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質問・発言

●予算特別委員会質問 山中たい子

2018年9月21日

【質問事項】

1.介護保険の改善について 
2.教育行政について
     (1)訪問教育等の拡充
     (2)小中一貫教育の課題
3.水行政の課題について
4.東海第二原発の再稼働・運転延長について


1.介護保険の改善について
 日本共産党の山中たい子です。
 介護保険の改善について、まず保健福祉部長にお聞きします。
 パネルをご覧ください。


 総務省「家計調査」から3つの項目を比較してみました。年々、税や社会保障費などの負担が増える中で、食費などの消費支出は伸び悩んでいます。「苦しい」生活実態が数字の上からもお分かりかと思います。
 その中で群を抜いて、2倍近くに上がったのが介護保険料です。介護保険料は、制度が始まった2000年の県内平均が2,393円。それが、今年から3年間の第7期は23市町村が値上げした結果、5,339円に引き上げられました。
 65歳以上の介護保険料納付は、年金が月額1万5千円(年間18万円)以上の場合、原則、年金から天引きされます。一方、1万5千円以下の場合は、自分で市役所や銀行に毎月払いに行くこととなっています。
 2017年厚労省調査では、全国で16,161人が、本県では15市町村で447人が介護保険料未納のために差し押さえが行われました。その多くが年金月額1万5千円以下の低所得の高齢者です。
 年金がわずか月1万5千円以下の高齢者の差し押さえはやめるよう、助言・援助すべきではありませんか。お答えください。

【保健福祉部長】
 委員のご質問にお答えいたします。
 介護保険制度においては、地域住民に最も身近な行政である市町村が保険者となり、保険料額の決定や徴収事務などを主体的に行っていくこととされております。
 介護保険料につきましては、この4月から、第7期の額に改定されました。23の市町村で額が引き上げられましたが、県全体としては、第6期と比べ、引き上げ率は2.6%、135円増の平均5,339円と、保険料額の全国順位は、低い方から3番目となっております。
 また、保険料の滞納につきましては、平成28年度には、65歳以上の被保険者約80万人のうち、2万2千人強の滞納者がおり、県内15の市町村において、再三の督促にも応じず、滞納を繰り返す447人に対して差し押さえが行われております。
 ただし、差し押さえの実施については、国税徴収法や地方税法により、特に所得の低い方については、同意を得なければ行うことができないことや、生活が著しく窮迫する場合には、執行停止ができることなど、低所得の方に対して一定の配慮がなされているところでございます。
 介護保険の徴収事務につきましては、一義的には保険者である市町村が、保険料負担の公平性の確保の観点などから、低所得者への配慮をしつつ、法に基づき行うものであり、差し押さえの実施についても、市町村が判断すべきことと考えております。

 少なくとも、年間18万円以下の低所得者の保険料は全額免除にすべきではないか。県として減免制度など考えていただきたい。介護保険料の滞納という問題は貧困問題です。改めて答弁を求めます。   

【保健福祉部長】
 介護保険の保険料は、被保険者が、その所得に応じて公平に負担することとされていることから、原則9段階に設定されており、所得が最も低い第1段階の方の保険料は、標準的な保険料額の45%となっています。
 また、保険料を支払うことにより生活が困窮し、生活保護対象となってしまう方に対しましては、保険料が減免されるなど、さらに負担が軽減される制度となっております。
 しかしながら、委員ご提案の保険料の全額免除につきましては、国から、被保険者間の公平性の確保や、健全な介護保険財政運営と財政規律の保持の観点から、適当ではないという方針が示されております。
 県といたしましては、介護サービス利用者の増加に伴い、介護給付費が増加していることなどから、国に対して、低所得者を含めた被保険者や、地方の過度な負担増につながらないよう、充分な財政措置を講ずることについて要望しているところであり、今後も引き続き働きかけてまいります。

 改めて申し上げますが、この滞納問題というのは貧困問題です。年金が月に1万5千円以下の高齢者の方達の中でおこっている問題です。
 厚労省は、この間要支援者を訪問・通所介護から外すなど「介護外し」を繰り返していますが、介護保険料は2025年には月額8,200円にまで引き上げられる見通しをたてています。
 高齢者の3人に2人は住民税非課税です。
 保険料・利用料の値上げを押さえ、制度の拡充をはかるためには公費負担の割合を大幅に増やすことが重要です。政府の抜本改革を求めて、次の質問に移ります。  

