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質問・発言

●予算特別委員会での大内久美子議員の質問(2014年9月19日)

【質問項目】
1 保育所の保育環境の改善について(答弁・保健福祉部長)
2 霞ヶ浦導水事業の中止について(答弁・知事)
3 知事の政治姿勢について(答弁・知事)

 (1)県立スポーツ施設の充実
 (2)TX沿線開発
 (3)財政運営

1 保育所の保育環境の改善について(答弁・保健福祉部長)

○大内委員 日本共産党の大内くみ子です。最初に保育所の改善について質問いたします。
 来年4月から保育所、幼稚園、学童保育など子育て支援にかかわる新制度のスタートが予定され、各自治体の9月議会に条例が提案されています。
 児童福祉法24条1項には、保育に対する市町村の責任が明記されました。保育を必要とする子どもの権利を保障するためにも、保育水準を後退させず、拡充していくことが求められています。本県は国基準を上回る独自施策がほとんどありません。
 パネルをご覧下さい。近県の独自施策です。1歳児などへの保育士加配や、障害児の軽中度への保育士加配、食物アレルギーへの調理師加配など、現場からの要求に応えたものです。
 私も水戸市内の保育所を訪問し、同じような切実な願いをたくさんお聞きいたしました。
 民間保育所への産休代替職員補助を本県だけやめてしまったことは重大です。平成17年に国が廃止し、その後、県単独事業で実施、平成23年から、雇用創出基金の活用にしてしまいました。
 女性の子育てと働く権利を保障するための施策です。やめてしまったことは、時代の流れに逆行しています。不安定な働き方と職場にしてしまいます。保育士は経験を積み重ねてこそ専門性を身に付けることができます。
 補助制度の復活、国基準を上回る保育士の配置や障害児保育の拡充など、保健福祉部長の所見を伺います。
 ベビーホテルや事業所内保育所以外に、認可外保育施設で2,500人の子どもたちが保育を受けています。新制度は小規模事業所への移行も盛り込み、認可保育所への移行など、地域の実情を踏まえ、保育の質の向上のためにも県独自の補助支援策について合わせて伺います。

表

○森戸保健福祉部長 補助制度の復活についてお答えいたします。
まず、雇用創出基金を使った統合のやり方について、若干説明します。
平成22年度からは、保育団体等と協議を行いまして、その合意のもと、雇用創出基金を財源として、乳幼児保育と産休代替職員の確保の事業を、一体的に実施してきたところです。その際、乳幼児保育については、それまで1歳児のみを対象としていましたが、0歳から2歳児までと対象を拡大いたしました。
その結果、平成21年度には県内で約3,600人を対象としていたものが、22年度からは、約1万人と3倍に拡大いたしました。乳児や産休代替職員の補助額をあわせても、21年度には1施設当たり60万円であったものが、25年度には176万円と約3倍となっております。
雇用創出基金については、永続的なものではないことは県も認識しております。国へ継続を要望していきます。
この事業は、保育団体にも大変好評であることから、保育士の加配につきましては、来年4月から始まる新制度の中での加算も検討されているとのことですが、市町村や保育団体の意向等も踏まえながら、どのような対応が適切なのか、今後、議論を重ねてまいりたいと考えております。
○大内委員 私は、権利として、産休代替補助はもう憲法でも保障されている権利です。保育の現場は人によって仕事をするところです。結婚、出産を機にやめるような事態になったら、これは女性の権利を奪うことになります。ですから、この補助制度は補助制度として近県は全て行っております。茨城県だけ補助制度をなくしたということで復活について改めて求めます。
さらに、国基準を上回る保育士の配置や、障害児保育の拡充、そして今度の新しい制度では小規模事業所への移行も盛り込みました。認可外保育所に、今、ベビーホテル、事業所内保育所以外に2,500人の子どもたちが保育を受けております。地域の実情を踏まえて、保育の質の向上のためにも、県独自の補助、支援策を行うべきではなでしょうか。合わせてお答え下さい。
○森戸保健福祉部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、統合ということで非常に制度を拡充してまいりました。今後につきましては、各保育団体等とか市町村と議論を重ねてまいりたいと考えております。
 それから、今回の新制度の中で、これまで助成の対象でなかったものがさまざまにございます。認可外保育所は新たな地域型保育事業ということで新制度の対象になってまいります。
 この制度につきましては、今、市町村で計画を策定しておりまして、その中でいろいろ検討されている部分もございますので、事業者等にも働きかけまして、今後、そいった説明会も予定しておりますので、この制度を使っていただくよう働きかけてまいりたいと考えております。
○大内委員 茨城県の場合は財源問題でこんなことをしてしまいました。雇用創出基金の活用ということで、失業者対策、こういうものを、本来あるべき産休代替補助制度を一緒にしてしまったということに大きな問題がございます。きょうは女性副知事もここにおりますので、産休代替補助制度は補助制度として国にも復活を求め、県としても絶対にこれは行わなければならない制度です。そのことを強く求めて、保育所の質問は終わります。

