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質問・発言

●2018年第3回定例会 上野高志県議の一般質問

第3回定例会 2018年9月12日(水)

【質問事項】

1.東海第二原発の再稼働問題について
  (1) 新増設工事と安全協定
  (2) 防災・避難の必要性と実効性
2.水行政について
  (1) 民営化問題
  (2) 水道料金の引き下げ
3.「カジノ法(IR法)」・取手競輪場について
4.雇用対策について
  (1) 賃金格差と都市部への人材流出
  (2) 保育士の処遇改善
5.精神障害者の医療費助成について
6.教育行政について
  (1) エアコン設置
  (2) 取手いじめ自死への対応


 日本共産党の上野高志です。
 初めに、この夏は、大阪府北部地震、西日本豪雨災害、台風21号、北海道胆振(いぶり)東部地震など、各地で甚大な被害と犠牲がもたらされました。亡くなられた方々に対し、心からご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた方々にお見舞いを申し上げます。
 3年前に本県を襲った鬼怒川氾濫の教訓は、西日本豪雨災害などに生かされていたのでしょうか。8月7日、鬼怒川大水害裁判原告団は、ダム建設を優先し、河川改修や堤防整備を怠ってきた国に対し裁判を起こしました。
 豊かな自然と四季をもつ日本は、一方で地震や台風、津波など、自然災害が多い国です。人災がセットになり、国民生活を脅かしています。被害を防ぎ、人命をいかに守るのか、行政に突き付けられている大きな課題です。
 以下、県民の命と安全を最優先にした答弁を求め、知事と教育長に質問します。

1.東海第二原発の再稼働問題について

(1)新増設工事と安全協定
 はじめに、東海第二原発の再稼働問題についてです。
 福島第一原発事故で大きな実害をうけた本県が、なぜ原発をやめると決断できないのでしょうか。
 多くの本県県産物が、ほうれん草、原乳、お茶、原木シイタケ、コウナゴなどが出荷制限を受け廃棄を余儀なくされました。沿海漁協の会長は「風評に非(あら)ず、完全なる実害だ」と断言。子どもの健康への不安は、本県の人口減少に拍車をかけました。さらに県の把握だけでも8企業が立地を撤回、または延期し、医師の転出・着任拒否も17名にのぼりました。もし、東海村で過酷事故が起きたらどれほどの被害になるのか。
 環境経済研究所代表の上岡(かみおか)直見氏は、「東海第2原発30km圏内に限定しても、消費活動と産業活動で約6兆5220億円・県内GDPの半分が失われ、雇用の喪失は67万人。一方、再稼働によるGDPへの貢献は660億円、雇用の創出は3,700人程度であり、再稼働は考慮に値しない愚策だ」とまで述べています。
 県自らが、こうした試算を行ない、県民に示すことが必要と考えます。
 稼働から40年を迎える11月末の審査期限に向け、原子力規制委員会の審査が大きく動いているなかで、日本原電は、防潮堤と、格納容器ベント装置の工事を進めています。安全協定第5条にもとづき、事前了解が必要な工事だと県と、原電は確認しているのに、なぜ県は黙認しているのでしょうか。しかも、ベント装置は廃炉となれば全く不要です。格納容器を守るために放射性物質を環境に放出させる装置です。こんな再稼働前提、放射能容認の工事を進めさせていいのか、知事の所見を伺います。
 原子炉建屋の冷却プールにある約2,000体もの核燃料の貯蔵対策こそ、緊急に必要です。廃炉の決断と、核燃料の安全対策を原電に要請することを求め、所見を伺います。
 すでに県民世論ははっきりしています。再稼働反対が7割を超え、全市町村の6割を超える28議会で反対の意見書が可決。東京都や栃木・千葉・埼玉県の自治体にも広がっています。県民の間では、住民投票を求めるための勉強会も行われています。
 知事は、県民の声をどのように聴くのか、お答えください。

【知事答弁】
 上野高志議員のご質問にお答えいたします。
 はじめに、東海第二原発の再稼働問題についてお尋ねをいただきました。
 新増設工事と安全協定について、まず、防潮堤などの工事の実施を認めるべきではないとのご指摘についてでございます。
 東海第二発電所におきましては、現在、防潮堤やフィルタベンド設備などの設置工事が進められているところでございます。
 これらの工事は、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、発電所の安全性強化の観点から、新規制基準の施行前から事業者の自主的取組として実施されてきたところでありますが、使用済燃料が保管されている現状などを踏まえますと、発電所の安全性強化に資する工事の継続について、反対する理由はないものと考えております。
 また、東海第二発電所の再稼働につきましては、これらの安全対策工事に係る県原子力安全対策委員会の検証や実効性ある原子力防災体制の構築に向けた検討をしっかりと行った上で、県民の声を聴きながら慎重に判断していくこととしておりますので、県が再稼働を前提としているというご指摘は当たらないものと考えております。
 次に、使用済燃料の安全確保対策についてでございます。
 東海第二発電所の使用済燃料は、現在、貯蔵プール内に燃料集合体として1,250体貯蔵されており、冷却が進んだものから、順次、敷地内の乾式貯蔵施設に移送する計画となっております。
 乾式貯蔵施設につきましては、現在、増設予定の貯蔵容器などに係る国の安全審査が行われているところであり、日本原電からは、審査が終了次第、速やかに移送を開始する予定であると聞いております。
 また、貯蔵プールにつきましては、福島第一原発事故後に緊急安全対策が講じられたほか、新規制基準に基づく安全対策工事が計画されておりますので、県といたしましては、これらの移送計画や安全対策工事の実施状況を注視してまいりたいと考えております。
 次に、事前了解に当たっての県民意見の聴取についてでございます。
 新増設等計画の事前了解に当たりましては、原子力安全協定の規定に基づき、周辺5市の意見を求めることとなっておりますが、東海第二発電所の安全性に関する県民の関心は高いことから、県民の声を広く聴き、適切に判断していくことが重要であると認識しております。
 その時期や方法につきましては、再稼働問題に対処する今後のプロセスを検討していく中で適切に判断してまいりたいと考えおります。

