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質問・発言

●江尻加那県議の予算特別委員会

予算特別委員会2019.9.20 江尻加那

1.台風第15号による農業被害支援と豚コレラ対策について(農林水産部長)
2.学校給食における主食の安定供給について(教育長)
3.水行政に係る計画の見直しについて(知事)
4.東海第二原発の再稼働問題について(知事)

1.台風第15号による農業被害支援と豚コレラ対策について
 日本共産党の江尻加那です。
 はじめに、台風15号の被害に遭われた皆様に、心からお見舞い申し上げます。
 質問の1点目は、台風による農業被害支援と豚コレラ対策について伺います。
 鉾田市や小美玉市の被災農家は「イチゴの植え付けが真っ最中なのに、ハウスが倒壊。撤去作業さえ人手が足りず、再建に1棟100万円かかる」、「収穫直前のニラは全部葉折れしてしまった」と訴えています。被害の8割はハウスの倒壊です。
 県議会でも、支援強化を求めて国への意見書が可決され、県も政府に要請しています。
 しかし、被災農業者支援交付金が活用できたとしても、農家の負担は重く、補助率の引き上げが必要です。また、県災害条例にもとづく種や苗、肥料等の購入補助も自己負担が残り、対象にならない被災農家も生まれます。
 常総水害や昨年の台風被害においても、経営を再開できない農家がありました。農業者の負担が生じないよう、補助の拡充を求めます。
 あわせて、豚コレラ対策について、国はついに地域限定でのワクチン接種方針を固めました。遅すぎる決定です。本県を接種地域に入れるよう求めていくのか、数ヶ月先と言われる開始時期の一刻も早い実施を求めること。ワクチンは必要本数が確保されるのか。県として新たな緊急対応が求められます。
 以上、あわせて、農林水産部長に県の対応を伺います。

【農林水産部長】
 お答えいたします。
 被害を受けた農業者の負担軽減に向けた対応として、まず、強い農業・担い手づくり総合支援交付金被災農業者支援型、旧来の経営体育成支援事業でございます。その発動及び補助率の引き上げに関する国への要請についてでございますが、県では農業者団体や県議会等からの要望を踏まえまして、去る9月18日に農林水産省及び本県選出国会議員に被災状況を説明し、被害を受けた農業者が早期に経営を再開できるよう、農業用施設の再建・修繕への助成について、更なる支援の拡充を図るよう要望してきたところでございます。
 次に、県の災害対策特別措置条例に基づく支援措置の拡充につきましては、例えば、今回、甚大な被害を受けたパイプハウス等農業用施設の復旧に必要な資金の借入にあたり、県と市町村による利子補給や県による信用保証料の無償化を行うなど、被災農業者への円滑な資金融通を図るための助成措置等を実施することとしております。
 県の災害対策特別措置条例の助成措置の補助率アップにつきましては、被害率70%以上の場合は、樹草勢回復肥料購入費補助を農業者負担の通常の3分の1から5分の1に軽減するなどの措置を実施しているところでございます。
 こうした支援措置に加えまして、今回、国に要望した強い農業・担い手づくり総合支援交付金被災農業者支援型の発動が実現すれば、被災農業者への救済措置はより充実してものとなります。引き続き、市町村をはじめ関係機関と一体となり、被害を受けた農業者の負担軽減を図ってまいるよう要望に努めてまいります。
 次に豚コレラ対策でございます。
 本日午前、農林水産大臣の閣議後記者会見におきまして、ワクチン接種の方針を本日午後に説明すると大臣が発言したことは承知しております。
 わが国では、過去に養豚場で豚コレラが発生していたことから、それを清浄化するため、平成18年までワクチンを使用していた経験を有しております。
 しかしながら、今回は、地域限定でワクチンを実施するという点において、これまでに経験のない措置であり、現時点では、いつから接種が開始されるのか、対象地域がどのようになるのかなど、詳細が明らかとなってはおりません。
 今後、国において、これらの具体的な内容について議論がなされるものと考えておりますが、その結果が得られるまでに相当の時間を要する可能性があります。また、委員御指摘のとおり、国内の豚の飼養頭数約912万頭に対し、ワクチン備蓄量は約100万頭分であることから、接種対象地域の範囲によっては増産が必要となり、その間、豚コレラウイルスの浸潤が進むことで、本県における感染のリスクが高まる恐れがあると考えられます。
 このため、県といたしましては、引き続き、補正予算に計上させていただいている防護柵設置を含めたウイルス侵入防止対策に取り組む養豚農家を積極的に支援するとともに、本県におけるワクチン接種の実施につきまして、生産者の意見を十分踏まえながら、今後、国に対して要望するなど適切に対応してまいります。

