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質問・発言

●江尻加那県議の一般質問

第1回定例会 2018年3月7日(水)

【質問事項】
1.県政運営と予算編成について
 (1)住民自治と情報公開
 (2)開発行政と県民生活
 (3)市街地再開発事業
 (4)子育て支援の拡充
 (5)生活困窮者支援
 (6)介護保険と地域包括ケアの課題
2.教育行政について
 (1)完全35人以下学級の実現
 (2)友部特別支援学校老朽校舎等の改善
3.東海第2原発の廃炉について


1.県政運営と予算編成について
(1)住民自治と情報公開

日本共産党の江尻加那です。今定例会開会前日にご逝去された、菊池敏行前議長に心よりご冥福をお祈りいたします。通告に従い質問をおこないます。
まず、県政運営と予算編成についてです。
先月、自民党県連大会に来賓出席された大井川知事は、予算案にふれ「空振りしたらひっくり返るが、当たればホームラン」と挨拶したと報道されました。これが事実であれば、県民の税金をまるでゲームや賭け事に使うかのような扱いです。
地方自治の本旨は、住民自ら地域を考え、自ら治めることであり、その実現には、行政の徹底した情報公開が不可欠です。
ところが知事は、総合計画審議会や有識者懇談会を次々と非公開とし、傍聴を認めませんでした。「傍聴者がいると、率直な意見交換がされない」と理由にしていますが、個人情報ならいざ知らず、傍聴者がいたら話せないような審議会や懇談会で、どうして公平・公正な県政が保障できるでしょうか。
知事は「ガラス張りの県政」を公約しました。であれば、知事の独断に左右されないよう、県の指針が必要です。
私どもの調査では栃木、群馬、埼玉をはじめ全国半数以上の27道府県で、会議の公開を定める指針が設けられ、「県民の理解と信頼の下に公正で透明な行政を推進する」とうたわれています。
こうした、ごくあたりまえの県政をすすめるために、公開に関する指針を直ちにつくるべきです。知事の所見をうかがいます。

【大井川知事】
江尻加那議員の御質問にお答えいたします。
初めに、県政運営と予算編成についてお尋ねをいただきました。
まず、住民自治と情報公開についてでございます。
本県が目指す「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現に向けては、県民の声に耳を傾け、県政情報を発信しながら、住民自治の主役である県民とともに挑戦していくことが大切であると考えております。
このため、私をはじめ、職員が積極的に現場に出向いて直接県民の意見をお伺いするなど、机上ではなく、現場の声を施策に活かすことを徹底しているところでございます。
議員から言及いただきました審議会等につきましては、有識者や各界の代表等にご参加いただき、調停や審査を行ったり、県の計画や政策等を議論したりする場ですが、個人情報や試験問題を取り扱うなど、議題や議論の中身によっては必ずしも公開には適さないものもございます。
このため、審議会等の公開の適否につきましては、それぞれの審議会等ごとに判断をしており、例えば、過日開催した県総合計画審議会については、率直な意見の交換がなされなくなるおそれがあるという判断の下で非公開としたものです。
ただし、非公開とした場合でも、会議終了後に、会議の内容について報道機関に対してブリーフィングを開いたり、取材を受けたり、速やかに議事録ないし議事要旨を公表することにより、透明性は十分確保されているものと考えております。
ご提案のありました指針等の策定についてでございますが本県では、先程申し上げましたように会議の情報をきちんと公開していることに加え、第七次行財政改革大綱において、審議会の公開や審議内容・結果などの公表を推進するとしていること、指針等を策定している他県においても、本県と同様に最終的には個々の審議会等で公開の適否を判断していることから、あらためて明文化するまでの必要性はないものと考えております。
今後とも県といたしましては、県政情報の公開等により、県民に開かれた県政運営に努め、県民の皆様とともに新しい茨城づくりを進めてまいりたいと存じます。

