日本共産党 茨城県議会議員団 一人一人が大切にされる政治をめざして
議員紹介 県議会報告 質問・発言 申し入れ・提案
HOME BACK
質問・発言

●予算特別委員会での大内久美子議員の質問(2013年3月19日)

 〔質問項目〕
 1 子ども医療費助成制度の拡充策について(答弁・知事)
 2 くらしと地域経済立て直しについて(答弁・知事)
   (1)賃上げ促進策
   (2)雇用の改善
   (3)県職員の給与削減をやめる
 3 原子力行政について(答弁・知事)
   (1)福島原発事故
   (2)地域防災計画
   (3)東海第二原発の廃炉の決断
 4 開発用地の処理について(答弁・知事)
   (1)環境・都市計画
   (2)財政運営

1.子ども医療費助成制度の拡充策について

○大内委員 日本共産党の大内くみ子です。最初に子どもの医療費助成制度の拡充について伺います。群馬県は中学3年生まで完全無料化を実施しています。県が行った県民アンケートに「安心、感謝、助かる」「重症化の防止になる」「子育てしやすい」など、圧倒的多数の声が寄せられました。
 本県でも小学6年、中学3年まで完全無料化を実施したら、どんなに子育てに安心を与えられるでしょか。実施した場合の財政負担と、拡充策について知事の所見を伺います。
○橋本知事 小児医療費助成制度につきましては、私が就任した平成5年当時は実は、入院、外来ともゼロ歳児のみを対象にしており、入院では全国最下位、外来が下から5番目という状況にございました。
 その後、順次拡大に取り組んできたところでございまして、平成22年10月には、対象を未就学児から小学校3年生までに拡大したところです、確かに群馬と比べると、かなり劣っている形に見えますけれども、この平成22年10月時点におきましては、入院、外来とも小学生以上を対象としていたところは、本県以外には5都県のみでございまして、現在におきましても全国上位の水準を保っているところでございます。
 今後さらに対象を拡大した場合の所要額でございますが、自己負担金の廃止と所得制限の撤廃まで行った場合、ごく粗い数値ではございますが、小学校6年生までの場合で、現在より約21億円増加し42億円、中学校3年生までの場合では約31億円増加し、52億円が毎年度必要になってくるものと推計されます、
○大内委員 県立こども病院で働いている方が、「所得制限があって、受けられない方が窓口で支払いに困っている姿を見ると胸が詰まってしまいます」と話しておりました。本県の所得制限は、旧児童手当特例給付額を参考にして、扶養1人で422万円と、全国でも大変厳しい基準で下位レベルです。そのため全県で3割、水戸市では4割の子どもは受けられません。所得制限を撤廃しているのは県内の自治体で68%に上っております。所得制限の見直しについて知事の所見を伺います。
○橋本知事 所得制限を行っております所得額423万円につきましては、収入額で見ますと約600万円までの方が対象となるものでございまして、この現行の所得制限の基準でも、本県の小学校3年生までの児童の76.2%が対象となっている状況にございます。
 所得制限につきましては、本県を含めて全国で30都道府県に導入されているところでございまして、限られた財源を効果的に活用するためにも、一定の所得水準を超える方々には、本制度の適用を制限することもやむを得ないものと考えております。
 本県では、例えば全国でも4県のみしかやっておらない妊産婦医療費助成制度を実施しているところでございまして、こうした取り組みにより福祉の裾野を広げるためにも、現在の厳しい財政のもとでは、現行の基準を継続してまいらなければならないと考えております。
○大内委員 厳しい財政だと言いながら、売れ残り土地の借金返済に平成24年だけでも365億円も税金投入しています。まず子育て支援を優先すべきではないでしょうか。「未来への投資」と群馬県知事は表明しています。橋本知事は「子育て家庭の経済的負担を軽減する」というのが4年前の公約です。公約を果たすべきです。