 いずれの問題も私たち日本共産党も現場の声をしっかりと踏まえて取組んでいきたいと思いますので、県としても宜しくお願いいたします。

2.学校給食における主食の安定供給について
 次に、学校給食の主食である米飯、パン、麺の安定供給について伺います。
 この夏、ご飯やパンを製造し、学校に配達納入している業者の方から切実な声が寄せられました。
 「廃業が相次ぎ、空白地域まで配達が広がった。今の契約単価では限界」、「夏休みは収入がストップするが、従業員は切れない。最低限の補償があると助かる」という実情です。
 製造工場も見せて頂きました。米飯やパンは、子どもの成長に合わせて量や大きさを変えて作り、学年・学級ごとに仕分けして決まった時間に届けなければならないため、何台ものトラックが必要とのことです。
 現在、本県の学校給食パン業者は28、米飯は20、麺は9業者にまで大幅に減少しています。県北では福島県から納入している自治体もあると聞きました。
 そこで、主食を安定して供給するために県はどう対応するのか、教育長に伺います。

【教育長】
 お答えいたします。
 学校給食は、学校給食法の規定に従いまして、市町村立学校におきましては、設置者である市町村がそれぞれ実施しておりますが、学校給食は子どもたちの健康の保持増進や食育を推進するうえでも大変重要でありますことから、多様な食品を組み合わせ、地場産物を活用するなど十分工夫され、栄養的にバランスのとれた食事として児童生徒に提供されております。
 県内においては、全ての公立小中学校で学校給食が実施されておりますが、平成30年5月時点の全国調査によりますと、給食実施100%は本県を含め8自治体でございました。
 また、食育の観点から見ますと、給食の時間に、担任や栄養教諭などが食事の栄養やマナーについて指導したり、生産者を招いて収穫までの苦労や生産にかける想いを伝えたりするなど、「生きた教材」として児童生徒に提供されているところでございます。
 かつてはパンが中心だった主食におきましても、現在は米飯・パン・麺と多様になりまして、主食と他の食材を組み合わせを工夫することで、日本食はもちろんでございますが、世界の食文化や偏りのない食事の摂り方などを子どもたちに指導するなど、教育的にも給食は大変重要でございます。
 その中でも、主食である米飯・パン・麺は、「体のエネルギーのもととなる食品」でありますので、おかずとバランスよく組み合わせた食事を摂ることを子どもたちに指導しており、健康の保持増進と食育のいずれの観点からも重要なものでございます。
 主食の安定供給提供につきましては、現在、公益財団法人茨城県学校給食会が、その中心的な役割を担っておりますが、主食を含め、学校給食用の食材の安定供給が図られているところでございます。
 一方、児童生徒数が、平成10年度から平成30年度までの20年間で約3割減少しておりますので、児童生徒数の減少に伴って主食の提供食数や主食を提供する業者の数も減少してきております。
 このような中、主食を提供している業者の方々からは、様々な声を学校給食を通して伺っております。例えば、「やりがいもあるし、出来る限り続けていきたい」そういう声もある一方で、「高齢になり事業を続けていくのが難しい」あるいは、「後継者がいない」あるいは、「人手不足に対応できずに困っている」という主食提供業者を取り巻く状況についても、学校給食会から伺っております。
  中小業者が多い主食提供業者のこれらのことを踏まえまして、県といたしましては、市町村、そして学校給食会とこれまで以上に協力することで、主食の提供に努めてまいります。

