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質問・発言

●上野議員の一般質問と答弁(15年9月16日)

〈質問項目〉
1. 平和・安全行政について(答弁・知事)
(1)安全保障関連法案への認識
(2)県内自衛隊施設と訓練への対応
(3)自衛官募集
(4)平和行政の取組み
2. 雇用対策について
(1)非正規雇用の正規化への支援(答弁・知事)
(2)欠員補充講師の正職員化(答弁・教育長)
3. 通学路整備の拡充について(答弁・知事)
4. 国民健康保険事業について(答弁・知事)
(1)国保の実態と都道府県単位化への対応
(2)県単独補助の実施、国保税の引き下げ
5. 水道行政について(答弁・知事)
(1)水源開発の中止
(2)水道料金の値下げと今後のあり方
6. 原子力行政について(答弁・知事)
(1)子どもの健康調査
(2)東海原発の廃炉対策
(3)東海第二原発の再稼働中止

1. 平和・安全行政について

 日本共産党の上野たかしです。まず始めに、台風18号による豪雨災害において、亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げるとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。復旧に携わっている皆様に対し、心からの敬意を表するものです。
 日本共産党県議団は、常総市のほか、筑西、下妻、結城市など、鬼怒川流域の被害状況を調査いたしました。これらの流域には、いまだ堤防がない箇所がたくさん残されており、河川氾濫の原因究明と、一刻も早い対策を講じることが必要です。特に今回の決壊箇所は、常総市議会でも度々、堤防の強化が求められてきたところです。巨額なダム建設より、住民の命を守る流域河川整備に重点を移すこと、災害に強い地域づくりを強調し、質問に移ります。

(1) 安全保障関連法案への認識
 最初に、安全保障関連法案について質問します。
 法案は、憲法9条を踏みにじり、日本を海外で戦争する国に変えてしまう戦争法案であります。
 国民の約6割、特に若者たち、お母さんたちから批判の声が広がり、空前の反対運動が巻き起こっています。多くの憲法学者、歴代元内閣法制局長官、最高裁元長官などが憲法違反だと表明しているもので、この法案にはひとかけらの道理もありません。
 憲法98条が明確に定めるように、憲法違反の法案の成立は許されません。
 憲法99条で公務員は、憲法尊重・擁護の義務が明記されています。知事は、県行政の責任者として、この法案に対して、憲法違反という認識をお持ちかどうか、お答え下さい。

(2) 県内自衛隊施設と訓練への対応
 法案は日米ガイドラインの具体化です。県内には8カ所の自衛隊施設があります。霞ヶ浦、勝田などの陸上自衛隊は、施設学校、武器学校、補給処など、兵たん活動を担う部隊です。海外派遣の際には、さらに危険が強まります。
 航空自衛隊百里基地は、戦闘機部隊の基地であり、周辺住民は常に騒音被害、部品落下事故、墜落事故の危険と隣り合わせです。さらに日米地位協定にもとづく米軍使用基地であり、7回目の日米共同訓練が9月7日から18日まで実施されています。
 日本共産党は平和団体と一緒に訓練の中止を要請してきました。飛行ルートや低空飛行などは全て事後報告であり、騒音と事故の危険性が増大しています。米軍横田基地のC130戦術輸送機の訓練飛行ルートに、本県の上空がラージ・フォーメーション・トレーニング、つまり大編成訓練の場となっているのです。本年6月から7月にかけて、土浦、古河、つくば市の住民から、低空飛行への苦情が、防衛省・北関東防衛局に寄せられ、米軍は飛来を認める回答をしています。米軍基地がある全国14の渉外知事会でも、騒音の軽減、低空飛行中止を要望しています。
 知事は、これらの危険性について、独自の調査と対応をすべきです。お答え下さい。
 県民の安全を守る立場から、騒音の軽減、夜間訓練、低空飛行の中止などを国に求めるべきであり、日米共同訓練の中止とあわせて知事の所見を伺います。騒音被害などについて、県独自の苦情処理体制をつくることについても伺います。

(3) 自衛官募集
 次に、自衛官募集についてです。
 本年6月5日に自衛隊茨城地方協力本部長は、18歳の男子及び女子の自衛官募集対象者を紙ばい体で提出するよう、市町村長に依頼しました。6月22日には県市町村課が、自衛官募集事務主管課長会議を開いて説明をしています。
 法的根拠は自衛隊法97条、施行令120条としていますが、市町村に提出を求めることができる資料は、統計資料であり、個人情報ではありません。
 住民基本台帳法は、外部提供を原則禁止にしています。個人情報保護法に基づき、名簿作成や住民台帳の転記はやめるべきと考えますが、知事の見解を求めます。

(4) 平和行政の取組み
 次に県の平和行政についてお聞きします。
 2009年、第4回定例県議会で、全会一致で非核平和茨城宣言を決議しました。全国では41道府県が宣言しています。
 県内12市町村が広島平和記念式典に、小中学生の代表派遣などにとりくんでいます。戦後70年の節目の事業にとどまらず、本県の平和行政の推進体制をつくり、高校生の派遣や市町村への支援、原爆パネル展の実施など、とりくみを求めます。知事の所見をお聞かせください。

【知事答弁】
 上野高志議員のご質問にお答えいたします。
 平和・安全行政についてお尋ねをいただきました。

 まず、安全保障関連への認識についてでございます。
 安全保障関連法案は、我が国を取り巻く安全保障環境が、一層厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守るために、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う平和安全法制の整備が不可欠であるとして取りまとめられ、現在国会での審議が続いているところでございます。
 国民の安全をいかに守るかについて議論し、対策を講じていくことは、極めて重要なことでありますが、今回の法案につきましては、日本国憲法との関係について、様々な意見があるほか、法案についての説明が十分でないといった声があることは承知しております。
 安全保障政策につきましては、そうした意見も踏まえながら、国家の存立にかかわる問題として、国民の代表である国会議員の皆さんが、国権の最高機関である国会の場で十分かつ慎重に議論すべき問題であり、国民に対して、十分な説明を尽くし、理解を得ていく必要があるものと考えております。
 なお、法案そのものが憲法に適合するかどうか、国会で議論されているところでありますが、(最終的には最高裁判所が判断されるものであり、)地方行政を担う知事として、私自身の意見を申し上げることは、差し控えさせていただきます。

