防災とコミュニティテーマに 全国都市問題会議に参加

 全国市長会主催で毎年開かれている「全国都市問題会議」が11月7日から8日にかけて開かれました(共産党は荒川・天野市議出席)。
 第81回を迎えた今年は会場の鹿児島県霧島市の国分体育館で、全国の市長や市議会議員、自治体職員らおよそ1800人が出席し、「防災とコミュニティ」をテーマに話し合いました。
 初日の7日は志學館大学の原口泉教授が「鹿児島の歴史から学ぶ防災の知恵」という演題で基調講演を行い、薩摩藩が台風などの災害リスク分散のため、いくつかの農家単位で耕地の割り当てを一定期間ごとに変えていた土地制度について紹介したほか、霧島市の中重真一市長が霧島連山周辺の5市2町で火山防災マップを作成するなど、広域連携による防災対策を進めていることを報告しました。
 続いて一般報告が3氏によって行われ、翌日の8日には、6氏によるパネルディスカッション、閉会後には希望者のみの行政視察が行われました。

主な一般報告から
全国の経験を共有すること

 田中重好氏(尚絅学院大学特任教授)は「災害とコミュニティ・地域から地域防災力強化への答えを出すために」をテーマに報告し、結論としてどうしたら地域防災力が向上していくかの解答は、「それぞれの自治体が答を出していかなければならない課題」、自治体側においては「それぞれのコミュニティが自ら答えを出してゆかなければならない課題」とし、全国の地域ごとの経験を「成功失敗例を含めて横に結ぶこと」。それを全国の自治体の共同の経験にしていくことで、「地域からの答え」が生まれてくること、と結びました。

昨年七月の豪雨災害
広島市長から伝言

 広島市長の松井一実氏は、昨年の豪雨災害における対応と取り組みを語り、参加者にお伝えしたいこととして、【平常時】▼自分の市町は大丈夫であろうと予断を持たず、災害への備えをとっておくこと▼その際、いかに住民に「災害は身近に起こりうるもの」という当事者意識を持ってもらうかを意識すること▼大規模・広域自然災害に備え、近隣の市町との危機管理体制の連携を図ること。
【災害発生の可能性が 高まった時】“狼少年”論を恐れることなく、人命を大切にすることに最善を尽くすのみという覚悟を持つこと。
【復旧・復興期以降】 ▼復旧にあたっては、単に機能復旧するだけではなく、その地域に住んでいる住民が、これからも愛着を持って住み続けられるような“まち”にしていくという視点を持つこと▼常に検証を行い、必要な改善を行うこと▼災害を記録に残し、継承を図っていくこと、と結びました。

議会報告会

 ●十一月十六日(土)  午後一時半
 山口まちづくりセンター

 ●十一月二十日(水) 午後七時
 市役所三階全員協議会室

 主催 所沢市議会
  共産党からは十六日には小林・天野議員が、二十日には荒川議員が出席します。

無料法律生活相談会

11月30日

午前9:30〜11:30
中央公民館絵画工芸室
小林善亮弁護士

担当:荒川議員
090−2660−5883

*どんなことでもご相談ください
主催 日本共産党所沢市議団

避難所運営の取り組み
三島市・豊岡武士市長

 静岡県三島市の豊岡市長は、避難所運営に関する取り組みについて報告しました。
 市内小学校14校と中学校7校、県立高校2校を指定避難所に指定し、毎年避難所となるすべての学校で避難所運営会議を開催しています。
 また、避難所運営が円滑に進められるよう、自主防災会、学校、市職員で共有する避難所運営方法を定めた「避難所運営基本マニュアル」を策定しています。
 しかしそれだけでは絵に描いた餅になりかねないため、毎年、各避難所において、地域、学校、行政が一体となった避難所開設訓練を実施しています。
 まず、訓練参加者全員で体育館のレイアウトを作成し、避難者役となった参加者が体育館に入室し、避難者名簿の作成までの流れを確認します。
 次に、発電機や、ろ水機等防災倉庫内の資機材の操作方法の習得、仮設トイレやマンホールトイレを実際に設置して災害時の汚物処理方法の確認、自主防災会に貸与している無線機を使用した通信訓練等を行います。
 訓練で明らかになった課題はマニュアルに反映し、実効性のあるものとなるよう改良を重ねている、とのことでした。

災害リスクの周知
海南市・神出市長

 和歌山県海南市でも、局地化・大型化する大雨や台風により、毎年のように土砂崩れや床上浸水などの被害が発生しています。
 そのため、土砂災害警戒区域等に対しては、急傾斜工事や砂防ダム等の対策工事を実施するほか、河川では堤防整備やしゅんせつ工事等により浸水対策を進めています。
 また、洪水による浸水区域や浸水深のほか、避難行動を示したパンフレット等の活用により、地区ごとの災害リスクや早期避難の重要性について周知に努めています。
 まとめとして、行政が地域と連携して実施する防災活動は、地域の「自助」「共助」の意識を高めるだけでなく、地域と行政との間に密接な信頼関係を築くことにもつながる、とのことでした。

マンション居住高齢者と
都立高校生(都内区部)

 大矢根淳氏(専修大学人間科学部教授)が紹介した事例です。
 東京都区部のある地区では、あたり一帯がマンション化・不燃化されていることから、大地震発生時には広域避難しない地区と指定されています。
 しかし停電してエレベーターもとまり、水も上がってこない高層マンションに居住する高齢者はどうなるのか。
 そこで地元の都立高校生が付近のマンション階段を駆け上がり、各世帯に声かけして回ることとしています。
 学生・生徒がかけがえのない「利害関係者」にカウントされています。
 主体的参画の実践を体現することで地区独自の「復元力」が醸成されてされていくこととなる、とのことでした。