日本共産党 茨城県議会議員団 一人一人が大切にされる政治をめざして
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質問・発言

●江尻加那県議の一般質問・答弁

1 東海第二原発の再稼働と運転延長について
2 本県の水利権と水行政について
3 廃棄物行政について
   (1)ごみの減量化・資源化の推進と広域化の現状
   (2)廃棄物処理施設の適正管理
4 保健福祉行政について
   (1)0〜2歳児保育所待機児童の解消に向けた取組み
   (2)都道府県化される国民健康保険の問題点
5 教育行政について
   (1)スクールバス保護者負担の無料化
   (2)少人数教育の拡充と教員の確保
   (3)教員の勤務時間の実態把握と改善

 日本共産党の江尻加那です。
 6月6日、原子力機構大洗研究開発センターで起きた事故で被ばくした作業員の方々に対し、健康被害が最小限に収まるようお見舞い申し上げます。
 私たち共産党県議団は先週8日に現地調査を行い、副所長に事故の徹底検証と核燃料の厳正管理を申し入れました。
 核関連施設が集中する本県では、過去、動燃再処理工場が最悪の火災爆発事故を起こし、JCOでは日本史上初の臨界事故。そして今回、プルトニウム飛散による内部被ばく事故です。
 同様に原発立地県である新潟県の米山隆一知事が原子力に向き合うきっかけとなったのは、まさに本県のJCO事故です。医師である米山さんは事故当日、放射線医学総合研究所の当直医でした。全身に放射線を浴び、手の施しようがない現場を目の当たりにして、「二度と犠牲者をつくってはいけない」と心に刻んだそうです。
 知事となった米山さんは、「原発は大きな話だが、県民の願いは小さく、ささやかなものだ。家族の安全や子どもの健康・命を守りたい。そのささやかな願いにこたえられない政治じゃいけない」と訴えています。他県の事故に学んで、新潟県民の安全を考えています。
 それに比べ、重大事故が立て続けに起きた施設を有する本県知事が、原発のことは国が決めるのを待っている。この違いは何でしょうか。

1.東海第二原発の再稼働と運転延長について
 東海第二原発の再稼働問題は、いよいよ重大な局面です。
 この間、知事は「原発について県民に不安の声があることは十分承知している」と答弁しました。ならば、日本原電社長が「20年運転延長を申請したい」と表明した際に、「再稼働それ自体をやめてもらいたい」と言うべきではなかったでしょうか。
 一方、先の第1回定例会予算特別委員会で私の「廃炉の決断を」という質問に対し、橋本知事は「こちらからあえて廃炉を言う必要もない」と答えました。その理由は、県の方から廃炉を言った場合と、国の都合で廃炉にした場合とでは、その後の地域をどうするか大きく異なるからだと言いました。県民の命と安全を引き換えに、国からの見返りを求めるということか。原発はそういう問題ではありません。命の問題です。
 私たちは先月、日本原電東海事業本部にヒアリング調査を行いました。
 原電の説明で明らかになったのは、
 第1に、原子炉が沸騰水型の東海第二原発は、加圧水型と違ってフィルタ付ベント装置が完成しなければ再稼働できない。その理由は、格納容器の容積が小さいために爆発のリスクが高いということ。
 第2に、予測する津波高さ17.2mよりはるかに低い海抜8mに原子炉が立地しているため、防潮堤が完成しなければ再稼働できないこと。
 第3に、溶けた核燃料が格納容器を突き抜けて水蒸気爆発するのを防ぐための装置、いわゆるコアキャッチャーが装備されていないこと。
 第4に、建設開始から見ると40年以上使ってきた燃えやすい電気ケーブルの劣化に対し、最新の知見にもとづく健全性評価がなされていないこと。
 第5に、現在、東海第二で保管している核燃料は3,117体にのぼり、そのうち2,202体はいまだプール内で冷やし続けており、青森県六ヶ所村やむつ市の工場に搬出する目途がまったく立っていないことです。
 県は、東海第二原発特有の危険性をどう検証しているのでしょうか。
 知事が設置する原子力安全対策委員会は年2・3回の開催で、原子力審議会に至っては福島原発事故直後に1度開いたきりで、その後6年間は何も審議していていません。
 安倍政権は、規制委員会の合格をもって次々と再稼働する電力会社を後押ししても、核のゴミ処分は決められないという無責任さです。
 そこで、知事に伺います。第1に、東海第二原発を20年運転延長させる危険性をどのように認識しているのか。第2に、広域避難計画の実効性や事故による被ばくや被害の想定、県民生活や地域産業への影響をどう検証するのか。第3に、増え続ける使用済み核燃料への対応と、国が固執する破たん済みの核燃料サイクル政策にについて、知事の所見を伺います。