 今の教育長から食育健康保持増進の重要性とともに、県内業者がおかれている困難さ・課題もハッキリとお答えされていました。
 そして、市町村や給食会との協力をと言うことももちろん大事なのですが、それだけでは業者の窮地を救えない、減少を止められないという所まで来ていると思います。
 しかし、主食の単価を上げると他のおかずやデザートなどにしわ寄せがくる。ですから市町村に31自治体が独自の給食費補助を行っています。しかし、県の補助は1円もありません。
 大井川知事は選挙公約の時に「給食費無償化の検討」を掲げました。私の昨年の本会議質問に対して、「無償化は難しい」としつつ「学校給食への支援のあり方を検討していく」と答弁されました。
 せめて、食育の土台となる主食の安定供給に、県の補助を前向きに検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

【教育長】
 主食の提供に対する財政的な支援ということでお答えいたしますけれども、主食の提供にあたりましては、その価格設定は、学校給食会が米飯・パン・麺の組合の方々の要望を聞きながら調整を図っております。
 その中で、学校給食会によりますと、近年は人件費等の高騰に伴いまして、業者に支払われる加工賃も上昇しており、主食の価格にも反映されているところもあると伺っております。
 今後も引き続き、主食の価格につきましては、十分に協議をされ、業者の皆さんが持続的に主食を提供でき、適切な価格が設定されることが必要であると考えております。
 主食の価格が上昇していく場合には、市町村では、その実情に応じて学校給食費の金額に反映することも想定されますが、給食を実施する市町村が、様々な状況を勘案しながらそれぞれに金額を決定しておりますことや、献立の内容も異なっているうえ、一部の自治体では給食費に対する公費負担を実施しておりますことなどを踏まえますと、市町村が実施する給食への県からの財政支援については、施策の優先度や他県の動向など様々な観点を踏まえつつ、慎重に検討していく必要があると考えております。
 設置者である市町村が学校給食におけるそれぞれの状況や課題を把握し、必要に応じて適切な対応をとっていく中で、今後も学校給食に主食業者が主食を提供できることは、とても大切であると考えております。
 そのような中、主食の提供の仕方について、主食業者の組合から市町村に対して提案がなされたとも伺っております。
 県といたしましては、業者の負担軽減につながるような改善について、出来るところから関係者と協議して改善するよう、市町村に対して働きかけてまいりますことに加えまして、主食提供業者が活用できる既存の融資制度や補助金等について、国や関係部局に確認して市町村と情報共有して、業者にお知らせするとともに、学校給食会などと連絡をとりあいながら、今後も安定して主食が提供できるよう、市町村を支援してまいります。

 県の独自補助についても慎重という言葉がありましたけれども、検討していきたいというご答弁をいただきました。
 ぜひ、今後県としても給食関係者と直接会って、実態や要望を直に聞いて支援策を取って頂きたいと、今後の具体策を要望し次に移ります。

3.水行政に係る計画の見直しについて
 3点目に水行政に係る県計画について知事にお伺いいたします。
 本県の水行政は、3つの部局がそれぞれ計画を策定しています。保健福祉部は「水道整備基本構想」(2002.3)、政策企画部は「水のマスタープラン」(2007.3)、企業局は「経営戦略」(2018.3)です。
 ところが、企業局は人口減少を見込んでいるのに対し、企画部のマスタープランは人口想定297万人、保健福祉部基本構想は323万人という県計画なのに、バラバラで、今の人口287万人と比べてあまりにも乖離しています。
 ようやく保健福祉部の基本構想が来年度改定(2020)されると聞きました。昨年度の包括外部監査でも「策定後16 年が経過しているにもかかわらず,改訂がされていないことは,現下の課題への対応が明確とはなっておらず適切ではない」と厳しい指摘を受けました。
 そこで、水道整備基本構想の改定にあたって、知事は人口と水需要は減少か増大か、どう見込むのか、端的に伺います。