2.教育行政について  
(1)訪問教育等の拡充 
 
 次に教育行政について、教育長に質問します。
 1つは訪問教育等の拡充についてです。来年4月開校予定の(仮称)県立石岡特別支援学校において、訪問教育の実施を求める住民要望が出されています。
 訪問教育は、心身の障害が重度又は重複しているため、通学して教育を受けることが困難な児童生徒に対し、教員が家庭や病院・施設等に出向いて実施するものです。
 現在12校で107人の児童生徒が週3日、1日2時間を原則に訪問教育を受けています。学ぶ権利を保障する観点から、石岡特別支援学校でも速やかな対応を求めます。
 また、自力通学の要望も寄せられています。自力通学は、徒歩・自転車、電車やバスなどの公共交通機関を利用し、自主的又は自分の力で登下校することです。今年の自力通学者は18校704人です。コミュニティバス等の利用も含め、自力通学をどうするのか、合わせてお答えください。

【柴原教育長】
 お答えいたします。
 現在、特別支援学校では、障害により通学できないお子さんを対象に、教育の機会を保証するため、家庭や病院などへ教員が訪問して教育を行う訪問教育を行っております。
 委員ご案内のとおり、県立特別支援学校22校のうち、12校で108人に対して訪問教育を行っております。
 訪問教育を行うにあたりましては、本人の障害の程度や保護者の意向を踏まえ、各校に設置されている教育支援委員会で審議した上で、実施しております。
 また、知的障害と肢体不自由等の重複障害があるお子さんにつきましては、肢体不自由の特別支援学校に限らず、自宅から近い知的障害特別支援学校に籍を置き、その学校の教員が訪問教育を行っております。
 来年4月の開校に向けて準備に当たっている県南地区特別支援学校準備室におきましては、現在、入学予定者一人一人と教育相談を行い、子供達一人一人の障害の状況や教育的ニーズについて確認しているところでございます。
 その中で、重複障害等により通学が困難なお子さんがいた場合におきましては新校での訪問教育の実施により、教育の機会の確保に努めてまいります。

 次に自力通学につきまして、現在704人の子供たちが、徒歩・自転車、公共交通機関を利用した、いわゆる自力通学を行っております。
 県南新校につきましては、近くのフラワーパークに民間の路線バスの停留所はありますが、通学時間帯にバスが運行されていないため、自力通学を行う際に公共交通機関を利用できない状況でございます。
 そこで、新校の準備にあたっております準備室では、自力通学ができるように通学時間帯のバスの運行について、路線バス会社に働きかけてまいりました。
 しかしながら、路線バスの運行には、ある程度の乗車人数を見込めることが前提となり、現在のバス利用希望者数では、かなり厳しい状況でございます。
 そうは申しましても、通学の為には入学予定者一人一人と教育相談を行うなかで、通学方法についても確認させてもらっておりますが、例えば、石岡駅付近を通るスクールバスを利用していただくなど検討してまいりたいと考えております。
 また、障害のあるお子さんにおきましては、自力通学や校外学習等で、公共交通機関を使うことはとても大切なことと考えております。
 そのため新校におきましても、公共交通機関を利用した通学が出来ない状況を踏まえ、子供たちの障害の程度に応じ、校外学習などの教育活動において公共交通機関を利用する機会を設けるなどして、自力の力を育んでまいりたいと思います。
 なお、今後も一人一人のニーズをより把握した上で、路線バス会社には利用見込み数などの情報提供を行いながら、通学時間帯の路線バスの運行について働きかけてまいります。

(2)小中一貫教育の課題  
 次に小中一貫教育の課題についてお聞きします。
 学校教育法改正で、2016年4月から小中一貫教育校が「義務教育学校」として制度化されました。県内では5市に9校が設置されています。
 つくば市は、2012年4月に施設一体型の春日義務教育学校を開校しました。さらに今年4月、施設一体型一貫校として、TX沿線の学園の森地域、みどりの地域、そして、大規模な統廃合を実施した旧筑波地域の3校を同時開校しました。昨年11月には、「つくば市教育評価懇談会」を立ち上げ、「小中一貫教育の成果と課題」と題する調査報告書を7月にまとめたと聞いております。いわば、今年7年目になるつくば市の小中一貫教育について検証したものです。その結果は、いずれ市ホームページで公表されると聞いています。
 小中一貫校の多くが従来の「6・3制」ではなく、9年間を「4・3・2」に区切り、運営されています。とくに施設一体型では、小学校5・6年のリーダーシップの発揮が希薄化することや小学校高学年の自覚など子どもの成長に有益なものが失われるのではないかと危惧もされているが、所見を伺います。  

