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質問・発言

●14年第3回定例会・一般質問(2014年9月11日)

鈴木 聡議員

1.筑西・下妻保健医療圏について(答弁・知事)
 (1)新中核病院建設の見通しと担うべき機能
 (2)医師確保と財政支援
2.国民健康保険の改善について(答弁・同)
 (1)滞納世帯への対応策
 (2)国庫負担増額、県補助復活
3.介護保険制度再建について(答弁・保健福祉部長)
4.軽度・中等度難聴児に対する助成について(答弁・同)
5.生産者米価暴落への対策ついて(答弁・農林水産部長)
6.東海第二原発の再稼働中止、廃炉について(答弁・知事)
 (1)東海第二原発の問題点
 (2)自然エネルギーへの転換

 日本共産党の鈴木聡です。
 最初に広島市の土砂災害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 本県では土砂災害危険個所の半分しか警戒区域の指定をしておりません。がけ崩れ対策など防災対策の強化を要望いたします。
 私は、いのちを大切にする県政をと、医療体制の拡充に取り組んできました。今、社会保障が大きく崩されようとしている時、「住民福祉の増進」という地方自治の原点に立って県政運営が行われるよう、質問をしてまいります。

1.筑西・下妻保健医療圏について

 最初に新中核病院の見通しについてうかがいます。本年3月、県も関わって新中核病院は筑西市が単独で建設することで桜川市と合意しました。その後、筑西市は新中核病院基本構想の策定を3月末に業者に発注し、建設に向けてスタートを切りました。
 さらに筑西市は6月の定例市議会で、新中核病院は4年後の2018年、平成30年秋に完成予定であることを明らかにし工事工程を公表しました。内容は病院基本構想の策定完了見込みは平成26年11月で建設推進協議会の初会合は8月中に開催。年度内には基本設計、実施設計の発注を行い、国に期限延長を要望。基本計画は県医療審議会の承認を27年に受け、厚労省の正式同意を得る予定です。工事発注は28年度中で、完成見込みは平成30年の秋としています。
 しかし、8月末に予定していた建設推進協議会の初会合は開催されず、開催予定も定かでありません。建設推進の核となる協議会の立ち上げが遅れていることに、市民は市が発表した通りに進むのか不安を感じています。
 新中核病院問題にかかわってきた県は、筑西市が公表した工事工程通りに推進していく責任があると考えますが、建設の見通しについて知事の所見を伺います。
 本県は脳血管疾患、心疾患の死亡率が高いことは大きな課題です。特に筑西・下妻保健医療圏は急性期医療体制が遅れており、本県でも死亡率が高く、これまでも指摘をされてきました。因みに本県の10万人当たりの医師数は166.8人で全国ワースト2位です。全国平均230.4人、筑西・下妻保健医療圏は半分以下の99.7人です。そのため当医療圏は周辺の自治医大や筑波大などの医療機関を頼ることが多く、急性期の患者の中には手遅れが生じる事例がしばしば起こり、早急に解決しなければなりません。
 また近年、がん患者が多くなる中、当医療圏には国指定の「地域がん診療連携拠点病院」や県指定の「茨城県がん診療指定病院」も未整備のままで、他の医療圏に頼っている状況です。県の「保健医療計画」の調査でも、住民が医療機関を選択する基準は地理的に通院しやすいことが7割を超えています。
 当医療圏でも県がかかげる「誰でも安心して健やかに暮らすことができる住み良いいばらき」の理念に基づき、一刻も早く救急医療とがん診療体制を確立し、その機能をもつ新中核病院建設は重要です。県の役割について知事の所見を伺います。
 筑西市は、建設推進協議会のメンバーとして、大学病院関係では自治医科大、筑波大、日本医科大、独協医科大、東京医科大茨城医療センターをあげ、医師確保などの協力を打診してきました。具体的な問題は建設推進協議会の中で話し合われることになっています。
 合わせて県が窓口になって、医師確保に責任をもつべきですが、どのように取り組むのか、知事にお尋ねいたします。
 県内9つの医療圏で、筑西・下妻保健医療圏だけが中核病院といわれる病院がありません。住民のため、筑西市は単独で新中核病院を建設し、保健医療圏の重責を担うことになります。筑西市にとっては建設の財政負担も大きくなり、県の財政支援が求められています。
 建設費は県の計画では当初75億円と見込んでいましたが、現状では市の試算によると1ベッド当たりの単価は3千万円、3百床の病院で90億円の建設費になるとしています。財源は国の交付金13億円や合併特例債、企業債を活用しても、筑西市は推計で40〜45億円の自己負担となります。県の財政支援はどうしても必要です。
 その根拠として県は、中核病院が存在することを条件として、平成11年から県内9つの二次保健医療圏を設定し、県民の保健医療サービスの充実を図るとしてきたことです。
 全国では県立の中核病院を複数運営している県が多く、例えば新潟県は県内各地に15の県立病院をもち、県民のいのちを守っています。本県は、全国8位の財政力を生かすべきです。山形県のように県立病院と同じ位置付けで対応すべきです。
「生活大県」を標榜する本県の知事として、筑西・下妻保健医療圏の遅れを解決し、レベル向上に責任をもって取り組む必要があります。そして医療の充実は、筑西市の人口減少に歯止めをかけ、内需拡大にもつながります。県の財政支援について、知事の所見を伺います。