2 霞ヶ浦導水事業の中止について(答弁・知事)

○大内委員 次に、霞ヶ浦導水事業の中止について質問をいたします。
 事業の凍結から5年、本年8月25日に国土交通省は事業継続を決定してしまいました。工事建設差し止めの裁判中であり、那珂川漁協など強く抗議し、県民の批判の声が広がっています。
 最初に生物多様性条約、生物多様性基本法に違反していることについて伺います。
 利根川・霞ヶ浦水系と那珂川水系という、まったく異質な2つの生態系を混ぜ合わせることの環境への影響は検証したのでしょうか。
 霞ヶ浦で問題になっている、カワヒバリガイやアメリカナマズなどの特定外来種や有毒なアオコなど、導水で那珂川にも持ち込まれれば、天然アユの宝庫であり、57種の魚類が生息する那珂川への影響は、計り知れません。1秒間に11トン、200リットルドラム缶で55本分の水をろ過することは不可能です。環境と生態系破壊について、知事の所見を伺います。
○橋本知事 導水による生態系への影響についてお答えします。
 霞ヶ浦導水事業につきましては、関係漁業者等からは、那珂樋管における魚類の迷入など、生態系への影響について、大変懸念が示されているところでございます。
 この魚類の迷入に対しましては、那珂樋管の取水口の前面にふき流しや、魚返し、迷入防止スクリーンなどが設置され、物理的に魚類の迷入が防止されますとともに、仔アユの降下する時期、時間帯には取水が停止される予定とされているところであります。
 また、霞ヶ浦に生息する外来魚の那珂川への移送に対しましては、霞ヶ浦の水を取水する高浜機場に砂ろ過施設が設置され、外来魚の魚卵が捕捉されることにより、移送が防止されるなど、必要な環境保全措置が講じられることとされております。
 さらに、国土交通省が実施しました検証の報告書において、一部の学識経験者や関係住民等から出された生態系に及ぼす影響に関する意見に対しましては、「今後とも関連する調査等を継続して実施するとともに、必要に応じて、環境保全措置をこうじていく」ことや、「導水による水温、流速の変化は局所的でわずかであることから、現存する動植物に著しい支障を及ぼすことはない」といった考えなどが示されております。
 これらのことから、霞ヶ浦導水による生態系への影響につきましては、国土交通省において適切な対応がとられていくものと考えております。
 なお、政府は、平成15年に霞ヶ浦導水事業に関する質問主意書に対し、「生物多様性条約は、国内における本件事業のような事業活動を直接規制するものではなく、本件事業が生物多様性条約に抵触するとは考えていない」との答弁をしておるところでございます。
○大内委員 環境省が生物多様性条約、基本法にのっとりました小冊子を作りました。この中で、「こんなことをしてはだめ」との項目に、船乗りや釣り人に対し、「水、動物、植物をある水系から他の水系へ移動させないこと」と明記しています。
 農林水産省では、カワヒバリガイの被害の未然防止のマニュアルを作成し、新たな侵入防止対策を求めています。
 先ほどの知事の答弁では、あくまで国土交通省が公共事業を行いたい、それだけのために、これだけ問題になっている世界的な問題、そして、釣り人にも水の移動はだめですよと環境省がパンフレットまで出している、そういうときに、巨大な公共事業で法律違反を国土交通省が行うことは許されません。
 私は次に、事業の目的が破たんしていることについて伺います。
 那珂川の水で霞ヶ浦の水質を浄化することは、さらに悪化させてしまうと、これまでも指摘してきました。
 これも改めてパネルをつくりました。
 アオコは窒素とリンが増えて、富栄養化で起こります。アオコの増殖を増大させるのが硝酸態窒素です。那珂川は霞ヶ浦の3年間の平均で4.7倍も高く、2012年は7倍です。この検証はされておりません。
 桜川、千波湖の浄化は、既に実施している渡里台土地改良の農業用水の活用と下水道整備で十分にできることです。
 しかも、県東海地区環境放射線環境委員会の調査では、霞ヶ浦の底質には約4千ベクレルもの放射性セシウムが堆積しています。
 今の霞ヶ浦の現状を見れば、那珂川から霞ヶ浦に水を送って、希釈して、水質をよくするということは成り立ちません。
 目的の都市用水の確保については、本県の水が余っており必要がないこと、これまで繰り返し指摘をいたしました。2012年の保健福祉部発行の『茨城の水道』では、1日最大給水量は98万9千トンでした。これを上回る安定水利権と地下水、認可水量を保有していることが報告されています。霞ヶ浦導水を加えると、120万人分の水が余ってしまいます。人口と1人1日最大量が減り続けており、事業の中止を国に主張すべきではないでしょうか。
 導水事業は30年前に着手し、5回の変更があり、2015年の工期です。事業の継続は、工期延長が必至であり、事業費の増大など、県財政と県民を苦しめることなります。
 私は、目的がもうすでに成り立たない、そして、茨城県もさらにこのことについて財政負担、こういう事態の中で、知事は、国土交通省にきちんと中止を要請すべきではなかったでしょうか。所見を伺います。