【柴原教育長】
 小中一貫教育の一つの形態である義務教育学校では、委員ご指摘の通り、「6−3」制を柔軟に変更し、例えば「5−4」「4−3−2」など、学年の段階を自由に区切ることが可能でございます。
 しかしその一方で、従来小学校6年生が育んできたリーダーシップ、その育成については不安の声もあがっているのは当然です。義務教育学校で1年生から9年間生活する子供たちばかりではありませんので、小学校を終えた段階で、他の中学校に転校する生徒もいらっしゃいます。そう考えた時に、従来育んだ6年生が身に付けるべきリーダーシップ、それを育むのは当然大事だと思っております。
 そのためには、各学校でも様々な工夫をしておりまして、例えば1年生から4年生の運動会に6年生がボランティアとして参加し、事前の会場設営や当日の係活動、あるいは1年生から4年生までの指導、そういう事を出来るよう工夫している学校がございますし、また入学式で6年生が1年生の手を引いてエスコートして式場に入場したり、あるいは入学当初、1年生の教室に6年生が行き、朝の準備の手助けや給食の手助けなどしております。
 このように、上級生が下級生を支え、異学年の交流が盛んになることで、上級生は下級生の手本となろうとする意識が高まってくると考えます。
 県としましては、これまで6年生が育んできた力は当然大事だと考えますが、これまでも育んできた6年生の力を引き続き高めていけるような取組み、指導に努めてまいります。

 学校規模の標準は、法令で学級数により設定されています。小・中学校も義務教育学校も各学年2〜3学級が基本ですが、つくば市は、学校統廃合も視野に入れ、小学校が3〜4学級、中学校が4〜5学級です。
 大規模校は、子どもが活躍する機会が少なくなることや教師もきめ細かな指導が困難で問題行動が発生しやすい場合があると、国も指摘をしています。
 学校規模は設置者である市町村が決定することですが、県として大規模校をつくらないとの立場で、適切に市町村を指導すべきと思いますがいかがでしょうか。

【柴原教育長】
 本県では9校が開校しておりますけれども、そのうち3校が国の基準の27学級を超えて学級が存在しております。
 委員ご指摘のとおり、一般的な大規模校の課題としまして、子供たち一人一人活躍する機会が少なくなること、あるいは教員が子供たち一人一人をきめ細やかに見ることができないとの指摘が平成27年度に国の手引きで示されています。

 このような課題を解決するためには、大規模校においては、異学年での交流活動を活発に行い、多様な人間関係を創出する取組みであったり、管理職を複数配置することにより、学校運営の体制を強化するなど、教育活動に支障が出ないようにしています。
 また、大規模校の特色を活かし、教員が多いことをふまえ、教科担任制、あるいは習熟度別学習などをおこなっております。
 しかし学級規模が大幅に増えることで、子供たちの教育活動に支障があるようなことはあってはならないと考えております。
 学校が大規模校化する要因としまして、急激な人口増加等がございます。解消に当たっては、設置者である市町村がそれらの都市計画や将来人口推計等を踏まえ、分離施設や通学区域の新たな見直し、既存施設の増築など様々な観点から総合的に判断する必要があります。
 県といたしましては、27という基準が出ていますので、その基準を超えないようにいたしますが、その市町村に対しても様々な解消の取組み、参考事例、増築などをする場合も国の補助制度に対しても情報提供して、出来るだけ27に抑えるよう形で話してまいりたいと考えております。

3.水行政の課題について
 次に水行政について、知事にうかがいます。
 12日の上野議員の一般質問に対して、知事は、「八ツ場ダム・霞ケ浦導水事業は、重要な水源となっており、完成を前提に暫定水利権を取得していることから撤退するわけにはいきません」と答弁しました。
 それではこのパネルをご覧ください。

  これは「茨城県の水道」と企業局から提出していただいた資料をもとに作成したものです。これを見ると、県南・県西・鹿行すべての広域水道が暫定水利権は必要ないことを示していますが、知事これでよろしいですか。答弁を求めます。