2.国民健康保険の改善について

 次に国民健康保険の改善について質問いたします。本県の国保加入者は93万人で、加入率は32%です。筑西市では年所得で100万円以下の世帯が5割を超えています。保険税は年所得の1割を超えるなど、負担は重く、本県の滞納は全加入者の2割になっています。 「保険証がないため、病院にかかれず、重症化してしまった」など、深刻な事態もおきています。国保会計への国の負担を30年前に比べて半分に減らしたことが、高すぎる国保税の原因です。国保法第1条は「社会保障及び国民保健の向上」と目的を明記しています。今こそ命と健康を守る制度に改善しなければなりません。
 質問の第1は、滞納世帯への対応についてです。1年未満の滞納者には短期保険証が交付され、本県は全国で2番目に多い交付率です。平成21年12月に厚労省から「留保が長期間に及ぶことは好ましくない」と通知が出され、保険証を留め置かないようにと各地で取り組まれました。本県の対応について伺います。
 国保法44条の窓口自己負担の減免と、77条の国保税減免制度の活用をこれまでも提起してきましたが、積極的な活用について、その実態と対応について伺います。
 滞納者への強権的な取り立ては、年々強まっています。本県の国保税差し押さえ実施状況は、平成15年から24年までの10年間で件数は8倍、金額で5.3倍と増加し、生活が脅かされるなど、厳しい取り立てとなっています。
 とりわけ平成13年に全国で初めて設立した茨城租税債権管理機構は、給料や年金などを差し押さえて、滞納を1年間で処理し、執行停止基準を生活保護の1.0倍にしています。当初は市町村民税と個人県民税の処理でしたが、2年後から国保税も取り扱うようになり、平成25年の徴収額の26%を占めています。国保は社会保障制度です。強制取り立てはやめて、債権管理機構の取り扱いの中止を求めるものです。
 実施主体の市町村で住民の生活実態をよく聞き、親身に対応する相談・収納活動を行い、医療保障を最優先にすべきです。知事の所見をお聞かせ下さい。
 国保法第4条は国と県の義務として国保事業の運営健全化を明記しています。健全化のためには1984年の医療費45%の国庫負担を38.5%に引き下げた改悪を元に戻すことが必要です。
 本県では、子どものマル福制度の現物支給に対する療養給付負担を、国が減額する制裁措置に対し、県が補助を行ってきましたが、平成18年からやめてしまいました。平成24年の制裁措置は8億2500万円です。県補助の復活と拡充、国庫負担金の引き上げについて見解を伺います。

3、介護保険制度再建について

 つぎに介護保険制度の再建について、保健福祉部長にお尋ねいたします。
 先の国会で可決・成立した「医療・介護総合法」は、公的介護と医療保障を土台から掘り崩すものとなりました。
 要支援者向けの訪問介護と通所介護を保険給付から外し、市町村事業に移行されます。本県で対象となる「要支援1・2」と認定されている高齢者は22,000人、認定者の2割に及びます。事業費には上限が設けられ、介護サービスの低下は明白です。また、特別養護老人ホームの入所対象を原則「要介護3以上」に限定します。本県の待機者6,800人のうち1,800人、約3割が入所の対象外となります。利用料に2割負担を導入することは、高齢者の生活を圧迫するだけでなく、必要なサービスの利用抑制を引き起こしかねません。
 介護保険は「家族介護から社会で支える介護へ」というスローガンを掲げて導入されました。しかし今回の見直しは、公的給付を削り、介護の責任を再び家族に自己責任を迫るものです。国は、団塊世代が75歳以上となる、いわゆる「2025年問題」を持ち出していますが、高齢化のピークに耐えうる介護の提供基盤の再建こそ急ぐべきです。
 介護保険制度を立て直すうえで、国庫負担割合の引き上げは緊急に必要です。この方向は全国市長会などが提言し、立場を超えた一致点となっています。待機者が増えている特養ホームの大幅増設に向けて、国庫補助の復活も必要です。
 今回、要支援者へのサービスを市町村に移すことは、住む地域によって介護の格差をつくりだす危険性があります。県として、給付水準を後退させない取り組みが必要ですが、見解を伺います。