2.くらしと地域経済立て直しについて

○大内委員 次にくらしと地域経済の立て直しについて質問いたします。
 パネルをご覧下さい。

グラフ

 これは平成13年から22年の10年間の茨城県の企業所得と雇用者報酬、非正規労働者の推移です。企業所得は19%増えましたが、1人当たりの賃金は8%低くなり、年間39万8千円下がっています。非正規労働者は30%増えて、全体の4割が非正規労働者です。デフレ不況の原因は、賃金が下がり続けていること、低賃金の非正規労働者が増えていること、本県の実態でも明らかです。
 そこで、不況打開のためには、知事は企業に対して内部留保金を活用して、賃金を上げるよう、要請すべきではないでしょうか。
 1時間当たりの最低賃金は本県で699円、全国平均を50円も下回っています。1時間1000円以上に最低賃金を引き上げることは非正規労働者のくらしの向上と、内需拡大につながります。どう取り組むのか伺います。
○橋本知事 賃上げについては、今春闘におきまして、かなり値上げするところが出てきておるところでございます。こういった賃上げにつきましては、個人消費の増加にもつながるところでございまして、私としても、我が国がデフレから脱却する上で大変好ましいことではないかなと思っております。
 今、委員から本県の状況についてご説明がございましたけれども、例えば独立行政法人の労働政策研究・研修機構の出版しておりますデータブック国際労働比較というものを見ますと、例えばアメリカとかカナダとか、そういったところでも1995年と2010年を比較すると5割前後伸びているのです。中国などは2008年ですから、1995年と比べると、13年間に約368%伸びている。そういったのに比べて日本は5%以下でございまして、この20年間というのは極めて正常とは言えないような状況であったのではないかと思っております。
 そういう点でも、もっと日本において賃上げを行っていくべきであると思っております。しかしながら、その業種や企業によって経営状況は異なっておりまして、特に、本県に立地する企業の大部分を占めます中小企業は、大企業に比べて相対的に内部留保が少ないといったような事情もございます。
 そういったことを考えますと、一律に賃上げを要請することは控えたいと存じますが、今後、円安や金融緩和によって、物価が上昇する可能性も考えられることから、私としては、業績が改善している企業については、できるだけ賃上げについて積極的に対応していただきたいと考えております、
 また、最低賃金の引き上げを国に対して要請することにつきましては、最低賃金は、金融経済概況等のさまざまな資料をもとに、労働者の生計費、労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払い能力の3要素を総合的に勘案するなどして、国が決定する仕組みになっておりますので、県といたしましては、明確な根拠もなく引き上げを要請することはできないと考えております。
○大内委員 デフレ不況の原因がこの10年、15年を見ても、日本だけが世界の先進諸国で賃金が下がっている、そのことについては、私も知事と同じ立場です。
 そういう意味からしますと、日本共産党は国会で提案をいたしました。政府も直接経済界に賃上げを要請しました。
 日立製作所は内部留保金を1.88%取り崩せば、1人当たり1万円の賃上げができます。そして1%で9,165人の正規雇用を増やすことができます。1万円の賃上げについては、コマツは0.58%、キヤノンは0.71%の取り崩しでできるのです。どうやって企業に賃上げと正社員化の要請をするのか、その具体的なお答えをいただきたいと思います。
○橋本知事 直接個別の企業ということで要請することについては、企業の方におきましては、経営状況や社員の生活等さまざまな事情を真剣に勘案して決定しているところでございますので、なかなか難しいものがあると考えております。
 一方で雇用の改善の関係でございますけれども、非正規雇用で働く方が県内における雇用者の約4割を占めておりまして、その中には、正規雇用を希望しながら正社員として働ける機会を得られなかった非正規就業者も一定程度存在しております。