(2)開発行政と県民生活
予算案で目立つのは、企業誘致に補助金50億円、豪華ホテル誘致に10億円、売れ残り工業団地は3割〜5割値引きの大安売り。そして、営業戦略部を立ち上げ、知事自らトップセールスに邁進するというものです。
一方、県民生活に関わる207事業を見直し、例えば特別支援学校のサッカー教室やNPOの子育てサポーター講座などへの補助金、さらに百歳を祝う贈呈品も必要ないと廃止しようとしています。
こうした「企業には大盤振る舞い」、「県民生活予算は出来る限り縮減」という対応の格差は、水行政にもあらわれています。
私は昨年10月の予算特別委員会で、水利用の現状をたずねました。企画部長は、農業用水と工業用水について「把握は困難」「網羅していない」と利用量を示せず、ただ一つ数値を答えた水道用水は1日約7万トン減っていることを示しました。このような認識で、県民の望む安価で安全な水行政ができるでしょうか。
事実、県南広域水道受水8団体が県と企業局に対し、水は余っているので契約水量を見直すこと、高い料金は値下げをと要望書を出しました。しかし、県はこうした要望に背を向ける一方、企業へのサービスは異常ともいえます。
例えば、水戸市は、県から受水する1日約600トンの水に対し、毎年1億6千万円県に払っています。同じ水量を、河川に水利権を有する企業の流水占用料ではわずか3万円と実に5千分の1です。これは、企業の流水占用料が、前知事時代から20年以上、消費税分以外まったく値上げされてこなかったからです。
県は「企業は自前の施設経費がかかるので、安くて当然」と言いますが、どんなに理由をつけてもこれだけの差は合理化できません。
そこで、河川流水占用料等徴収条例を見直し、料金の引き上げを求めますが、お答えください。
さらに、大洗にある原子力研究開発機構は、那珂川に約5万2千トンの水利権を与えられていますが、県は占用料を1円もとらずに免除し、取水量さえ掌握していません。
国は、同じ那珂川の県中央広域水道には、「水利権に余裕はない」と約3万1千トンを暫定分でしか与えず、それを根拠に霞ヶ浦導水事業を進めています。
事業に反対する漁協組合が提訴した差し止め裁判は、東京高裁の裁判長が和解を提案してきました。霞ヶ浦から那珂川への逆送水が否定されれば、導水事業そのものが成り立ちません。
この際、水利権の見直しを国に求め、県民の水道料金負担軽減の為にも、霞ヶ浦導水事業から撤退するよう求めますが、知事の所見を伺います。

【大井川知事】
企業等から徴収している流水占用料は水道料金と比較して安価であるとのご指摘でございますが、まず、流水占用料については、県は、茨城県河川流水占用料等徴収条例に基づき、水利使用の許可、いわゆる水利権を受けた者から占用料を徴収しております。
この水利権は、河川水を使用するための権利であり、水利権を取得した占用者は、自ら取水堰やポンプなどの取水施設、浄化施設、送水施設などを設置して維持管理しなければならないことから、占用料以外に多くの費用を必要とするところでございます。
一方、水道料金につきましては、県企業局が、水道事業者である市町村に対して、安全でおいしい水道水を安定的に供給するために必要な浄水施設等の設置や維持管理などに要する費用が含まれております。
このように流水占用料と水道料金は性格や内容が異なるものであり、一概に単価だけで比較し、判断することは適当ではないと考えております。
なお、本条例で定める占用料については、消費税の改正や消費者物価の動向を見ながら、これまで適切に見直ししてきており、今後とも定期的に検証を行い、必要があれば、占用料を改正してまいります。

次に、那珂川の取水の状況等の把握についてでございます。
国が那珂川を管理しているため、河川法の規定により、水利権の許可は国の権限で行うこととなっております。
県は、水利権を取得した占用者から、河川法の規定に基づき、適切に占用料を徴収するため、占用者や許可水量など、徴収に必要となる情報について、国から提供を受けているところでございます。
取水量など、取水状況の情報については、国が占用者から報告を受けているものであり、県は承知できる立場にはございません。
また、那珂川の水利権許可権者である国からは、たとえ水利権の放棄や減量があっても、新たな水利権を許可する余裕はないと聞いております。
こうしたことから、本県といたしましては、議員ご指摘の霞ヶ浦導水事業などの水資源開発事業に参画し、県民の安定的な暮らしや産業活動を支えるために必要な水量を確保している状況でございます。
なお、こうした中においても、実態を見れば、田植えの時期には塩水遡上による取水障害が発生するなど、毎年のように渇水被害が生じており、決して安定して取水できているとは考えておりません。
県民が安心安全に生活を送っていくためには、霞ヶ浦導水事業への参画は必要不可欠なものと認識しております。

(3)市街地再開発事業
水戸市で、再開発による市民会館の建設計画が進められています。
総事業費約320億円、2000名の大ホールに小・中ホール、会議室などあわせて3700人収容の施設です。市民は、余りに巨額で巨大な箱物は税金のムダづかいであり、見直しを求めています。
これまでの再開発は、街の活性化どころか地域の小売店を撤退させ、できたテナントビルは埋まらずガラガラ。その最たるものが、水戸市大工町再開発です。40億円を税金投入したものの、当初予定したホテルオークラは誘致できず、テナントビルは6年経った今も埋まっていません。
その大工町からわずか600メートルの泉町に、今回の再開発計画です。反対する地権者もいるのに、10年以上放置されたままの伊勢甚本社所有の空きビルを税金で解体撤去し、近隣の病院や店舗も移転させて市民会館をつくろうとしています。
なぜ駐車場も取れない狭い敷地に、巨大ホールをつくるのか。当初68億円・1000名規模だった計画が、突如320億円、3700名になぜ膨れ上がったのか。
本来なら、同じ水戸市にある県立県民文化センターとの整合性も検討すべきでした。しかし、文化事業などについて水戸市と県の協議はありません。
住民投票を求めた署名は、法定必要数の3倍を超えて提出されましたが、市長と市議会はこれを否決。そして、昨年11月、県に事業計画書が提出されました。事業計画書に対する市民からの知事宛て意見書は、ほとんどが反対もしくは見直しを求めるものだと伺っています。意見陳述も今月行われます。こうした意見は、県の審査にどう反映されるのでしょうか。
都市再開発法第17条では、「事業を遂行するために必要な経済的基礎が十分でな」ければならないとあります。しかし、再開発組合にその基礎はありません。そこで、水戸市がわざわざ区域内に30坪の土地を買って組合員になるという異例づくめの再開発です。
水戸市は需要予測を年間60万人と見込んでいますが、そのためには2000名のホールを300日間満席にしなければなりません。
県民文化センターの1500名ホールでも満席は2割弱、つくば国際会議場も1500名を超えるのは年4〜5日程度です。
見通しの甘さは収益赤字と税金補填に直結します。負の遺産をつくってはなりません。このような計画に対し、きちんと見直しを求めるのが知事の責任ではないでしょうか。知事の所見を伺います。