【知事】
 江尻加那議員のご質問にお答えいたします。
 初めに東海第二原発の再稼働と運転延長についてお尋ねをいただきました。
 まず、東海第二発電所の安全性の検証についてでございます。
 国の原子力規制委員会における新規制基準への適合性審査につきましては、各発電所毎に、審査に当たって特に着目すべき主要な論点を抽出し、発電所の特徴を踏まえた審査がなされているところであります。
 東海第二発電所につきましては、国から地震・津波関係やプラント関係に関する主要な論点28項目が示されており、特に、東海第二発電所の固有の論点として、敷地に遡上する津波に対する防護対策、重大事故等が発生した場合に用いる可搬型設備の保管方針、原子炉格納容器の型式を踏まえた安全対策、並びに非難燃ケーブルの防火対策について、慎重な審査がなされているところと聞いております。
 県といたしましては、茨城県原子力安全対策委員会の下に「東海第二発電所安全性検討ワーキングチーム」を設置し、国の審査と並行して、東海第二発電所の安全性についてご審議をいただいているところでありますが、国の審査における論点に加えて、運転開始から38年を経過した東海第二発電所の高経年化対策や、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた平時からの安全管理体制の強化の状況なども重要な論点と考えており、高経年化対策やヒューマンエラーの専門家にもご参画いただき、県独自の視点から慎重なご審議をいただいているところであります。

 次に、避難計画の実効性の検証についてであります。
 避難計画につきましては、県が策定した広域避難計画を踏まえ、現在、30キロメートル圏内の14市町村において策定が進められております。今後、計画内容の具体化に向け、県も参画している国の東海第二地域原子力防災協議会において、市町村とともに、避難時に必要となる車両の確保や予定していた避難先施設が使用できない場合の対応策の検討などに取り組んでまいります。
 さらに、策定した計画の実効性を検証し、計画内容を見直していくことは大変重要であると考えております。そして、そのためには、避難訓練の実施とその評価が必要であることから、各市町村の計画が策定された段階で、市町村を含め関係機関と連携しながら避難訓練ができるように検討してまいります。
 次に、県民生活・地域経済への影響の検証についてでございます。
 原子力発電所の再稼働につきましては、電力の暗闘供給といったエネルギー政策上の必要性や地球温暖化といった環境問題への対応などの全国的な視点を基本に据えた上で、施設の安全性が確保されていることを大前提に、当該地域における防災体制の整備状況などを考慮し、まずは、国において総合的に判断し、個々の原子力発電所について方針を決定していくべきであります。
 再稼働した場合と廃炉にした場合の県民生活や地域経済への影響につきましては、例えば、事故が発生した場合、周辺に被害が生じるのかどうか、仮に生じた場合に被害の程度や被害が及ぶ範囲をどのようにするのかなど、仮定の置き方によって影響の評価が大きく異なってまいります。
 また、温室効果ガスの削減効果、エネルギーコストが経済活動や家計に与える影響など、全国的見地から判断しなければならない課題も多くございます。このようなことから現段階で県独自で検証を行っていくということについては考えておりません。

 次に、東海第二発電所の使用済燃料対策についてでございます。
 東海第二発電所には、現在、使用済燃料プール及び乾式貯蔵施設に合計2,165体の使用済燃料が貯蔵されておりますが、現在のところ、乾式貯蔵キャスクに122体分の余裕があり、今後さらに、427体分のキャスクの増設が計画されているところでございます。
 さらに、今後は、発電所敷地内に加え、青森県むつ市に建設中の乾式貯蔵施設において貯蔵する計画となっておりますことから、当面の使用済燃料の貯蔵能力は確保されていると承知しております。
 再稼働に伴い発生する使用済燃料に係る対策については、東海第二発電所の今後の取扱いが未だ明らかになっておりませんし、日本原電から具体的な説明も受けておりませんが、原子力発電所の使用済燃料の貯蔵対策は、全国的にも喫緊の課題となっておりますことから、原子力発電所の立地道県で構成する原子力発電関係団体協議会とも連携し、その早期解決に向け、国や事業者の取組みの促進を継続的に働きかけているところであります。
 また、核燃料サイクルを含む国のエネルギー政策のあり方につきましては、エネルギーの安定供給や環境問題への対応といった長期的な視点を踏まえつつ、安全の確保と国民の十分な理解を大前提に、国の責任においてしっかりとした方向性を示していくことが重要と考えております。
 核燃料サイクル政策につきましては、国のエネルギー基本計画において、資源の有効利用や高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、引き続き再処理やプルサーマル等を推進するとされているところでありますが、現在、国において、高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉方針の決定に伴う高速炉開発方針の見直しが進められておりますほか、次期エネルギー基本計画の策定に向けた議論が開始される見通しとなっておりますので、県といたしましては、そうした国の動向をしっかりと注視していくことが必要であると考えております。