4.軽度・中等度難聴児に対する助成について

 次に軽度・中等度難聴児の補聴器購入に対する助成について質問いたします。
 聴力70デシベル以上の難聴児には身体障害者手帳が交付され、補聴器の補助があります。手帳交付の対象にならない30から70デシベル未満の軽度・中等度難聴児には補助がありません。乳幼児からの難聴は、言語発達、コミュニケーション、情緒や社会性の形成など、多方面にわたって発達上の支障をきたすことが大きいといわれています。
 平成12年から新生児聴覚のスクリーニング検査が開始され、早期発見と早期治療が行われるようになり、1歳前後から適切な治療が受けられるようになりました。補聴器は5年ごとに交換し、イヤモールドといわれる耳せんは1年に1回つくり替えなければなりません。
 補助がないため、経済的負担が大きく、保護者の多くは若年者であり、助成措置を強く望んでおります。関係者の働きかけによって、すでに全国36都県では補助制度を実施しています。今年の埼玉県の予算は290万円です。神奈川県は政令市で実施しており、関東で実施していないのは本県のみになってしまいました。補聴器補助にどう取り組むのか、保健福祉部長の所見を伺います。

5、生産者米価暴落への対策について

 つぎに生産者米価の暴落にたいする対策について、農林水産部長に伺います。
 私の地元、筑西市は水稲の作付面積、収穫量ともに県内1という本県有数の米どころです。9月に入り米の収穫は最盛期を迎えていますが、生産者米価が暴落し、稲作農家は「これではやっていけない。下落に歯止めをかけてほしい」と訴えています。
 生産者米価の相場となる、農協が年内に支払う「概算金」は、本県の「あきたこまち」が1等米で60キロ7,800円と、前年を2,200円下落し、「コシヒカリ」は9,000円で前年を2,500円も下落しています。
 稲作農家が他産業並みの労賃を得て米作りをするには、平均で16,000円が必要というのが農水省の調査です。1万円を割る米価は、完全に赤字で、労賃が出ないだけでなく、肥料や農薬代、農機具の支払いもできなくなります。
 暴落の背景には、JA全農や米卸売業者が13年産米の在庫を過剰に抱え、「投げ売り」する状況があります。国は輸入米を増やす環太平洋連携協定・TPPを前提に、国の需給調整責任を放棄し、農家に「自己責任」を迫っています。2018年産米からの生産調整の廃止に向けて、今年から生産調整を達成した農家に支払われる米の直接支払交付金が半減されます。米の消費減や豊作のなかで過剰在庫が生まれやすくなっています。
 価格の安定に向けて、国に対し、過剰分を買い取り、備蓄米の古米を飼料用にすること、さらに、生産調整の5年後の廃止方針を撤回し、米の需給と価格安定に国が責任をもつよう求めるべきです。県独自としても、稲作農家への価格保障、所得補償をおこなうよう求めるものですが、見解を伺います。

