猪股嘉直議員・一般質問
消防広域化で狭山市の消防は
狭山市、所沢市、入間市、日高市、飯能市でつくる埼玉県消防広域化第4ブロックの協議会(5市の市長、消防長、消防団長で構成)は8月24日の会議で、5市による消防の広域化を進めることで合意しました。
現在5市の消防は、日高市と飯能市は西部広域事務組合をつくり、一緒に消防業務を行なっていますが、他の3市はそれぞれ独自の消防本部を持ち、業務をすすめています。
今回の広域化は、2006年に「消防組織法」を改訂し、各県を通じて、国が市町村の消防の広域化(消防の合併)を推進してきたことによるものです。
狭山市消防の面積では8倍、
人口では5倍に
埼玉県は、県内を7つのブロックに分け、第4ブロックは狭山市を含む5市、面積406平方q、人口79万人規模の広大な地域と住民に責任を持つことになります(狭山市消防では、面積49平方q、人口15万7千人)。
消防職員、400人不足のまま
第4ブロックを構成する5市の消防力は、国の求める消防力からみてどうでしょうか。国は「消防力の整備指針」を示していますが、それによりますと、現時点(広域化前)の構成5市の消防職員の合計は1,297人ですが実情は862人で、充足率は66・5%です。
今回の広域化計画では、この人員不足を放置したまま進めていくことを決めました。広域化するとスケールメリットと称して、国の求める必要人数が減少して、1,266人になりますが、それでも充足率は68%です。
この問題を市議会一般質問で取り上げた日本共産党の猪股嘉直議員は、「国の求める水準よりも、400人も少ない体制をそのまま放置して広域化を進めるべきではない。今必要なのは、各市の消防が十分な消防体制に整えることだ」と指摘しました。
消防の分署と出張所の数も基準では23ヶ所となっていますが4ヶ所少ないのが実情で、広域化後もそのままでいく方針(若干の新設、統合はあるが)との答弁でした。
化学消防車を1台減らす?
広域化で狭山市から1台なくなる化学消防車
猪股議員は広域化に際して、狭山市の持つ化学消防車(写真)が2台から1台に減らされる問題を取り上げました。
1998年に発生した狭山工業団地の大日本印刷(上広瀬地内)の工場火災は、1,428uを焼損し、鎮火まで21時間も要した大火災でした(消防長の答弁)。 出動した消防車両は化学消防車も含め65台(近隣の応援もあり)でした。
猪股議員は、その教訓からも、「工業団地を二つも持つ狭山市として、化学消防車を減らすべきではない」と指摘しました。
広域化推進は2ブロックのみ
埼玉県内7つの広域化ブロックのうち、広域化推進を決めているのは第4と、久喜市、加須市などを含む第7だけで、他の5ブロックは進んでいません。
猪股議員は、「性急な広域化を進めるのではなく、消防力を高めることに全力を注ぐべきだ。東日本大震災は合理化、効率化よりも安心安全の対策を強化するように求めている」と主張しました。
現状と広域化後の比較
<消防分署・出張所数> 基準数 現有数 充足率
狭山市 5 4 80.0%
所沢市 11 6 54.5%
入間市 5 3 60.0%
西部広域 7 6 85.7%
合計 28 19 67.9%
第4広域 23 19 82.6%
<消防人員数> 基準数 現有数 充足率
狭山市 253 171 67.6%
所沢市 526 340 64.6%
入間市 256 155 60.5%
西部広域 262 196 85.7%
合計 1,297 862 66.5%
第4広域1,266 862 68.1%