所の女性相談員が当事者の安全を確保したうえで、生活に困窮する方には生活保護のケースワーカーとともに、安全な場所で自立した生活ができるよう支援を行っています。
 今後も引き続き、個々の当事者の意思を尊重しながら、安心して生活が送れるよう、支援をしてまいります。

・ひとり親実態調査は、今後のひとり親家庭支援策の充実に向けた基礎資料とすることを目的に5年に1度実施しており、ひとり親家庭の生活の実態や課題を把握することができたものと受け止めております。
 調査結果につきましては、来年度から養育費確保支援事業を実施するなど、迅速に反映するとともに、その他必要な施策については、次期総合計画等の策定のなかで検討してまいります。

・家賃負担が大きく収入の少ないひとり親家庭への支援策に冠するお尋ねですが、区営住宅の空室待ち登録者の募集にあたって、ひとり親世帯については、当選率の高くなる優遇抽選を行っております。
 また、繰り返しになりますが、アパートあっせん事業における住宅情報の提供や、必要に応じた福祉との連携により、生活の支援に結び付けてまいりたいと存じます。

・ご使役の内閣府による調査結果では、同制度に対する賛成・反対の回答はともに過半数に達していないことに加え、「夫婦の名字が異なると子どもに好ましくない影響があると思う」とする回答が63%を占めるなど、国民のあいだにも様々な意見があるものと認識しています。
 また、住民基本台帳法に基づく世帯主の定義は「主として世帯の生計を維持するものであって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当と認められる者」と解されており、世帯主となることに性別や年齢による制限はないことから、ご指摘のような弊害があるとは考えてございません。

・同性パートナーシップ制度を導入する自治体が増えていることにつきましては、それぞれの自治体が、住民の意識や議会の意見等を踏まえて対応したものと受け止めています。
 区におきましては、昨年1月におこなった「「性的少数者についての区政モニターアンケート調査結果」に加え、区議会でも様々な議論があることから。現時点において、同制度の導入を図る考えはございません。

・管理職及び係長級に占める女性職員の割合についてですが、今年度の実績では、管理職は19.3%、係長級は45.9%となっており、設定した目標は、ほぼ達成したと考えております。現在、本計画の改定作業を行っており、改定後の計画においては、より高い目標設定を行う予定です。
 女性管理職が活躍できるような条件整備についてですが、平成27年度の職員意識調査で、係長級の女性職員が管理職昇任をためらう理由として最も多かったのは「仕事と家庭の両立が難しくなる」ということでした。この結果を踏まえ、より早期からの働きかけを行うことが効果的と考え、係長級昇任を控えた女性職員等を対象に、昇任に対する不安の軽減を図るため、先輩女性係長から家庭生活とのバランスのとり方を含め、自らの経験を話してもらうセミナーを開きました。参加した職員からは、気持ちが前向きになれたと好評でしたので、今後も同様の取組を行っていきたいと考えています。

・本区における附属機関等の女性委員の割合は、令和2年4月1日現在36.3%で、前年同時期よりも0.8%の増となってございます。



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