図

○橋本知事 まず、霞ヶ浦導水事業による霞ヶ浦の水質浄化効果についてでございますが、国土交通省のシミュレーションによれば、霞ヶ浦のCOD値を平均で0.8ミリグラム/リットル程度低下させることが見込まれております。
 また、霞ヶ浦の窒素について見てみますと、霞ヶ浦に流入する河川の硝酸態窒素濃度は、平成25年度の値で3ミリグラム/リットルとなっているのに対し、霞ヶ浦の湖内の方は0.36ミリグラム/リットルと、流入河川の水質よりも大変低い数値になっております。これは、湖水に含まれる窒素が気化したり、あるいは湖底に沈降したりすることなどの効果によるものとされております。
 一方、那珂川の硝酸態窒素は1.1ミリグラム/リットルであり、霞ヶ浦の流入河川の硝酸態窒素濃度3ミリグラム/リットルを大きく下回っているところでございまして、霞ヶ浦に入った後の窒素の気化、沈降により、浄水効果が十分に見込まれるのではないかと考えております。
 さらに、全窒素につきましても同様の現象が生じるものと思われます。また、リンにつきましては、平成25年度の値で、霞ヶ浦湖内の濃度は、0.086ミリグラム/リットルとなっているのに対し、那珂川は0.042ミリグラム/リットルと、霞ヶ浦湖内より低い値になっているところであります。
 こうしたことを考慮すれば、那珂川の水を霞ヶ浦に導水しても、窒素、リンの濃度を上昇させるようなことはなく、水質浄化の効果が期待できるものと考えております。
 次に、新規都市用水の確保についてでございますが、県央地域におきましては、霞ヶ浦導水事業の完成を前提に、あくまでも暫定水利権を取得しているところでございまして、水道用水として10市町村の約70万人に、また工業用水として日立製作所や常陸那珂火力発電所など24事業所に給水をしているところであります。
 こういったことから、霞ヶ浦導水事業による水源開発は必要不可欠であると考えております。
 次に、工期についてでございますけれども、国の検証の中で点検がなされ、石岡トンネル工事の入札公告から事業完了までに7年を要することが示されております。
 また、事業費については、平成25年度までに、総事業費1,900億円のうち、約1,490億円が執行され、事業費ベースの進捗率は、約80パーセントとなっているとこるであります。
 那珂導水路につきましては、トンネル工事について約36パーセントの進捗率にとどまっておりますが、機場は3箇所のうち2箇所が、立杭は10箇所のうち9箇所が完成しており、利根導水路につきましては、既に全施設が完成しているところであります。
 これらを踏まえ、検証の中で事業費の点検もなされ、残事業のうち機場に関する工事費が約35億円、トンネルと立杭に関する工事費が約338億円と算出され、設計費とあわせ残額が約440億円となり、総事業費につきましては現計画と概ね同額となることが示されているところでございます。
○大内委員 私が硝酸態窒素の比較をして、那珂川は高いと。これは私がつくったものではありません。国土交通省のデータをもとに、それも県からいただいたデータをもとにしてつくりましたので、科学的にこれはアオコが増える。科学の目で実態をしっかり見ていただきたいと強く主張いたします。
 導水事業によりました新たな負担を背負うのは市町村と住民です。
 県中央広域水道は、事業完成まで暫定水利権として受水しています。施設計画は日量24万トンで、現在は7万8千トンの施設をつくり、水戸市を含め10市町村と1企業団に供給しています。2013年は1日平均4万113トンを送水し、施設利用率は51%です。しかし、事業完成の場合は、24万トンに施設を拡張し、現在の4倍以上の水を市町村は県から受水しなければならなくなるのです。
 中央広域水道の水道原価は全国で最も高く、水道料金の大幅な値上げは住民生活を圧迫してしまいます。事業を中止することは県民の暮らしを守ることになります。
 市町村に縛りをかけているのが県と市町村の実施協定、責任引取り制です。中止を決断して、協定書の大幅見直しをすべきですが、所見を伺います。
○橋本知事 実施協定の見直しについてお答えいたします。
 水道用水供給事業は、各市町村から申し込まれた水量に応じ、企業局が浄水場や送水管等を整備し、それに要した費用を水道料金として回収する形で実施しております。
 実施協定は、事業を円滑に進めるために申し込まれた水量に応じ締結しているもので、施設整備に膨大な経費と長期間を要する水道用水供給事業において、根幹をなすものでございます。
 事業を実施する企業局は、実施協定に基づき、送水管等を既に整備しておりますほか、水源施設の建設負担金を国に支払っております。したがって、一部の市町村が、必要がなくなったということで実施協定水量の減量を求める場合には、県はその分をいわゆる「清算金」として支払いを求めていくことになります。県が一般財源によりその分を負担することとした場合、県中央広域水道用水供給事業の水を使用していない人を含めた県民全体に、一部市町村の過大な見積もりにより生じた負担を強いることになり、県民の理解を得られるか極めて難しい状況にございます。
 このようなことから、実施協定水量の減量を求める市町村の清算金の問題が納得できる形で解決され、なおかつ関係市町村の総意として県に広域的水道整備計画の見直しの要請がなされない限りは、実施協定の見直しは難しいものと考えております。
○大内委員 今回の事業継続にあたって、国土交通省はそれぞれの意見を聞きました。その中で、千葉市と銚子市などの東総広域水道企業団が、将来人口の伸びが見込めず、水需要の見直しで、事業からの脱退を国土交通省に申請しました。
 茨城県内ではこんなことはありませんでした。まず、知事がこの重大性をしっかり認識していないことあるからです。県中央広域水道は、今でさえ、つくった7万8千トンの施設の5割しか使っていない、その4倍以上の水がどうして必要となるのですか、私はこのことを先ほどお聞きしました。道理のない無駄な公共事業の象徴が霞ヶ浦導水事業です。本県も事業からの脱退の決断をして、中止を強く求めることで、水道料金の値下げにつながる重大な問題です。このことを強く求めて、この質問を終わります。