 次に、県内自衛隊と訓練への対応についてお答え致します。
 自衛官の訓練などの現状把握についてでございます。
 航空自衛隊百里基地において実施される日米共同訓練や航空観閲式のほか、陸上自衛隊勝田駐屯地における災害対処訓練などについては、北関東防衛局等から日程や参加人員等の情報を事前に提供いただいておりますが、県内自衛隊施設等における訓練内容については、国の防衛上の機密もあり、県には情報を提供いただけない状況にあります。
 百里基地における航空機騒音につきましては、県では、飛行経路の真下に設置した2カ所の自動測定局において、年間を通して航空機騒音の連続測定を実施してまいりますとともに、周辺の10カ所において、年に1回、連続2週間の測定を実施し、環境基準の達成状況を確認しております。
 この結果、自動測定局2カ所のほか、周辺では多い年で2カ所、環境基準を超過している状況でございます。
 県の苦情処理体制につきましては、生活文化課を防衛施設周辺の生活環境に関する苦情の窓口としており、内容に応じて担当課と協議しながら対応しているところであります。
 百里基地における騒音、低空飛行、夜間飛行を伴う訓練の必要性については、国が責任を持って判断すべきものと考えておりますが、県民の生活環境への影響という面では、県民の皆様に不安や迷惑を与えることのないよう、引き続き、騒音対策の強化等について、国に要望してまいります。
 また、日米共同訓練につきましては、防衛上の必要性から実施されているものであり、小美玉市、鉾田市、行方市の地元三市が国と協定を締結した上で受け入れているものでありますので、県といたしましても地元の意向を尊重しつつ、騒音対策や安全対策等に万全を期すよう、引き続き、国に対し、しっかりと要望してまいります。

 次に、自衛官募集についてお答えいたします。
 市町村が自衛隊に対し行っている住民基本台帳の閲覧を含めた適齢者情報の提供をやめるべきとのお尋ねです。
 住民基本台帳法では、国または地方公共団体の機関が、法令で定める事務の遂行のために必要である場合には、閲覧を請求することができるとされておりますし、自衛隊法施行令でも、防衛大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めたときは、必要な報告または資料の提出を求めることができるとされていることから、法的に全く問題はありません。
 また、適齢者情報の提供にあたり市町村では、個人情報保護条例の規定に基づき判断しているものであり、自衛隊が国防のみならず、災害救助といった国民の生命や財産を守る役割を担っていることを考えれば、県として市町村に対し自衛隊への適齢者情報の提供をやめるよう働きかけることは考えておりません。
 なお、自衛隊に提供された資料につきましては、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」や「防衛省の保有する個人情報の安全確保等に関する訓令」などにより、適切に管理されることが当然であります。

 次に、平和行政の取組みについてでございます。
 平和は、県民はもとより、人類共通の願いであり、私は常に平和を念頭に置いて、県政を推進しているところであります。
 戦後70年の節目に当たる今年は、例年にない試みとして、毎年行っている茨城県戦没者追悼式において、戦争資料展示を行いましたほか、県庁舎2階の県政広報コーナーなどにおいて戦争関連資料をまとめたパネルなどの巡回展を行うとともに、県と茨城県原爆被爆者協議会との共催による、原爆ポスター展を開催いたしました。
 議員から節目の年に行うだけでなく、今後もこうした事業を実施されたいとのご指摘がございましたが、パネル展等を引き続き行うかどうかは別として、例えば、歴史館の戦争関連展示スペースの充実を図れないかとか、筑波海軍航空隊記念館の今後の利活用の方針をどうするかについて検討を行うなど、引き続き、戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に伝えるための取組みを進めてまいりたいと考えております。
 (なお、県南生涯学習センターを会場に、民間団体が実施している「原爆と人間展 原爆パネル展」は、今年で10年目となりますが、こうした取組を支援することにより、原爆の恐ろしさを、継続して県民に伝えているところでもあります。)
 また、平和行政を推進するに当たり、学校教育が果たす役割は大変重要でありますことから、県立高校の約85%が、沖縄・広島・長崎方面などへの修学旅行を行い、資料館見学や戦争体験者から講話を聞くなどの平和教育を実施し、戦争の悲惨さや、国際社会の平和と発展を願う意識と態度の育成に努めているところでございます。
 さらに、戦争遺構等を示したマップや授業事例集を作成することにより、後世に戦争体験を引き継いでいくための試みを行うなど、平和教育の推進には、継続して取り組んでまいる考えであります。

 なお、平和祈念式典への高校生参加につきましては、夏休み中であること、会場が遠方であり、経済的な負担も大きいことなどの課題がございますが、平和行政の重要性に鑑み、式典の模様を録画した映像を授業の中で活用するなど、今後も平和教育の充実に努めてまいります。
 また、小中学校では、いくつかの市町村において、広島や長崎の平和祈念式典に独自に小中学生を派遣する事業を行っておりますが、議員ご提案のように県が財政支援を行うことについては、そもそも義務教育に関する経費は、学校教育法に基づき(教職員の給与等を除いては)原則として設置者である市町村が負担することとなっていることから、慎重な対応が必要であると考えております。市町村独自の取組は、平和行政推進のためにも市町村の判断で是非積極的に取り組んでいただくことを期待しております。