【大井川知事】
現在、水戸市泉町1丁目北地区におきまして、市民の交流拠点を創出し、まちの活性化を図るとともに、防災性の向上や市街地環境の改善を図ることにより、良好で快適な市街地形成をめざす市街地再開発事業が都市計画決定されているところでございます
水戸市では、組合施行による、この再開発事業で建設される、施設建築物の保留床を取得し、新市民会館とすることを計画しております。
市街地再開発事業の実施に際しましては、都市計画で定められた内容を実現するための墓本的な計画である「事業計画」の策定が都市再開発法で義務付けられております。
この事業計画につきましては、泉町1丁目北地区市街地再開発組合から県へ認可申請がありましたので、公衆の縦覧に供し、意見書の提出期間は本年2月に終了したところでございます。 
この結果、意見書の提出があり、また、意見書を提出された方の中には、口頭意見陳述を申し出された方もおります。
今後、意見陳述の機会を設けたうえで、意見書の内容を適正に審査し、意見採択の適否について判断してまいります。
事業計画の認可にあたりましては、都市再開発法において認可の基準が定められていることから、違法性や都市計画との適合、事業の遂行能力などについて審査を行い、適切に判断してまいります。
市民会館の位置や規模、事業費などにつきましては、その計画の策定プロセスを含め、水戸市において市民の理解を得るべきものであり、県が関与すべき問題ではないと考えております。

(4)子育て支援の拡充
子どもの医療費補助を高校3年生まで拡大すると報道されたとき、県民は外来診療も入院も拡大されると期待しました。しかし、県が示したのは入院のみで外来診療はこれまでと同じ小学6年生までです。日本共産党県議団は、約25億円で、入院も外来も、所得制限や一部自己負担もなく高校3年生まで完全無料化できることを提案してきました。その実現について、所見を伺います。
また、保育所待機児童解消も切実です。咋年10月時点で850人、その97%が0〜2歳児です。私は昨年6月の一般質問で、0〜2歳児の定員が足りないと改善を求めました。県は「見直す」と約束しましたが、その後どのように見直されたのか伺います。
あわせて、保育士等の処遇改善は進んだでしょうか。国は、給与を一律2%、加えて月5千円、最大4万円加算すると予算化しました。本県の場合、保育士では11億円、放課後児童支援員は6億5千万円が加算。しかし、給与が増えたという話はまったく聞こえてきません。執行状況を調べた結果、今になっても1円も支給されていないのです。今後加算されると言われるのは、民間保育園の常勤保育士約7500人のうち3400人。放課後児童支援員に至っては、3200人いるうちわずか90人の見込みです。これで、人手不足が改善されるはずがありません。
一部の人しか対象にしない加算そのものが問題です。すべての保育士や支援員の賃金を底上げすることこそ必要。来年度にむけて、どう対応していくのか伺います。
もう一点、知事が選挙公約に掲げた「小中学校の学校給食無償化」についてです。子育て世代にとって、この公約は大変関心が高かったはずですが、具体化されていません。子どもの貧困対策にも大きな意義をもつものです。実現にむけてどのように取り組んでいくのか合わせてお答えください。

【大井川知事】
本県の小児マル福制度において、最近では平成26年に、それまで小学3年生までとしていた対象者を、外来は小学6年生まで、入院は中学3年生まで拡大し、続いて平成28年には、所得制限を緩和し、対象者を順次拡大してまいりました。
今般、子育て支援のさらなる充実を図るため、詳細な検討を行い、家計への負担が多くなりがちな、入院治療に対する医療費助成について、本年10月から、現在の中学3年生としている対象年齢を、高校3年生まで拡大することといたしました。
これにより、新たに約6万人が対象となり、入院治療に対する助成制度の対象年齢では、福島県や鳥取県と並んで、全国トップとなる見込みであります。
一方、マル福制度における自己負担金や所得制限につきましては、限られた財源の中で福祉のすそ野を拡げ、より多くの方に受給していただくという観点から、受給される方に一定の負担をお願いしているものであり、全国でも自己負担金は37都道府県で、所得制限は29都道府県で導入しております。
マル福制度のさらなる拡充につきましては、本県の財政見通しや市町村の動向、他県の助成状況などを見ながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。