6.東海第二原発の再稼働中止、廃炉について

 次に、東海第二原発について質問いたします。事業者の日本原電は5月24日に新規制基準に基づく適合性審査の申請を強行しました。「再稼働とは直結しない」と説明し、県民をごまかしています。
 再稼働しなければ、過酷事故対策は必要ありません。「使用済み燃料を保管しているので、避難計画はつくる必要がある」と知事は8月の記者会見でのべていましたが、原発を停止したままで、使用済み燃料の安全対策を行えば、避難計画は小規模になることは明らかです。
 5月21日には大飯原発運転差し止め判決を福井地裁は下しました。憲法で保障された人格権を最優先にしています。個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益全体が人格権です。福島原発の事故から原発の本質的な危険性を強調しました。国民の安全より、コスト優先の考えをきっぱり退けました。福島事故に関連して亡くなった人はすでに1000人を超えております。8月26日、福島地裁は自殺と事故の因果関係を認め、東電に賠償を命ずる判決を下しました。人類と原発は共存できません。
 知事は、東海第二原発の危険性を直視し、県民のいのち・安全を守る立場で再稼働を認めず、廃炉にすべきと、事業者や国に主張すべきではないでしょうか。見解をお聞かせ下さい。
 東海第二原発の問題を5点、指摘いたします。第1は、基準地震動の設定です。当初は270ガルの予測でした。今回の申請は901ガルと3倍以上に引き上げました。配管や格納容器の設計条件は換えておらず、安全の保障がありません。
 第2は、本年の11月には運転から36年になる古い原発です。これまでもシュラウドサポートのひび割れなど、定期検査で欠陥が明らかになり、原子炉圧力容器本体や、配管の減肉や腐食など危険です。
 第3は、延長2000キロメートルに及ぶ電気ケーブルを難燃性ケーブルに交換することは不可能です。防火塗料を塗るという独自の対応では火災の危険は防げません。
 第4は、福島原発と同型のBWR・沸騰水型で、格納容器は水蒸気爆発を発生しやすいマークIIで、過酷事故は、首都圏まで壊滅的被害が予想されます。
 第5は、30キロ圏内に約100万人が住み、人口密集地であり、避難計画は実効性がありません。
地震・津波で橋や道路が壊れた場合、自家用車での移動は成り立ちません。病院や介護施設の要配慮者は2万2千人、施設管理者も計画は作れないと県に回答しています。受け入れ先も被害にあうことは予想され、受け入れは困難です。これらの問題について知事はどう認識しているのでしょうか。「すべて国が判断する」というのは、あまりにも無責任です。知事の所見を伺います。
 再稼働を前提としての安全対策費は、日本原電は780億円としていますが、全国の申請中の対策費は2兆円以上といわれています。原発をやめて、これを自然エネルギーの対策のために使ったら飛躍的に普及します。
 本県は今年の5月に「いばらきエネルギー戦略」をまとめました。基本方針に安心安全・自然エネルギーの導入拡大などをかかげていますが、2020年までの自然エネルギーの目標値は示されておりません。現在、国のエネルギー自給率は4.4%です。原発をやめる決断を下さず、目標値も示されておりません。国と同じように、茨城県も決められないのでは、主体性がありません。目標値を定めることについて伺います。
 県内市町村の太陽光発電の住宅への助成制度は平成26年で、26自治体、6割実施しています。本県の独自補助はありません。市町村・中小企業・各住宅への太陽光、風力、バイオマスなど独自補助を創設し、促進することが求められています。取り組みについて知事の見解を伺います。
 以上で第1回目の質問を終わります。答弁によっては再質問をいたします。

〔鈴木聡議員にたいする橋本知事の答弁〕

●筑西・下妻保健医療圏について

 鈴木聡議員のご質問にお答えします。初めに、筑西・下妻保健医療についてお尋ねをいただきました。まず、新中核病院の建設と担うべき機能についてでございます。
 本年3月に筑西・桜川市がそれぞれで病院を単独整備する方向となったことを受けて、県といたしましては、両市に対し、適切な病院機能や病床規模のあり方、病院収支や将来的な両市の財政負担などについて充分に協議・検討するよう要請したところでございます。
 一方、国からは、両市が単独で整備計画を進めていくのであれば、将来の収支や医師確保の見通しが立たなくなることが明らかであり、そのようなところに再生基金や交付税措置などによる財政支援を行うことは疑問である、との大変厳しい見方が示されました。国からは、両市に対し、それぞれ独自に進むという今回の方向を抜本的に見直し、病院の規模や診療機能などについて互いに整合性のとれた整備計画を策定するよう強く求められており、こうした状況を打開していけるかどうか、非常に危惧しております。
 県といたしましては、両市が国からの指摘を真摯に受け止め、改めて、連携協力して、同じデータや分析手法により現実に即した検討を行っていけるよう、定期的に勉強会をするなど、出来る限りの支援を行ってきたところであります。
 現時点では、具体的な見通しが立っている状況ではありませんが、このような取り組みの成果として、両市において、できるだけ早期に病院のあるべき姿を導き出し、適切な病院整備構想を立てられることを期待するものであります。
 また、新中核病院が担うべき機能としては、基本的に、地域医療再生計画で位置付けられたように、筑西・下妻保健医療圏で求められる救急医療機能を整備する必要があると認識しておりますが、その具体的な内容は、今後、計画の見直しの過程で検討されていくものと考えております。
 一方、議員からご提案のありました筑西・下妻保健医療圏の地域がん診療連携拠点病院としての位置づけについては、現在、隣接する古河・坂東保健医療圏に所在する二つの病院が指定を受け、両病院がカバーする体制をとっております。
 仮に、新中核病院が地域がん診療連携拠点病院としての指定を受けようとする場合は、がん診療実績等を踏まえながら改めて検討していくべきものと考えております。
 次に、医師確保と財政支援についてでございます。
 まず医師確保につきましては、県におきまして、これまで、将来の新中核病院整備を見据え、筑西市民病院に対し、自治医科大学に寄附講座を設置し、総合診療医の派遣を行ってきたところであります。
 この寄附講座については、残念ながら、新中核病院構想の推進が不透明となったことから、昨年度をもって終了することとなりました。
 一方で、新中核病院を開設するためには、例えば、300床規模の病院の場合ですと、50人程度の医師が必要となり、これだけの医師を確保するためには、新中核病院構想に対する理解と賛同のもとに、各方面から積極的な協力を得ていくことが必要であります。
 県といたしましては、今後地元において具体的な構想がまとまり、関係大学や医療機関などに対し、医師確保の要請を行う場合には、県の持つあらゆるネットワークを活用し、できる限りの支援をしてまいりたいと考えています。
 次に、財政支援につきましては、現在、県では、県内の病院整備に対し、地域医療再生基金等を活用し支援を行っているところです。
 この新中核病院整備については、事業の持つ重要性に鑑み、限られた再生基金の中から、一つの病院整備に対する支援額としては、第一次計画と第二次計画を通じて最も多い総額25億円の枠を最優先で確保するとともに、再生計画の延長要件が柔軟な取扱いとなるよう、何度も国に働きかけを行うなど最大限の支援をしてきたところです。
 今後、新中核病院構想が具体的に進む見通しが立った場合には、再生基金や病院事業債などの既存の財政制度が円滑に活用できるよう、最大限の努力をしてまいりますので、ご理解いただきたいと考えております。