 なお、県における平和行政の推進体制につきましては、総括的には政策審議室で取り扱っているところですが、県行政の中での平和に関わる分野は、戦没者の追悼や戦争資料の展示、平和教育のほか、国際理解教育や交流の推進なども含まれ、大変広範囲に及んでおります。そのため、例えば、国におきましても、各省庁ごとに取り組みを行っておりますし、近県においても、本県同様に対応しているところであり、平和行政の推進については、それぞれの分野に関わる部局において、専門知識を生かし適切に対応することにより、戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に伝える努力を継続してまいります。

2. 雇用対策について

(1)非正規雇用の正規化への支援
 次に、雇用対策についてです。
 本県は、税の免除など各種の優遇措置で企業誘致を推進していますが、雇用実態は把握しているのでしょうか。県が開発した那珂西部工業団地には、6社に1117人が働いていますが、そのうち那珂市民が192人、さらに重大なことはそのうち3分の2が非正規労働者だということです。
 8年間契約社員として働いた従業員から訴えがありました。「勤務成績A評価を受けても賃金に全く反映されない。月30時間の残業代を含めても、手取り15万円。3交代勤務して18万円になったが体調を崩した。病休で評価も下がり、4人家族だが家族手当も出ていない」という実態です。
 企業誘致で雇用が増えたと、手放しではとても喜べない、過酷な労働です。
 この20年間で、非正規労働者が増大し、4割にも及んでいます。その多くは、年収200万円以下で、深刻な社会問題となっています。こうした事態の改善のため、東京都では国のキャリア・アップ助成金と同額を上乗せするなど、3年間で1万5千人を正規化するという明確な目標を持って取り組んでいます。
 本県でも県内に立地した企業の雇用実態を把握し、非正規から正社員化をめざす本県の目標を持つこと、さらに正社員化促進の、本県独自の助成制度を新設することにどうとりくむのか、知事の所見を伺います。

【知事答弁】
 雇用対策についてお答えいたします。
 非正規雇用の正規化への支援についてでございます。
 まず、県内への立地企業における雇用の実態の把握についてでございますが、県におきましては、平成20年以降、毎年、県内に工場用地を取得した企業に対しまして、増加従業員数や正規・非正規の割合に関する調査を実施しているところであり、今後も、こうした取組により、雇用の実態把握に努めてまいります。
 直近の平成24年から26年の3か年に県内に工場用地を取得した企業に対する調査結果では、増加予定従業員数が、全体計画で2700名に達し、このうち地元雇用は約2000名で、全体の6割近くの約1600名は正規雇用が見込まれるなど、新たな企業の立地は地元雇用はもとより正規雇用の創出にも大きく寄与しているものと考えております。
 なお、これら立地企業に対しましては、「新規立地企業等説明会」への参加を働きかけ、高校等の進路指導担当者との交流や採用に関する情報交換等を通じまして、県内高校生等の正規採用に繋げております。

 次に、非正規雇用者の正規雇用化への目標人数を持つことについてでございますが、県議会に設置されました「地方創生に関する調査特別委員会」での議論や有識者の意見も踏まえながら、現在、県版の総合戦略の策定を進めているところでありますので、今後、この戦略の中で、正規雇用化に関する目標と、目標を実現するための具体的事業を位置づけ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 また、非正規雇用の正規化を支援する県独自の助成制度を新設すべきではないかとのご提言をいただきました。
 本県といたしましては、既に、国において正規雇用等への転換を支援する助成制度が講じられている中において、東京都のように国と重複するような助成制度を設けるよりは、新卒時に、より自分に合った職業を選択して正規雇用で就職し、スキルアップを図っていくことが、長期的に見て、若者の雇用の安定と経済自立を促進し、企業の成長・発展にも繋がっていくものと考えております。
 このため、若者の正規雇用に意欲的な「若者応援企業宣言事業所」などの県内企業と新卒者とをマッチングする面接会の開催のほか、県内企業を巡るバスツアーやインターンシップの実施など、UIJターンや地元定着の取組により、県内企業への正規雇用による就職を促進してまいります。

 さらに、大学や高校を卒業後に未就職となっている若者に対して、企業で働きながらスキルアップを図り、正規雇用化への移行を支援する「大卒等未就職者人材育成事業」を実施するとともに、非正規の在職者に対しては、県内企業が、その正規化など、処遇改善を図るための取組を支援する「処遇改善プロセス支援事業」を実施することにより、幅広く、非正規雇用者の正規雇用化を促進してまいります。

(2)欠員補充講師の正職員化
 次に、教育現場における欠員補充講師、いわゆる定数内の臨時職員の正職員化についてお尋ねします。
 本県の臨時職員は、小・中・高校、特別支援学校、合わせて1872人。教員数の約1割であり、特に特別支援学校は約2割にもなっています。本県の特別支援学校の教育費は、全国45位。下から数えて3番目です。
 2012年、第3回定例会での日本共産党の質問に教育長は「できる限り正職員化を図り、教育条件の整備に努める」と答えましたが、5年前と比べ臨時職員の比率は増えています。改善を求め教育長に所見を伺います。

【小野寺教育長の答弁】
 欠員補充講師の正職員化についてお答えいたします。
 教育現場が抱える課題は多様化、複雑化しており、こうした課題に対応し、児童生徒が夢を持って日々生活していく学校づくりを進めるためには、教員が児童生徒としっかり向き合う環境づくりが求められているところでございます。
 現在、各学校に配置されている欠員補充講師は、おおよそ全教員数の1割を占めております。その主な理由として、児童生徒数の増減により学級数が不確定であることや、国から加配される教員数が毎年変動することなどにより、正規職員を配置することが難しいため、やむを得ず一定数を欠員補充講師として配置していることによるものでございます。