【大井川知事】
 お答えします。
 水道は日常生活に欠かせないライフラインであり、安全で安心な水の安定供給が何よりも重要であると考えております。水道水の安定供給のため、県南広域水道用水供給事業においては、霞ヶ浦のほか、利根川水系の渡良瀬遊水池及び建設中のハッ場ダムに水源を求め7市3町1村の約74万人に水道水を供給しているところでございます。
 委員ご指摘の、平成28年度における県南広域の給水実績は、約23万4千トンのところ、安定水利権は、約24万6千トンであり、安定水利権が給水実績を上回っている状況となっているのは事実でございます。
 しかしながら、利根川から取水している利根川浄水場については、給水実績約7万8千トンに対し、安定水利権は約4万4千トンであり、不足する水量約3万5千トンについては、八ッ場ダムによる暫定水利権を得て、対応している状況でございます。
 ハッ場ダムによる暫定水利権が得られなかった場合、利根川浄水場から給水している4市1町の約32万人に影響があるため、八ッ場ダムは水道水の安定供給の観点から、利水上必要不可欠な水源であると認識しております。

 (パネルを指して)この紺色が八ッ場ダムによる暫定水利権です。このグラフを見ますと暫定水利権は必要ない、安定水利権の中で納まっているということです。
 3月に改定した「企業局経営戦略」をみると、今後6年間の上水の給水量は横バイで、まったく増えない想定になっています。企業局の想定は間違いと言うことになるのでしょうか。伸びる見込みがないと想定しています。それでも事業が伸びるというのならその根拠をお示しください。  

【大井川知事】
 水道水の需要見込みですが、私共としましては直ちに需要が今後安定していくと考えておりますが、 安定水利権それから八ッ場ダムも含め、暫定水利権を要らなくするということではないと理解しております。

 直ちに要らないと言っても現実には十分間に合っている状況だと思います。
 たとえば、知事がトップセールス等を繰り返して水需要を大幅に伸ばしたとしても、このパネルの右側、黄色い枠内のグラフを見ていただくと、安定水利権は実に120万トン。そして青い棒グラフを見ていただくと実績60万トン弱です。
 水利権、約120万トンは以前から承知していましたが、一日最大の給水量の実績は一昨日、企業局からいただいたものです。
 上水道とはケタ違いの水利権であること、それと使っている量、実績との差が大変大きいことがわかります。開発量の半分にも満たない使用量実績です。その差は60万トン。これは3つの広域水道の合計約42万トンをはるかに超える水利権です。
 万が一、上水道が足りなくなっても、この工業用水から転用すれば、八ツ場ダムの暫定水利権などまったく必要ないことがわかります。
 余った工業用水から上水道に転用する考えはあるのか。それでも八ツ場ダムの水源開発を進めるおつもりですか。お答えください。  

【大井川知事】
 まず誤解があるようなのでもう一度答弁させていただきます。
 水道水についても、例えば県南広域水道、暫定水利権が必要ないと言いますが、県南広域水道には利根川上水場から供給している地域と、霞ヶ浦上水場から供給されている地域と2つございまして、利根川上水場から供給している地域においては、供給実績が超えている状況で、暫定水利権なしでは、安定的な水供給が出来ないという状況になっています。それでも暫定水利権はいらないとは当然言えないわけでございます。
 それに加えて工業用水に関しては、安定水利権と最大給水量を比較するということ自体がわたくしは適切ではないのでは、と考えます。
 まずは、工業用水の場合は検討しなければならないのは契約水量でございます。
 契約水量と安定水利権の差は僅かであり、今後の事業の見通し等を含めまして、安定した工業用水の確保の観点からすると、現在の最大給水量はどうであれ、契約水量が暫定水利権に近い数字を示している以上、我々の義務として工業用水の整備を考えていかなければならない。安易に水道水と工業用水ではいけない、ということでございます。

 県南広域水道と県西・鹿行の実績というのは、「茨城県の水道」により確認もしておりますし安定水利権についても確認しているところです、
 そして実績は工業用水60万トン残っているという状況だと思います。
 安易に転用という事は考えないという事ですが、知事が就任前のことですが、本県には転用の実績があります。
 15年前の2002年、工業用水から上水道に15万トンもの水を転用したと水・土地計画課が明らかにしました。手続きや調整に苦労はしたけれども不可能ではないとのことです。
 この有効な水を利用しない手はありません。知事はこの事実を知らずに、八ツ場ダムの水がほしいと言っているのか。それとも、知っていても「撤退しない」と答弁したのか。そんなムダ遣いをしている場合ではないと思います。お答えください。

【大井川知事】
 繰り返しになりますが、工業用水の場合は安定水利権と最大給水量の差を比較するのではなく、契約水量と安定水利権の差を比較すべきと考えております。
 安定水利権と契約水量の差がそれ程ない、今後の経済状況等、事業者の意向を考えた時に、工業用水は議員ご指摘のように、大幅に余っている状況ではないと考えております。

