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16.6.1一般質問原稿

〇劼匹發良郎い砲弔い

 「お腹いっぱい食べたい」…そのフレーズに衝撃を受けたのが2014年NHKクローズアップ現代の「緊急調査 子どもの貧困」という番組でした。
 離婚後、母親が4人の子どもを育てることになったある家庭。母親のパート収入が家族を支えます。おかずは買えずにお米だけを食べる日々。長男は友達とファーストフード店に入っても自分だけが何も食べられない、話が合わない、様々なコンプレックスが引き起こされて学校に行けなくなりました。そこにフードバンクを行うNPOが現れ、この家庭に2週間に一回、6キロのお米を届けてくれました。この家庭はおかずが買えるようになりました。
 豊島区の子ども食堂「あさやけ食堂」が紹介されました。月二回、地域の子どもや大人が集まってみんなでつくってみんなで食べます。一回300円ですが、子どもはお手伝いをすると無料になります。この食堂に通うことで救われたという12歳の少女が登場しました。2年生の頃、母子家庭であることをからかわれ、学校に行けなくなりました。母親はパートで働き、生活が苦しく、食事は一日一食という苦しみを誰にも話せず、さらに彼女をひきこもらせました。彼女が語ります。「辛くて悲しくなったりとかして、でもママが本当にやつれてたので言えなくて、本当に苦しかったです」…そんな彼女を救ったのがあさやけ食堂でした。地域の大人とご飯を準備し、お腹いっぱい食べた後に友達と遊ぶのが楽しいといいます。番組では小さな子どもに絵本を読んであげていました。少女はあさやけ食堂に通うことで新たな目標を見つけ、少しずつ学校に通えるようになったそうです。
 日本の子どもの相対的貧困率は16.3%、6人に一人が貧困という過去最悪の数字となりました。ひとり親家庭の貧困率は54・6%と突出しており、OECD加盟国34か国中最下位です。そもそも貧困がここまで深刻になっているのは非正規雇用の増大と低賃金によるものであり、そのような日本の経済社会の是正はいうまでもありません。しかし、今苦しんでいる子どもたちを直接救う施策も待ったなしです。
2013年「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が自民党から共産党まで全会一致で成立しました。この法律は、第一条で「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図る」と高らかにうたっています。その目的を達成するために「子ども等に対する教育の支援、生活の支援、就労の支援、経済的支援等の施策」を国の責務とするとともに、実際に国民とつながる地方公共団体にもその達成の責務を負わせています。教育、就労、家計と部署を横断する支援を求めているわけで、これを達成するためには横断的な組織構築が必要となります。第一回定例議会における我が党区議団のくすやま美紀団長の代表質問にたいして区は「福祉部門を中心に関係部署からなる新たな庁内連携組織を立ち上げ」たと答えています。これは貧困をテーマにした杉並区初の庁内連携組織であり、今後の活躍が期待されます。同時に、一定の組織改編が行われたわけではなく、担当することになった保健福祉管理課はこれまでの業務と兼務という状態でもあります。そこでお聞きします。

【質問】 区長は当区における子どもの貧困の状態について、どのような問題意識を持っているのか、お聞かせください。

【質問】 現在、保健福祉部管理課を中心とする連携組織はどのような検討を行っているのでしょうか。また、貧困対策課として、独立した組織をつくることも考えるべきではないか、答弁をお願いします。

 というのも、この法律の目的を現実のものとするため、政府は2014年8月に「大綱」を閣議決定していますが、この大綱の方針を実現するためには相当の体制と発想力をもった専門組織が必要だからです。大綱では子どもの貧困を25項目の指標で判定することとしています。ところが杉並では25項目の数値をいまだ発表していません。そこでお聞きします。

【質問】 大綱に示された子どもの貧困指標25項目について、区としても全国平均と比べた一覧表をつくり、対策の参考にすべきと考えるがいかがか。また、貧困実態調査が必要ではないか、お聞かせください。北区などでは貧困状態にある子どもや家庭の実態把握と支援ニーズ調査を行い整備計画策定の参考にしていると聞きます。区としても積極的に検討していただきたいと思います。