 また、平成18年度以降、国による新たな教職員定数改善計画が策定されず、中長期的な視点に立って採用することができにくい状況にあること、加えて、特に小中学校においては、将来の統廃合を見据え、正職員の採用を控えているといった事情もございます。
 なお、ご指摘のありました特別支援学校においては、1学級あたりの児童生徒数が6人から8人、重複障害学級においては3人と少なく、児童生徒数の増減による学級数の変動幅が大きいため、小中学校等よりも、講師比率が高くなっております。
 また、養護教諭につきましては、通常、学校に一人の配置であり、今後学校数の減も考えられることから、欠員補充講師が多くなっております。
 一方で、教員採用選考試験を経ず、体系的な研修を受けていない非正規教員の割合が過度に大きくなることは、学校運営面や教育内容の質の維持・向上の面で問題があると認識しております。

 このようなことから欠員補充講師の割合を少しでも下げることも考えて、平成24年度、平成26年度に採用予定数を増やしてまいりましたが、さらなる改善を図るため、平成27年度にはそれまでの増加人数に比べて、採用予定数を大幅に拡充したところでございます。具体的には、小・中学校で100名、高校で50名、特別支援学校では25名と計175名もの教員を増やし、また、養護教諭につきましても、来年度採用予定数を5名増やし、25名といたしました。
 このような対応により欠員補充講師の割合が全校種で減少に転じ(26年 9.9→27年 9.5)、改善の兆しがみられたところであり、今後も引き続き正職員の採用につきましては、学級数の状況等をみながら適切に対応してまいります。

 また、児童生徒にとっては、正式採用であっても欠員補充講師であっても同じ教員であります。そのため、欠員補充講師を対象に学習指導や生徒指導、服務規律の確保などについて研修を行い、教員としての資質の向上を図ってまいります。
 今後、県といたしましては、国の定数改善計画の策定などの動向を注視しながら、できる限り正職員化を進めていけるよう努めてまいります。

3. 通学路整備の拡充について

 次に通学路の整備について質問します。
 2012年に通学路の2067か所の緊急合同点検がおこなわれ、本県では教育庁、県警、生活環境部、土木部が対策必要箇所数1890か所をとりまとめ、対策の着実な推進に努めているとうかがいました。
 しかしこの箇所数は、取手市は1校当たり3か所、水戸市は1校1か所であり、まったく実態が反映されておりません。
 取手市で統合が予定されていた小学校3校の危険箇所を、翌2013年に調査した結果、新たに61ヶ所の危険箇所が出されました。
 特に危険な取手市井野五差路については、「せめて登校時に警察官も立哨してほしい」と要望は切実です。
 本年の県「安心安全な生活道路整備事業」予算は30億6千万円と、4年前の47億5千万円から大きく後退しています。市町村補助もわずか3千6百万円です。
 子どもたちの命を守るために、実態に合わせた再調査を実施するとともに、通学路整備予算の抜本的拡充について、知事の答弁を求めます。

【知事答弁】
 通学路整備の拡充についてお答えいたします。

 平成24年度に実施した緊急合同点検によって対策が必要とされた箇所は、1890か所ありましたが、今年6月末までに1747か所で、路面標示や歩道の整備、信号機の設置などのハード対策や、ボランティア等による見守り、交通安全指導強化などのソフト対策を講じたことにより、対策済み率は92.4%となっております。
 残る143か所につきましては、今年度が緊急合同点検における対策期間の最終年度に位置付けられておりますことからも、引き続き、全県的な進行管理を行いながら、その対策の早期の完了に努めてまいります。

 通学路の安全確保の対策につきましては、今後とも、通学路の適正な維持・管理に努めることが求められるだけでなく、学校の統廃合により通学路が変更されるケースも想定されることなどから、来年度以降も、児童の交通安全に特に留意しながら、継続した取組を実施していくことが必要と考えております。
 このような中、今後継続的に行う合同点検の基本方針である「通学路交通安全プログラム」が、既に全ての市町村で策定されており、今後、各市町村では、そのプログラムに基づいて、県や関係機関も入った協議会による、通学路の定期的な合同点検が順次実施されることになっております。その点検の結果、安全対策が必要とされた箇所につきましては、県としましても、市町村や関係機関などと連携しながら、その対策について迅速な対応を図ってまいります。
 今後の主な取組みですが、まず、ソフト対策につきましては、引き続き、市町村等へ通学路安全対策アドバイザーを派遣し、通学路の安全対策への助言等を行うとともに、小学生に通学安全のリーフレットを配布し、交通安全に関する知識等を身に付けさせていくほか、PTA等を通じて児童生徒の通学時の交通安全について、更なる協力を依頼してまいります。

 次に、ハード対策についてでございます。緊急合同点検を受けた対策としては、これまでに歩道整備や信号機設置などを進める一方で、用地取得に時間を要するなどの箇所では、早期の効果発現の観点から、路面標示や見守り活動など即効性のある対策を実施してきたところであります。このような箇所につきましても、改めてプログラムに基づいた点検を実施した上で、その必要性や実現性などを考慮しながら、歩道整備や信号機設置などのハード対策も含めた検討を行い、より通学路の安全性が確保される対策を講じてまいりたいと考えております。
 なお、歩道整備などの道路関係予算につきましては、国において、プログラムに基づく通学路対策を、重点的に支援する方針が示されており、防災・安全交付金などの国庫交付金事業が活用出来ることとなってございます。

 このため、県では、こういった交付金事業を積極的に活用し、県管理道路の通学路の歩道整備等を推進しますとともに、市町村管理の通学路整備についても同様に交付金事業が活用されますよう、制度に関する情報提供や助言などにより、市町村を支援してまいります。
 県といたしましては、今後とも、通学路における危険箇所を着実に解消できるよう、市町村・関係機関と一体となって通学路の安全確保に取り組んでまいります。

4. 国民健康保険事業について

(1)国保の実態と都道府県単位化への対応
 次に、国民健康保険、国保について伺います。
 約90万人の県民が加入する国保は、憲法第25条の国民の生存権を保障する、国民皆保険制度です。国保事業は、住民にいちばん身近な市町村によっておこなわれてきました。
 いま国は、「自助・共助」の名の下に、その責任を放棄しようとしています。社会保障制度を切り下げ、医療費の抑制を掲げ、国保の都道府県化を2018年度に実施する計画です。これまでも、国は国保への補助を大幅に削減し続け、住民には耐えがたいほどの高い国保税と徴税強化を強いてきました。