2.本県の水利権と水行政について
 次に、本県の水利権と水行政について質問します。
 知事の国任せ、企業優遇の姿勢は、水行政にも表れています。霞ヶ浦導水事業への莫大な事業費負担を県民に押し付け、これに参画しなければ水利権を与えないという国の基準について、私は知事や関係課に説明を求めてきました。
 知事は昨年3月の私の本会議質問に「渇水基準については、後ほど届けたい」と答えましたが、その後、担当課長は委員会で「県として把握していなかった。国からも説明がない」と答えたのです。これが行政かと耳を疑いました。いかに、水源開発ありきの行政であるかがわかります。
 そこで、私は先月、直接、国土交通省常陸河川国道事務所に行き、本県区間の水利権について聞き取りを行いました。
 驚いたことに、久慈川ではいくつもの水利権が放棄・縮小されており、大量の水利権が余っていることがわかりました。その代表的なものは、東海村にある原子力機構科学研究所と同機構核燃料サイクル研究所、そして日本原電株式会社の3つの事業所ですが、合わせて日量約33,000トンの水利権を放棄し、かわりに県央広域工業用水からの受水に切り替えました。県との契約水量は、合わせて14,060トンと、水利権の時の半分以下に縮小しています。
 ただで水を取れるときは大量の水利権をもらい、料金を払うとなると過剰分はいらないと契約を半分にするという企業の論理です。
 「ただで」というのは、河川の水利権者に対し、県は「茨城県河川流水占用料等徴収条例」で料金を徴収できるのに、わざわざ減免規定で、原子力機構は国に準ずる法人として全額免除としています。
 それだけではなく、1企業である日本原電株式会社に対しては、減免規定もないのに、水利権放棄までの数十年間、1円も徴収していません。
 一方、那珂川では、原子力機構の大洗研究開発センター、今回、被ばく事故を起こした研究所ですが、ここは現在も、那珂川から水を引いています。その水利権は日量約52,000トン、東海村の3事業所合わせた3倍以上の量で、明らかに過大な水利権を国は与えています。そして、大洗研究開発センター原子力機構の取水実態を県は把握しているのでしょうか。県の統計年鑑の工業用水利用状況を見ると、まったく記載されていません。
 日量52,000トンと言えば、暫定水利権とされている本県中央広域水道の平均取水量を超える大変な量です。水戸市など10市町村1企業団に送る水より、1事業所に与えられた水利権量が大きいことに県は何の疑問も持たないのか。大洗研究開発センターがもつ那珂川の水利権を県中央広域水道に振り替えれば、霞ヶ浦導水事業の暫定水利権は必要なくなります。
 国言いなり、企業優遇ではなく、住民に安くて安全な水を提供する県の水行政に転換していただきたい。知事の所見を伺います。

【知事】
 議員ご指摘の、具体的な数字につきましては伺っておりませんでしたので、同じレベルでの答弁はしかねますが、しかし、全体として、現在、那珂川や久慈川における水利権の放棄や減量につきましては、事例がないわけではございません。ただ、過去10年間程度で見てみますと、那珂川で毎秒約0.08トン、久慈川で毎秒約0.3トンと、その量はわずかでございまして、本県の企業局が必要とする暫定水利権量の毎秒約0.8トンの水量を満たすほどの量ではないと認識しております。
 実際に、田植えの時期には塩水遡上による農業用水や水道用水の取水障害が発生するなど、毎年のように渇水被害が生じており、決して安定して取水ができている状況にはございません。
 また、那珂川や久慈川の水利権の許可権者である国からも、たとえ水利権の放棄や減量があったとしても、新たな安定水利権を許可する余裕はないと聞いているところであります。
 このため、企業局では霞ヶ浦導水事業の完成を前提に暫定水利権を取得し、県央地域において水道用水として10市町村の約70万人に、工業用水として日立製作所や常陸那珂火力発電所など23事業所への給水を行っているところであります。
 現状におきましては、新たな水資源開発事業への参画により、将来の安定水利権の取得に向け、必要な水量を確保し、安定的な水供給を行っていく必要があると考えております。

3.廃棄物行政について
(1)ごみの減量化・資源化の推進と広域化の現状
 次に、廃棄物行政について、生活環境部長に伺います。
 ここにも原発事故の影響が表れています。再生利用できていた汚泥等が放射能に汚染されてリサイクルできず指定廃棄物となり、本県の産廃再生利用率は60%(H20年度64%)にまで低下しています。
 また、県民1人1日当たりのごみ排出量は、県自ら掲げた削減目標を達成できず、全国平均を上回って8番目に多い排出量です。プラスチック製容器包装を分別収集する市町村も、全国平均8割に比べて本県は6割台です。
 県は、国の方針のもと1998年に「ごみ処理広域化計画」を策定しました。しかし、そこには減量化の目標もなければ、資源化の数値目標も示されていません。広域化で処理区域を拡大して、施設の集約化と大規模化を進めたのです。この県計画は10年間で終了となりましたが、今も計画を根拠とした石岡市・かすみがうら市・小美玉市・茨城町の4市町広域整備や、潮来・行方・鉾田の3市協議を進めています。
 県は広域化計画を終了したことを明確にして、ごみの減量と再資源化にこそ全力で取り組むべきです。
 そこで3点伺います。(1)ごみ排出量の削減目標を達成できなかった要因をどう検証しているのか。(2)プラスチック製容器包装の分別収集をどう市町村に拡大していくのか。(3)広域化ではなく、市町村の実態に沿った処理を進めていくことについて、以上3点、生活環境部長の所見を伺います。

