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質問・発言

●2017年第3回定例会 江尻加那県議の予算特別委員会質問 2017年10月25日(水)

〈質問事項〉
1.福祉行政について
 (1)放課後児童クラブ(学童保育)の拡充
 (2)DV被害の相談支援体制の強化
 (3)「日本一子どもを産み育てやすい県」への取組
2.水行政について
 (1)水資源の利用
 (2)霞ヶ浦導水事業
3.東海第2原発の再稼働問題について

1.福祉行政について
(1)放課後児童クラブ(学童保育)の拡充

知事と関係部長には、わかりやすいご答弁をよろしくお願いいたします。
はじめに、福祉行政について、保健福祉部長と知事に伺います。
まず、学童保育―いわゆる放課後児童クラブの拡充についてです。
小学1年〜6年生の子どもたちが通う放課後児童クラブ。一緒に過ごす仲間は、小学校のクラスメートや兄弟とはまた違う関係がつくられます。豊かな子どもの生活の場であり、働く親の仕事と子育てを支えるという点で、保育所と同じ役割を担っていますが、まだまだ光があたっていません。
まず、本県の放課後児童クラブの待機児童数は何人か、保健福祉部長に伺います。

【保健福祉部長】
放課後児童クラブ(学童保育)の実施箇所数でございますが、今年度は5月1日時点で889か所、昨年度より45か所増加しております。なお,登録児童数も年々増加し、県全体で同じく本年5月1日現在で約36,000名となっております。
また、登録できなかった児童数いわゆる待機児童数でございますが、今年度は556名おりまして、昨年度より78名増となっております。

施設が増えても、待機児童が増えているということは、ニーズが大きいことの表れです。放課後児童クラブの実施主体は市町村ですが、県全体としてどのような課題があるのか。その解決に向けて、どう取り組んでいるのか伺います。

【保健福祉部長】
放課後児童クラブの課題といたしましては、まずは「待機児童の問題」があると考えております。
利用者の需要の高まりを受けて、児童福祉法の改正により小学校3年生までであった対象児童の範囲が、平成27年度から6年生にまで拡大されたこともあり、待機児童数は増加傾向にあります。
県といたしましては、放課後児童クラブの整備について市町村に対し、補助金を交付して支援をしており、今年度当初予算で約3億円を計上し、31か所の施設整備を支援することとしております。
また、この他の課題といたしましては、放課後児童支援員の養成がございます。法改正に伴い放課後児童クラブの一定水準の質の確保を図るため、平成31年度末までに認定資格研修を修了した支援員を配置することとなりました。
このため、県といたしましては、放課後児童支援員としての知識及び技術を習得するための研修を平成31年度末までに計画的に実施し、必要な人数の支援員を養成しているところです。

施設の点では「足りない」というだけでなく、児童数の多いところと少ないところの差が広がり、どちらも困難を抱えています。
国は1箇所36人〜45人が望ましい規模としています。そのため、適正規模の施設運営費補助・年間430万6千円に対して、19人以下の小規模では約半分に、46人を超える大規模になると補助金は増やされるのではなく、逆に下げられています。
こうして、国は適正規模への移行を促していますが、本県では小規模施設が74箇所ある一方、大規模施設も40箇所あり改善されていません。
県は以前、小規模施設に独自の補助をしていましたが、橋本前知事はこれを廃止してしまいました。人口減少、子どもが減るもとで小規模施設を支える県補助を復活することが望まれます。大規模施設も2つに分けて保育ができるよう働きかけが必要です。
また、支援員(指導員)についても、国の処遇改善補助事業に申請し、賃金アップにつなげているのは本県では水戸市と古河市、常陸大宮市だけだと伺っております。労働条件や雇用保障など全国レベルよりいまだ低く、北関東4県でも一番低い状態が続いています。
例えば埼玉県では、独自の放課後児童クラブガイドラインを作り、県内市町村の設備や運営状況を毎年調査・公表し、底上げしています。栃木県や群馬県では、独自の補助や上乗せ事業を積極的に行っています。是非こうした取組に学んで、本県の学童保育を思い切って拡充していただきたいと考えますが、所見を伺います。