 私は先日、国保税を払いきれずに苦しむ方と茨城租税債権管理機構に納税相談に出向きました。国保は、協会けんぽなど、他の保険に比べて、同じ所得での負担割合は、1.5倍から2倍にのぼります。取手市の場合、年所得が300万円の夫婦と子ども2人世帯の場合、国保税は44万3千円にもなります。子育て家庭の負担も大きく、「シングルマザーで所得が100万円程度しかないのに、国保税は14万円。子どもが病気になったら死ねと言われているようだ」との悲痛な声も寄せられています。
 国保は、加入者の低所得化や、高齢者の増加による医療費の増大など、構造的問題があることを政府は認めています。
 何よりいま必要なのは、市町村国保を支える国と都道府県の財政支援の拡充です。全国知事会は、「1兆円の国費投入」を政府に要望してきました。これを実現すれば加入者1人当たり3万円の値下げができます。ところが、1兆円の要望に対し国が示したのは、わずか3400億円。しかも県や市町村の負担も含めた3400億円です。
 日本共産党は、「都道府県化でさらに国保税の引き上げと徴税強化、医療費抑制につながる」と反対しました。市町村からも様々な疑問や不安が出されています。国庫負担の大幅増額を国に求めるべきです。今回の国の制度改定に対する知事の所見を伺います。

(2)県単独補助の実施、国保税の引き下げ
 次に、市町村国保に対して、県補助を実施し、国保税を引き下げるよう求めます。
 「国保税が高すぎる」が多くの県民の声です。市町村では、国保税の重い負担を抑えようと、一般会計から国保会計へ繰り入れを行っており、2013年度の総額は104億円にものぼります。法定外繰入は、引き続き実施されることが必要です。あわせて10年前に廃止してしまった県の単独補助を実施するよう求めます。知事の所見を伺います。

【知事答弁】
(1)国保の実態と都道府県単位化への対応
 国民健康保険事業についてお答えいたします。
 まず、国保の実態と都道府県単位化への対応についてでございます。
 市町村国保につきましては、高齢化の進展による医療費の増加や、年金生活者や非正規労働者など低所得者層が多く加入することによる保険料収入の減少などにより、財政運営は非常に厳しいものとなっております。
 また、小規模な保険者が多く、財政が不安定になりやすいこと、保険料が市町村ごとに大きく異なることなどの構造的な課題を抱えております。
 こうした課題に対応するために今回の国保制度改革では、平成30年度から都道府県が財政運営を担い、市町村が、保険料の賦課・徴収や資格管理等、具体的な事業を引き続き行う共同運営に移行しますとともに、毎年約3,400億円の財政支援などが実施されることになりました。

 今回の改革の前提には、小規模自治体による医療保険制度の運営は限界に来ているということがあったわけでございますが、市町村だけでなく多くの県においても急速な人口減少が進んでおり、市町村から都道府県に運営を移しても同じような課題が生じてまいります。
 そのため、今回の国保改革にとどまらず、全ての医療保険制度の全国レベルでの一元化などについて検討していくことが必要であり、それに向けた本格的な議論を始めていくべきではないかと考えております。
 しかしながら、今般の制度改正は平成30年度には実施に移されるわけでございますので、当面の問題として詳細設計について、国と地方の協議の場において自治体の実情を踏まえたしっかりとした議論を早急に行い、効果的・効率的に運営ができる制度としていくことが重要であると考えております。
 また、議員から、今回の改革に関し、「県は国に国庫負担の更なる増額を求めるべき」とのご指摘がございましたが、県といたしましても全く同感でございまして、国に対し、様々な財政支援策の強化を図ることにより、今後の高齢化の進展に伴う医療費の増嵩にも耐え得る財政基盤の確立を図るよう要望しているところでございます。
 国民皆保険を支える国保が将来にわたり持続可能な制度となるよう、引き続き全国知事会と連携しながら、国に強く働きかけてまいります。

(2)県単独補助の実施、国保税の引き下げ
 次に、県単独補助の実施、国保税の引き下げについてでございます。
 まず、法定外繰入れについてでございます。

 本県の市町村における赤字補填のための一般会計から国保への繰入れ額は、平成26年度で約78億円に上っております。
 県といたしましては、国保の健全な運営のためには、赤字解消に向けた計画的・段階的な取組が必要であると考えており、市町村が行う収納率の向上や医療費適正化などの取組への支援に努めてきたところでございます。
 法定外繰入れ自体は、国民健康保険法改正に関する国会審議の中でも確認されているとおり、改正後においても制限されるものではなく、市町村が地域の実情に応じ、その必要性を判断して実施できるものと考えております。

 また、県単独補助の実施についてでございますが、県では、市町村独自の医療費助成制度の実施に伴う国庫負担金の減額措置に着目して、平成17年度まで補助を実施してまいりましたが、多額の財源を必要とする小児医療費の助成制度を拡充するため、廃止したところでございます。
 県といたしましては、国による減額措置自体が問題であることから、他の都道府県や市町村とともに国に対し、減額措置の廃止を要望しているところであります。
 国保税が被用者保険の保険料と比べて負担が重いことについては、地方ではなく、国が責任をもって財源を確保し、その解消を図るべきものであると考えております。
 全国知事会としても、国保制度改革に関する国と地方の協議の場において、国保と被用者保険の保険料負担の平準化を強く求めているところであります。
 県といたしましては、今後も全国知事会と連携し、国に対し強く要望してまいります。

5. 水道行政について

 次に水道行政について質問します。
 日本共産党は「過大な需要予測をもとにした水源開発は中止せよ」と繰り返し求めてきました。それは何よりも、「水道料金が高すぎる」という、県民の声が切実だからです。