【知事】
 お答えいたします。
 県は、平成14年に計画期間を令和2年度までとする「茨城県水道整備基本構想21」を策定し、広域的な水道の整備を図ってまいりました。
 また、都道府県は国の「新水道ビジョン」を踏まえた「都道府県水道ビジョン」を策定することとされており、本県では来年度中に「茨城県水道ビジョン」の策定を予定しております。ビジョン策定にあたりましては、市町村や県企業局などと十分な調整を図りつつ、地域の実情を十分踏まえて、今後検討を進めてまいりたいと考えております。

 これからの時代、知事は常々人口減少にどう対応していくのかという事を仰っていますので、水道ビジョンにおいても、実態と合せた減少傾向を見込んでいただきたいと思います。
 併せて、企画部の水マスタープランも改定から10年以上が経過していますが、見直すのでしょうか。
 大井川知事が就任した最初の予算特別委員会で、私の質問に当時の企画部長が「今後、新たなダム事業計画がないので改定はしない」と答弁しました。知事も同じくマスタープランは「改定しない」というお考えなのかお伺いいたします。

【知事】
 お答えいたします。
 長期水需給計画であります「いばらき水のマスタープラン」は、県全体の水需給の長期見通しを明らかにし、将来必要な水資源を安定的に確保することを目的に策定した水資源行政の総合的な指針となる計画でございます。
 水資源行政において大切なことは、県民の快適な暮らしや産業の発展にとって、水資源は欠かすことができないという視点であり、長期的な観点から計画的に、水資源の確保とその安定的な供給を図っていくことが必要であると考えております。
 このような中、水資源の確保と水需給の確立が図られる一方、人口の減少傾向ということがはっきりしてきていることから、改定するかどうかを含め、今後の方向性について検討してまいりたいと考えております。

 前回は改定しないと言うような答弁でしたが、今は改定するかどうかも含めて、今後の方向性を検討していきたいという答弁でありました。実はマスタープランにある人口想定というのは先程言いました、297万人、今般、知事が策定した新総合計画の人口想定より既に21万人も多くなっています。
 さらに問題なのは、マスタープランが見込む水量です。県民一人当たりが1日に使う最大水量を450ℓとしていますが、今や現状は200ℓで半分以下になっています。
 こういう県の水マスタープランが進める水源開発の一つが、国直轄の霞ヶ浦導水事業です。着工した当時は10年で完成予定でしたが、今や35年経っても事業は4割しか進んでいません。一方、1900億円にまでふくらんだ事業費はすでに8割を支出済みです。
 この事業が、何をもたらしているのか。資料1をご覧ください。
 導水事業に関係するのが、棒グラフ一番上の県中央広域水道です。導水事業によって、オレンジ色部分・施設整備計画として日量24万トンもの水が開発されます。これに対し、昨年度の最大送水実績は約54,000トン。平均送水量はさらに少ない約43,000トンです。計画は実績の約5倍にもなっており、企業局も「実績に乖離がある」と認めています。
 知事は、このオレンジ色の飛び出た部分まで、今後、水利用が伸びると考えますか。私は、もう伸びないと思いますが、いかがでしょうか。

【知事】
 お答えいたします。水道用水供給事業は各市町村から申し込まれた水量に応じ、企業局が浄水場や送水管等を整備し、それに要した費用を水道料金として回収する形で実施しております。
 実施協定は、事業を円滑に進めるために、各市町村から申し込まれた水量に応じ締結しているもので、施設整備に多額の経費と長期間を要する水道用水供給事業において基本となるものでございます。
 事業を実施する企業局は、実施協定に基づき、送水管等を既に整備しておりますほか、水源施設の建設負担金を国に支払っているところであります。
 このため、今後の方向においても、この実施協定に基づいて進めていくことが必要なのかと考えております。