 わざわざムダな支出をして暫定水利権の5万㎥の水を買う。その負担は、水道料金に上乗せして県民に払ってもらえばいいと考えているのですか。これを聞いたら県民は怒りますよ。
 八ツ場ダムの負担金、いくらだと思いますか。昨年度は10億7200万円、これまでに145億6900万円も県は負担しています。これからもこの負担金の支払いを続けるというのを知事の姿勢だということが、今のやり取りで強く感じました。

4.東海第二原発の再稼働・運転延長について
 最後に、東海第二原発の再稼働と運転延長について知事に伺います。
 多くの県民は、過酷事故が起きたら避難できるのか、元の暮らしに戻れるのかと疑問をもっています。この不安は当然です。
 広域避難計画の基本である避難所の面積ひとつみても、県民の声や疑問にまったく応えていません。
知事は、上野議員の一般質問に対し、「1人あたり2平方メートルの面積は見直さない」と答弁しました。しかし、その2日後の防災環境産業委員会で、原子力安全対策課長は、「居住スペースとして使用できない面積が入っていたので、14市町村に確認する」と答えました。
 有効面積の再点検をし、その結果にもとづいて、県・市町村の避難計画を見直す必要の考えがあるのですか、伺います。        

【大井川知事】
 県では、各市町村に受け入れをお願いするにあたり、「避難所の居住スペースとして活用することができる面積」のデータの提出を受け、更にヒアリングで確認したうえで、受入れ可能人数を算出しております。
 具体的な避難所の選定にあたりましては、避難元市町村におきまして、現地で避難所を確認するなど避難先市町村と協議を行っているところであります。
 県では、これまでも市町村の協議状況を把握し、例えば避難所が不足した場合には、他の市町村に対して受け入れを要請するなど、市町村間で解決が困難な課題について調整を行ってまいりました。
避難所の面積の確保状況につきましても、避難元の14市町村に確認のうえ、市町村間の協議状況を踏まえながら、県としても必要な支援を行ってまいります。
 なお、福島第一原子力発電所の事故の際に、福島県外へ避難した住民のうち約3割の方が、親戚宅等へ避難したという推計もあります。必ずしも住民の全てが避難所へ避難するというものでないと考えますけれども、本県では住民全てが避難した場合でも1人当たり最低2平方メートルを確保できるよう受入れ市町村にお願いをしてきたところであります。
 避難所は、あくまで一時的に生活を送る場所であることから、1人当たりの面積の見直しではなく、賃貸住宅や応急仮設住宅の提供などを速やかに行うことにより、避難所での滞在期間を可能な限り短くし、住民の負担を軽減していきたいと考えております。

 14市町村に確認するということでよろしいですね。

【大井川知事】
 何をでしょうか。

 居住スペースとして使用できない面積も入っていたということが明らかになっているわけで、そのことを14市町村に再確認して、その結果に基づいて見直せというふうに私は最初に質問したのですが、それについてハッキリと見直す、確認するという答弁がいま市町村任せにしないでやってほしいと思います。よろしいですか。
 (知事・答弁に詰まる)
 改めて私は質問したのです。こうしている間に時間がなくなってしまいます。
 市町村の計画も県計画も再点検し、見直すよう求めます。
 「避難所はあくまで一時的」、これは仮設住宅ができるまで、たたみ1畳で生活しろということでしょうか。
 防災環境産業委員会では、他の委員から多くの意見が出され、「2平方メートルは狭い」「段ボールベッドが何平方メートルか知っているか」「スフィア基準3.5平方メートル以上で算出すべき」など色々な意見が出たと聞いています。
 そして、「なぜ2平方メートルにしたのか」という質問に、服部防災・危機管理部長は、「避難先を96万人分確保するミッションがある」と答えました。これは県民の避難生活より、96万人を詰め込むことを優先した計画であることを示したものではないでしょうか。
 実効性ある避難計画が無理なら、再稼働は認めないとはっきりした態度を知事はとるべきではないでしょうか。いかがですか。

【大井川知事】
 居住不可能、可能かの部分が避難所に含まれていた事実について14市町村に対して確認するということは今後していきたいと思います。
 そのうえで、避難所のやりくりについて関係市町村と連携しながら早急に調整するという方針でおこなってまいりたいと思います。それが直ちに2平方メートルを見直すということにはならないと考えておりますし、あくまでも私共としては一時的な避難所の2平方メートル以上確保するというよりも、早急に避難所から移っていただくための、仮設住宅あるいは賃貸住宅の確保という方に力をいれていきたいと考えております。