(1)水資源開発の中止
 本県の給水量は、2010年をピークに減少を続けています。4つの県広域水道の給水量も低下しています。2013年の県議会で日本共産党が、八ツ場ダム、霞ケ浦導水事業の中止を求めたのに対し知事は、「暫定水利権を取得して給水しているから中止はできない」と答弁しました。
 しかし2014年度の広域水道の1日最大給水量―44万7千トンに対し、すでに完成している霞ケ浦開発、渡良瀬・奈良俣・湯西川ダムなどの安定水利権だけで45万6千トンの取水量があり、これ以上の暫定水利権は必要ありません。もちろん、4つの広域水道ごとにアンバランスがありますが、融通すればよいことで、これからの人口減少や、節水の普及を考えれば、霞ケ浦導水事業、八ツ場ダムなどの水源開発はキッパリ、中止すべきです。知事の所見を求めます。

 ひたちなか市では、東日本大震災のとき、県水の給水がストップして重大な被害をこうむりました。今後は県水だけに頼らず、那珂川からの安定水利権と、すでに施設のある地下水を水源として活用していくことを決めました。
 人口減少の中、県の水行政のあり方も問われています。地下水の適切な活用と、市町村の水利権、県の安定水利権の3つを柱にすえた水行政に切り替えるべきです。知事の所見をお聞かせください。

(2)水道料金の値下げを
 次に水道料金の値下げについて質問します。
 「黒字分を値下げに回してほしい」という要望に対し知事は、施設の改修や耐震化費用の増大をあげ「応じられない」との答弁を繰り返してきました。2014年度決算から会計制度が変わり、国の施設整備の補助金などは収益に回すことになりました。
 企業局が本年4月に策定した、「企業局経営戦略」10か年の財政計画では、県南84億円、鹿行4億円、県西39億円、中央38億円、県全体で165億円の利益を見込んでいます。施設の改修費も耐震化費用も含め黒字の計画です。値下げできない理由はどこにもありません。
 「他県から引っ越してきたら水道料が高いのにビックリした」という話は、県南では当たり前になっています。水道料金の値下げによって個人消費は上がり、地域経済の活性化につながります。県民や市町村の要望にこたえ、水道料金の引き下げを実施すべきではないでしょうか。知事の所見を伺います。

【知事答弁】
 水道行政についてお答えいたします。
 まず、水源開発の中止と今後のあり方についてでございます。
 県広域水道用水供給事業において、企業局が安定水利権として確保している取水量が1日最大給水量を上回っているため、暫定水利権は不要とのご指摘でございますが、水道用水の需給につきましては、個別の給水系ごとにその実態を見ていく必要がございます。
 平成26年度で見ますと、完成済みの水資源開発施設で確保している水量は、県南広域水道用水供給事業の利根川給水系におきましては、需要の4割程度、県中央広域水道用水供給事業の水戸給水系では需要のわずか1割程度しか満たすことができない状況にございます。
 このため、現在開発中の八ツ場ダムや霞ヶ浦導水の完成を前提に暫定水利権を取得し、県南広域水道利根川給水系においては日量約44,000トン、県中央広域水道水戸給水系においては日量約29,000トンを安定水利権に上乗せして給水している状況にあります。
 また、地下水につきましては大量に採取し続けることで、地盤沈下や地下水枯渇を招く恐れがあり、事実、平成24年から26年の3年間で、地下水を大量に採取している古河市において、32.4ミリメートルもの沈下が観測されるなど、県南・県西地区では、依然として地盤沈下が進行している状況です。このため、県では、県南・県西地域の一定規模以上の地下水採取につきましては、地下水以外の代表水に転換するまでという条件を付して、暫定的に地下水の採取を認めており、今後、県広域水道用水供給事業への転換を図っていく必要がございます。
 さらに、本県の水道普及率は平成25年度現在で、93.6%と、全国平均の97.7%を大きく下回っている状況にあり、これを高めるためには相当量の水量が必要となってまいります。また、市町村の水道事業においては、将来的に老朽化による施設の更新や、専門性の高い職員の確保などといった困難な課題への対応に迫られることが予想され、その際は、自己水源から県広域水道用水供給事業への転換が図られることも想定されます。
 このように、不足している水量を暫定水利権でまかなっている状況の中で、今後は地下水から県広域水道用水供給事業への転換を図る必要があることなどから、霞ヶ浦導水や八ッ場ダムによる水源開発は必要不可欠であります。
 加えて、霞ヶ浦導水においては、霞ヶ浦、千波湖の水質浄化や、那珂川、利根川の渇水対策として、また、八ッ場ダムにおいては利根川の洪水対策としても必要な事業であり、中止すべきではないと考えております。

 次に、水道料金の値下げについてお答えします。
 安全で安心な水を供給するためには、長期的に安定した水道事業の経営が必要です。
 このため、水道料金は、ダムなどの水源費や施設整備のための借入金の償還金、維持管理費及び今後の施設改築等の費用を考慮しながら、長期的な展望に立って設定しております。
 企業局では、平成26年度で終了した第三期中期経営計画の検証や課題を踏まえ、新しい企業局経営戦略を策定いたしました。策定にあたっては経営・財務状況を的確に把握し、将来においても安定的に事業を継続していけるよう考慮し、10年間の計画期間としたところでございます。
 この経営戦略では、計画期間中の水需要を過去の実績を参考に、ほぼ横ばいと見込み、現行料金を維持した場合に、毎年度黒字は確保できるものの、その額は年々減少していくものと見込んでおります。
 今後10年間に生じる見込みの黒字分約165億円については、平成26年度末残高で約530億円にのぼる企業債の償還にすべて充当することとしております。
 一方、今後10年間で、霞ヶ浦浄水場など、老朽化が進む浄水場の大規模な改修や管路の耐震化などを進めるため、現在計画しているだけでも約750億円の建設改良投資を行うこととしております。