3 知事の政治姿勢について(答弁・知事)

(1)県立スポーツ施設の充実
○大内委員
 次に知事の政治姿勢について質問します。
 最初は県立スポーツ施設についてです。本県の県立運動施設3ヵ所のうち、東町運動公園を水戸市に無償譲渡することについて、知事と市長で合意したということです。
 平成23年3月に、茨城県スポーツ振興協会は「県営スポーツ施設整備のあり方」報告書を出しました。東町は県民の健康づくりの拠点とし、多様なスポーツニーズと障害者にも対応、体育館は多目的施設として整備すると記しています。どのように検討されてきたのでしょうか。関係者や県民の意見を聞く機会を設けないのでしょうか。伺います。
○橋本知事 東町運動公園につきましては、今ご指摘ございましたように茨城県スポーツ振興審議会から、県民の健康づくりやスポーツニーズに対応し、各種イベントにも利用可能な多目的な施設として整備することが示されているところでございます。
 この報告書が出された直後に大震災が発生し、県営スポーツ施設も大きな被害を受けましたことから、これまで復旧工事を最優先に進めてまいりました。その後、国体開催に向けた整備が必要となったことから、今定例会の補正予算案に、笠松及び堀原運動公園の施設整備に係る設計費を提案させていただいているところでございます。
 一方、東町運動公園につきましては、笠松運動公園が近くにあることや、あるいは財政面の問題もあり、国体開催のためとはいえ、全面改築は難しいのではないかと考え、種々検討、代替案を検討して参りました。一方で、水戸市の方から、中心市街地の活性化などに効果が期待できることから、同公園を活用することについて検討したいといったような構想が示されたところであります。
 その後、県と水戸市で協議の結果、用地及び既存施設を水戸市に無償譲渡し、市が新しい施設を整備する方向で、現在、最終調整をしているところでございまして、この方向がまとまり次第ですね、県議会あるいは市議会等で議論を進めていただくことになると思っております。
○大内委員 水戸市長は現在の250台の駐車場を800から1,000台にして、全国大会が呼び込める体育館を建設したいと市議会で答弁しております。1日100人も利用している児童幼児プールは駐車場にしてしまうのでしょうか。
 東町運動公園は、戦後復興の区画整理事業で都市公園になりました。平成23年成立のスポーツ基本法は、子どもから高齢者まで国民だれもがスポーツに親しめるスポーツ権を明記しました。
 これらの理念を生かし、東町の整備計画について、関係者や住民参加で決めていくことではないでしょうか。拙速な結論を出すべきではないことを主張します。
 無償譲渡は議会の議決要件にならない、こういうことで運動施設が県民のために何がいいのか、基本理念も含めて、私は十分に検討をすべきであるということを主張いたします。

