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質問・発言

●平成28年 第3回定例会 反対討論

 日本共産党の江尻加那です。通告に従い、討論をおこないます。

 第112号議案は、八ツ場ダム建設の5回目の計画変更となる事業費増額に、本県が同意しようとするものです。今回の720億円の増額により、当初計画の2.5倍となる5,320億円に膨れ上がります。本県負担金は42億円増えて311億円。国の直轄事業でありながら、本県を含む1都5県が事業費の62%を負担する不合理です。
 1952年の計画発表以来、60年以上にわたって名勝・吾妻渓谷の環境と地域住民の暮らしを壊し続け、未だ完成に至りません。あと3年の工期が守られず、再度の工期延長や事業費増額も予想されます。知事が「コスト縮減」、「工期短縮」と意見を付すことに、どれだけの意味があるというのでしょうか。ダム建設は中止すべきです。
 八ツ場ダム基本計画における本県の人口想定は420万人です。これに対し、本県人口ビジョンは、10年後に280万人と、むしろ今後の減少を見込んでいます。今でさえ水が余っている本県に八ツ場ダムは無用です。
 高度成長時代に意思決定された計画を見直さず、過大な水源開発と施設整備によって、本県水道料金は全国上位の高い料金となっています。市町村や県民から、くり返し「料金引き下げ」の要望が出されていますが、ダムが完成すれば、新たな維持管理費の負担まで上乗せされてしまいます。
 さらに、洪水対策をダムに頼ることの危険性は、関東・東北豪雨の鬼怒川決壊によって、耐え難い被害と大きな教訓が突き付けられました。利根川の本県堤防整備率は59%にすぎません。防災、安全を最優先に考えるならば、ダム建設ではなく、河川改修や堤防強化にこそ充てるべきです。
 「原子力ムラ」と並び称される「河川ムラ」の利権構造によって、環境が破壊され、莫大な税金が投入されてきました。その象徴が八ツ場ダムです。利水上も治水上も必要のないダム建設から本県が撤退を決断し、事業費増額に同意すべきではありません。

 次に、28年第2号は、臨時国会でTPP協定を批准しないことを求める請願であり、不採択とすることに反対です。本格論戦がスタートした臨時国会で、輸入米の価格が偽装され、政府の公表より60kgで最大3,600円も安く販売されていることが明らかになりました。政府は、「輸入米の国内販売価格は国産米と同水準だからTPPはコメに影響しない」としてきましたが、政府試算の前提が崩れたのです。さらに、外務省よるTPP協定文書の和訳に18ヵ所の誤りがあったことも発覚しました。日本の食料と食の安全、医療や経済主権を多国籍企業に売り渡すTPP協定は批准すべきではありません。

 28年第4号は、所得税法第56条の廃止を求める請願です。どんなに働いても家族従業者の労賃を必要経費として認めないことを原則とする規定が、いまや世界の流れから取り残されていることは明らかです。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、韓国といった国々は自家労賃を経費として認めています。今年2月の国連女性差別撤廃委員会では、家族経営における女性の労働を認めるよう所得税の見直し検討が日本政府に勧告されました。中小業者の経営支援にもつながる税制の見直しであり、不採択に同意できません。

 なお、このあと議題となる議第14号は、核燃料サイクルの断念を求める意見書です。原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再利用する核燃料サイクル事業のために、政府は高速増殖炉「もんじゅ」に1兆円以上の税金をつぎ込んできました。しかし、政府も廃炉に踏み込まざるをえなくなり、核燃料サイクルの大破綻は明白です。日本が保有するプルトニウムは、すでに核兵器6000発分相当の48トンにのぼります。もんじゅの廃炉はもちろん、プルサーマルを含めた核燃料サイクルを断念することを政府に要望する意見書の採択を求めて、討論を終わります。


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