【生活環境部長】
 廃棄物行政についてお答えいたします。
 はじめに、ごみの減量化・資源化の推進と広域化の現状についてでございます。
 まず、ごみの減量化についてでございます。
 第三次茨城県廃棄物処理計画におきましては、1人1日当たりの排出量、再生利用率、最終処分量の3項目について、計画目標を定めております。平成27年度における再生利用率及び最終処分量は、概ね目標を達成いたしましたが、排出量は、横ばいの状態であり、目標を達成できませんでした。
 これは、家庭系ごみに多く含まれる生ごみの水分の減量化が進んでいないこと、また、家庭系ごみの約3割を占める紙類の減量化が進まなかったことなどが原因であると考えております。
 このため、生ごみについては、水切りの浸透を図ってまいりますとともに、紙類の減量化を図るため簡易包装の呼びかけなどを行ってまいりますほか、食品ロスにつながる食品の買いすぎや作りすぎの防止などを呼びかけてまいります。
 なお、第三次計画の取組実績につきましては、今年度、平成27年度を含むすべてのデータが揃いましたことから、年度内に分析評価を行い、必要に応じて現行計画に反映させることを検討しております。
 次に、プラスチック製容器包装の分別収集の推進についてでございます。
 プラスチック製容器包装の分別収集の推進には、市町村におけるきめ細やかな分別収集が有効であります。県では、平成23年に「一般廃棄物分別収集区分に関する指針」を策定し、市町村に対し分別区分の拡大と徹底を助言してきているところでございます。
 今後ともプラスチック製容器包装分別が未実施の市町村を訪問し、取り組み事例の提供や分別収集のメリットを説明し、区分の拡大を図ってまいります。
 また、分別の促進には消費者の理解と協力が不可欠であることから、環境にやさしい買い物運動を推進するとともに、学校などにおける環境学習の支援や出版物の配布など、意識啓発、知識の普及に努めてまいります。
 次に、ごみ処理の広域化の現状でございます。
 平成9年に広域化を促進するための国の通知を受け、県は、平成10年4月に計画期間を10年とする「ごみ処理広域化計画」を策定いたしました。当時の計画は、ごみ処理の効率化やダイオキシンの発生防止を図るために最終的に県内を10ブロックにするというものでございました。
 しかし、平成10年代の後半から市町村合併が本格的に進み、当初の広域化の枠組みの姿が大きく変わってまいりました。また、ダイオキシンの発生は、技術革新により、大規模施設でなくても、抑制できるようになってまいりました。
 県といたしましては、焼却施設の運転の効率性、経済性等から広域化を進めている市町村に対しまして、地域の実情に合わせ施設整備に係る国の交付金の活用などが円滑に行われるよう個別に助言しているところでございます。今後とも、市町村の意向を十分尊重しながら、広域化を支援してまいります。

(2)廃棄物処理施設の適正管理
 循環型社会の形成において、民間の再資源化事業が果たしている役割は重要です。
 しかし、残念ながら、適正な管理がされずに周辺環境に悪影響を及ぼしている再資源化施設があります。その一つが、水戸市にある障害者が入所する県立あすなろの郷の隣にあるたい肥化施設です。
 周辺住民から、長年、ひどい悪臭やおびただしい数のカラスやトンビへの苦情が再三、行政に寄せられています。県は過去6年で23回もの立入検査を行い、改善指導してきたとのこと。
 しかし、私は施設の立地そのものが疑問です。県は自ら「廃棄物処理施設の取扱いについて」という基準を定め、廃棄物処理施設の立地は「周辺に住宅、学校、病院等がないこと」としています。なぜ障害者入所施設はこれにあてはまらないのか。さらに言えば、あすなろの郷には、利用者の医療や健康管理を行う病院があることは県も承知のはずです。取扱い基準に反するのではないか。
 あすなろの郷が昨年発行した「寮だより」には、「悪臭などの被害を、社会の弱者である利用者に追わせるのは大きな問題だと思うのです」と書かれています。
 長期間行政指導をくり返し、結果として営業継続を認めている県行政への不信を招いてしまっていると考えます。改めて厳正な対応を求め、生活環境部長の所見を伺います。

【生活環境部長】
  まず、廃棄物処理施設の設置についてでございます。
 廃棄物処理施設の設置に当たりましては、事前審査において、廃棄物処理法はもとより都市計画法や鳥獣保護管理法等の関係法令等に基づき、施設の構造や維持管理計画、施設周辺の生活環境の保全、土地利用計画との整合性などについて審査を実施し、それらの適合状況を確認の上、許可を行っているところでございます。
 次に、廃棄物処理施設への行政指導等についてでございます。
 県では、廃棄物処理施設の適正管理を図るため、廃棄物処理法に基づき、全ての施設に対し、定期的に立入検査を実施しております。
 この立入検査において、施設の構造や維持管理等に問題が生じていないかを確認し、廃棄物の保管方法などに問題が認められた場合には、直ちにその改善を指示するなど、必要な指導を行っております。
 また、このような指導によっても十分な改善が図られない場合には、事業者自らに改善計画を作成させ、その進捗状況を立入検査により継続的に確認し、改善の促進を図るなど、個別・重点的な指導を行っているところでございます。
 県といたしましては、今後とも、生活環境の保全を図るため、地元市町村とも連携し、廃棄物処理施設への立入検査等を通じて、法令等が定める基準の遵守を厳しく指導することにより、施設の適正管理を図ってまいります。