次に、待機児童の解消についてお答えいたします。
まず、保育所等を利用する待機児童についてでございます。
本県では、子ども・子育て支援事業支援計画において、平成31年度までに待機児童数をゼロとする目標を掲げておりますが、女性の就業率の上昇などにより保育需要が増加し、特にゼロから2歳の低年齢児につきましては、現状を鑑みますと、現在の計画では今後も供給不足となることが見込まれております。
こうしたことを踏まえ、計画期間の中間年にあたる今年度、計画の見直しを行い、特に待機児童が多く発生している低年齢児の保育需要を約1,700名ほど上方修正し、それに対応する保育体制の整備につきましても、市町村と連携しながら進めていくこととしております。
具体的には、これまでの保育所等の整備のほか、小規模保育や保育ママといった低年齢児の受け皿拡大に直接効果のある取組みを地域の実情に合わせて進めてまいりたいと考えております。

次に、保育士の処遇改善についてでございます。
民間保育所を対象として今年度より実施されている、技能・経験に着目した保育士の新たな処遇改善につきましては、職員間の給与面のバランスが崩れることや、保育士不足により加算を受けるために必要となる研修の受講が困難であることなどから、6割強の申請に留まっております。
こうした状況もあり、県では、本年2月に市町村や施設を対象とした説明会を開催し、制度の理解促進を図ったところです。
また、来年度より新たに保育人材バンクを設置し、研修時の代替職員も含め、保育士確保を支援することで、保育士の処遇改善制度の活用を促進してまいります。

次に、放課後児童支援員の処遇改善についてでございます。
今年度から支援員の経験等に応じた処遇改善事業が開始されたものの、市町村における将来を含めた財源の確保や、職員間の給与面のバランスが崩れることなどにより、9市町村の実施に留まっております。
このため、県といたしましては、先行する9市町村の取組みの紹介や、意見交換の場の開催などにより、引き続き処遇改善の積極的な取組みを、市町村に対して働きかけてまいります。

次に、学校給食費の無償化についてお答えいたします。
本県におきましても、少子化及び人口減少は喫緊の課題であります。その対策として「新しい」暮らしやすさをつくること、つまり、子どもをもつ親が安心して子育てできる県にしたいとの思いから、私は、教育費の負担軽減の具体的政策として、「学校給食費の無償化の検討」を選挙公約の一つとして掲げました。
現在、学校給食に係る経費につきましては、学校給食法に基づき、原則として給食の調理施設や備品、人件費は設置者である市町村が負担し、その他食材費は、いわゆる給食費として保護者が負担することとされております。
一方、生活保護受給世帯や住民税非課税の世帯など、所得の低い世帯については、国の制度等により、既に給食費に対する支援制度が設けられております。
また、少子化対策の観点などで保護者の負担を軽減するため、県内でも33市町村において例えば、第3子以降の給食費無償化等の補助を行っており、大子町においては今年度から、給食費を全額無償化するなど、市町村の取組が先行しております。
それらに加えて、全国的に見ましても、都道府県が小中学校の児童生徒の給食費に対する支援の上乗せを行っている例はございません。
さらには、本県で、学校給食費を無償化するために必要な経費は、年間約100億円に上るといった財政上の課題もございます。
県としましては、政策としての優先度、財政状況や支援すべき対象者の範囲、他県の動向、子育て支援施策全体の中での位置付け、事業効果の検証方法など様々な観点を踏まえつつ、引き続き、学校給食に対する支援の在り方を慎重に検討してまいります。

(5)生活困窮者支援
政府は来年度、生活保護費を年間210億円、7割近くの世帯で引き下げようとしています。生活保護利用者の話を伺うと、「冬の灯油代加算は月2580円で2缶しか買えない。どんなに寒くても1時間しかストーブはつけられない」、「食料品は夜の値引き品を待って買う」、「一番つらいのは、世話になった親戚や近所のお悔やみを包めず不義理をすること」などがあげられました。
安倍政権のもと、主要国で日本だけ所得が低下し、貧困ラインが下がり続けています。「年金が生活保護より少ない」、「働いても生活保護基準以下」という矛盾は、政治がつくり出したものです。生活保護より少ない年金や働く人の貧困解決こそ国の責任です。
保護世帯の5割は高齢者、3割が障害者、1割は母子世帯です。保護費の削減は、まさに命にかかわります。
生活保護の要件に合う人のうち、実際の利用は全国で約2割。本県の場合はさらに低く、1千人あたりの保護率は9.6%で全国の半分です。昨年度、窓口に来た人のうち、申請できたのは約5割、実際の利用は4割です。申請書がもらえない人も少なくありません。
そこで、3点改善を求めます。
第1に、制度の周知を図ることです。行政の広報誌などに、「年金やパート収入があっても保護費を下回る場合はその差額を考慮して利用できること」、「家や土地があっても、それを売ることが困難な場合は、その家に住み続けながら利用できること」など、内容や手続きを知らせることです。
第2に、窓口に来た人に申請書を速やかに渡して受け付け、そのうえで生活状況を調査すること。
第3に、生活保護のケースワーカー職員が少ない状況の改善です。市の場合80世帯に1人が基準ですが、水戸市では100世帯も受け持っています。基準に満たない福祉事務所が、他にも5ヵ所あります。
以上3点について、知事の所見をお示しください。