【保健福祉部長】
本県の放課後児童クラブの運営状況につきまして、国では毎年実施状況調査を行っておりますが、私共でも独自の実施状況調査をすることにより、詳細な状況の把握に努めているところです。
県では、放課後児童支援員のスキルアップを図る研修や、障害を持つ児童の対応など、県内の放課後児童クラブが個別に抱える課題の解決を図る「アドバイザー派遣事業」などを実施し、よりよい運営がなされるよう支援をしているところです。
また今年度は、放課後児童クラブ運営の参考となるよう、市町村担当者会議を開催し、規模などを含めた意見交換や好事例発表など情報の共有にも努めております。
県といたしましては、今後とも市町村と連携しながら、子どもたちが安心して過ごすことのできる居場所づくりを支援してまいりたいと考えております。
例えば保育所ですと、保育料が2人目は半額、3人目は無料といった補助を本県でも取り組んでいますが、学童保育にはそうしたものがありません。ぜひ、一体となって保育の拡充に取り組んでいただきたいと思います。

(2)DV被害の相談支援体制の強化
次に、DV被害の相談支援体制の強化を求めて、部長に伺います。
本県の児童相談所における昨年度の虐待相談対応件数は過去最多となり、中でも、子どもの目の前で父親が母親に暴力を振るう―いわゆる「面前DV」による警察等からの通報が増加しています。面前DVが子どもに与える影響をどう捉え、援助のためには何が課題か伺います。

【福祉部長】
委員御質問のいわゆる面前DVは、児童虐待防止法上心理的虐待として取り扱われおり、被害を受けた児童は自己肯定感が低くなったり、対人関係を築くことが難しくなったりするなど児童の発達に長期的に深刻な影響をもたらすと言われております。
また、暴力を目撃しながら育った子どもは、その生育環境から暴力を問題解決や感情表現の手段として用いることを学習してしまうこともあります。
県ではこのような被害を受けた児童に対し、女性相談センターや児童相談所の心理職員が面接や心理療法により心のケアを行うなどして支援をしているところでございます。
また、被害児童への支援にあたりましては,女性相談センターの一時保護が短期間となっておりますことから、その後の継続的な支援を適切に行っていくことが課題であると考えております。
このため、被害を受けた児童が一時保護所を退所した後も継続的な支援を受けられるよう市町村や、児童相談所,警察などの関係機関と緊密に情報交換を行うなど連携を図ってまいります。

内閣府の調査では、結婚している女性の3人に1人がDV被害を経験し、男性も5人に1人に増えています。ごく身近な問題のはずですが、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)ができて以降も、被害者の4割が誰にも相談していないと報告されています。
県の相談支援の中心を担っているのが女性相談センターです。先日伺って、取組と課題をお聞きしました。
繰り返される暴力の中で心的ストレス障害を抱え、夫からの追及の恐怖、経済的な問題、将来への不安。一緒にいる子どもたちへの配慮など、専門的な相談支援が必要です。
私が感じた課題は、まず一つに、被害者の心理的ケアを行う心理職員が非常勤職員となっています。
また、センターでの相談を平日は夜9時まで、土日祝日も対応するための相談員7名全員が非常勤嘱託職員で、雇用期限が原則5年とされていることです。
いずれも、その重要な専門的な業務にみあう常勤での配置強化が必要と考えます。
また県の一時保護所についても、昨年度、保護された女性は90人いて、一緒に保護された子どもが96人いました。その間、保育所や学校には通えません。ですが、本県の一時保護所には保育士も学習支援を行う職員がいません。配置が必要です。
以上、DV被害の相談支援体制の強化について、部長に伺います。

【福祉部長】
DV被害の相談支援を行う女性相談センターの一時保護所におきましては、委員ご指摘のとおり現在、心理職員については非常勤の嘱託職員を配置しておりまして、保育士や学習支援を行う職員の配置はございません。しかしながら、常勤の指導員や非常勤の心理職員が被害を受けた女性やその子どもに対して、生活相談や心理的ケアなどを行い,退所後に安心して自立した生活が送れるよう、その世帯の状況に応じた支援をしているところであります。
本県の児童虐待対応件数は年々増加にあり、その中でも,「心理的虐待」のひとつである「配偶者からの暴力の現場に児童がいたケース」の通告件数が大幅に増加しており,被害児童への心理的ケアを行う心理職員の役割が重要なものになっていると考えております。
さらに、一時保護所に入所中は、学校や保育所等に通えないことから、一時保護所内で児童に関わる保育士や学習支援を行う職員を配置することも同伴児童の処遇向上のためには大切であると考えております。
また、女性相談センターの相談室には、常勤の正職員を1名配置し、一時保護所や関係機関との調整を図るとともに、平日は午前9時から午後9時まで、休日は午前9時から午後5時まで、7名の女性相談員がシフト制で対応しているという状況でございます。
平成28年度の相談件数も4,923件と年々増加傾向にありますことから、今後,相談件数の推移を踏まえ、職員配置など適切に対応していくことが重要であると考えております。
今後、関係部局と調整を図りながら、これらの職員の配置の必要性やあり方について検討を行うなどして、DV被害に係る相談支援体制の強化に努めてまいりたいと考えております。