(2)防災・避難の必要性と実効性
  次に、防災・避難の必要性と実効性についてお聞きします。
 避難計画は、再稼働する・しないに関わらず必要というのはその通りです。使用済み核燃料がある限り、計画は必要です。すべての核燃料がなくなって初めて不要となり、そのためにも、一刻も早く廃炉を決断すべきです。
 県広域避難計画は2015年3月に前知事のもとで作られ、一度も改定されておりません。そのもとで、計画を策定中の東海村は今年7月、避難先の取手市と訓練を行い、私も避難所の取手市立藤代南中学校に同行しました。体育館と武道場への受け入れ計画人数901人は、倉庫やトイレを含め、総面積を2uで割った数字だったことが明らかになりました。こんな計算方法で、実効性が保障できるでしょうか。知事のいう簡易ベッドさえ置けません。取手市の担当課は、再計算の必要があることを認めています。
 内閣府が、避難所の質を向上させるうえで「参考にすべき」とする国際基準・スフィア基準の1人当たり有効面積は3.5uです。30km圏内人口が東海第二に次いで多い浜岡原発がある静岡県の計画は3uです。南海トラフ地震との複合災害を考慮して第2避難先を想定。それもダメなら、政府に全国規模の受入れを要請すると明記しています。
 大井川知事になり、県計画は見直したのでしょうか。複合災害を考慮した計画への修正はいつされるのでしょうか。
 再稼働させないことを大前提として、計画を見直すべきと考えます。知事の所見を伺います。

【知事答弁】
 原子力災害時の避難先の確保につきましては、他県の例を参考に避難所の1人当たりの面積を2平方メートルとした上で、各市町村の学校や公民館などの収容能力を踏まえ、県において、県内外の市町村に対し受け入れをお願いしたところでございます。
 避難所につきましては、あくまで一時的に生活を送る場所であることから、1人当たりの面積の見直しではなく、応急仮設住宅の迅速な提供、公営住宅、賃貸住宅等の活用や斡旋を行うことにより、避難所での滞在期間を可能な限り短くし、住民の負担を軽減していきたいと考えております。
 また、避難先や避難経路の確保にあたっては、原子力災害と自然災害との複合災害を想定した対策を講じておく必要があります。
 このため、当初予定していた避難先が自然災害により避難者を受け入れることができない場合に、あらかじめ確保した県外の候補地の中から第2の避難先を速やかに決定できるよう、現在、近隣県と調整を行っているところであります。
 また、避難経路につきましても、自然災害により使用できない道路があることを想定して、あらかじめ複数の避難経路を選定しておくこととし、現在市町村と調整を行っているところであります。
 避難にあたりましては、住民の方々の生命や身体の安全を確保することが最も重要でありますので、迅速かつ円滑に避難ができるよう、避難先や避難経路の確保にしっかりと取り組んでまいります。

2.水行政について

(1)民営化問題
  次に、水行政について伺います。
 老朽化が問題となっているのは原発だけではありません。イタリアの高架橋崩落事故は、全世界に大きな衝撃を与えました。こうした事故は、イタリアのインフラ整備と共通する日本にも、多くの教訓を残しています。
 ところが「老朽化対策」を口実に、急浮上したのが「水道法改定案」いわゆる民営化法案です。わずか2日間の審議で衆議院を通過させ、参議院に送付されました。
 民営化した水道事業の例をあげると、南アフリカのヨハネスブルグでは1994年に民営化されました。4年間で水道料金が4割も値上がりし、料金未納者1,000万人が給水停止に追い込まれました。住民は川や池の水を飲むことになり、その結果25万人がコレラに感染したということです。
 南米ボリビアは、水道料金が一年間で2倍に跳ね上がりました。滞納者への給水中止を期に大規模なデモがおこり、死者200人という「水戦争」状態となりました。結局、再公営化で決着しました。
 フランスは開設当初から民営でしたが、値上がりがひどく8年前に公営化に踏み切りました。こうした例は枚挙にいとまがありません。すでに37カ国・235の民営化事業が公営に戻されています。
 世界の流れが再び公営化に向かっている折、もうけ口を失った外国資本の水ビジネスがねらいを付けたのが日本の水道事業です。それを裏付けるように、麻生副総理はわざわざアメリカに出向き、「日本の水道はすべて民営化します」と発言しました。
 こうした事態がわかっても、知事は「もうけ」を重視し、不採算部門は民間にという経営哲学を貫くつもりでしょうか。県民生活に直結する水道事業の民営化についてどのように対処するのか、お答えください。