【大井川知事】
まず、生活保護制度についての周知でございます。
生活保護制度は、生活困窮者の最後のセーフティーネットとしての役割を担っており、制度についての正しい理解を広め、要保護者に確実に支援が行き届くことが重要であります。
このため、県では、生活保護制度をわかりやすく解説した「しおり」を作成し、窓口相談における制度の説明に活用しているほか、その内容をホームページで周知しております。
今後は、図書館などの公共施設や病院などに「しおり」を配布するほか、各市町村の民生委員にも広く活用して頂けるよう働きかけてまいります。

次に、福祉事務所の窓口に申請書を常時置くことについてでございます。
生活困窮者に適切な支援を提供するためには、面接相談を通じて個々の事情に応じた最適な方法を助言することが大変重要であります。
福祉事務所の窓口に申請書を常時置くことで、生活困窮者がいつでも申請書を入手することは可能となりますが、申請者に、制度について正しく理解していただくためにも、保護までの過程において面接相談は必ず必要なプロセスであり、原則として、申請書は面接相談と併せて手渡すこととしております。

最後に、県内の福祉事務所のケースワーカーの充足についてでございます。
ケースワーカーは、社会福祉法に基づき、被保護世帯数に応じた標準数が定められておりますが、県内には、標準数に満たない福祉事務所もございます。
これらの福祉事務所に対しては、監査を通じ、所要人員の充足を図るよう引き続き指導してまいります。
県といたしましては、生活困窮者が適切に援助が受けられるよう取り組んでまいります。

(6)介護保険と地域包括ケアの課題
4月から、また介護保険料が引き上げられようとしています。3年前の改定では、全市町村で引き上げられ、水戸市で年額70,800円を基準に、一番高い人は141,600円が、年金から天引きされます。今回改定はどのような状況なのか。これ以上の負担を軽減するため、県の財政支援が必要です。
保険料アップの一方で、サービスは削減されています。国は、介護保険で実施してきた要支援1・2の方の通所介護と訪問介護を、NPOやボランティアなど安上がりの市町村総合事業に置き換えてしまいました。従来通り、介護の専門職によるサービスも継続可能としていますが、介護報酬が低くて続けられない事業所も出ています。こうした課題をどのように把握しているのか。保険外しはやめるよう国に働きかけるべきです。
さらに、高齢者や障害者の在宅生活を支える地域包括ケアの取り組みには、医療に対する県の役割が重要です。県は、訪問診療に携わる医師を増やすため、医師や医療施設をグループにした取組を進めていますが、十分とは言えません。医師のマンパワーが絶対的に不足している本県で、在宅医療への支援強化についてお答えください。

【大井川知事】
第7期介護保険事業計画における保険料につきましては、現在、各市町村において、第7期中に需要が見込まれる介護サービス見込み量を推計し、それをもとに最終的な保険料を算定しているところでございます。
今後、各市町村議会におきまして審議のうえ議決することとなりますので、現時点において保険料の水準を申し上げられる段階にはございません。
保険料の増額抑制につきましては、市町村が設置している介護給付費準備基金の取崩しにより対応できますことから、県独自の新たな財政支援を行うことは考えておりません。
介護保険制度においては、低所得者向けの負担軽減措置がなされており、今後の消費税の引き上げの際には対象者と軽減割合の拡大が予定されていることから、県としては制度に基づく支援を行ってまいります。

次に、介護予防・日常生活支援総合事業についてですが、この制度は、介護度が軽度の方に対して行う生活支援などのサービスについて、従来の専門職だけでなく、NPO法人や住民ボランティアなど地域の人的資源も活用できるようにしたものです。これは、サービス内容に応じた資源の効率的な活用という観点から有効であり、介護保険制度を維持していく上で、適切なものであると考えております。
これを受けた県内の状況ですが、半数の市町村ではサービスの受け皿が不足する懸念があり、報酬を低く設定することによる事業所の撤退を防ぐため、従来どおりの基準を継続しております。残りの半数では、シルバー人材センターなど受け皿が整っていることから、専門職以外でも活用できるように人員基準を緩和し、報酬を低く設定しています。
このように、市町村においては実情を踏まえた適切な対応をとっており、市町村に確認したところ、懸念されているような、サービスを受けられないという事例は発生しておりません。
なお、近年の高齢者の増加を踏まえますと、住民主体のサービスの必要性は声まってくるものと考えられます。県といたしましては、NPO法人やシルバーリハビリ体操指導士会などのサービスの提供主体となり得る団体と、市町村とのパイプ役となり、地域におけるサービスの充実を図ってまいります。