4.保健福祉行政について
(1)0〜2歳児待機児童解消に向けた取組み
 次に、保健福祉行政について知事に質問します。
 今年4月、水戸市の保育所待機児童は113人、つくば市は114人、合わせて227人。そのうち、0〜2歳児が9割を占めるとの報告です。
 安倍政権は待機児童ゼロを3年先送りしました。「少子化だと騒ぎながら、保育所さえ入れない。なにが女性活躍か」と、多くの母親の声だと思います。
 そして、本県の待機児童ゼロ目標は2年後の2019年度です。そのために、県は保育定員を63,760人にする計画ですが、そのうち0〜2歳児の定員はと言うと県は25,504人としています。しかし、これは市町村の目標を足し上げただけで、県としての需要予測を行っていません。
 本県で1年間に生まれる赤ちゃんは約2万人。0〜2歳児で約6万人います。そして今、女性の7割が働き、その7割が出産後も働き続けている統計データからみれば、私は少なくともこどもの数の半分の保育定員が必要だと考えます。6万人にいれば3万人分。現在の2万5千人目標では、とても待機児童を解消できません。
 そして、0〜2歳児は、育休明けで年度途中からの入所が必要です。これに対応するため埼玉県や長野県など9県では、年度途中の乳児受入れのために、あらかじめ年度当初から保育士を配置する経費を県が補助しています。本県内の保育園経営者からも要望が寄せられています。0〜2歳児の保育定員の拡大と、年度途中の入所を保障する支援策を求めて、知事の所見を伺います。

【知事】
 まず、0〜2歳児保育所待機児童の解消に向けた取組みについてでございます。
 本県では、子ども・子育て支援事業支援計画において、地域の人口構造や産業構造等の地域特性、教育・保育の利用希望等を踏まえ市町村において推計した保育の量の見込みをもとに、策定年度である平成27年度から31年度までの5年間で新たに約12,000人分の保育の量を確保し、待機児童数をゼロとする目標を掲げております。
 これまでに、安心こども基金等を活用した集中的な保育所や認定こども園の整備、さらには、3歳未満児を主な対象とする小規模保育や家庭的保育等の地域型保育事業の実施について、市町村に働きかけるなど、多様な保育サービスの提供、保育の受け皿拡大を図り、保育の提供体制の整備を進めてきたところでございます。
 他方、核家族化の進展や地域のつながりの希薄化、また、女性の就業率の上昇などによ り保育需要は増加してきており、特に3歳未満児においては、現在の計画上の供給量では不足することが見込まれております。
 こうしたことを踏まえ、計画期間の中間年にあたる今年度におきまして、市町村子ども・子育て支援事業計画における計画と実績とのかい離の精査や、保育の需要量と確保策の見直しを行う中で、今後の3歳未満児の保育需要を的確に把握してまいりたいと考えております。
 また、年度途中の入所につきましては、例年、4月以降も育休明け等による保育の申込みが行われますが、施設整備や定員の見直しによる保育の受け入れ枠拡大はその多くが4月に行われますことから、年度の後半になるにつれて入所が困難となる傾向にございます。
 他県においては、年度途中の入所促進のため、年度当初から保育士を余分に配置するための雇用経費の補助などを行っている例もございますが、受け入れ枠を増やすには入所者 数に応じた面積と保育士配置数の両方の基準を満たしておく必要がございます。
 しかしながら、本県においては、保育士の確保自体が大変困難な地域も多く、他県と同様の事業を実施していくためには、その実施可能性や有効性について十分に検証を行っていく必要があると考えております。
 そのため、今後、事業者との協議などを行い、本県における年度途中からの入所の促進について、有効な施策を検討してまいりたいと考えております。
 なお、県におきましては、今年度新たに福祉人材確保室を設置したところでありますので、こういった場所におきましても、保育士を含めた福祉人材の確保が図られるように図ってまいりたいと考えております。

(2)都道府県化される国民保険の問題点
 次に、国民健康保険について質問します。
 来年度から、都道府県が国保の保険者となり、市町村の国保行政を統括・監督する仕組みが導入されます。国は、国保加入世帯の貧困化が深刻になった後も国庫負担を増やしていません。高すぎる保険税、無慈悲な保険証取り上げ、過酷な滞納処分をすすめ、子育て世帯にとっても、子どもが多ければ多いほど国保税が高くなる仕組みです。こうした矛盾は都道府県化でさらに拡大して県民を苦しめます。
 日本共産党は国保の都道府県化に反対してきました。そして先月私は、県が開いた「国保制度移行準備委員会」を傍聴して、さらに危機感を強めました。
 県の委員会資料には市町村の状況が示されています。例えば、水戸市の国保に加入する世帯の平均年所得は67万円、これに対し国保税は平均8万8千円。実に所得の13%もの負担で、子どもが1人増えると3万円ずつ高くなります。
 ところが、県が示す「国民健康保険運営方針骨子(案)」では、安定的な財政運営への取組として、3点掲げられています。(1)収納対策の強化、(2)医療費の適正化、(3)赤字市町村の保険料率の引上げです。これをそのまま実行すれば、さらなる値上げは確実です。そして、本県の1人あたり国保医療費は、全国下から2番目という低さです。これ以上どう抑制するのか。
 そうではなく、医療体制の拡充と、国保税の負担軽減こそ県民の願いです。県の国保運営方針骨子(案)の撤回を求めます。
 日本共産党は繰り返し市町村国保への県補助復活を求めてきましたが、今度は県に国保特別会計がつくられます。
 そこで提案します。子どもが多いほど高くなる国保税を、子育て支援という観点からも県独自に軽減することです。具体的には、18歳以下の被保険者の国保税均等割を免除すること。例えば水戸市なら6,600人に均等割3万円の免除です。知事は同様の事を国に対しています。本県で実施した場合、対象人数と必要額はどれくらいと見込まれるのかお示しください。