ご答弁ありがとうございました。
(3)「日本一子どもを産み育てやすい県」への取組
次に、知事に「日本一子どもを産み育てやすい県」への取組について伺います。
知事は「わかりやすい県政情報を発信していく」と述べていますが、例えば、放課後児童クラブはどの部署が担当かご存知でしょうか。
昨年度まで子ども家庭課の保育グループでしたが、今年度から少子化対策課の結婚支援グループに移されました。なぜ、学童保育が結婚支援なのか、県民にはわかりづらいと思います。
今の子ども政策局、これは子育て世代の雇用や住宅支援、妊娠や出産の医療体制、学校教育の充実、貧困対策など、子どもに係る包括的な対策、政策局が必要かと考えます。今後、子どもを支援する県庁の体制を、知事はどう創りあげていくのか。所見を伺います。

【大井川知事】
人口減少と少子高齢化が進行する中、若い世代に茨城に住んでもらうためには、医療や福祉、仕事m教育、それらがしっかりと揃った環境づくりが重要であります。
子ども政策局には子ども関連施策の総合調整を行う司令塔機能を十分に果たしてもらいたいと考えております。
その体制のもと保育所整備や保育サービスの充実、待機児童の解消をはじめ、雇用の創出や医療費・教育費の経済的負担の軽減など、子育て支援にかかる新たな施策を推進してまいりたいと考えております。

これまでの橋本県政は、国の基準を上回る独自の取組は行わない、補助金の上乗せはしない、相談員は嘱託職員でよいという県政だったと私は感じています。
このままでは「日本一」には、とてもなれません。大井川知事には、本県独自の上乗せや取組もしっかりすすめるというお考えか、所見を伺います。

【大井川知事】
日本一子どもを産み育てやすい県に必要なものについては、必要な対処をしようということで検討してまいりたいと思います。

ありがとうございました。今後の具体化を期待します。
2.水行政について
(1)水資源の利用

次に、水行政について、企画部長と知事に質問いたします。
まず、水資源の利用について部長に伺います。
資料1をご覧ください。これは、企画部策定の「いばらき水のマスタープラン」に示されている農業用水、工業用水、水道用水それぞれの県の需給量の見通しについてグラフにまとめたものです。
まず、農業用水について、平成27年度の見通しに対する実績水量はどうだったのか部長に伺います。

【企画部長】
農業用水の利用実績についてでございますけれども、農業用水につきましては多様な水源を利用してございまして、全ての利用実績を把握することは困難な状況にございます。

なぜ、県が把握できないのでしょうか。
マスタープランでは、県内の耕地作付面積が減少していくという推計をもとに、農業用水は年間1億立方メートル〜1億5千立方メートル減少するとなっていますので、実績について検証してください。
では、工業用水は増えるという計画ですが、実績はどうですか。

【企画部長】
工業用水につきましては、一部の事業所におきます統計調査結果はございますけれども、全ての事業所を網羅していない状況でございます。

これも県が網羅できないという事ですが、少なくとも私は、企業局に県が事業所に水を売っている工業用水について、その契約状況をお聞きしました。この10年間(H19〜H28)で、新規契約44件に対し、解除は75件で、契約水量も大きく減っています。しかし、県は増えるというのがマスタープランでした。
では、水道用水の27年度の実績量はいかがでしょうか。

【企画部長】
水道用水につきましては、厚生労働省の水道統計調査というのがございまして、それによりますと市町村等の水道事業におけます一日最大給水量の実績でございますけれども、現行計画ベースとなっております平成16年度は合計で約103万7千トン。それに対しまして最新データの平成27年度は約96万トンとなってございます。

農業用水と企業用水は、実績を示せない、把握できない。そして水道用水は平成16年103万トンから平成27年96万トンに減っているということです。
共産党はこれまでも、人口減少に加えて、節水技術・節水意識の高まりで、水の需要量は減り続けていることを示し、現実と乖離したマスタープランを見直すよう求めてきました。平成19年改定から、もう10年経ちました。見直すお考えはないのでしょうか、伺います。