 杉並区内のひとり親家庭の実態を聞き取ってきました。大企業に努める夫がガンに襲われ、闘病の末2012年、妻と二人の子どもを残して亡くなりました。残された39才の妻と8歳の長男、2歳の次男は将来への安定を失いました。それでも毎月、遺族年金10万円、子どもが学業についている間は努めていた企業から子ども一人あたり3万円が支給され6万円、子ども手当が2万円、と計18万円の収入があります。区営住宅に入居できたので家賃は2万円程でした。この家庭の場合の生活保護基準は月22万円ですので、月10万円も働けば、いわゆる貧困の状態を抜け出し、比較的安定性の高い生活を送ることができます。こうしてみると、ひとり親家庭にしては比較的恵まれた状況のように見えるかもしれませんが、ところがそのようにうまくはいきませんでした。夫の死後、妻は私立保育園の事務としてまさに月10万円を超える収入で働き始めます。ところが妻には末期ガンである夫の介護と、そして死別という壮絶な悲劇が、通院、投薬をようする心的外傷ストレスPTSDとして圧し掛かっていました。さらには子どもにも大変な喪失感やストレスが襲い掛かっていたのです。最初の一年はお父さんがいなくなったという非日常に家族一丸となって頑張れました。父から生前、自分がいなくなったらママと次男を頼むぞと任された長男は小学校2年生ながら「パパがいない分、ぼくが頑張らなきゃ」と気を張っていました。それでも子ども達は通常でないと思われる頻度で風邪をひきました。仕事のない土日は子どもたちが母親にぴったりとくっつきます。2年以上たつと、パパがいないことが日常となり、逆にその負担感に気付き始めることになります。長男も子どもの自分が何もできないことをわかり始め、このときからショックを受け始めました。「自分がいるからママも大変なんだ」などと言い出すようになったそうです。夏休みは子どもにかかりっきりで仕事に出勤できなくなりました。それでも大丈夫と言ってくれる職場でしたが、忙しい職場の実態を前にいることはできませんでした。
 「子どもたちもママが近くにいないと怖い」というので地元のスーパーで働き始めました。風邪も相変わらずよくひきます。「スーパーの仕事を早引けして帰ると「今日は熱出しちゃってごめんね。会社クビになっちゃうかなあ」というそうです。こうしたやるせない事情からパートによる収入は極めて不安定で、18万円の基本収入がありながらも、事実上、生活保護基準並み、それ以下の生活を送っているのが実態です。
そんな長男の放課後の居場所が塾です。本当は週に2回の契約ですが毎日のように通っています。大学生のお兄さんお姉さんや、おじいちゃん先生もいる塾で、学校以外で母から離れることのなかった長男にとってこの塾が放課後のちょっとした心と体の居場所になっているようです。ただし、二人の塾代2万7千円の出費は本当に暮らしを圧迫しています。無料塾など地域にあればどれだけ助かるかと母親は言いました。どんなに勉強してもこの家庭にも18歳の壁が待っています。子ども手当は16歳で終了しています。子どもが18才になると遺族年金の支給がその子の分なくなります。「大学に行きたいと言われればアウト」と母親は語りますが、学生でなくなった時点で企業からの一人三万円の援助金がストップするというジレンマ。生活保護世帯でも、児童養護施設でも同じですが、18才で公的な支援がストップするという現実があるのです。
 さて、この家庭のように貧困への経緯は多種多様です。この家庭の場合は基本的収入と母親の努力、周囲の協力によってなんとか踏ん張っている状態ですが、他の貧困家庭には生活の基盤もなく、親も疲れ果て、周囲の協力もないことが少なからずあります。死別でなく離婚の場合はまた違ったストレスが家族を襲うことになるでしょう。
 いま増加し、多様化する子どもの貧困を克服すべく、少なからずの自治体が様々な施策を展開しています。杉並区でも生活保護世帯の中学3年生塾代助成制度や「みなし寡婦控除」の適用による負担軽減などを行っていますが、なかでもスクールソーシャルワーカーの配置は他区と比べて先進的でした。杉並区では早くから子どもと福祉をつなぐスクールソーシャルワーカーを配置してきました。貧困は家庭内にひそみ、教師による家庭訪問が行われないことが多い中、貧困は表に出てこないことがあります。そこでお聞きします。現在小中あわせて70校に対して8名の方がこの任務にあたられていると聞いていますが、複雑多様化する貧困問題に対し、