【知事答弁】
 水道は日常生活に欠かせないライフラインであり、安全で安心な水の安定供給が何よりも重要であると考えております。
 しかしながら、市町村水道事業を取り巻く環境は、将来の人口減少に伴う料金収入の減少、水道管路の老朽化や耐震化への対応、さらには、職員数の減少による技術力の低下や技術継承への懸念など多岐にわたる課題を抱え、厳しさを増してきているものと認識しております。
 こうした中、これらの課題に対応し、水道の基盤強化を図るため、国において、コンセッション方式、すなわち、水道施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式の導入を含む水道法改正案が先の国会に提出されたところです。
 しかしながら、水道法改正案につきましては、未だ国会で審議中であり、また、そもそも水道事業は市町村がその運営に責任を持つ主体であることから、水道事業の民営化について、県としてはお答えする立場にないものと考えております。
 ちなみに、民間の研究所(三井物産戦略研究所)のレポートによりますと、世界の民間の水道会社による上下水道供給人口は、平成11年の3億5千万人から平成24年には9億6千万人へと増加しております。
 また、例えば、民営化の先進国であるフランスでは、全水道事業の約65%が民間委託で行われております。そして、そのほとんど(約97%)において、継続の契約更新をしており、民営化が定着している状況にあります。

(2)水道料金の引き下げ
 民営化されていないにもかかわらず、茨城の水道がどれほど高く、県民生活を圧迫しているか。今回あらたに鹿島広域水道関連団体から、料金値下げの陳情書が提出され、これで4つの広域水道すべての陳情が出そろいました。いずれの要望も切実なもので、茨城県の水道料金は全国第7位と、関東1都6県で群をぬいて高額です。
 その原因は、過大な人口想定、需要想定にもとづく水源施設の負担、無理な広域化など、国に従い施策を強行した結果です。想定の過ちの責任は、知事をはじめ企画部、土木部などが負わなければならないもので、企業局の経営能力のみを責めるべきものではありません。その証拠に、企業局や保健福祉部がまとめた「茨城県の水道事業の次世代への継承について」という調査報告には、「現在の水道施設における、すべての施設能力を維持した場合、将来的には当然に施設が過大になる」と記されています。
 これでも知事は霞ヶ浦導水事業や八ツ場ダムが過大施設だと認めないのでしょうか。
 今からでも、企業局の黒字分を県民に還元し、過大な水源施設からの撤退で水道料金の引き下げをはかるべきではないでしょうか。所見をうかがいます。

【知事答弁】
 安全で安心な水を供給するためには、長期的に安定した水導事業の経営が必要であります。
 そのため、企業局では、経営・財務状況を的確に把握し、将来においても安定的に事業を継続していけるよう考慮し、計画期間を平成36年度までの10年間とする、企業局経営戦略を策定しております。
 この経営戦略では、計画期間中の水需要を過去の実績に県水道用水への転換などの増加要因を加味して、ほぼ横ばいと見込み、現行料金を維持した場合に、毎年度黒字は確保できるものの、老朽化施設の更新による減価償却費などの増加により、その額は年々減少していくものと見込んでおります。
 水道料金は、水道法などの規定に基づき、3年ごとに見直しを行っており、ダムなどの水源費や施設整備のための借入金の償還金、維持管理費及び今後の施設改築等の費用を考慮しながら、長期的展望に立って決定しているところでございます。
 このような中、経営戦略期間中に発生が見込まれる利益剰余金は、霞ヶ浦浄水場など、老朽化が進む浄水場の大規模な改修や管路の耐震化などの建設改良投資、約700億円に充てることとしており、利益が出ているからといって、直ちに料金の値下げが出来るものではございません。
 また、八ッ場ダム及び霞ヶ浦導水事業は、本県の水道用水供給事業の重要な水源となっており、これらの施設の完成を前提に暫定水利権を取得していることから撤退するわけにはいきません。
 県といたしましては、契約水量を増量することが可能になれば、基本料金の単価を下げられることにもつながりますので、市町村等に対し、地下水等の自己水源から県の水道用水への転換を積極的に働きかけ、契約水量の増量に努めているところでございます。
 このようなことと併せ、今後も、維持管理費の抑制や効率的な浄水場の運転管理の見直しなどによる経費節減を進め、経営戦略に基づく経営努力を引き続き行いながら、料金の見直しにあたっては、適切に設定してまいりたいと存じます。