次に、在宅医療については、今年度から県独良の取組みといたしまして、茨城県医師会に「茨城型地域包括ケアシステム推進センター」を設置いたしました。現在、63の医療機関の参加をいただき、9つの郡市医師会を中心に12グループを形成し、複数医師による在宅医療の連携体制の構築を積極的に推進しているところです。
今後さらに、在宅医療の充実を図る上では、医療と介護の連携の中心的役割を担う訪問看護ステーションの機能強化を図ることが課題であると考えられます。
そのため、ICTの活用による在宅療養者の状態確認など、効率的かつ効果的な訪問看護の取組みを推進するとともに、経験豊富な認定看護師等を派遣して助言を行うなど、茨城県看護協会と連携して必要な支援を行ってまいります。

2.教育行政について
(1)完全35人学級の実現

まず、完全35人学級の実現です。1クラスの人数を少なくすることは、子どもたちに行き届いた教育を保障するとともに、教員の負担軽減につながります。
全国的に、教員の過労死ライン月80時間以上に相当する時間外勤務が問題となっています。本県の教育庁が昨年初めて実施した調査でも、1日の勤務時間が、小学校で11時間39分、中学校で12時間15分と、どちらも全国平均を上回り、過労死ラインを超えています。
学習指導要領で授業日数・授業時間がどんどん増やされるのに、教員数は減らされる。これで、負担が軽くなるはずがありません。必要なのは、教員定数を抜本的に増やすことです。
本県の少人数教育は4月から中学3年生に拡大されるとはいえ、学年に35人を超えるクラスが3クラス以上なければ適用されません。私どもが以前から求めているように、すべてのクラスで35人学級とするために必要な教員数と予算額、及び実現にむけて教育長の所見を伺います。

【芝原教育長】
県では、学校の状況に合わせ、35人以下の少人数学級、または、複数の教員によるティーム・ティーチングを導入することで、独自の少人数教育を実施し、児童生徒に寄り添ったきめ細かな指導を充実することで、学力・生徒指導の面はもとより、学校教育全体の質の向上を図ってまいりました。
また、近年、学校現場におきましては、教育課題が複雑化・多様化しておりますことから、今後、適切かつ丁寧な対応のため、きめ細やかな指導の充実が一層必要となります。
こうした状況をふまえ、本県では、来年度、独自の少人数教育を、中学3年生へ拡充し、義務教育段階全ての学年において実施することとしたところです。
一方、国における義務教育の学級編制基準でございますが、平成23年に小学1年生、平成24年に小学2年生が35人学級に引き下げられて以来、基準の改正がなく、小学3年生から、中学3年生までが、40人学級となっております。
議員より、(小学1、2年生と同様にすベての学年を35人以下学級とする、いわゆる)完全35人以下学級の実現のために必要となる教員数、予算額についてお尋ねがございました。来年度中学3年生へ拡充いたしますが、そののち完全35人以下学級を実施すると仮定し試算いたしますと、学級増に伴う担任教員が約300人の増、ティーム・ティーチングを取りやめることに伴う非常勤講師が約400人の減、予算額は約8億4千万円の増となります。
この実現のためには、国において、学級編制の基準を35人以下へ引き下げる定数改善が必要と考えており、様々な機会を通し、国に対して要望してまいりましだが、未だ実現に至っておりませんので、今後も要望を続けてまいります。
県といたしましては、引き続き、国に対して定数改善を要望するとともに、来年度から茨城方式による少人数教育を、義務教育段階全ての学年で実施するわけでございますので、まずは、これにしっかりと取り組み、1人1人に寄り添った指導を行うことで、学力の向上やいじめなどの問題行動、不登校などの未然防止や解消に努めてまいります。

(2)特別支援学校老朽校舎等の改善
障害のある子どもたちが通う特別支援学校の「第2期整備計画」に位置付けられた学校のうち、友部特別支援学校だけが具体化されていません。
そこで、私は学校に伺い、築48年となる校舎や寄宿舎の状況を見てまいりました。学校に入る道路幅が狭くて、スクールバスは中型車両で対応しています。建物はもちろん設備や備品・遊具も腐食や不具合が生じ、先生方が苦労して手を施した修繕の跡が見られました。寄宿舎の浴槽は、タイルがはがれてモルタルが塗り込んでありますが、子どもたちが怪我をしないか心配です。
早急に、校舎と寄宿舎、ならびに同じ敷地内にある県内で唯一病弱教育を行う友部東特別支援学校高等部の改築を求めます。
また、水戸飯富特別支援学校にも伺いました。過密解消を図るため、昨年度から通学区域の一部を内原特別支援学校に移しました。しかし、内原には高等部がないため、中学部卒業後は飯富や友部に進学しなければなりません。保護者や関係者から「内原にも高等部があれば、子どもたちの負担を減らすことができる」とお聞きしました。私も同じ思いです。
そこで、内原特別支援学校に高等部を設置することについて、合わせて教育長の所見を伺います。