●国民健康保険の改善について

 次に、国民健康保険の改善についてお答えいたします。まず、滞納世帯への対応策についてでございます。
 国民健康保険は、保険税と一部負担金、公費をもって運営される制度であり、保険税と一部負担金、公費をもって運営される制度であり、保険税と一部負担金を適切に支払っていただくことが基本になっております。
 ご質問の、短期被保険者症の速やかな交付についてでございますが、短期被保険者証は、滞納世帯と接触する機会を確保し、事業の休廃止や病気など、滞納している特別な事情の把握と、きめ細やかな納付相談を目的として発行されるものであり、本県市町村では積極的に活用しているところです。
 短期被保険者証は窓口交付が原則ですので、速やかな交付のためには、まずはご本人がすぐに受け取りに来ていただくことが必要です。
 このため、県といたしましては、市町村の担当者会議や研修会等を通じて、文書通知だけでなく、電話や個別訪問、夜間休日窓口を開設するなど、工夫を図って接触の機会を確保するよう、助言を行ってきた結果、窓口での速やかな交付が図られてきているところでございます。
 次に一部負担金や保険税の減免についてでございます。災害などにより生活が著しく困難となった場合には、減免が実施されておりますが、県といたしましては、減免制度について住民への周知を図るとともに、窓口で保険税の減免を受けようとする方から相談があった場合、より迅速かつ適切に対応できるよう、減免の取り扱い基準の策定を市町村に助言してきたところです。
 この結果、一部負担金減免の取り扱い基準につきましては、平成23年度10市町村だったところ、現在では37市町村まで増加しております。また、保険税減免の取り扱い基準についても、39市町村で策定しているところです。
 県といたしましては、引き続き、一部負担金及び保険税の減免措置が適切に実施されるよう、市町村に取り扱い基準の策定について助言してまいります。
 次に、茨城租税債権管理機構における国民健康保険税の取り扱いについてであります。管理機構は市町村の税等の滞納額の縮減を図るため、平成13年度に全市町村が構成団体となって設立されたものであります。
 管理機構においては、市町村から引き受ける滞納案件につきましては、原則として、国民健康保険税のみの滞納案件については引き受けをしないものの、管理機構と個々の市町村の協議により、従来から、国民健康保険税のほか、個人住民税や固定資産税などの滞納があり、かつ、市町村が不動産を差し押さえている大口滞納事案などについては引き受けを行ってきているところであります。
 一方、近年、国民健康保険税の滞納割合が高まってきたことから、市町村の要望に基づき、昨年度から、個人住民税と国民健康保険税の両方が滞納となっていれば、差押不動産がなくても、概ね300万円以上の収入がある給与所得者等については、新たに特別枠として引き受けを行っていると承知しております。このように、市町村からどういった滞納事案を引き受けるかは、全市町村からなる管理機構が自ら定めており、地方自治の観点からして、県から国民健康保険税の取り扱いをやめるよう、求めることは適当ではないと考えております。
 なお、管理機構では、引き受けた案件について、滞納者の資力等の状況をしっかり把握し、その上で、納税能力があると認められた場合には、滞納処分など厳正な対処を行っておりますが、一方で、生活困窮者に対しましては、納税相談を丁寧に行い、納税の猶予や滞納処分の執行停止の判断など、個々の事情に応じた取り扱いを行っていると承知しております。
 次に、国庫負担増額、県補助復活についてでございます。
 国民健康保険税は、高齢化による医療費の増加や、年金生活者など低所得層の増加による保険料収入の減少などにより、一般会計からの法定外繰入れが多額にのぼるなど構造的な問題を抱えていることから、財政運営は限界にきております。
 国庫負担率の増額が必要とのご指摘ですが、国民健康保険を将来にわたって安定的に運営できる制度とするためには、国の責任で国費により抜本的な財政基盤の強化策を講ずることが不可欠と考えており、全国知事会や国と地方の協議の場を通して実現を求めているところです。
 次に、市町村独自の医療費助成制度の実施に伴う国庫負担金の減額措置に対する県の補助金の復活についてです。
 平成17年の補助金廃止から、これまでの間、県では小児医療費の助成制度の充実に努めてきたところであり、今年10月からは入院は中学3年生まで、外来は小学6年生まで対象を拡大することとしています。
 今回の改正分だけでも、年間約5億円の県負担が見込まれ、本県の財政状況が大変厳しい中、補助金を復活させることは困難な状況にあります。
 一方、子どもや重度心身障害者等に対する医療福祉制度は全国で行われており、地域福祉に大変重要な役割を果たしております。
 社会保障の充実等のために消費増税も行われているところであり、現物給付に対して行われている国庫負担の減額措置は廃止すべきであり、これまでも国に廃止するよう要望してきたところですが、他の都道府県や市町村と連携して更に強く働きかけてまいります。