【知事】
 次に、都道府県化される国民健康保険の問題点についてお答えいたします。
 国保運営方針における市町村の赤字の解消・削減の取組についてでございます。
 今般の国保制度改革では、県が市町村と共に国保運営を担うことになるため、県内統一的な方針である国保運営方針を定めることで、安定的な財政運営や効率的な事業の確保を図ることとしております。
 国保の安定的な財政運営のためには、年度ごとに国保会計の収支が均衡していることが重要であり、支出に見合った保険料水準とすることが必要であります。そのため、本県の
 国保運営方針案には、保険者の保険料負担が急激に変化することのないよう配慮しつつ、計画的・段階的な保険料率の見直しを行うことを盛り込んでいるところです。また、被保険者間の公平性を確保するため収納対策の強化に取り組むこと、さらには医療費が過度に増大しないようにしていくため医療費の適正化に取り組むこと、などを規定しているところであります。
 県が設置した外部有識者会議であります国保制度移行準備委員会の審議におきましても、赤字解消に向けた取組や、公平性の担保が重要であるとのご意見をいただいているところでございまして、安定的な財政運営に資する取組を国保運営方針に盛り込んでまいりたいと考えております。
 次に、18歳以下の被保険者の均等割保険税の免除についてでございます。
 県内で18歳以下の被保険者は約8万人おり、この均等割保険税を免除する場合、約21億円の財源が必要となってまいります。
 また、均等割保険税の免除に係る県における繰り入れの実施についてでありますが、国保はあくまで保険制度でありますから、本来、保険税と法定の公費をもって運営されるべきものと考えております。そのため、保険税の免除を行うために県が一般財源を投入するのではなく、国において更なる財政基盤の強化を含む制度設計を考えていくべきであると考えております。
 国民皆保険を支える国保が将来にわたり持続可能な制度となるよう、引き続き全国知事会と連携しながら、国に働きかけてまいります。
 今般の国保制度改革は、県と市町村の共同運営に移行する、大変大きな改革であります。このため、新制度への移行に当たりましては、県民の理解をいただきながら、着実に準備を進め、新制度において安定的な財政運営が確保できるよう努めてまいります。

5.教育行政について
(1)スクールバス保護者負担の無料化

 最後に、教育行政についてです。
 まず、スクールバスの無料化を求めて知事に伺います。スクールバス料金は受益者負担だという声が、教育委員会から聞こえてきます。
 バスに乗る子どもは受益者でしょうか。
 知事就任24年間で小・中学校合わせて102校が地域からなくなりました。県が学校の適正規模を示して統廃合を進めた結果です。歩いて通える場所に学校がありません。それは、地域の方々に見守られながら、毎日頑張って歩いて通う機会を子どもから奪ったことにもなります。
 現在、35市町村でスクールバスが運行され、うち11市町でバス代が有料です。1人月1千円から3千円。県は学校統廃合の指針は出すのに、スクールバスの料金は市町村任せです。無料化のために県補助の拡充を求めて、知事の所見を伺います。

【知事】
 スクールバス保護者負担の無料化についてお尋ねをいただきました。
 市町村におきましては、学校統合による遠距離通学者への対応や、児童生徒の通学の安心・安全を考慮し、スクールバスの運行が増えており、ご指摘のように平成28年度には35市町村で運行され、そのうち11の市町で、保護者への負担を求めているところであります。
 一方、市町村立小中学校のスクールバス運行に要する経費につきましては、国から市町村に対して地方交付税の措置がなされております。具体的には、乗車定員11人以上のスクールバスについては運行1台当たり約600万円の普通交付税が措置され、乗車定員10人以下のスクールバスにつきましても、特別交付税の措置がなされているところであります。
 また、学校の統合に起因するスクールバスの運行につきましては、国の補助制度よって市町村が負担した運行経費の2分の1を上限に補助されております。
 さらに、本県独自の取り組みとしましては、平成21年度から「新しい学校づくり支援事業」を実施しており、統合校のスクールバス運行経費等に対し、市町村負担分から国庫補助額及び交付税算入額を控除した額の3分の2又は2分の1を補助し、市町村ひいては保護者の負担軽減を図っているところであります。
 これらの財政支援措置により保護者負担が生じている11市町のうち9市町においては、市町村の実質的な地方負担は生じていない状況にございます。一方で、市町村の実質負担があるにもかかわらず、保護者負担を求めていない市町村が8市町あるなど、市町村により対応が異なっております。
 保護者負担を求めている市町村については財政的事情のほか、受益者負担の観点やスクールバスを利用しない児童生徒との均衡を考慮していることなどが主な理由となっております。
 保護者に負担を求めるかどうかにつきましては、最終的にはスクールバスを運行する市町村において判断すべきことでございますが、県といたしましては、市町村が国や県の財政支援制度の趣旨や財源措置の実態などを十分理解した上で判断されるよう助言してまいりたいと思います。