 このような投資や水源確保に要する経費等を見てみますと、料金の値下げが直ちに出来る状況にはないと考えております。
 水道料金については、4つの広域水道事業毎に3年ないし5年に一度定期的に見直しを行うこととしているところでございますが、今後、人件費を含めた維持管理費の抑制や浄水場の運転管理の見直しなどによる経費節減など、経営戦略に基づく経営努力を引き続き行いながら、適切な料金を設定してまいります。

6. 原子力行政について

(1)子どもの健康調査実施
 最後に原子力行政について質問します。
 私が住む取手市は、福島原発から200キロメートル近く離れているにも関わらず、放射能のホットスポットとなりました。「子どもの将来が心配」「検査だけでもしてほしい」と、昨年、甲状腺検査を求める署名を知事に提出しました。「小中学校の健康診断で心臓疾患児童数が増えている」と指摘する声もあります。

 本年5月、福島県の県民健康調査検討委員会の甲状腺検査評価部会が、「中間取りまとめ」を発表しました。一巡目の検査で、おおむね18歳以下の30万人が受診し、112人が「甲状腺癌の悪性、ないし悪性の疑い」と判定され、99人が手術を受けたと報告されました。そして、わが国の甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病者数に比べ、数十倍の桁数で多いとしています。
 爆発事故当時、本県は水道水の放射能測定が遅れたため、「水道の水で粉ミルクを飲ませてしまった」「野菜も水道水で洗って食べていた」と不安の声が出されています。県内で独自に調査を行った常総市や守谷市が、甲状腺検査を国の責任でおこなうよう求めています。チェルノブイリでは4〜5年後に子どもの甲状腺がんが増えています。知事は国に求めるだけでなく、茨城県として独自に子どもの健康調査を実施すべきです。所見をお聞かせください。

(2)東海原発の廃炉対策
 次に東海原発の廃炉対策についてです。
 日本原電は7月16日、東海原発の廃炉作業で発生する低レベル放射性廃棄物のうち、L3廃棄物を敷地内に埋設処分する事業許可を国に申請しました。商業用原発の解体で出る廃棄物の埋設施設としては国内初となります。
 原電は、「放射能が極めて低い廃棄物」と説明していますが、セシウムやストロンチウムなど総放射能量は1兆7千億ベクレルにも及ぶものです。
 その廃棄物を、深さ4メートルほどの素掘りの穴に埋め、上から土をかぶせて50年以内を目安に監視し、その後は永久埋設する計画です。これで本当に安全が確保できるのでしょうか。
 知事は、原電にたいし、素掘りによる埋設計画は中止し、遮蔽型の施設による「一時保管」に計画を転換するよう求めるべきではありませんか。お答え下さい。

 さらに原電は、2019年から原子炉本体の解体に着手する方針ですが、放射性レベルが高いL1、L2廃棄物の埋設・管理は、見通しはまったくたっていません。
 日本共産党は、東海原発の解体撤去の方針が発表された1997年当初から、「最終処分地も決まっていないなかで解体すれば、大量の放射性廃棄物が敷地内に増えつづける。解体ではなく密閉管理による廃炉措置を」と、提起してきました。
 知事は、原電に対し、廃炉に伴う廃棄物処分の全体計画を求めるとともに、安全な処理・処分が確立されるまで解体作業は中止するよう求めるべきと考えますが、見解を伺います。

(3)東海第二原発の再稼働中止
 日本共産党は8月11日に改めて、東海第二原発を視察しました。現在、総額780億円を投じて再稼働に向けた工事が計画されていますが、防潮堤やフィルター付きベントの建設は未だに調査中。着工の見通しはたっていません。
 運転期間の原則40年まではあと3年余に迫っています。莫大な費用を投じてまでなぜ再稼働するのか、無謀としかいいようがないことを実感しました。
経済的採算性にとどまらず、全国一の人口密集地、老朽化による危険など、東海第二原発の再稼働には何一つ道理がありません。国と原電に再稼働中止と廃炉を求めるべきと考えますが、所見を伺います。以上で質問を終わります。
 なお、答弁によっては再質問します。

【知事答弁】
 原子力行政についてお答えいたします。
 まず、子どもの健康調査についてでございます。
 本県における放射線の健康影響調査については、特に健康調査を実施する必要がないとの専門家の意見等を踏まえ実施しておりませんが、それでも小さいお子さんをお持ちのお母さんを中心に、甲状腺への影響に対する不安があることは承知しております。
 これまでに福島県で行われている甲状腺の超音波検査につきましては、平成23年度から先行検査を開始し、今年5月の福島県「県民健康調査」検討委員会において、約30万人が受診して112人が甲状腺がんの「悪性ないし悪性疑い」の判定であるということが甲状腺検査評価部会の中間とりまとめの中で報告されました。

 また、この判定結果については、被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べてはるかに少ないこと、事故当時5歳以下の者からの発見がないことから、放射線の影響とは考えにくいとしております。
 国の「事故に伴う住民の健康管理の在り方に関する専門家会議」の中間報告においても、先行検査で発見された甲状腺がんについて同様の理由で、原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点で認められないとしております。
 さらに、本県のような近隣県については、現段階で、甲状腺被ばく線量が、福島県より高いというデータは認められず、まずは福島県の健康管理を見守る必要があるとされ、甲状腺検査を希望する強い不安を持つ住民に対しては、個別の相談とリスクコミュニケーションの取り組みを行うべきとされております。