3.「カジノ法(IR法)」・県営取手競輪場について

 次に、「カジノ法」及び、県営取手競輪場について伺います。
 安倍内閣は、西日本豪雨災害の集中審議を野党が求める中、これを無視しカジノ法、IR法を強行しました。
 取手競輪場では、かつて年間入場者数が100万人を超え、暴力団が市内に事務所を構え「ノミ行為」を行い、市街地では発砲事件まで起こりました。
 10年前には、ボートピア岩間で、県国保団体連合会の会計課主任が、保険金11億円をボートレースにつぎ込む事件もありました。
 全国には300万人を超えるギャンブル依存症患者がいると推計されています。
 知事は7月5日の記者会見で、ラスベガスやマカオで「結果的には負けている」と語った後、「IRという選択肢について、県として検討することは十分にあり得る」と答えました。
 取手市では、ボートレースの「場外船券売り場」建設計画が持ち上がりましたが、地元住民の反対で中止に追い込んでいます。市民はギャンブルによる街おこしなど、全く望んでいないことを示しました。
 知事は、IRが茨城県の活性化につながると本気で考えているのか、IRに対する知事の所見を伺います。
 加えて、公営ギャンブル取手競輪場は廃止し、県民が憩える場に、自転車競技場や文化施設など「茨城県の魅力発信」の場にすべきだと考えますがお答えください。

【知事答弁】
  「特定複合観光施設区域整備法」いわゆるIR整備法につきましては、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ事業の収益を活用し、特定複合観光施設区域の整備を推進し、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、観光及び地域経済の振興に寄与することなどを目的とする法律です。
 この法律において、IRにつきましては、カジノ施設だけでなく、国際会議場施設、展示施設、伝統・文化・芸術を活かした公演等による観光の魅力増進施設、送客機能施設、宿泊施設、その他観光客の来訪・滞在の促進に寄与する施設などから構成される一群の施設であって、民間事業者により一体として設置・運営されるものと定められております。
 こうした施設が、これまでにないスケールとクオリティを有する総合的なリゾート施設として設置され、世界中から観光客を集め、滞在型観光の拠点となるとともに、国際的な規模の展示会や会議場の運営などの新たなビジネスの拠点となることが期待されております。
 さらに、建設投資や運営等の雇用創出によって、地元に対する大きな経済波及効果をもたらすごとも見込まれております。
 これらに加え、制度上、日本人入場者からの入場料の一部や、カジノ事業者からの納付金などが都道府県等に収められることになっていると伺っております。
 一方で、ギャンブル依存症の増加や治安の悪化に加え、青少年への影響やマネーロンダリングの恐れなど、さまざまな懸念や課題もございます。
 このようなことへの対策として、国においては、ギャンブル依存症対策基本法を制定し、ギャンブル依存症対策を総合的かつ計画的に推進することとしておりますほか、内閣府の外局として設置されるカジノ管理委員会による事業者の監督や立入検査、日本人入場者へのマイナンバーカードによる身分確認やカジノ施設への入場回数制限などの規制を設けているところです。
 これらの点を踏まえても、IRについて検討を進めていくにあたっては、慎重な判断が必要となるものと考えております。
 本県においては、現段階ではIRに関する基本構想の検討やIR事業者との調整などに着手しておりませんが、法施行後の他の都道府県等における誘致先の動向・我が国におけるIRの定着状況等を見極めつつ研究してまいりたいと考えております。
 次に、取手競輪場についてお答えいたします。
 競輪事業は、本県をはじめ全国43の施行者が自転車競技法に基づき、工業の振興、公益の増進と地方財政の健全化などを目的に実施しております。
 取手競輪場は、昭和25年の開設後、昭和27年度から、収益金の一部を県の一般会計に繰出しており、平成29年度は1億の繰出しであったものの、累計では632億円を繰出し、貴重な自主財源として県の財政に大きく貢献しております。
 また、競輪の売上の一部は、競輪を振興する公益財団法人JKAを通じ福祉や工業振興のための補助事業に活用されております。
 さらに、競輪開催時には、車券発売や警備、清掃、売店などで約400人の方々が働いており、雇用の確保、地域経済の活性化にも寄与しているところです。
 現在、競輪事業は、全国的に車券の売上が伸び悩み、厳しい経営状況にありますが、取手競輪場においては、これまで、施設のコンパクト化などにより経費の削減に努めることで、継続的に黒字を確保しており、本年度も2億円を一般会計に繰出すこととしております。
 また、将来的な施設改修に備え、基金積み立てを行うなど長期的視点に立った経営に取り組んでいるところであります。
 一方、競輪場の活用としましでは、競輪開催以外にも県内唯一の自転車競技施設として、アマチュア自転車競技大会の開催や地元高校の自転車部の練習場所として利用されており、来年の「いきいき茨城ゆめ国体」の自転車競技の会場としても利用されることになっております。
 さらには、地域の行事などでの駐車場利用や、災害時の避難場所など、地域との共生にも努めております。
 このようなことから、県といたしましては、競輪場は、自主財源や雇用の確保、スポーツ振興などの観点から必要なものと考えており、今後とも、自転車競技法の目的に沿って、施行者として適切に事業を実施して参ります。