●東海第二原発の再稼働中止、廃炉について

 次に、東海第二原発の再稼働中止、廃炉についてお答えいたします。
 まず、東海第二原発の問題点についてでございます。
 東海第二発電所について、4つのご指摘をいただきました。
 第一に、耐震性についてでございますが、今回の適合性審査申請におきまして、基準地震動は最大で901ガルとされております。
 東海第二発電所の基準地震動につきましては、これまでも国の規制強化により見直されてきたところであり、直近では平成18年に最大600ガルへと引き上げられております。
 日本原子力発電では、その都度、対策を実施してきたところでありますが、今回も、国の審査において基準地震動が確定した段階で、改めて施設の耐震性評価を行い、必要な対策を実施する予定と聞いております。
 第二に、難燃性ケーブルが使われていないことについてでございます。
 日本原子力発電では、現在使用しているケーブルに防火塗料を塗布することにより、難燃性の条件を満足出来るとしておりますが、原子力規制委員会においては、審査上の主要な論点の一つとされており、今後、厳格に評価がなされていくものと認識しております。
 第三に、老朽化の影響についてご指摘がございましたが、県といたしましても、東海第二発電所の高経年化対策は極めて重要と考えており、先般、県原子力安全対策委員会の下に、高経年化に係る専門家2名を新たに加えた「東海第二発電所安全性検討ワーキングチーム」を設置し、7月から安全性の検証を開始したところでございます。
 第四に、避難計画の実効性についてでございます。
 原子力災害時の避難計画は、国の防災基本計画に基づき、UPZ内の市町村が策定するものでありますが、県といたしましては、その取組を支援するため広域避難計画の策定を進めているところでございます。
 要配慮者の避難の困難性についてご指摘がありました。
 避難にあたり必要となる介助者や車両の確保などは、市町村や施設の管理者が行うことになっておりますが、実施上の課題などが出てきた場合には、県といたしましても、国のワーキングチームと連携しながら、市町村などの取組を支援してまいります。
 また、複合災害時の避難につきましては、通行可能な道路情報などをラジオや道路表示などにより迅速に住民に伝達することなど、複合災害に備えた体制について有識者の意見を伺いながら検討を進めてまいります。
 これらの問題を踏まえて、東海第二発電所の再稼働を断念することを日本原電や国に求めるべきとのご指摘でございますが、昨年行われたNHKのアンケート調査によりますと、県内全域では70%が廃炉と回答しております一方で、地元東海村では51%が運転再開と回答しているなど、県民の中にも様々な考え方がございます。
 私といたしましては、このような県民の様々な意見を集約していくことが重要であると考えておりますので、東海第二発電所の再稼働につきましては、従来から申し上げておりますとおり、新規制基準への適合性審査の状況、あるいは東海第二発電所の再稼働に係る国の判断などを踏まえ、県原子力安全対策委員会における検証、県原子力審議会における審議、さらには、県議会や地元自治体との十分な協議をさせていただいた上で、方針を決定してまいりたいと考えております。
 次に、自然エネルギーへの転換についてお答えいたします。
 まず、いばらきエネルギー戦略における再生可能エネルギーの数値目標の設定についてでございます。
 県といたしましては、エネルギー供給源の多様化等を図るため、これまで以上に再生可能エネルギーを導入促進していくことが、重要であると認識しております。
 このため、本年5月に策定した「いばらきエネルギー戦略」におきましては、基本方針の一つに再生可能エネルギーの導入拡大を掲げ、導入促進を図っていくこととしたところでございます。
 しかしながら、先に国が決定したエネルギー基本計画においては、エネルギーのベストミックスはもとより、再生可能エネルギーの具体的な数値目標は示されず、今後の国のエネルギー政策の動向によっては、地方公共団体の施策としても大きく異なってまいりますことから、県の戦略における再生可能エネルギーの数値目標の設定を見合わせたところでございます。
 現在、県内においては、固定価格買取制度の施行により、民間事業者の太陽光発電への事業参入が活発になっておりますが、再生可能エネルギーの本格的な普及には、今後の技術開発等による性能の向上やコストの低減などを見極めながら、計画的に導入促進を図っていくことが必要と考えております。
 県といたしましては、今後、国において、今般のエネルギー基本計画で見送られた数値目標等が示された場合には、その内容を踏まえるとともに、県内における再生可能エネルギーの導入状況等を鑑みながら、県の戦略に再生可能エネルギーの数値目標を掲げるなど、必要な措置を講じてまいる所存であります。
 次に、太陽光発電に係る補助制度についてのお尋ねでございます。
 県におきましては、平成21年から2年間、住宅用太陽光発電の導入促進を図るため、1キロワットあたり3万円、1件あたり10万円を上限とする補助制度を設け、約2千件、総額で約2億円の補助を行ったところでございます。
 議員御質問の市町村・企業・住宅等に対する補助制度につきましては、平成24年7月に開始された固定価格買取制度の買取価格が1キロワットあたり42円と高い水準だったこと、また、本県は地形が平坦で設置しやすいことなどから、本年5月末時点で国が認定した太陽光発電件数は約6万件で全国2位と設置が進んでおりますので、新たに創設することは考えておりません。
 県としては、昨年度から再生可能エネルギーの専門家等を市町村に派遣するとともに、来月からは新たに地域でリーダーとなる人材を養成する講座を実施することとしておりますので、補助制度に頼るのではなく、こうした施策を講じることにより、地域における再生可能エネルギーのなお一層の導入促進を図ってまいりたいと考えております。