 また、よく言われておりますように、給与所得200万円以下の労働者が1000万人以上もいるといった状況もございまして、これも非正規雇用を多いことが起因しているのではないかと考えております。
 そういったことから、私どもとしては、何とか正規雇用の方を増やしてほしいということで、例えば県内経済団体に対し、新規学卒者の採用枠拡大を初めとする求人の確保について要請をしておるところでございますし、また、さまざまな就職面接会の活用、いばらき就職支援センターにおける活動などを通じて、正規雇用の増加に努めおるところでございます。
○大内委員 知事のお答えは県内の団体にも申し入れはするということです。本県の中小企業は企業数で99.9%、雇用者数で88.3%と、中小企業が地域経済を担っております。中小企業の賃上げには支援策が必要です。アメリカでは5年間で8,800億円もの支援を行い、日本では3年間でわずか111億円の支援です。中小企業支援について、国と県の課題であることを強調いたします。
 そして、知事自ら行うことは、本県で知事就任の平成5年から県職員を2,000人も減らし、評価しています。しかし、平成10年から24年の間に非常勤嘱託は2.1倍も増えております。平成24年度は非正規労働者である非常勤嘱託と臨時職員は全職員の21%も占めているのです。
 職員削減は見直しをして、県の非正規労働者の待遇改善に私は取り組むべきだと強く要望いたします。
 次に、県職員の給与削減についてです。国は7.8%の地方公務員給与削減を押し付け、そのため、地方交付税や義務教育国庫負担金7.8%削減してきました。本来、地方交付税は地方固有の財源であり、地方自治の本旨にのっとり、国が責任をもって確保すべきです。地方公務員の給与は自治体が条例で自主的に決定するものであり、地方自治体への介入は許されません。全国知事会など地方6団体も共同声明を出しております。3万人余の県職員の給与引き下げは、民間賃金にも影響を与え、地域経済をさらに冷え込ませてしまいます。
 知事は、国の押し付けに反対し、職員給与の削減は行わないことを表明すべきと考えます。所見を伺います。
○橋本知事 今、お話にございましたように、地方固有の財源である地方交付税を一方的に削減し、財源面から国と同様の給与減額措置を迫ることは極めて不適切であると考えております。したがいまして、知事会その他地方6団体とこれまで以上に連携をとりながら、今後、こういったことが行われないようにいろいろと働きかけを強めてまいりたいと思っております。
 一方で現実的に見ますと、平成25年度の地方財政対策におきまして、地方公務員の給与減額を前提に、地方交付税の総額が決定されたところでございまして、本県の当初予算におきましても、新たに設けられた特別枠、地方の元気づくり推進費を過去の交付税にシェアから40億円と見込んでも、なおかつマイナス70億円と地方交付税として減額をされておるところでございます。
 こういった財源不足額が極めて大きいということもありまして、県債管理基金からの繰り替え運用額が140億円に上っております。この本県財政の状況を踏まえますと、果たして給与削減をやらないでいけるかどうかということにつきましては、今後、慎重に検討していかなければいけないと思っておりますが、一方で、新藤総務大臣からは、日本の再生に向けて、国と地方が一丸となってあらゆる努力を結集する必要があるから、今回の削減措置を行ったのであり、単に地方公務員の給与が高いから、あるいは単に国の財政状況が厳しいから行うものではないといった趣旨の手紙も来ておるところでございます。
 今後、そういった手紙の趣旨等々も踏まえながら、あるいはまた閣議決定の状況なども踏まえながら、他県における対応状況を見ながら、検討してまいりたいと考えております。
○大内委員 デフレ不況の原因は、賃下げということになりますと、今回の職員給与の賃下げ、職員給与の削減は、すべきではないということを強く要望いたします。