4.雇用対策について

(1)賃金格差と都市部への人材流出
 次に、雇用対策について伺います。
 安倍政権の「働き方」改革一括法は、残業代ゼロ・過労死を促進するものです。労働時間調査では、大量の「データねつ造」や隠ぺいも発覚しました。さらに障害者雇用の水増しが大問題となるなど、労働行政への信頼は失墜しています。
 いま、賃金の格差による、労働力の都市部への流出が大きな問題となっています。昨年9月、「最低賃金を全国一律1,000円以上にすることを国に求めるべき」と、山中議員は一般質問で知事に伺いました。その後、要請されたのでしょうか。
 8月に、茨城地方・最低賃金審議会が示した今年度の時給は822円です。中央審議会が示す26円増の目安額に、茨城県は独自の上乗せをしておりません。全国では23県が上乗せをしています。時給822円では、例えフルタイムで働いても月13万円余りで、ワーキングプアから抜け出せないうえ、東京都と茨城県の時給の差は163円、千葉県との差は73円に広がり、特に県南地域では労働力の流出に拍車がかかるだけです。
 今後、本県の最低賃金引き上げや地域間格差の縮小に、県はどう取り組むのか。
 さらに、最低賃金引き上げは、中小企業の経営に多大な影響を与えます。社会保険料の減免措置や賃金引き上げに対する補助制度の創設を国に求めるなど、中小企業への直接支援とセットで賃金底上げを図ることについて、知事の所見を伺います。

【知事答弁】
 本県においては、人口減少に伴い生産年齢人口が2025年までに11万3千人減少するとの推計がされている中、今後も継続的に発展していくためには、最低賃金の引上げをはじめ、県外への人材流出を防ぐための対策に積極的に取り組むことが大変重要であると考えております。
 現在、本県の最低賃金額は全国16位であり、全国10位前後の県内総生産や1人当たり県民所得と比較して低い水準にありますことから、今年度、はじめて、茨城労働局長と茨城地方最低賃金審議会会長に対し、本県の経済実態に即した最低賃金の引上げを行っていただくよう要望したところであります。
 また、県内経済団体に対しましても、業績が改善している企業にあっては、賃上げについて積極的に対応していただくよう要請しているところであります。
 なお、賃金を引き上げた中小企業に対する社会保険料の減免につきましては、超高齢社会を迎え、今後、さらに社会保障に対する需要が膨らんでいくことが見込まれる中、中小企業の負担軽減のために、社会保険料を減免することは適切ではないことから、国へ要望することは考えておりません。
 また、賃金を引き上げた中小企業に対する県の補助制度についてでありますが、賃金は、企業の経営実態や地域経済の状況などを反映した市場原理により決定されるものでありますことから、県による直接的な補助制度を創設することは考えておりません。
 県といたしましては、中小企業の新たな技術開発などによる競争力の強化や生産性向上の取組を支援することにより、賃上げに向けた環境を整備することが、本来の役割であると考えております。
 このため、中小企業がlOTやロボット等を導入する際の支援や、次世代自動車など成長分野への進出に必要な研究開発などに取り組んでまいります。
 さらに、都市部への人材流出を防止するためには、若者にとって魅力ある雇用の場を確保することも重要でありますので、今年度新たに、全国トップクラスの補助金を創設し、成長分野の本社機能の誘致に取り組み、先月末には、二社の計画を補助対象として第一号の認定をしたところであります。
 また、本県では、県内の高校生が大学に進学する際には、その約8割、県内の大学生が就職する際には、その約6割がそれぞれ県外に転出しております。
 このため、県では、県外を中心とした25大学と就職促進に関する協定を締結し、県外での企業説明会やUIJターンセミナーを開催するなど、本県での就職・定着の促進を図っているところであります。
 こうした取組に加え、求人する側の対策としまして、より多くの応募者を確保できるよう、学生への効果的なPR方法などを学ぶ「採用力向上セミナー」を開催しているところであります。
 県といたしましては、引き続き、人材流出に歯止めをかけ、県内への就職・定着を促進するための施策にしっかりと取り組んでまいります。

(2)保育士の処遇改善
 都市部への人材流出がとりわけ顕著なのが保育士です。
 私の地元・取手市内に隣接する千葉県柏市が「保育士大募集」と書いたチラシを大量配布しました。「月額4万円・給与上乗せ」「8万2千円上限で家賃補助します」と大きく書かれています。千葉県は市町村補助を加え2万円以上を、東京都も4万円を上乗せしています。
 JR取手駅・TX守谷駅からわずか一駅で千葉県、20〜30分で東京都です。
 本県で働く保育士の勤務年数は4.1年と、全国平均より大幅に短い上に、年間給与額が全国平均と比べ176万円も低く、東京都との差はなんと262万円もあるということに、しっかりと目を向けるべきです。
 現在実施している様々な保育士確保策と合わせ、県独自の、給与上乗せ補助を来年度から実施していただきたい。
 また、90人定員の保育所の場合、厚労省のモデルケースでは職員17人とされています。しかし現場では「最低でも20人」というのが実態です。国の配置基準を上回る保育士配置に対する、県補助の拡充について、あわせて知事の所見を伺います。