 いま知事は市町村からの申し込みによってだとお答えになりました。
 では、資料2をご覧下さい。左から年代順に見ると、まず国から始まります。県の1978年水道整備基本構想の前に、70年に当時の建設省が霞ヶ浦導水事業の予備調査に着手。それに合わせるように、基本構想の人口想定は420万人としたのです。そのうえで、市町村から広域水道整備計画の要請をあげさせた。これが時系列です。そして市町村の要請を受けて策定した県整備計画に対して、国は指導や助言までしています。
 国から県に、県から市町村にとトップダウンでつくられた事業です。それがいつのまにか、いま知事が仰ったように、市町村からの要請にこたえるためだと立場が全く逆転されて、導水事業が進んでいます。
 そこで、知事に伺います。今後、導水事業が完成した場合、県中央広域水道は国の言う通り、24万トン分の浄水施設にまで拡張するのでしょうか。そして、市町村には契約水量の拡大を押し付け、県民の水道料金値上げにつながる、しわよせになると思うのですが、知事の所見を伺います。

【知事】
 お答えいたします。
 霞ヶ浦導水事業につきましては、霞ケ浦や桜川・千波湖の水質浄化、利根川・那珂川の渇水対策、新規都市用水の確保を目的に事業を実施しているところでございます。
 まず、水質浄化効果につきましては、国のシュミレーションによれば西浦の湖水は現在、年間約2回入れ替わっているものが、導水により約3回入れ替わることが見込まれ、また、桜川・千波湖につきましても、希釈や入れ替えが促進されるなど導水による水質改善効果を期待しているところでございます。
 次に、渇水対策効果につきましても那珂川では、春の田植えの時期には、塩水遡上による農業用水の取水障害が起きるなど、毎年のように被害が生じており、また利根川においても近年夏場に取水制限が行われていることから、これらの渇水被害の軽減も期待しているところでございます。
 特に今年は、那珂川において農業用水が15%、都市用水10%と、平成13年以来となる取水制限が実施され、農業用水だけでなく都市用水の取水にも支障をきたすなど、決して安定して取水できている状況ではございません。
 霞ヶ浦導水事業が完成することで、霞ケ浦からの水により那珂川の塩水を押し戻すなど渇水の際の影響が緩和されるものと期待しております。
 さらに、新規都市用水の確保につきましては、霞ケ浦導水事業の完成を前提に暫定水利権を取得し、すでに水道用水として県内10市町村、約70万人に工業用水として24事業所に給水しているところでございます。
 これらのことから、霞ケ浦導水事業については必要不可欠な事業ではございますが、水需要の低下が見込まれるなど課題があることも認識しておりますので、課題解決に向けた方策を検討するよう、関係部局に指示したところでございます。

 知事はいま最後に、過大な水の解決についても、今回関係部局に指示したと。これまでは一向に過大な予測、そしてマスタープラン、どんなに日本共産党として過大な予測になっていると、それが導水事業や八ッ場ダムなどの国の水源開発につながっていると、ずっと指摘してまいりました。そして、知事として初めて過大な水の解決に向けて関係部局に指示するとのご答弁がありました。
 過大というのはどの点か、もう一度お答えください。