 14市町村に確認するというハッキリとした答弁をいただきました。またそれに基づいて見直す際、市町村任せにしないで県として責任を持って進めるべきだと思います。
 規制委員会は難燃性ケーブルへの交換ができなくても認めてしまったり、1740億円の工事費は東京電力と東北電力が資金支援するという文書1枚で認めてしまいました。これを再稼働前提にしているものではないと言えるでしょうか。
 さらに、異例なかたちで最終版の審査がいま進められています。審査書案が示され、1ヶ月間のパブリックコメントも終了した後の今月になって、日本原電は相次いで補正書を提出しました。補正による継ぎはぎだらけの審査は、期限に間に合わせることを前提に、あわただしく審査したことを物語っています。
知事は、県の原子力安全対策委員会で、規制委員会とは違った視点で“独自の検証”をすすめるとしています。では、重要な地震・津波対策やケーブル火災対策、老朽化対策などについて、どのような意見や指摘が出され検証されているのかお答えください。

【大井川知事】
 東海第二発電所の再稼働問題につきましては、施設の安全に関する検証や実効性のある原子力防災体制の構築を図った上で、これらの内容を広く情報発信し、県民の声を丁寧にくみ取っていくことが重要と考えております。
 施設の安全性については、国において、新規制基準を満たしているか否かを審査しておりますが、基準を満たすことで、東海第二発電所の安全性が、従来と比較してどの程度向上したのか、安全上どの程度余裕のある対策となっているのかなど、県民が安全対策の実効性を具体的に理解する上での情報は必ずしも十分に示されておりません。
 このため、県原子力安全対策委員会では、「県民の安心・安全に資するものとなっているか」の視点から東海第二発電所の安全対策について技術的に検証し、その結果を県民に分かりやすく情報提供することにより、安全対策に関する県民の正しい理解につなげていくこととしております。
 具体的には、
・新たな対策により、どのような事態にまで対応できるようになったのか、
・安全設計や安全評価では、どの程度の余裕を見込んでいるのか、
・万一の失敗リスクとして、ヒューマンエラー等をどこまで想定し、必要な対応が図られることになっているか、などの視点で、日本原電から説明を聴取し、安全対策の実効性を検証しているところであります。
 さらに、国の審査では対象となっていない、東日本大震災時に頻発した地震が東海第二発電所の健全性に及ぼす影響についても検証を行うこととしております。
 また、委員会において、これまでに出されている意見につきましては、
・地震・津波対策関連では、国の審査では考慮していない別の震源を用いて追加評価を行うよう求める意見や、
・高経年化対策関連では、近年のトラブル発生状況を高経年化の観点から分析すべきとの意見、
・ケーブル火災対策関連では、非難燃性のケーブルに対する防火シートの施工の際の品質管理や、施工後の保守管理の実効性に関して追加説明を求める意見などがございます。
 県といたしましては、今後、こうした意見に対し、日本原子力発電や、必要に応じて国の見解を聴取した上で、必要な対応を求めてまいりたいと考えております。

 要するに県の安全対策委員会では、まだ何も結論に至る検証はすすんでいない、規制委員会の追認機関ではないということだと思います。安全上の問題から認めない結論もあり得る、という決意を示していただきたい。
 先週13日、共産党国会議員団と私どもで原発周辺自治体の3人の首長と懇談しました。水戸市は、再稼働について「すべての市民の安全がない限りは、あり得ない」とハッキリと表明しています。知事にもその覚悟があるのでしょうか。避難計画についても独自検証についても、1人の犠牲者も被曝者も出さないという決意で臨まれるのか、経済や電力確保の為なら県民の被爆者がでてもやむを得ないというお考えなのか、その点についてしっかりと知事の決意をお示しください。  

【大井川知事】
 東海第二発電所の再稼働問題につきましては、施設の安全性の検証や、原子力防災体制の構築をしっかりと図り、これらの情報を県民に適切に提供した上で、県民の声にしっかりと耳を傾け、県民の安心・安全の観点から慎重に判断してまいります。

 知事の幸せがチャレンジする事だというのなら、東海第二原発の再稼働は認めないということを是非チャレンジしていただきたい。知事が繰り返し主張する日本一幸せな県がなんの説得力も持たないものだと言わざるを得ない、それぐらいの知事の決意で県民の幸せの為にチャレンジしていただきたいと思います。以上で終わります。


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