【企画部長】
茨城水のマスタープランの改定についてお尋ねいただきました。
この計画でございますけれども平成9年当時、人口の増加や経済活動の活発化が見込まれる中で、本県の水需給を推計いたしまして水資源に関する施策を示しながら、将来必要な水資源を安定して確保するという目的で策定したものでございます。
県の総合計画の改定後の平成14年に茨城水のマスタープランに改称いたしまして平成19年に更なる改定をおこなったところでございます。
平成24年の県総合計画の改定によりまして、人口の減少傾向というものがハッキリとしてまいりました。こうした状況のなかで計画の目的であります水資源の確保と水需給の確立といった面で計画改定の必要性がなくなったことと、それから、今後、新たにダム事業等の計画もないこと、さらに、全国的に同様の理由で水需給計画を策定していない、あるいは、改定していない道府県が全体の約6割を超えている状況を考慮致しまして、本県といたしましても、長期水需給計画いわゆる水のマスタープランの改定はしないとしてきたところでございます。

今の部長の答弁は本県のマスタープランを改定する必要がないという理由には全くあたらないというふうに思います。部長への質問は終わります。

(2)霞ヶ浦導水事業
次に、知事にたいして霞ヶ浦導水事業について伺います。
今お聞きのように、これが橋本県政のもとでの水行政の実態でした。
なぜ、共産党が水のマスタープランについて再三、見直しを求めてきているのか。それは、この計画が霞ヶ浦導水事業や八ツ場ダムなど、国と一体となった水資源、水源開発の根拠になっているからです。
霞ヶ浦導水事業は昨年4度目の工期延長で、国は完成を平成35年に延ばしましたが、これさえもまったく見通しがありません。
導水事業の利水の面での必要性について、知事はどのようにお考えか、伺います。

【大井川知事】
霞ヶ浦導水事業についてお答えいたします。
まず利水面の件でございますけれども、利水の効果である都市用水の確保については霞ヶ浦導水の完成前提に暫定水利権を取得し、すでに水道用水として10市町村約70万人に、工業用水として23事業所に給水しているところでございます。このように現在、確保している安定水利権では不足しているため、本事業で参加することを前提とした、暫定水利権でまかなっている状況でございます。これに加えて、水道普及率の向上や、新規立地企業への供給、さらに地下水からの転換をはかる必要があることなどから、県としても霞ヶ浦導水による水源開発は必要不可欠であると認識しております。

もう一枚の資料2をご覧ください。前提水利権という話が知事からありました。
霞ヶ浦導水事業が関係する那珂川の本県部分の水利権許可状況です。国交省資料に基づき、農業用水、水道用水、工業用水を示しました。許可量の約8割を本県では農業用水が占めています。
那珂川はこれ以上水利権が許可できない「パンク河川」だと国は言います。新たに認めるには水源開発が必要で、完成までは暫定水利権だとしています。
ではどの部分が暫定かというと、向かって右側、県中央広域水道の日量約3万1千立方メートルと、那珂川県央広域工業用水道の約3万9千立方メートルとされています。
これは農業用水全体の約152万立方メートルと比較すると、暫定分はわずか4〜5%です。
また、工業用水として左下、大洗の日本原子力研究開発機構が、自前で那珂川に大きな水利権をもっています。県から水を買っている東海村にある原子力機構科学研究所と核燃料サイクル研究所、そして日本原電株式会社は3社合わせて日量14,000立方メートルですが、大洗の機構は1社だけで、51,840立方メートルです。
実際にはどれだけ取水しているのか、県として各水利権の実態を把握することなく、国の導水事業に従い続けてきたのが橋本県政です。
では、治水はどうでしょうか。霞ヶ浦の水質浄化について、那珂川と利根川の水を霞ヶ浦に送って薄めれば、水質改善が見込めるとする国交省の見解をそのまま県民にピーアールしておりますが、この治水事業について、大井川知事はどうお考えか伺います。

【大井川知事】
治水の効果でございますけれども、治水の効果といたしまして霞ヶ浦の水質浄化効果については国のシミュレーションによれば、西浦の湖水は現在年間約1.9回入れかわっているものが、導水することにより、2.8回入れかわることで、第5期霞ヶ浦にかかる湖水水質保全計画の将来負荷量を予想すると、COD値は平均で0.8ミリグラム/リットル程度低下させることとされており、その効果を期待しているところでございます。
また千波湖、桜川の水質浄化効果については、国のシミュレーションによれば、那珂川から千波湖に毎秒最大約3トンを導水すると、他の水質改善策と相まって、平成26年のCOD値16ミリグラム/リットルが8ミリグラム/リットル以下まで低下するとされており、その効果を期待しておるところでございます。
また、渇水被害の軽減についても、那珂川において春の田植えの時期には塩水遡上による農業用水貯水障害が起きるなど毎年のように被害が生じており、このような塩水遡上を抑制する効果を期待しております。
利根川においては頻繁に起きている渇水被害の発生が半減する効果も期待しております。   
このようなことから霞ヶ浦導水事業の治水面についても必要不可欠な事業と認識しております。