3.原子力行政について

○大内委員 次に原子力行政について質問いたします。
 福島第1原発が地震と巨大津波で史上最悪の原発事故をおこして丸2年が経ちました。今も15万人以上が避難生活を強いられ、放射性物質を空気中に放出し続けるなど、収束には程遠い状態です。
 とりわけ深刻なのは、「高濃度放射能汚染水」の処理です。壊れた原子炉の冷却のために、大量の水を送っています。原子炉建屋に地下水が流れ込み、合流して汚染水が増加し、27万トンもタンクに貯蔵し、東京電力は70万トンまでタンクを増設する計画ですが、2年で満杯になってしまいます。そのため東京電力は汚染水から放射性物質を取り除くアルプスという設備を建設中です。これでも放射性トリチウムは除去できないのにもかかわらず、海洋放出を狙っています。生物、人間、漁業を守るためにも、海洋放出は絶対に許してはなりません。
 知事は、海洋放出は認められないこと、英知を結集して、収束と廃炉の大事業を国と東電が責任をもって行うよう要請すべきです。所見を伺います。
○橋本知事 東京電力はタンクを約70万トン分まで増強することとしておりますが、平成27年7月ごろには満杯になる見込みと聞いておるところでございます。その取り扱いが課題となってまいります。こうした汚染水につきましては、事故直後の平成23年4月4日に、東京電力が原子力安全保安院の容認のもとで、緊急措置として約1万トンを海洋に放出いたしました。
 その際、私は直ちに当時の菅内閣総理大臣及び勝俣東京電力会長に対して、抗議文を送付し、4月15日には県議会議長や北茨城市長等の方々、あるいは沿岸9市町村長、さらには11の漁業協同組合長とともに、直接、菅総理に対して、われわれに何らの情報も提供されない中で行われたころは誠に遺憾であること、我々、知恵と努力を結集し、一刻も早く事態の収束を図ることなど申し入れをしたところでございます。
 放射性汚染水につきましては、当然、海洋に放出すべきではないものと考えており、昨年の1月25日には当時の枝野経済産業大臣に対して、直接私から要望を行い、その後も中央要望や関東地方知事会、全国知事会での要望など、あらゆる機会を通じて国に対し、絶対に海洋放出を行わないよう、東京電力に対して適切に指導、監督を行うよう申し入れをしてきたところであります。
 福島第1原発における汚染水につきましては、今後とも、引く続き、海洋への放出が行わないよう、国に対して強く要請してまいります。
○大内委員 知事の答弁で、私が納得できるのはこの答弁でございます。ぜひ国に働きかけて、絶対に放出してはならない、これを貫いて下さい。
 本県でも県内の除染と仮置き場の設置、子どもの健康調査、賠償など福島原発事故の対策は大きな課題となっております。とりわけ、子どもの健康調査については県内では竜ケ崎市、牛久市、東海村に続いて、かすみがうら市、北茨城市など、独自の取り組みがはじまっています。
 これまでも提起してきましたが、原発事故子ども・被災者支援法に基づく国の具体化への要請と県独自の取り組みを行うよう強く要望いたします。
 次に茨城県地域防災計画・原子力災害対策計画編について質問いたします。
 2月26日から3月15日まで県民の意見を聞き、3月25日に県防災会議で決定しようとしています。この計画は、東海第2原発が稼働している状況を想定して、策定されるものです。再稼働を前提にしたものは策定すべきでないと私は考えます。
 第1に、福島原発事故を過酷事故と想定しており、放出放射能を福島の60%の設定にする根拠はどこにもありません。東海村には再処理部門もあり、過酷事故の極大化を想定しなければならず、計画は立てられません。
 第2に、住民の避難計画が作れないことです。事故後ただちに避難する5キロ圏内の予防防護区域(PAZ)の住民は6万人、マイカー利用です。どの程度渋滞になるか見当すらつきません。30キロ圏内の緊急時防護区域(UPZ)には、国内最大の94万人が住んでおり、バスで一斉に移動させることは不可能です。
 3月11日の震災で、東海村は久慈川・那珂川にかかる重要な橋は25本中6本が破損し、使用できなくなりました。常磐線は運転停止でした。さらに30キロ圏内には病院が82、介護施設は104ヵ所もあり、生活弱者の避難先の確保、避難経路、輸送手段の確保は具体化できません。
 第3に、防災計画には「生命、身体の安全」となっていますが、財産の明記がありません。福島原発事故では、「帰還困難地域」の2万6千人もの方々の生活の営みは一瞬にして断ち切ってしまいました。
 いくつか問題点をあげましたが、知事は現実的な計画をつくることについて責任を果たせるのでしょうか。所見を伺います。
○橋本知事 県の地域防災計画につきましては、東海第2発電所が再稼働するか否かにかかわらず、最も厳しい事態を想定し、それに対応できるような内容にすべきであると考えております。また、具体的な避難計画は、市町村が作成するものでありますが、県はその業務の実施を助け、かつ総合調整を行う責務を有しております。
 このため県では、現在、避難計画を作成する基本的な知見を得るため、条件をさまざまに変えて、避難に要する時間を推計するシミュレーションを行っているところであります。このシミュレーションでは、避難は主として自家用車によるものを想定し、避難すべく区域の範囲、避難の時期や時刻、自主的避難の割合などの前提条件を変えながら、原子力発電所から30キロメートル圏内の住民が避難する際にかかる時間を推計しますとともに、避難先の選定作業などを行っております。