 一方、事故当初の放射線ヨウ素による被ばくの線量評価は、まだ中間報告の段階であり、環境省において、さらに精度を高めるべく継続して調査をしているところであり、その結果や国の対応方針等を見極めながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 県といたしましては今後とも、国や福島県の調査結果を注視しますとともに、県民を対象としたセミナーを通じ、放射線の正しい基礎知識等について丁寧に説明するほか、強い不安をお持ちの方には、保健所等における個別の健康相談に応じるなど、県民の不安解消に努めてまいります。
 次に、東海原発の廃炉対策について、お答えいたします。
 まず、低レベル放射性廃棄物の処分先を決定し、処分見通しに係る全体計画を示すよう原電に求めるべきとのご指摘についてでございます。
 東海発電所の廃止措置に伴い発生する低レベル放射性廃棄物は放射能レベルに応じて三段階に区分されておりますが、そのうち、いわゆるL1、L2廃棄物につきましては、現時点で具体的な処分先が決定していない状況にあり、その早期決定が課題となっております。
 処分先を早期に決定するためには、まずは事業者である原電が、より一層の取組を進めるべきでありますが、さらに、L1廃棄物の埋設処分に係る技術基準の整備や放射性廃棄物の処理処分に関する国民の理解促進など、国が主体となって早急に取り組むべき課題もあるものと認識しております。
 このため、県では、国に対し、低レベル放射性廃棄物の早期の最終処分に係る取組の強化について、中央要望や原子力発電関係団体協議会等を通じて繰り返し要請を行ってきたところでございます。
 今後は、こうした国への働きかけを強めてまいりますとともに、原電に対しましても、低レベル放射性廃棄物の処分見通しを早期に示すよう、一層の取組を求めてまいりたいと考えております。

 次に、処分の見通しがつくまで現在の廃止措置工事を中止すべきとのご指摘についてでございます。
 仮に、廃止措置工事を中断した場合には、例えば、建物内に汚染された機器を保管し続けることに伴い、建物内の汚染を屋外に飛散させないよう、管理区域内において、放射性物質を除去する換気設備を常に運転させておく必要がありますが、停電や故障などで換気設備が停止した場合、放射性物質の飛散の恐れがあるなど、安全上の問題が懸念されるところでございます。
 このため、原電では、放射能レベルが比較的低いL2、L3廃棄物に相当する設備等のうち、解体し、保管容器等に密閉して収納して管理する方がより安全性が高まるものについては、計画的に解体工事を進めているところでございます。
 なお、L1廃棄物に相当する炉心領域につきましては、放射能レベルが高いことから、現在、全体を密閉保管しており、今後、L1廃棄物の処分先が確定した段階で解体工事に着手することとしております。
 次に、L3廃棄物の埋設計画は、安全性に疑問があることから、計画を中止すべきとのご指摘についてでございます。
 L3廃棄物の埋設計画につきましては、今後実施される国の原子力規制委員会による安全審査や県の原子力規制委員会による安全審査や県の原子力安全対策委員会における安全性の検討の結果を踏まえて、原子力審議会や関係市町村の御意見を伺いながら判断してまいりたいと考えております。

 次に、東海第二原発の再稼働中止について、お答えいたします。
 ただ今議員から、東海第二発電所が抱える課題としていくつかの御指摘をいただきました。
 まず、老朽化についてのご指摘でございますが、県といたしましても、東海第二発電所の高経年化対策は極めて重要と考えており、現在、県の原子力安全対策委員会の下に「東海第二発電所安全性検討ワーキングチーム」を設置し、高経年化対策の専門家2名を加えた体制の下で、独自に安全性に関する技術的な検討をいただいているところでございます。
 次に、防潮堤の設置など、新規制基準に基づく安全対策工事に多額の費用がかかるとのご指摘についてでございますが、発電所内の貯蔵プールに1250体の使用済燃料が貯蔵されていることなどを踏まえますと、経営面での配慮は別として、安全性向上のために対策が強化されることについて反対すべき理由はないものと考えております。

 次に、発電所から30キロメートル圏内の人口が全国最多であるとのことにつきましては、万一の原子力災害に備え、現在、避難計画の実効性の向上に向けた検討を行っているところでございます。
 また、これまでも申し上げてまいりましたとおり、原子力発電所の再稼働の要件として、避難計画をどのように位置づけるのか、さらには、UPZ圏内の夜間人口が約96万人にのぼっている状況を踏まえ、東海第二発電所の再稼働をどのように考えるのか、などについて、国の方針を明確に示すよう、中央要望等を通して繰り返し要請を行ってきたところでございます。

 東海第二発電所の再稼働につきましては、国の原子力規制委員会の新規制基準への適合性審査の結果や、再稼働に係る国の方針が示された段階で、既に着手している県の原子力安全対策委員会における検討を更に進め、その結果を踏まえながら、原子力審議会における審議、県議会や地元自治体との十分な協議をさせていただき、県としての方針を決定してまいりたいと考えており、現時点において再稼働の是非を申し述べることは差し控えたいと考えております。

【上野高志議員の再質問】
 1点、放射性廃棄物の処分について知事に再質問いたします。
 今回、日本原電が計画している埋設予定地の海側すぐ近くに、20年前に旧原研が動力試験炉JPDRの解体廃棄物を埋め立てました。しかも、その時埋められたものはコンクリートだけでしたが、 今回、日本原電が埋めようとしているものは金属も多く含まれ、その量は10倍にものぼります。日本原電はJPDRの実績をもって、L3埋め立て処分の安全性は実証済みとしていますが、県は地下水への影響などについて調査・検証したのでしょうか。知事は放射性廃棄物の安全対策について、どのような認識なのか、あわせて所見を伺います。

【上野高志議員の再質問にたいする知事答弁】
 再質問にお答えいたします。
 原子力発電による廃棄物につきましては、絶対に安全を確保しなければいけないという事は、わたくしも同じ立場でございます。

 したがいまして、今の、前の御指摘の件につきましては、わたし存じませんでしたけれど、今回のL3廃棄物の埋設につきましては、しっかりと原子力安全対策委員会において検討をしていただく、周りの影響も含めて検討をしていただいた後でですね、実施に移すという事になってまいりますと、思いますので、そういった点については御心配いただかなくても大丈夫じゃないかなと思っております。

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