〔森戸保健福祉部長の答弁〕

●介護保険再建について

 介護保険制度再建についてお答えいたします。
 今般の介護保険制度の改正では、予防給付のうち訪問介護と通所介護が、市町村事業である地域支援事業へ移行することや、特別養護老人ホームの入所者を原則要介護3以上とするなどの見直しがなされました。
 予防給付と同様のサービスは、地域支援事業に移行しても、これまでの事業者から受けることが可能であるほか、買い物や見守り等の生活支援については、生活協同組合や元気な高齢者も参加するボランティアなど、地域の多様な担い手によって、全市町村で提供されることになります。
 これにより、利用者のサービス選択の幅が広がるとともに、高齢者の社会参加によって、自らの生きがいづくりや介護予防につながる効果も期待されております。
 このため、社会貢献を望む高齢者による互いに支え合う「互助」の仕組みづくりも含め、地域のコミュニティやNPOなど多様な担い手を養成する取り組みが重要となります。
 こうしたことから、県では、担い手の養成や、地域資源の掘り起こしなどを行う生活支援コーディネーターを育成することにより、地域に必要なサービスの創出を図ってまいります。併せて、その活動を支援するため、地域包括支援センターや社会福祉協議会など、関係団体のネットワークの構築を市町村に対して、働きかけてまいります。
 特別養護老人ホームの入所者を、原則要介護3以上とすることにつきましては、認知症等で在宅生活が困難な場合などには、特例的に入所できることになっております。このため、県では、特別養護老人ホームの入所判定の指針を改正し、市町村や施設に対する周知徹底を図ってまいります。
 また、入所決定過程の公平性などを確保するため、市町村が関与したうえで、各施設の入所検討委員会が開催されるよう、茨城県老人福祉施設協議会と連携しながら、指導してまいります。
 特別養護老人ホームの増設につきましては、2025年を見据え、地域のニーズを踏まえて策定される市町村の計画をもとに、県は、高齢者福祉圏域ごとの整備目標を介護保険事業支援計画に位置付けて、計画的に整備を進めてまいります。
 さらに、高齢化の進展等に伴う介護費用の増加は、県や市町村財政の圧迫にもつながりますことから、県では、本年6月に、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、国と地方の負担のあり方の見直しについて、国に対し要望したところでございます。
 県といたしましては、今般の介護保険制度の見直しに対して、市町村、事業者等が円滑に対応でき、県民のサービスの低下を招くことのないよう、万全の体制で取り組んでまいりたいと考えております。