【知事】
 課題(過大)とは量が多すぎるって言うのではなく、問題があるということです。

 わかりました。
 課題。漢字の違いで全く違うということですけれども、私はいろんな課題がある、その中の一つに水がこれからも増えると予測していた過大なマスタープランも是非見直していただきたいと思いますけれども、実は橋本前知事のとき、2002年にも県は計画取水量を減らすよう国に要望し、事業が縮小されました。2016年には千葉市が事業から完全撤退をしています。要は、自治体そして知事が検証し直し、縮小・撤退を申し出れば実現できることです。私たちは那珂川や利根川の渇水対策についても、更には霞ヶ浦の浄化対策についてもいろんな方策がある。そういう現実的な対策が他にもありながら、霞ケ浦に、導水事業に固執してきた。他の選択肢がいろいろな専門家や市民団体から示されているのに、最終的には導水事業に固執して、現実的な対策を選択してこなかった。国と県の責任、これを見直すべきだと申しているのです。あと4年で完成予定ですけど、本当に完成すると考えますか、その点伺います。

【知事】
 先程お答えしましたとおり、導水事業は様々な環境対策、それから利水対策、様々な点で必要な事業でございますので、着実に進めていきたいと考えております。

 必要、必要だと言っていてもう35年です。事業着工からもう35年、また4年後に国が延期を申し出てきたらどうするのか。1900億円の事業費がまた増えるんじゃないか、35年というこの間の経過を踏まえれば導水事業に緊急性も重要性もないということではないでしょうか。その証拠に、那珂川の浄水場、24万トンまで拡張するはずの用地に、県は1000kwメガソーラーを作っています。拡張するときには撤去するのか、そもそも県も、導水事業は完成しないんじゃないか、24万トンの水は必要ないのではないかという証ではないかと私は思います。
 これからも県の取組み、そして国の動きを厳しく見ていきたいと思っていますが、導水事業は見直し、中止を求めて次の質問に移ります。
 

4.東海第二原発の再稼働問題について
 最後に、東海第二原発の再稼働問題についてです。
 昨日、東京地裁は福島第一原発事故をめぐり、東京電力の旧経営陣に「無罪」の判決を言い渡しました。津波や地震の予見は困難、原発を止める義務はない、経営陣に刑事責任はないというものです。
 この判決は、茨城県民にも怒りや不安を広げ、東海第二原発を再稼働させようとする国と日本原電に厳しく今後のしかかってくると思います。
 私は本会議の再質問で、東海第二原発の直下で起きた地震が、この4年余りで125回にのぼり、全国の原発で最多の地震発生回数であることを独自調査で指摘しました。
 知事は、「地震の評価は、当事者である日本原電がすべきもの」と主張されましたが、私が尋ねたのは原電の評価ではありません。原発直下で多発している。その地震データをもつ気象庁に県が問い合わせ、県民に公表すべきではないかということです。
 県民の関心が高い地震について、県として調査する考えがないのか再度伺います。

【知事】
 お答えいたします。
 東海第二発電所の地震対策につきましては、県原子力安全対策委員会、東海第二発電所安全性検討ワーキングチームにおいて、県民意見も踏まえて検証することとしております。
 検証に際しては、東海第二発電所周辺でこれまで発生した地震について網羅的に把握のうえ、ワーキングチーム委員の指摘や県民意見を踏まえて日本原電に評価を求めている「東海第二発電所の真下など太平洋プレート内で起きる地震」や、「県の地震被害想定の見直しにおいて県独自に想定した地震」等について審議してまいります。

 原電に評価を求めると同時に、委員会でもやるということですが、昨日の裁判の判決をみると、その当事者である企業の責任が問われないというのが判決ではなかったかと思います。だからこそ、県の責任でと言っているのです。すでに起きた原発直下の地震の調査、もう一度この点、県としてやっていただけるのか、公表していただけるのか、端的にお答えください。

【知事】
 地震の検証に際しましては、東海第二発電所周辺の地震につきましても、ワーキングチーム委員の指摘や県民意見を踏まえた上で、日本原電に評価を求めている「太平洋プレート内で起きる地震」や、「県の独自想定した地震」等について審議し、その審議状況についても、詳細にホームページで公開してまいります。