(2)TX沿線開発
○大内委員
 次に、つくばエクスプレス沿線開発について質問します。
 県、都市再生機構(UR)などが事業主体となって8地区1,700ヘクタールに人口10万人を呼び込むという大規模宅地開発です。
 URは、2018年まで土地の供給・処分を完了すると、2010年に閣議決定をいたしました。県とURの急速な土地処分と宅地開発が進行し、問題になっているのが小学校建設、まちづくりの遅れです。
 日本共産党が行ったアンケートには、30から40歳代の方々が「人口増が予想できたのに、市役所以外何もない」、「小学校が異常に遠い。児童館、公民館、図書館、郵便局がなく、つくってほしい」、「春日小学校の生徒が多すぎる。小学校はプールの授業が9月までない」など、切実な訴えがたくさん寄せられました。
 開発を主導・統括してきた県の責任は重大です。葛城地区、萱丸地区の学校や公共施設の建設、まちづくりを進めることについて知事の所見を伺います。
○橋本知事 おっしゃるとおり、まちづくりを進める上で、学校は大変重要な施設であると考えており、県では両地区に学校用地を確保しますとともに、これまで市に対し、学校の早期設置を強く要請してきたところであります。
 まちづくりの進展とともに、両地区内の人口は着実に増加してきており、つくば市としても、地区内への学校の新設が必要と判断し、市内全体の学校の配置計画を見直すこととし、昨年度、学区審議会を設け、これまで議論を重ね、「つくば市学校等適正配置計画(指針)」として改定を行い、今月初め発表したところであります。
 その際、市長からは、特に、葛城、萱丸両地区については、子どもたちの増加のスピードが速く、学校の新設をできるだけ早急に行わなくてはならない旨の発言があったと伺っております。
 また、現在開会中のつくば市議会において、市教育長から両地区への学校の新設について、「平成26年度内に学校用地を取得し、平成27年度には基本設計、実施設計を行い、設計完了後は速やかに建設工事に取り掛かりたい」との答弁がなされているところでありまして、県といたしましても、早急に市との協議を終え、できる限り早期に開校できるよう、協力をしてまいります。
○大内委員 土地は確保してあると。市や文部科学省と協議を行って、土地があれば、国庫補助、これも建物がまだ建たなくとも、計画も段階で文部科学省は決定をする、こういう状況です。
 千葉県の沿線開発地域では、2014年に柏市に小学校が開設され、2015年には流山市に小中学校が開設予定です。
 つくば市では、早くて2018年と市長が表明していますが、これは遅すぎます。小中一貫の春日小学校は、今年1,163人と、全県一のマンモス校になり、4年後には教室数52、1,700人を超える日本で最大規模の小学校になってしまいます。
 知事、そこに住む子どもたち、そして、そこに住む住民のための開発ではなかったでしょうか。学校建設が遅れたということは、私は、この子どもたちに対する街づくりの中心課題が、この点が余りにも位置付けがなかったと言わざるを得ないのです。一刻も早く市や文部科学省と話し合って、4年後ではなくて、もっと近くて2年、3年、こういう時点でつくらなければ待てません。所見を伺います。
○橋本知事 先ほど申し上げましたとおり、学校をきちんと整備することは、地域づくりのために極めて重要であると考えております。
 このために、計画の中で学校用地を配置するとともに、私どもとしては、つくば市、あるいは、つくばみらい市に対して、大変強く働きかけをしてまいりました。
 ただ、その中で、価格面その他のこともあって、市のほうで納得できない状況もあって遅れてきたのかとも、それも一因かとは思いますけれども、私としては、やはり、もっと積極的に市が取り組んでほしかったなという思いを持っております。
 そして、これについては、私どもも、地域の住民のことを考えて、できるだけ積極的に働きかけていきたいと思いますけれども、基本的には市がやることでありまして、県はいろいろ支援をしてまいりますけれども、余り口出し過ぎるわけにもまいりません。そういったことについてのご理解をいただきたいと思いますし、私どもとしては、人をできるだけ早く張り付けるためにも、学校、病院というものは大変大事だということは当初から申上げてきているところでありますのでご理解いただきたいと思います。
○大内委員 子どもたちのために、住民のために、一刻も早く、学校建設、街づくりと取り組んでいただきたいと要望いたします。

