日本共産党の江尻加那です。議案1件、請願1件、意見書3件について討論を行います。
はじめに、第131号議案「茨城県新型コロナウイルス感染症の発生の予防又はまん延の防止と社会経済活動との両立を図るための措置を定める条例」についてです。
事業者への感染防止対策助成金の支給や差別禁止の取組は大変重要です。そして、県通知システム「いばらきアマビエちゃん」については議会審議の結果、注意喚起メールが送られた利用者がPCR検査を希望すれば、原則実施することになりました。
その上で、本条例により「いばらきアマビエちゃん」への登録を義務化し、登録しない事業者の名前等を公表する社会的制裁には反対します。
登録はあくまで事業者の判断で行うものであり、強制するものではありません。知事は「公共の福祉」だとする一方で、「公表により事業活動に影響が生じる可能性がある」ことも認めています。
登録する事業者は応援し、登録しない事業者は勧告・公表と、事業者を分断し差別するようなことはあってはなりません。
感染した方、また、感染発生によって休業を余儀なくされた事業者への支援と、検査の拡充こそ必要です。
次に、請願第4号「所得税法第56条の廃止を求める請願」を不採択とすることに反対です。
56条は、事業主と生計を一にする配偶者と親族は、事業主が払った賃金を必要経費に認めない規定です。その大本は、明治の世帯単位課税制度にあり、税制の近代化で個人単位課税に変わっても改正されていません。
国連女性差別撤廃委員会から2度の見直し勧告も受けています。廃止を求める地方議会意見書は5年間で164増え、544自治体で採択されています。
配偶者や親族の人格及び労働を認めない古い規定を見直し、所得税法56条を廃止することは、ジェンダー平等と民主主義の観点からも大きな意義があるものです。
なお、このあと議題となる議第17号「台湾の世界保健機関(WHO)への参加及び国際的な経済連携の強化に関する意見書」は、前段の台湾のWHO参加により高度な感染症対策が共有されることは世界の利益につながるものです。しかし、意見書後段の、福島原発事故に関連する日本産食品の輸入規制撤廃を条件にした環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)への参加促進については賛成できません。
次に、議第18号「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の期限延長を求める意見書について、原発を前提にする特別措置は見直し、廃炉を実行するための特別措置に切り替えるべきであり反対です。日本の原発56基のうち、すでに23基が廃止を決定しています。原発をベースロード電源とする国のエネルギー政策を見直し、廃止に移行すること。その上で、廃炉作業にかかる期間の立地地域の雇用と経済振興、自治体への財政支援等に対する国の具体策を示すことが求められます。
最後に、議第19号は「特別支援学校の設置基準策定を求める意見書」です。
特別支援学校の児童・生徒数が増加する一方、学校建設が十分に進まないもとで、本県でもつくばや水戸、鹿島などで特別支援学校が過密状態となり、コロナ禍のもとで健康への不安も増しています。
全国でも普通教室の不足が3,162教室に上ることが文部科学省調査で明らかになっています。ところが、当初予定した児童生徒数の2倍以上になる過大校であっても新増設は進んでおらず、子どもと教職員に負担を強いています。
その根幹にあるのが、特別支援学校だけ国が「設置基準」を設けず、教室不足になっても学校を整備しない問題です。
よって、豊かな教育環境を保障するため、特別支援学校の「設置基準」策定を求める意見書の採択を求め、討論を終わります。
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