 もう一点、私は本会議でとりあえず燃料プールにある核燃料を早く取り出して、乾式キャスクに収めるべきだと質問しました。
 知事は「プール保管は地震や津波により(中略)冷却機能喪失する恐れがある」と答えました。プール保管の危険性をはっきり県が認める重大な答弁です。さらに「乾式キャスク保管は、管理の容易性や経済性に優れている」とまで述べました。それならなぜ、原電にすべての燃料をキャスク保管せよと要請しないのでしょうか。
 国の原子力防災指針では、プール保管とキャスク保管と燃料を敷地外に移設した場合について、防護対策どう設定しているのかお示しください。

【知事】
 お答えいたします。
 原子力規制委員会が定める「原子力災害対策指針」におきましては、廃止措置計画の認可を受けた原子力発電所は、「全ての燃料体が乾式キャスクに貯蔵されているか、あるいは敷地外に搬出された場合」には、「PAZやUPZといった、防護措置をあらかじめ重点的に講ずべき区域の設定は必要ない」としております。
 東海第二発電所の使用済燃料については、貯蔵プールで十分に冷却後、管理の容易性に優れていると言われている乾式キャスクに収納され、敷地内の貯蔵施設及び青森県むつ市に建設中の中間貯蔵施設の2か所において保管されることとなっております。

 国の防災指針では今のままでは30km圏の避難計画が必要です。廃止決定して、かつ核燃料が十分冷えれば5km圏の避難計画に縮小され、すべての燃料が乾式キャスクに収められれば避難計画の必要ない。こんな風に指針で示されています。
 そのためには廃止決定されることが条件です。
 ところが、現状は逆です。再稼働の工事がどんどん進んでいます。
 その安全性について、県の検討ワーキングチームは、いまも検証途中で、結論は出ていません。防潮堤の構造そのものについても、専門委員から「津波や漂流物が繰り返し襲来し、相当の水圧で防護壁が変形すると思う」というような問題点が提起されておりますが、県のワーキングチームにおける検証結果抜きで、今の日本原電の工事を進めることを認めていいのでしょうか。お答えください。
 (知事:質問の趣旨がハッキリわからないのですが)
 県の検証結果抜きで工事の実行を認めていいのかということです。

【知事】
 日本原電が今行っている工事につきましては、基本的に安全対策として行われているものであって、それがどの程度、安全策として効果を上げるものかは審査の対象となるが、工事自体を止める理由は全くないと考えております。

 1点、確認します。私は、今月13日(2019.9.13)の防災環境産業委員会で、原子力安全対策課長に質問しました。「防潮堤をはじめ、色々な安全対策工事だと言いますが、それがイコール再稼働工事ではないのですか」と質問しました。すると、課長は「国の新規制基準適合審査においては区別していない。県としても区別はしないで対応していく」と答えました。当然、知事も同じ認識だと思いましていまの質問しましたが、もう一度確認します。一緒じゃないのですか、原電がいまやっていることは。お答えください。
 (知事:何と何が一緒ですか)
 安全対策の工事と言っているものは、まさに再稼働のための工事ですよねということです。

【知事】
 安全対策を企業の判断として続けていただくことは、県として何ら止める必要はないと思っているし、それが再稼働に繋がるかどうかについては全く関係ないと考えております。

 「関係ない」と、どれだけ今後人も時間もお金もかけて原電がそれを進めようと完成させようと、それは全く県の判断にはかかわらず、最終的には県民の声で知事として再稼働を認めるかどうかを判断するということでしょうか。

【知事】
 再稼働については県民の意見をしっかり聴いて、慎重に検討したいと考えております。

 わたしは県民の意見というのはすでに示されていると思いますけれども、一つ、県民投票という手段これは知事として県民の意思表示の一つとしてあり得ると考えますでしょうか。最後に伺います。

【知事】
 様々な可能性を、今後、検討してまいります。

 再稼働の工事をすでに認めているという事が、再稼働の為の工事ではなくて廃炉の工事に切り替えてほしい、廃炉にしてほしいというその知事の決断を求めて質問を終わります。


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