国のシミュレーションで水質改善、その効果に期待できると。独自の検証もしないでなぜ期待できると言いきれるのでしょうか。
導水事業は、利根川と霞ヶ浦と那珂川の水を相互にやりとりするものです。生態系への影響が心配され、茨城・栃木の那珂川水系8つの漁協が、アユやサケ、シジミなど水産資源に回復しがたい損害を与えるとして、那珂川取水口建設の差し止め訴訟を東京高裁でたたかっています。
霞ヶ浦をきれいにするために、那珂川や利根川の自然を汚していいはずはありません。
導水事業は着工から30年以上経ちました。1900億円の事業費8割を使って、地下トンネルは3割しかできていません。本県は851億円もの莫大な負担を求められ、完成すれば今度は維持費用も負担しなければなりません。これらはすべて県民が払う水道料金となって跳ね返ってきます。
人口が増えていた時代の甘い見通しで、水源開発に税金投入してきたこれまでの県政を大井川知事の下で改めて検証していただいて、導水事業からの撤退、中止の決断が求められます。再度所見を伺います。

【大井川知事】
事業の必要性、再建、権利の独自の検証の可否についてでございますが、本事業につきましては国において平成22年から事業継続の可否についての検証作業が進められており、霞ヶ浦導水事業と、それに変わる様々な対策案をコストや実現性、環境への影響などで評価した結果、本事業がもっとも有利であるとの結論に達しております。
本県においても千葉県など関係地方公共団体と共に、この検討に参加し、専門家等による有識者会議において検証手続は妥当とされていることから、改めて県単独で検証する必要はないと考えております。

国交省が進めている導水事業、国交省の下で検証していると。これは、県民がこれから将来水道料金を負担していく。その負担が増えるかもしれないという時に、今の知事の答弁でどれだけ県民が日本一幸せに暮らせる県になるのかと。税金だけではなくて、自然環境も壊されてしまうかもしれない。こういうことについて私は、県の検証をしっかりとしていただきたいと思います。

3.東海第2原発の再稼働問題について
最後に、東海第2原発の再稼働問題について、知事に伺います。
知事はこれまで「県民の声に耳を傾けて、慎重に判断していく」と述べてこられました。
すでに県民は「再稼働反対」の意思を示しています。衆院選・茨城新聞調査で63%、知事選出口調査では76%が「反対」です。
その上で、知事が県民に意見を求めるというためには、必要な情報を県が提供しなければなりません。過酷事故が起きたときの被害の大きさ―経済損失、雇用損失、健康への被害。そして、実効性ある避難体制にどれだけの費用と人員が必要か。隣接する多くの原子力施設との複合災害にどう対応するのか。使用済み核燃料をどうするのか。再稼働させた場合と廃炉にした場合それぞれについて、県は検討・掌握しておらず、県民にはしっかりと判断するのに必要な情報を示すことができていません。
こうした問題について、大井川知事はどう取組まれていくのか伺います。

【大井川知事】
東海第二発電所の再稼働問題については、県民の安全・安心の観点から慎重に判断してまいりたいと考えておりまして、必要な情報を県民に適切に提供した上で、県民の声にしっかりと耳を傾けていくことが大変重要であると認識しております。
そのため、県としては、先の代表質問でも答えたとおり、県民本位の徹底した安全対策と万一の事故に備えた原子力防災体制の構築を図りながら、それらの情報を広く発信し、県民の理解の醸成に努めてまいりたいと考えております。
加えまして、東海第二発電所の再稼働問題については、施設の安全性や原子力防災体制はもとより、原子力発電所の必要性や使用済燃料対策など国のエネルギー政策全体にも関わる課題、地域経済への様々な影響など、再稼働に伴うメリットやデメリットも含めた幅広い観点から、県民の視点でしっかりと議論していくことが必要と考えております。
このため,東海第二発電所の再稼働を議論するに当たっては、東海第二発電所の安全性や必要性などに関する県民の具体的な問題意識を的確に把握するとともに、必要な情報を県民に提供してまいりたいと考えております。