【知事答弁】
 待機児童の解消を図るためには、市町村との連携のもと、地域の状況に応じた保育の受け皿を拡大するとともに、担い手となる保育士等の確保が大変重要であります。
 このため、県ではこれまでも、修学資金の貸付等による新規卒業生の県内施設への就業促進や、保育士業務の負担軽減などによる定着支援を積極的に進めてまいりました。
 加えて、昨年度、潜在保育士を対象とした実態調査では、勤務条件で優先するものといたしまして、給与面のみならず、勤務時間や休暇の取りやすさといった、就労環境に関するものも多く挙げられており、雇用のミスマッチも大きな課題と考えられますことから、今年度新たに民間ノウハウを活用した「いばらき保育人材バンク」を設置し、潜在保育士の復職を支援するなど、保育士確保に係る取組みを強化したところであります。
 本県独自の処遇改善の実施につきましては、保育所の運営費が国の定める公定価格により措置されていることから、国が統一して対応すべき課題であると認識しており、地方良治体が独自に財政負担を行う必要のない給与水準となるよう、私自ら、国に対し要望を行ったところであり、今後も強く働きかけてまいります。
 また、配置基準を上回る保育士配置への補助につきましては、3歳児を担当する保育士配置の改善に対して、運営費への加算が措置されているほか、特に保育士の負担が大きいとされる1歳児を担当する保育士配置の改善に対しても、本県独自で補助を行っているところであります。
 県といたしましては、施設長等を対象とした保育士の就労環境の向上のための研修会の開催や、昨年度より実施されている、技能・経験に着目した保育士の新たな処遇改善の実施促進により、施設設置者における自助努力を促すとともに、保育士確保のための様々な施策を効果的に組み合わせて実施していくことにより、保育士の県内施設への就業拡大と就業継続を促進してまいります。

5.精神障害者の医療費助成について

 次に、精神障害者の医療費助成の拡充を求めお聞きします。
 今議会に、精神保健福祉連合会から20,624名の署名を添えて「医療福祉費支給制度(マル福)の拡充等に関する」請願が提出されています。請願は、精神障害者の特性を書き、福祉手帳2級までの適用拡大を求めています。知事は答弁で「手帳1級を加える」と述べましたが、手帳2級者、約9,000名も対象にすべきです。
 昨年、同連合会が「医療費の負担度に対する調査」を行ないました。障害者の声として「精神障害には波があり就労が困難」「収入が少なく歯科診療を控えている」と寄せられています。医療費を支援することで、社会との関わりや自立した生活を送ることができると要望しています。
 厚生労働省は手帳2級者の状態について、「日常生活で著しい制限を受ける状態」「医療機関等への外出を自発的にできず付き添いが必要」「家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず常時援助を必要とする」としています。
 政府の、2007年・障害者権利条約の批准、茨城県の障害者基本条例「障害のある人もない人も、共に歩み、幸せに暮らすための茨城県づくり条例」の立場に立ち、2級まで医療費助成を拡充すべきです。答弁を求めます。

【知事答弁】
 本県の心身障害者に対するマル福制度は、障害者の中でも、身体障害者・知的障害者・精神障害者のそれぞれ重度の方を対象としまして、保険診療における自己負担分を、市町村が全額助成し、県はその対象経費の2分の1を助成しているものでございます。
 精神障害者の方につきましては、制度創設当初から、障害年金1級を受給していることを認定要件としてまいりましたが、精神障害者保健福祉手帳については、障害年金と等級判定基準がほぼ同じであることから、これまで認定要件としてまいりませんでした。
 このため、年金の受給資格を得られずに、重度の障害でありながらもマル福の受給対象とならない方もおられます。
 また、本県の場合、身体障害者・知的障害者の方は障害年金の受給に加え、手帳についても対象者の認定要件としており、公平性の観点から課題があると認識しております。
 この課題については、昨年度も検討したところであり、私自身も、茨城県精神保健福祉会連合会の皆様にお会いし、精神障害者の現状についてお伺いするとともに、手帳についても認定要件に加えて欲しいとの要望をお受けしたところでございます。
 こうしたことを踏まえて、私としては、精神障害者のマル福の認定要件に、重度とされる、精神障害者保健福祉手帳の1級保持者を新たに加え、マル福制度の実施主体である市町村とともに、平成31年4月からのマル福制度の拡充を実現したいと考えております。
 なお、障害の程度が中度である、精神障害者保健福祉手帳2級保持者を対象とすることにつきましては、身体障害者・知的障害者の方との公平性を欠くことから、現時点での実施は考えておりません。
 また、精神障害者に対する医療費助成を実施している31の都道府県の状況をみましても、精神科の外来に限って助成するなど、各県によって様々でございますが、診療科を限定せず、外来・入院を対象として、手帳の1級及び2級の方に助成しているのは3県に過ぎません。
 今回、本県が実施しようとしている手帳1級の方に助成しているのも、7県だけであり、精神障害者に対する医療費助成の内容では、全国でも上位の水準になると考えております。
 このようなことからも、まずは、来年4月から精神障害者に対して手帳1級保持者を加えて、より多くの、重度の精神障害者の方々が医療費助成を受けられるよう、全力で取り組んでまいります。