(3)財政運営
○大内委員
 最後に、財政運営について知事に質問いたします。
 全国8位の財政力をもつ本県が医療や福祉の水準が大変遅れており、税金の使い方が問題であることを、私は繰り返し指摘をしてきました。
 知事の県政運営は、企業を呼び込むことが茨城の発展につながるという、国と一体になった開発優先の県政です。その失敗が開発用地の莫大な売れ残りです。破たん処理に2006年から2013年まで、1,827億円も一般財源を投入してきました。 開発公社、土地開発公社、住宅供給公社の3公社に知事が債務保証をしてきた金融機関への返済のために最優先して県民の血税を投入してきました。私は、これは間違っていると何度も指摘をしてきたところです。
 そのツケは、先ほど、他の県では、女性の権利として当たり前になっている保育所の代替人件費、この補助を削ったということは何のことはありません。雇用創出基金に統合すれば一般財源の投入を少なくするということではなかったのですか。私はどうして1年間に350億円も最終補正で一般財源を充てることができるのか、そこにはからくりがあるのではないかということを常に財政運営で問いただしてまいりました。
 保育士の働く権利を保障するのがこの代替職員の配置です。これは制度として置かなければならない、一般財源として補助をしなければならないのです。それを、あと1年か2年かわからない財源で、国の雇用対策として、失業者対策としてお金が来るから、そちらのほうに回して、一般財源を売れ残った土地のために優先して使う、こういうことではなかったかなと私は一つのことを通して思いました。
 当初予算の3倍から4倍も、最終補正で、一般財源でこの破たん処理を増額し、破たん処理につぎ込んできた県民犠牲の県政、財政運営は改めなければなりません。知事の所見を伺います。
○橋本知事 開発優先というお話がございましたが、私どもとしては、働く場の確保を最優先してきたということでありますので、ご理解いただきたいと思います。
 それから、先ほどのパネルで、いろいろお話がございましたが、例えば私どもの県独自にやっているものとして、妊産婦医療費の無料化といったものがございます。これにも億単位の予算をつぎ込んでいるわけでありまして、必要なものには財源を一生懸命工面しながらつぎ込んでいるわけであります。
 この雇用基金を使っていることにつきましては、今の段階ではそのお金が使えると言うことでありますので使っておりますが、雇用基金が切れれば、当然、一般財源でやっていくこととしている訳でありまして、止めたわけでは全然ございません。先ほども部長からも答弁がありましたように、全体として充実させる、そういう方向でやっているわけでありまして、その点についてもご理解いただきたいと思っております。
 財源につきましては、必要な財源、予算についてきちんと当初予算の段階で確保して、その後、税収が増になったとか、あるいは節約ができたとか、そういう形で生み出された場合は、県議会の特別委員会の提言もありますので、できるだけ繰り上げ償還その他に回してきたところでありまして、私どもとしては、県議会の方々にもご理解をいただいているものと考えております。
○大内委員 知事から産休代替職員は一般財源で復活をさせる、そういう意味の答弁でした。
 地方自治体の役割は「住民福祉の向上」です。子育て、内需拡大による雇用、老後が安心して暮らせる茨城県政に転換しなければならないことを強調して、予算特別委員会における私の最後の質問を終わります。

以 上


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