先日の本会議一般質問で、共産党・山中議員が、新潟県の3つの検証委員会の取組を紹介しました。新潟県では福島原発事故を最大の教訓とし、「事故の原因究明」「健康と生活への影響」「避難計画の実効性」をテーマに、独自の検証委員会を設置して検討を進めています。本県でもこうした検討が必要ではないでしょうか。
そして、茨城県原子力安全対策委員長の岡本孝司・東京大学教授は、原発メーカーである三菱重工と日本原電から10年間で約1,700万円の寄付を受けていると自己申告が公表されています。こうした委員長のもとでの委員会審議が、県民から信頼されるでしょうか。委員を選任するのは知事です。委員構成の改善を含め、本県の検証のあり方について、知事の所見を伺います。

【大井川知事】
東海第二発電所の再稼働問題については、県民生活に密接に関わる問題であることから、県民本位の徹底した安全対策と万一の事故に備えた実効性ある原子力防災体制の構築が議論の大前提と認識しております。
このため、施設の安全性については、原子炉工学や地震学をはじめとする各方面の専門家からなる県原子力安全対策委員会を既に設置し、これまで、国の新規制基準適合性審査の対応状況に加え、高経年化対策やヒューマンエラーなど県独自の視点も加えて検証作業を進めているところです。
一方、原子力防災体制については, UPZ圏内の14市町村がそれぞれ進めている避難計画の策定作業と並行して、国や県、関係市町村等で構成する東海第二地域原子力防災協議会作業部会において、様々な課題について徹底した検討を行っているところです。
その上で、県民の安全・安心を確保する観点からは、こうした過程を経て構築した原子力防災体制の実効性についても検証することは必要であると考えており、これまで、県広域避難計画の策定にあたり,放射線影響や防災に関する専門家からなる県地域防災計画改定委員会原子力災害対策検討部会において検討いただいた経緯があるので、実効性の検証に当たっての具体的な方法については、訓練の実施や原子力災害対策検討部会の活用も含め、今後検討してまいります。

審議の経過、そしてどんな検討を進めていただくのか、その委員はどのように選任していくのか。私は全てにおいて結果として県民にそれが理解を得られるのかどうかというのが一番重要だというふうに思います。
福島の現実を見れば避難では済みません。有無を言わせない移住です。放射能に汚染され、元の暮らしに戻れないのというのが原発事故の残酷さです。
賠償請求を求めた今年3月17日の前橋地裁判決、今月10日の福島地裁判決も、いずれも国の法的責任を認めました。福島の裁判長は被害を検証し、住民の声を聴くため、防護服に身を包んで避難区域に入りました。法廷での証言や証拠のやりとりだけではなく、現場を踏み、実態を確認した上での判決です。重みがあります。
知事はこの6年半の間に、福島に行かれましたか。どのようなことが心に刻まれたのか、実体験がありましたらお答えください。

【大井川知事】
私も福島第一原発には防護服をつけて視察をさせていただいたことがございますし、周辺の市町村について、視察に行った経験がございます。
そういう経験を踏まえながら、東海第二原発の問題もしっかり、県民本位で考えていきたいと思っています。

原発の運転期間を40年と法律で決めておきながら、国みずからそれを破って、さらに20年も延長させようといま進められています。
私は、先の本会議で知事の多選禁止条例制定に向けた考えをお聞きしながら、どんな問題でも、きちんと決めたルール、法律、条令に適用除外や抜け道をつくって原則を形骸化させれば、国民・県民の信頼を失うことになると考えます。
原発事故が起きれば、取り返しのつかない事態になると言うことは誰も分かっています。安全神話は崩れています。知事は東海第二原発も事故が起き得る、その可能性があるという認識に立って原子力行政を進めていかれるのか、伺います。

【大井川知事】
先の福島の第一原発事故でも証明されましたとおり、絶対ということはないという観点で、避難対策も含めて万全の検証をする必要があると考えております。

絶対はない。安全な原発はないということですが、原発再稼働と運転延長は認めないという知事の決断・判断を私は県民が求めていると思います。
知事は本会議で「リスクをとる政治」とおっしゃいましたが、原発についてはリスクは絶対にとらないということが重要だと思います。最後お伺いします。

【大井川知事】
原発の問題につきましては、先ほどから申し上げましたとおり、県民の安心・安全をまず基本として慎重に考えていきたいと思っております。

以上で終わります。ありがとうございました。


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