6.教育行政について

(1)エアコン設置
 次に、教育長に質問します。まず県立高校へのエアコン設置についてです。
 文部科学省は学校環境衛生基準について、「教室の温度は17度以上28度以下が望ましい」と改定しました。しかし、今議会に提案された補正予算には全高校のうち佐竹、鉾田農業、坂東総合の3校だけ除外されています。茨城県立高等学校教職員組合は8月27日、「危険な状態は3校とも同じであり公平ではない」と抗議声明を提出しました。3校についても設置するよう求めます。
 二つめに、保護者負担を2,400円とする条例改定が示されていますが、知事が「教育費の負担軽減」を掲げているのであれば、1億3千万円に過ぎない保護者負担は、県予算でまかなうべきです。
 三つめに、音楽室・美術室・家庭科室などの特別教室にも設置すべきです。ある高校では「音楽教師は、暑い音楽室で一日中教えている。楽器も傷んでしまう」と、強くエアコン設置を要望しています。
 四つめに、小中学校については市町村間で格差が生まれ、未設置自治体が残されています。国庫補助を増やすよう要望するとともに、県の支援が必要です。以上4点についてお答えください。

【教育長答弁】
 まず、エアコン設置についてです。
 今回、補正予算で整備を行います25校については、長期の使用を前提に整備する学校を対象校としております。
 ご質問の、統合が始まった鉾田農業高等学校、今後統合が予定されております佐竹高等学校、坂東総合高等学校につきましても、在校する生徒の健康管理面等を踏まえ、整備機器の有効な活用方法などを検討したうえで来年夏の稼働に向け整備を進めてまいります。
 次に、空調設備使用料の保護者負担についてですが、県では、これまで、暑い時期が主に夏休みと重なることなどから、普通教室への空調設備整備をしてまいりませんでした。しかし近年の猛暑の影響や今年4月から学校環境衛生基準の温度要件が改正され、望ましいとする室温がこれまでの「10度以上、30度以下」から「17度以上、28度以下」に変更されました。このような現状を踏まえ、県費による整備へと方針を転換するとともに、これまでPTA等が整備してきた普通教室の空調設備も県費負担へ切り替えることとしております。その際、新たな電気料金や保守点検料などの維持管理費の負担の増加が見込まれますことから、公平性の観点も踏まえ、今回の整備により直接の受益者となる方々に経費の一部をご負担いただきたいと考えております。
 次に特別教室への空調設備設置についてでございますが、今年の記録的な猛暑を受け、早急な対応が求められている状況において、普通教室の整備を優先いたしました。特別教室への整備につきましては、今後の計画的整備に向け整備方針を検討すべき課題と認識しております。
 最後に、県内の市町村立学校の空調整備状況についてでございますが、9月1日現在では21の市町村において小中学校の普通教室の空調整備率が100パーセントとなっております。その他の市町村におきましても、計画を前倒しするなどの動きが出てきているところです。
 公立小中学校の空調整備に対しましては、国庫補助や起債措置などの財政支援制度が整備されており、先日示されました文部科学省の来年度予算の概算要求では、今年の夏の猛暑を受け、空調設置費補助を含む「公立学校施設整備費」が、大幅に増額されております。
 県といたしましては、市町村が空調設備の設置を進めるに当たり、国庫補助が十分に活用できますよう、国に対し予算の確保や制度の充実などの要望を行っていくとともに、引き続き市町村に対し助言や情報提供等の支援を行ってまいります。

(2)取手いじめ自死への対応
 最後に、取手いじめ自死への県の対応についてお聞きします。
 取手市で2015年11月10日、中学3年生の女子生徒が、「いじめ」を苦に自殺するという事件が起こりました。「将来はピアニストになりたい」という夢を持つ少女が、何に苦しみ、絶望し、自ら命を絶たなければならなかったのでしょうか。最愛の我が子を失ったご両親の思いは、はかり知ることもできません。
 6日後、ご両親は「いじめられたくない」「死にたい」「これ以上苦しめないで」と綴られた日記帳を見つけ、取手市教育委員会に原因究明を求めました。そして自らも、生徒たちに聞き取り調査を行ない、いじめがあったのではないかと確信を持ちました。
 ところが、取手市教育委員会と学校は12月、「いじめの事実はなかった」とご両親に報告。その3ヶ月後に、市教委は、「いじめによる重大事態に該当しない」という誤った議決を行いました。それから1年3ヶ月後の昨年5月29日、ご両親は文部科学省に真相究明を申し入れたのです。
 文科省は、ただちに県と市教委の聞き取り調査を行い、「遺族への配慮に欠ける」と改善を指導しました。翌日、市教委は議決内容を撤回したのです。
 問題は県教育委員会の対応にもあります。
 県は文科省から問い合わせがあるまで、市教委の誤った議決を知らなかったとしていますが、これこそ大問題です。県は、事件の翌日から中学校に入り、事実経過を確認しています。「いじめられたくない」と書かれた日記が出てきたことなど、「いじめによる重大事態」との認識を、早い段階から承知していたはずです。
 県は、いじめ防止基本方針に基づいて、取手市教委の誤りを正すべきでした。そしてご遺族に寄り添い、真相究明に真摯に向き合うべきでした。
 昨年12月の県議会常任委員会では、「取手市教育委員会の、いじめ対策防止法への誤った理解のもと、不適切な対応がなされた」と義務教育課長は答弁しました。しかしその不適切な対応を、1年3か月もの間、放置してきたのが県教育委員会です。まるで他人事、責任転嫁の極みです。いじめは、どんな形をとろうとも「人権侵害であり暴力」です。いじめられていい人間は一人もいません。
 事件からすでに3年が経ちます。この間、県内の「いじめ」報告件数は毎年増えています。
 そこで教育長にお聞きします。県は文科省に言われる前に、なぜ誤りを正すことができなかったのか伺います。こうした経過を含め、県教委の対応について検証するべきと考えます。合わせてお答えください。
 以上で質問を終わります。答弁によっては再質問します。