【芝原教育長】
まず、友部特別支援学校校舎等の早急な改築、改修についてでございます。
友部特別支援学校は、県立では県内最初の知的障害特別支援学校として昭和45年に開校した学校であり、その当時に建築された校舎等が多いことから、施設の老朽化が進んでいる状況にあると認識しております。また、同敷地内には友部東特別支援学校の高等部が平成元年度に設置された、それもひとつの課題であります。
そのため、平成31年度末までを計画期間とした「第2期県立特別支援学校整備計画」において、同校を不足教室の解消と併せた改築について精査するものと位置付け、これまで、改築へ向けた検討を進めてきたところでございます。
また、県立学校施設の維持管理につきましては、各学校において日常的な点検や専門家による法定点検等を実施しており、同校におきましても、点検の結果を踏まえて、簡易な修繕から要是正事項の改修に至るまで、優先順位をつけながら、施設の適切な維持管理に努めてきたところでございます。
県としましては、現計画期間内に友部特別支援学校の整備方針、同敷地内にあります友部東特別支援学校高等部も含めまして、どう整備していくのかその方針を取りまとめますとともに、引き続き施設の維持管理には万全を期してまいります。

次に、内原特別支援学校への高等部設置についてでございます。
内原特別支援学校におきましては、現整備計画に基づき、水戸飯富特別支援学校の過密解消を図るため、平成28年度から水戸市内の赤塚、緑岡、笠原の3中学校区を通学区域に加えたところでございます。 
また、現在は不足教室はございませんが、通学区域の変更により、当面は児童生徒数が増加する見込みであり、高等部を設置する場合には、新たに校舎を増築する必要がございます。
議員ご要望のとおり、高等部が設置されますと、小学部から高等部まで同じ教育環境で学ぶことができ、環境の変化に柔軟に対応することが難しい児童生徒にとっては、負担軽減にも繋がるなど、教育的に有益な面もあると考えております。
しかしながら、敷地が狭いという課題もありますことから、県といたしましては、児童生徒数の推移を見極めながら、高等部の設置については慎重に検討してまいります。
今後とも、特別支援学校の教育環境の改善に向けて、様々な視点から検討を進め、在籍する子ども達のよりよい環境づくりに全力で取り組んでまいります。

4.東海第2原発の廃炉について
最後に、知事に、東海第2原発の廃炉について伺います。
東日本大震災と福島第一原発事故からまもなく7年を迎えますが、福島県の避難者は約5万人いると言われ、本県にも約3500人の方が戻れずにいます。茨城大学内に事務局を置く「ふうあいねっと」が行ったアンケートでは、避難されている6割近くが「福島に帰れない。このままでは茨城で定住するしかない」と答えています。
こうした被害者の心情を顧みることなく、日本原電は、原発の運転延長申請を国に提出しました。そうまでしながら、再稼働するかどうかは決めていないとしており、2月〜3月にかけて開いた各地の住民説明会でも、そう繰り返しています。
私は2月の水戸市での説明会に参加し、「再稼働に必要な工事費1800億円をどう調達するのか」と質問しました。日本原電は「東京電力に相談している」と説明しました。そして、どの会場でも異口同音に出されたのが、「事故が起きた時の賠償能力はあるのか」という質問でしたが、「最後は国が責任をもつ」と言うのです。
このような無責任な事業所に、原発を運転する資格があるでしょうか。
その他、老朽化による原子炉のひび割れや燃え易いケーブルの取替問題、廃炉積立金の流用、使用済核燃料や避難計画の実態など、安全性を心配する住民の声であふれました。
そして、ある会場で、福島出身という80代の男性が、「原電の人は一度、福島原発近くの墓地に行ってみてほしい。墓参りもできずに、花が供えられていないお墓がいっぱいだ。事故が起きたらそういうことになる。再稼働はやめてくれ」と振り絞るように語りました。
大井川知事は今定例会冒頭の所信表明で、原子力について一言も語りませんでした。「県民の声を聴く」ための予算も計上していません。知事は、いまだに廃炉を決断せず、国体だ、企業誘致だとPRしている場合でしょうか。
新潟県は、県として「3つの検証委員会」を立ち上げ、5200万円を計上し、事故検証や避難者の生活状況などを独自に調査しています。こうした取り組みが歯止めとなって、柏崎刈羽原発6・7号機は審査合格しても再稼働は見通せません。沸騰水型原発ですが、その沸騰水型で日本で一番古いのが東海第2原発です。再稼働させれば、世界で前例のない実験であり、この茨城を実験場にしてはなりません。
いま、原発ゼロをめざし、立場の違いを超えた動きが起こっています。
今年1月、小泉純一郎・細川護熙両元首相が顧問の民間団体が、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表し、「運転している原発は直ちに停止する」、「原発の再稼働は一切認めない」と明確に打ち出しました。
その小泉氏は、現役の時は推進していながら、いまゼロ運動を始めたのは、福島の現実を見て、安全・安い・クリーンというのはウソだったと語っています。
大井川知事も、福島第一原発を視察したとおっしゃいました。そうであるなら、県民の6割〜7割が再稼働反対だという声を、どのように聞こうとしているのでしょうか。福島避難者の方からもお聞きすべきです。そして、日本原電が再稼働するかどうかまだ決めていないというなら、今こそ、廃炉の決断を働きかけるべきではないでしょうか。知事の所見を伺い質問といたします。