(2)少人数教育の拡充と教員の確保
 次に、少人数教育の拡充と教員確保について、教育長に伺います。
 今年度から中学2年生に、来年度は中学3年生まで、さらに知事は「高校までできないか県教委と検討していく」と、今年4月の市町村長・市町村議会議長会議で意向を示しました。この発言について、教育長の所見をまず伺います。
 高校統廃合ではなく、まず、子どもの数が少ない地域から県立高校での少人数学級を進めることです。
 拡充には、当然、教員の確保が必要です。知事は24年間で3,500人もの正職教員を減らしながら、教員不足を常勤講師で補ってきました。
 ところが、その常勤講師さえ欠員のまま今年度をスタートさせた学校が37校、39人もいました。ひたちなか市では5人、かすみがうら市で4人などです。教員確保は県教委の責任ですが、実際には市町村教育委員会と学校が講師探しに追われています。現在までに講師の欠員はすべて補充されたのか、合わせて教員の確保策について教育長に伺います。

【教育長】
 少人数教育の拡充についてお答えいたします。
 まず、高等学校への少人数教育の拡充に係る知事の発言についての所感についてでございます。高校教育におきましては、現在進められております高大接続改革や平成34年度に全面実施となる新学習指導要領に適切に対応するため、生徒の思考力・判断力・表現力等の育成が大変大きな課題となっており、今後、学校においては、よりきめ細かな指導が求められております。
 高等学校への少人数教育の拡充は、まさにそうした流れに沿うものであり、大変意義あることと考えております。今後は、具体的にどのような形で高校に少人数教育を導入していくか、あるいは財政面での課題をどうするかといったことについて研究を進めながら、その実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、教員の確保についてでございます。議員ご指摘のとおり、本年、5月1日時点では、39名が欠員となっておりましたが、現在、そのうち8名が配置されたところです。
 この教員の欠員状況は、例年、7月上旬の教員採用試験終了後から9月の第二学期開始までにはおおむね解消されるのが通例でございます。
 今後、この欠員状態が早期に解消されますよう、各教育事務所が連携し、講師志願者の情報共有を進めるとともに、定年退職され一度現場を離れた教員免許保有者への講師の依頼を行うなどにより教員の確保を図ってまいります。
 また、今後の対策につきましてでございますが、引き続き定年退職者の再任用の促進を図るほか、本年度の教員採用試験におきまして、採用枠を大幅に拡充しますとともに、介護や育児等により一度離職した方を再採用するあたらな制度を設けることなどにより、教員の確保に努めてまいります。
 また、「県教育委員会と大学との連携講座」の開設や、「いばらき暉教師塾」、あるいは「中高生のための教職セミナー」などの実施を通して教員の職業として魅力ややりがいを伝え、今後の志願者の増加につなげてまいります。
 いずれにいたしましても、今後とも教員の確保を図りながら、茨城方式での少人数教育をしっかりと取組、1人1人に寄り添った指導を行うことで、学力の向上はもとより、いじめなどの問題行動、不登校などの未然防止や解消に努めてまいります。

(3)教員の勤務時間の実態把握と改善
 最後に、教員の勤務時間の把握と改善についてです。
 文科省が10年ぶりに実施した「教員勤務実態調査」によって、教育現場における長時間労働のすさまじい実態が浮き彫りになりました。
 前回調査より勤務時間は増えて、小学校も中学校も1日11時間以上教員は働いています。過労死ライン月80時間以上に相当する時間外勤務が、中学校では6割、小学校で3割と、大きなニュースになりました。
 教員には、時間外勤務手当がなく、代わりに給料4%分の調整額が上乗せされます。しかし、公務命令による報告書類の作成や会議、部活動の指導などの時間外勤務は4%分では済まないほど常態化しています。
 「あまりに忙しくて、家のことは後回し。自分の子どもには申し訳ないと思いながら頑張っているが、時にあまりの忙しさに辞めたくなる事がある」と、悩む教員は少なくありません。
 長時間労働の解消は、子どもに寄り添い、学ぶ権利を保障する教育条件の整備にとって重要な課題です。何よりも教員の心身の健康を守り、教員自身の家庭生活や子育てを保障する喫緊の課題と考えます。
 そこで、教育長に2点質問します。
 第1に、本県小・中学校教員の勤務時間について、まずは県が責任を持って実態把握を行うことです。県内約1割の小・中学校にタイムカードが設置されていますが、実態把握のために適切な活用を求めます。
 第2に、実態を把握したら、必ず改善に結びつけることです。これまで進めてきた業務改善が抜本的な解決策となっていないことからみれば、教員の数を増やすこと。そして、1週間の受け持ち時間を減らしたり、時間外勤務の上限目標を掲げるなど、改善が実感できる取組みについて、教育長の所見を伺います。
 以上で質問を終わります。答弁により再度質問いたします。