【教育長答弁】
 まず、改めて、亡くなられました生徒さんのご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の皆様方に心よりお悔やみ申し上げます。
 市町村立学校におけるいじめの重大事態への対応は、いじめ防止対策推進法において、学校の設置者である市町村、または、学校が行うこととされており、県は市町村が重大事態に適正に対応できるよう、必要な指導助言等を行うことができると規定されております。
 また、法においていじめの重大事態とは、いじめにより児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき、又は、いじめにより児童等が相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときとされております。
 今回の対応につきましては、取手市教育委員会が、平成28年3月16日開催の取手市教育委員会臨時会において、いじめによる重大事態に該当しないことを議決しましたが、県教育委員会には、取手市教育委員会からこの議決内容についての連絡はございませんでした。
 しかし、第三者委員会を設置するとの連絡は受けたことから、県教育委員会としては、法に基づく調査委員会を設置するものと捉え、取手市教育委員会においては重大事態として認識し、第三者委員会を設置したものと考えておりました。
 このような認識の違いが生じたことについては、取手市と十分な意思疎通を図り、もっと連携して対応すべきであったと考えております。
 この認識の違いを含め、当時の対応を検証した所、法制度に対する理解不足と、県と市との連携不足が課題として浮かび上がってまいりました。
 これらの課題解決に向けて、法制度の理解徹底のために、平成29年6月に各市町村教育委員会指導担当課長等を対象に、文部科学省生徒指導担当者を講師に迎え、いじめ防止対策推進法及び基本方針に則った重大事態への対応等について、研修会を実施いたしました。また本年4月にも同講師を招き、市町村教育委員会の生徒指導担当者を対象に研修を実施し、さらに市町村教育委員会教育長会議や管理職研修会など様々な機会を捉えて法の理解の徹底に努めております。
 くわえて、いじめの重大事態の疑いがあると認めるときは、法律等に基づいて適切に対応できているかどうか、市町村や学校が自ら確認するための重大事態対応チェックリストを県独自に作成し、研蓚会において積極的な活用を働きかけております。
 また、県と市町村との連携強化についてでございますが、重大事態に対し市町村が適切に対応できるよう、県教育委員会に相談することを呼びかけておりますが、今後は、担当者同士の情報交換会を開催するなど、県としてさらに積極的に関与し、お互いに連絡しやすい環境を整えてまいります。
 併せて、実効性のあるいじめ防止対策を推進するため、いじめの防止と対応等に関するいじめの指導事例集等を作成し、研修会で共有する等活用を図ってまいります。
 さらに児童生徒が自死するなどの重大事態への対応につきましては、今後マニュアルを作成し、これを活用して研修を実施するなどして対応の徹底を図ってまいります。
 現在、県が設置しました調査委員会において、調査が進められておりますが、今後はその報告内容を踏まえて、学校におけるいじめ問題への対策にさらにしっかりと取り組んでまいります。

再質問

 教育長に再質問します。
 「県教委自ら検証すべき」という質問について納得できる答弁ではありませんでした。
 教育長のお答えは、
 @ 取手市教委の法律の不理解が原因
 A 県と取手市の連携不足
 という2つでした。
 県教育委員会は、文部科学省から指摘を受けてもなお、この事件について、教育委員会の議題に、この取手市自死事件について一度も議題としてあげていません。
 一人の生徒の命を、いったいどのように考えているのでしょうか。
 県教育委員会は、自らの対応の誤りを認めて、県の一つ一つ、一回一回の助言、支援について検討すべきだと思います。教育長の再答弁を求めます。

【教育長再答弁】
 県といたしましては、昨年の6月以降、県の対応について検証し、欠けていたこと、市の理科不足もございますけれども、県として、指導の至らなかったこと、そういうことを検討いたしまして、現在様々な研修会等の取組を進めているところでございます。
 1人の人間が亡くなったということは、すごく大きなことで、私たちも本当に大変なことであると真摯に受け止めております。
 この後検証がさらに必要であるというご意見をいただきました。現在の対応につきましては、一連にわたって内部的な検証を進めてきてまいりましたので、今後さらに検討が必要かどうか、一つ一つの対応につきましては、県といたしまして、その都度その都度最善を尽くし、指導助言をしてきたつもりでおりますけれども、その件についてさらに考えていきたいと思います。


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