【大井川知事】
まず、県民の声をいつ、どのように聞くのかについてであります。
東海第2発電所の再稼働問題は、県民の生活に密接に関わる問題であることから、県民本位の立場に立ち、県民の安全、安心の観点から慎重に判断していくことが重要であると認識しております。
そのためには、原子力発電所の安全の確保が第一でありますことから、まずは、国における新規制基準適合性審査の状況などを踏まえ、東海第2発電所の安全性について、しっかりと見極めていくことが重要であると考えております。
また、実効性ある原子力防災体制が構築されていることも再稼働を判断する上での重要な要素であると考えております。
こうしたことから、県といたしましては、県原子力安全対策委員会における安全性の検証作業に、引き続き取り組んでまいりますほか、原子力防災体制については、東海第2地域原子力防災協議会作業部会において、様々な課題について徹底した検討を進めてまいります。
そして、これらの検討状況については、広く県民に情報提供を図り、県民の理解の醸成を図ってまいります。
その上で、県民の声を十分に踏まえながら、丁寧な議論や検討を行っていくことが必要であり、その時期を含めた具体的なプロセスにつきましては、国や事業者の動向も踏まえながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。

次に、東海第2発電所の廃炉の決断についてお答えいたします。
東海第2発電所につきましては、本年11月には運転開始から40年を迎えることから、設備機器の経年変化を踏まえた高経年化対策が重要であると認識しております。
こうした中、日本原電は、運転期間延長認可申請を行ったところであり、設備機器を対象とした特別点検による劣化状況の評価結果や、この結果を踏まえた保守管理に関する方針について、現在、国の審査において客観的な評価が行われているところであります。
県といたしましては、運転期間延長認可申請の内容も含めた高経年化対策の状況について、沸騰水型である東海第2発電所の特徴も踏まえた上で、県原子力安全対策委員会において、しっかりと検証を行い、東海第2発電所の安全性について見極めてまいりたいと考えております。
東海第2発電所の再稼働問題につきましては、これまでも申し上げているとおり、安全性の検証に加え、万一に備えた実効性ある原子力防災体制の構築を図った上で、県民の声にしっかりと耳を傾け、県民の安全、安心の観点から慎重に判断してまいりたいと考えております。

再質問
それぞれご答弁いただきましたが、まず、泉町北地区再開発事業については要望をいたします。
知事が許認可しないということです。異例づくめと申し上げました。
事業計画はもちろん、権利変換計画も認可を得ていない。実施計画もできていないのに水戸市は今年度20億円、来年度40億円を予算化し、すでに地区内の土地所有者組合に移転を開始しています。再開発に組み込めば、巨大な空きビルを税金で解体撤去できる。再開発を利用すれば、市民会館の建設費に国の補助金が出る。こんな、再開発事業というかくれみのにして税金投入する事業に、県が加担することがないよう強く要望します。

そして知事に2点、再質問いたします。
1点目は、霞ヶ浦導水事業についてです。知事は大洗の原子力研究開発機構が持っている水利権の内容をご存知でしょうか。1日5万2千トンの大部分が、材料試験炉(JMTR)の冷却水とされています。しかし、この試験炉は昨年4月に廃止が決まりました。この水利権を、県中央広域水道の10市町村1企業団に振り替えれば、霞ヶ浦の水を那珂川に送らなくてもその必要はまったくなくなります。
県はこういう水利権の実態を承知できないとこれまでずっと国任せにしてきた。そして導水事業を進めてきた県政を変えて、少なくとも知事に、県内水利権の実態をまずはきちんと県が把握するかどうか、お答えください。
もう1点は、東海第2原発についてです。
知事は、昨年の予算特別委員会で、「福島の第一原発事故でも証明されましたとおり、絶対ということはない」と私の質問にご答弁されました。「絶対はない」、事故のリスクがある、そういう老朽原発を動かしてはならない。これが県民の思いです。
知事は就任後随所で、「儲かる農業」「稼げる茨城」と発言していますが、原子力発電はもはや稼げる産業でしょうか。知事の県政運営において県民の安全第一か、企業の利益第一か、どちらを優先するか答えは明白です。再度、東海第2原発の再稼働は認めないという決断を求め、再質問を終わります。

【大井川知事】
水利権の融通についてでございますが、現状におきまして、日本原子力研究開発機構など事業者が水利権を得て、事業活動を行っている現状にございますので、その水利権が放棄されることを仮定し、議論をすることは適切ではないと考えております。

次に東海第2原発の廃炉についてでございます。
県といたしまして、現在進めている県原子力安全対策委員会における安全性の検証作業や実効性ある原子力防災体制の構築に向けた検討作業に引き続きしっかりと取り組んでいくことが重要と考えており、適時適切に県民の皆様に情報提供をさせていただくともに、ご理解をいただくような努力をするよう努めてまいります。


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