●軽度・中等度難聴児に対する助成について

 次に、軽度・中度難聴児に対する助成についてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、聴覚に障害のある方への補聴器購入の助成につきましては、両耳の聴力レベルが70デシベル以上の高度難聴の方が対象であり、軽度・中等度難聴児の補聴器の購入にあたっては、全額自己負担となっております。
 また、幼少期の適切な時期に補聴器を装用することは、言語やコミュニケーション能力の習得にとって重要であるとともに、学童期においては教育における学習機会の確保に不可欠なものと認識しております。
 軽度・中等度の難聴の子どもたちへの支援につきましては、障害者総合支援法に基づき、本来、全国どの地域におきましても同様のサービスを受けられることが必要でございますので、関東甲信越地区の障害福祉主管課長との連名により、医師が補聴器の必要を認めた場合には、軽度・中等度の難聴児に対しても補装具費として支給できるよう、国に対して要望を続けているところでございます。
 県といたしましては、議員ご提案の新たな助成の実施の必要性を検討するにあたり、今年度、難聴児が受信する県メディカルセンターなど、県内4ヵ所の精密聴力検査機関に対し調査を行い、軽度・中等度難聴児の数や補聴器装用のニーズのほか、家計での補聴器購入に係る費用負担の状況など、実態の把握に努めてまいりたいと考えております。

〔鈴木農林水産部長の答弁〕

●生産者米価暴落への対策について

 生産者米価暴落への対策について、お答えいたします。
 近年の米価低迷は、消費面で、少子高齢化の進展や消費者のライフスタイルの多様化などにより、米の需要量が毎年減少していること。一方、生産面では、国が示す生産数量目標以上の過剰作付が続いていること、また、平成24年産から豊作基調が続いており、国公表の8月15日時点の米の作柄概況も全国的に良好であることから、本年も供給過剰が見込まれることなどが、主な要因と考えられます。
 中でも過剰作付は、平成25年産でみると、全国で2万7千ヘクタールあり、そのうち本県は約7千ヘクタールと相当の規模を有しており、これを解消しなければ、抜本的な対策にならないものと考えております。
 このため、県としては、国の地域センターや市町村、JAなどの農業団体等と連携して、経営所得安定対策加入促進による生産調整の推進や米価下落に対応するセーフティーネットとしての収入減少緩和対策、いわゆるナラシ対策への加入促進、さらには、助成が拡充された飼料用米等の生産拡大を推進しているところであり、これらの施策を通じて、農業者の収益性の確保と経営の安定を図ってまいりたいと考えております。
 議員からいくつかのご提案をいただきましたが、まず、「過剰在庫米を飼料用米として国が買い上げるよう要望すべき」というご提案につきましては、農林水産大臣は、先日の記者会見において「8月の作柄概況では、その後の天候の影響が反映されていないことから、9月下旬公表の作柄概況を見ながら対策を考えたい」との意向を表明しておりますので、県としても今後の国の動向を注視してまいりたいと考えております。
 また、「平成30年産からの米の生産調整廃止の方針撤回を要望すべき」というご提案ですが、国では今後の米政策に関しては、「行政による生産数量目標に頼らずとも、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ生産者や集荷業者、団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が出来るよう、行政、生産者団体、現場が一体となって取り組む」との方針を示しており、このために必要なきめ細かい情報提供や交付金の充実などの環境整備を進めることとしております。
 いずれにいたしましても、農業者が将来にわたり安心して営農が継続できるような制度づくりが重要ですので、国に対しましては、これまでも安定的、継続的な制度とするよう要望を行っているところであり、引き続き他県の動向等も踏まえながら、必要に応じ要望を行ってまいりたいと考えております。
  なお、「県独自に稲作農家への価格や所得の補償を行うべき」というご提案ですが、仮に、平成25年産の概算金11,500円を実現するためには、60キログラムあたり2500円を助成することになり、本県の生産量が40万トンであることから、167億円にものぼる莫大な予算が必要となります。これは、野菜や果樹などの生産者との均衡を大きく失することとなり、県民からの理解も得られないことから、極めて困難であると考えております。

以 上


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