【質問】 スクールソーシャルワーカーの増配について検討を求めるがいかがか、お答えください。

 さて、生活保護世帯ではない貧困家庭と福祉をつなぐ重要な役割を担っているのが就学援助制度です。現在、杉並区における就学援助の割合はなんと4人に一人。中高所得者層の多い区ともいっていられないような状況です。先ほどの家族のように安定した家計状況から世帯主の病気や、特にリストラ等によって、一気に生活が瓦解する家庭が少なくありません。そうした家庭に対し、生活保護の前の段階で手を差し伸べる制度が就学援助です。この制度がどれほどの家庭を助けているかを私も長らく見てきましたが、現在就学援助の基準は生活保護基準の1.2倍以内とされています。もうちょっと前の段階で支援し、生活基盤を安定させることが必要ではないでしょうか。生保基準の1.3倍、1.5倍という他自治体もあります。そこでお聞きします。

【質問】
現在、就学援助の基準は生活保護基準の1.2倍以内とされていますが、認定基準をより引き上げるべきではありませんか。お答えください。

 生活保護基準も引き下げられているなか、早急な対応が求められます。

【質問】
 先ほどの例では生活を安定させる基盤があったため、辛い状況の中、子どもたちに寄り添うことができています。しかしそうした生活基盤が何もない家庭が多いのが現状です。足立区では「育英資金」に、条件は厳しいものの「返済一部免除型奨学金」を導入しました。世田谷では児童養護施設退所者で大学や短大などに進学・通学する人を対象に年額36万円の給付型奨学金を実施しました。先ほどの家族のように、18才から先は展望できないという状況を変えなければなりません。そこでお聞きします。

【質問】 いくつかの区で給付型の奨学金制度がつくられているが、杉並としても独自の給付型奨学金制度をつくってみてはどうか、お答えください。

 貧困家庭の場合、様々な要因で子どもが社会とのつながりが薄いという実態があります。先ほどの家庭の場合は学習塾が子どもの居場所となってくれていましたが、多くの学習塾がそういうわけにいきませんし、ましてや万単位のお金を使えません。そこで冒頭紹介したような子ども食堂や無料塾という地域支援が広がりを見せています。新宿では子ども食堂などの活動団体に資金援助をする「子ども基金」3000万円を創設し、一団体に30万円の助成を行うなどしています。中野では中学生学習支援事業として、就学援助世帯の中3生が学習塾などの講師による指導を無料で受けられる事業を40人から300人に拡大し、2800万円の予算を組んでいます。世田谷では経済的理由で塾に通うことが困難な家庭に対する無料の学習塾「せたがやゼミナール」がスタート。区内5支所の地域に拡大しています。そこでお聞きします。

【質問】 多様な形態をとる子ども食堂を運営する団体に対し、区として何らかの補助制度を設けるべきと考えるがいかがか。

【質問】 無料塾も各地で多様さをもって発展しています。民間の無料塾への補助とともに、区としても積極的に開設に向けて動くべきと考えるがいかがか。

 大学進学率は全世帯73%に対して、貧困世帯の進学率はなんと31.7%という著しい落差があります。この改善などが見られた場合、生涯所得の合計が2.9兆円増え、国の財政が1.1兆円改善するという民間機関の推計もあります。なによりも子どもたちの未来を守るということと同時に、経済の発展にも大きく寄与することになるわけで、自治体の責務は重いと言えます。
 ひとり親家庭の貧困率は突出しています。国際的にはひとり親家庭が就労している場合と就労していない場合で貧困率は大きく改善する傾向にありますが、日本ではひとり親が就労したところで貧困が解消されない現状があります。これは低賃金など社会システムによるところ大ですが、ひとり親の学歴が中卒である確率が高いことも要因としてあげられます。中卒では受けられない資格試験や就職できない職種があります。せめて高卒の資格だけでもあれば将来を展望する上で大きな壁を取り除けます。また、日々の生活資金の工面に追われるひとり親の場合、まともに手に職をつけることなく低賃金労働ばかりに身を費やさねばならない現状もあります。そこで高等教育や技能訓練を受けている間、その家庭の生活を支援し、中長期的に生活水準を上げていく手助けが必要です。ここでお聞きします。

【質問】 ひとり親家庭の親への教育支援、技能訓練が必要となっていますが、教育や訓練のメニューの周知や拡充とともに、その間の区独自の給付制度など作ってはいかがか、お答えください。

 飽食の時代と言われる一方で、「お腹いっぱい食べたい」「ママ、今日は熱出しちゃってごめんね」などという辛い言葉を子どもたちから聞きたくありません。以上のようなきめ細やかな施策の展開で、貧困化する子どもの体と心を守ることができます。そんな暖かい杉並区をつくっていこうじゃありませんか。区の真摯な答弁を求めます。
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