【教育長】
 次に、教員の勤務時間の実態把握と改善についてお答えいたします。
 まず、本県の教員の勤務時間の実態把握につきましては、平素から各教育事務所が行う学校管理訪問等によって、個別の学校の状況を把握し、適宜指導を行っているところでございます。
 また、県学校長会におきまして、年2回の調査を実施しておりますので、その結果を参考とさせていただきますとともに、県といたしましても、今後、具体的改善策を検討する
 過程で、適宜教員の負担とならないよう配慮しつつ、必要な調査を実施してまいります。
 次に、教員の勤務時間の改善を図るための取組につきましては、県では平成21年に「小中学校教員の業務の軽量化に向けた改善策」を作成し、調査や会議等の縮減による業務の軽量化や効率化に取り組んでまいりましたが、学校現場の現状を見ますと、いまだ十分とは言えず、御指摘のように、抜本的な改善が必要と、私も痛感しております。
 このため、本年度から新たに国の「学校現場における業務改善加速事業」を活用し、これまでより一歩踏み込んだ勤務時間の改善等に取り組んでまいります。
 具体的には、教育関係団体の代表を交えた「業務改善促進のための協議会」を設置し、県としての業務改善ポリシーを策定いたしますとともに、モデル市町村での実践研究をとおして、今後の具体的な改善策や、効果測定指標、いわゆるKPI等について検討してまいります。
 さらに、教員の多忙化の最大の要因であります部活動につきましては、週当たり2日以上の休養日を設定するよう昨年度末に改めて通知をしたところであり、今後は、顧問教諭に代わり単独で指導や引率が可能な「部活動指導員」の活用を積極的に進めるなど、運動部活動の適正化を図ってまいります。
 いずれにいたしましても、先般の文部科学省の教員勤務実態調査の結果を見ますと、根本的に教員の勤務時間の改善を図るためには、まず何よりも教員の基礎定数の改善による、教員の増員が絶対必要であり、先日も文部科学省に対し、国の来年度予算での対応について、強く働きかけてまいりました。
 一方で、教職員の時間管理についての意識の改革が必要であると考えております。教員は、日々子どものことを思い、時に寝食を忘れて仕事に没頭いたしますが、時間外手当が支給されないこともあって、時間管理についての意識が希薄になりがちであります。働き方改革という社会全体の流れを受けて、管理職等による適切な学校マネジメントにより、時間管理の意識を高めていくことが重要であると考えております。
 また、御指摘いただきましたタイムカードは、極めて有効な手法の一つと考えられます。現在1割程度の導入に留まっておりますけれども、今後、普及を図ってまいりたいと考えております。
 また、時間外勤務の上限目標を掲げることにつきましても、今後の改善策を検討する中で、議論をしてまいりたいと存じます。
 今後も、チーム学校といった視点に立って、学校の組織力を強化し、業務改善を図ることで、教員の勤務時間の改善に取り組んでまいります。

再質問
 いただいたご答弁に対し、はじめに、廃棄物処理施設の適正管理についてです。個別の施設について、具体的に答弁出来ないということなのでしょうけれども、それと県としての厳正な対応が出来ないということは別です。施設の許可権者である県の責任を徹底し、地域と障がい者施設を利用する方々に、ゆたかで落ち着いた環境を取り戻せるよう強く求め、これは要望といたします。

 1点、知事に、東海第二原発の再稼動と運転延長について再質問します。
 東海第二原発は、運転開始40年となる来年11月までに、新規制基準と20年延長と、2つの審査を通過しなければ再稼動できません。
 その上で知事の同意が求められます。その時期はいつになるのか。
 今後、だれが知事になろうとも、2019年にその時期を迎えます。
 それは、仮に知事が再稼働に同意した場合、まさにいばらき国体前に全国に伝わることになります。
 「原発は動かしますが、ぜひ茨城においでください」と、全国の競技者・選手の皆さんや観戦者、観光客、そしてそれを迎える県民に言えるのでしょうか。
 その翌年には東京オリンピック・パラリンピックも開催が決まっております。
 首都圏の競技場にもっとも近い原発が東海第二原発です。そして、1970年代に運転再開した沸騰水型原発はいま11基日本にありますが、東海第二を除く10基はすべて廃止措置すると決定しています。残っているのは、東海第二原発ただ一つ。この最も古い沸騰水型原発を運転すると、オリンピックを控えて、政府は世界に示すのでしょうか。
 国体やオリンピックと原発は別問題、関係ないと、今や通用しないと思います。テロ対策が最大の課題として、政府は今国会で共謀罪を強行しようとしています。この政府が、危険な東海第二原発、被災した老朽化原発を再稼働させるのか。
 知事が「再稼働をやめてもらおう」と決めれば、事は大きく変わります。
 そこで知事にお伺いしたいことは、24年間長きにわたって本県の原子力行政を担ってこられ、多くの県民の被爆という犠牲を目の当たりにして、今、原発・原子力というものは、知事の心にどう刻まれているのか。任期最後の今議会で、はっきりとお示しいただきたい。再度、知事のご答弁を求め、再質問といたします。

【知事】
 江尻加那議員の再質問にお答えいたします。
 24年間勤めておりまして、やはり最初の頃は、原発は安全だという意識が大変強かったように思います。事故は起きないものという前提で皆さん方も含めて、国民全体が考えていたのではないかと思います。しかし、その後に色々な事故が起きまして、今や原発に事故は起きる可能性があるものであり、それを前提にしたうえで対応しなければいけないという考え方が広がってきているのではないかと思っておりますし、私もそう思っております。そして、そのためにもまずは原子力規制委員会その他で徹底した安全の確保というものを行っていくことが必要だろうと思っております。それはあらゆる角度から行っていかなければいけませんし、延長ということだけではなくて、最初からしっかりとした安全の点検が必要だろうと思っております。それと合わせて地元住民の理解を得ていくことがますます重要になってきていると思っております。そういう中でこれから再稼働、あるいは延長というものについて、国はまだやるとも言っておりませんのでその辺も含めて、その対応を見ながら県としての態度を決めていかなければいけないと考えております。


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