 今後は、さらに風向きなども条件に加えたシミュレーションを行い、データの蓄積を図っていく必要がございます。また、災害時要援護者の避難については、施設や病院に入所している人数等は把握しておりますものの、実際の介助に必要な人数は個々のケースにより異なりますことから、避難の際に必要な支援人員の確保や入所者等の状態にあわせた避難先の調整が今後の課題となっております。
 このほか、バス等を避難手段に使う場合については、動員可能な車両数の把握はできておりますものの、休日か平日か、あるいは日中か夜間かにより、実際にどれだけの車両が確保できるのか調整を行っていく必要がございます。
 避難所につきましても、県内の施設の数や場所、面積、設備等は把握しておりますが、受け入れ先となる施設所有者との調整や自家用車で避難した場合の駐車場の確保などの調整が必要となってまいります。
 さらに、国からは避難指示を発する時期や避難を行うべき空間放射線量率は示されたものの、避難範囲をどのように特定するかなどは、まだ示されておりません。
 また、先般公表されました放射性物質拡散シミュレーションにおきましても、原子力災害対策指針で示されたOIL(運用上の介入レベル)の値に達すると想定される地域の範囲は明らかにされておりません。
 このように実効性ある避難計画を策定するに当たっては、さまざまな課題が残されております。このようなことから、国に対して、放射性物質拡散シミュレーションの詳細な結果など、必要な情報の提供を求めていきますとともに、県としても災害時要援護者などの避難に当たって必要となる情報の収集や輸送手段を確保するための関係機関との調整などを進めるなど、実効性ある避難計画を作成すべく努力をしていかなければならないと考えております。
○大内委員 知事自ら94万人の一斉の避難は困難というふうに表明しているにもかかわらず、国から言われたから作らざるを得ないという、この点は大きな矛盾です。
 福島原発の事故は、人間社会と原発は共存できないということをはっきり示しております。東海第2原発を止まったまま廃炉にすることは県民の願いです。知事は国や関係者の動向を見ながら判断するということですけれども、県民の生命・身体、財産を守る立場を明確にして東海第2原発の廃炉の決断をすべきです。
 東海第2原発の事業者は、日本原子力発電株式会社で、敦賀1号と2号、東海第2の3基を所有しております。敦賀1号機は43年を経過し、1号機と2号機には直下に活断層があり再稼働はできません。東海第2原発も34年を経過し、老朽化に伴う危険が大きくなっています。日本原電は、15年前に全国で初めて商業炉の東海原発1号炉を廃炉にて、管理を行っている全国唯一の事業所です。
 知事は、日本原電と国に対し、東海第2原発の廃炉と廃炉管理を安全に行うよう要請すべきではないでしょうか。答弁を求めます。
○橋本知事 日本原子力発電株式会社の今後のあり方につきましては、東海村長などから原発の廃炉を担う会社とすべきとのご意見が示されていることは報道により承知しているところであります。
 一方、原子力規制委員会では、本年7月以降、新たな安全基準に基づき全国の原子力発電所の安全審査を順次実施していくこととしておりますが、東海第2発電所につきましては、その審査を実施するのかしないのか、いつから審査するのかといったことが全くわからない状況であり、再稼働を認めるかどうかというような時点に至るのは、まだまだかなり先のことになるのではないかと考えております。
 日本原子力発電の将来につきましては、国が地球温暖化への対応なども考えながら、エネルギーのベストミックスを構築していく中で考えていくべきものであると思っております。また、廃炉の実施と研究に特化した会社をつくるにしましても、日本原子力発電が適しているのかどうか、そのような会社に電力会社が出資するのかどうかなど、現時点では不透明な状況にございます。
 こういった状況を踏まえますと、日本原子力発電の会社経営の育成につきましては、県から意見を申し上げるということではなく、国における検討を見守っていきたいと考えております。
○大内委員 私ども日本共産党は、原発の廃炉に至るプロセスの管理、使用済み核燃料の管理などを目的にして、従来の原発推進から独立し、強力な権限をもった規制機関の確立を政府に提起してきました。
 私は、その一つに、もう既に日本原電は、原発を再稼働も、それから動かす、そういうものは持っていない、廃炉の決断をして、日本で最初に原発が運転された本県だからこそ、原発ゼロに踏み出すことを強く求めるものでございます。
 知事は一貫して自分の意見を言いませんけれども、あなたが住民の命を守る、その立場を貫くなら、東海第2は廃炉、その後の管理、これを強く要請すべきです。

4.開発用地の処理について

○大内委員 次に、開発用地の処理について質問をいたします。
 県住宅供給公社は679億円の借金を抱え、平成22年10月に破産しました。公社の破たん処理に、これまで369億円も税金も投入しています。開発した十万原地区水戸ニュータウンは135ヘクタール、1,700戸の計画で、478億円の事業でした。平成11年に新住宅市街地開発事業として都市計画決定、平成16年から分譲開始し6年後に破産したのです。
 私は、見通しがなく将来に禍根を残すと指摘し、事業化をやめるよう主張してきましたが、強行した県と公社の責任は重大です。
 現在、計画の16%に当たる1戸建て135戸、県営住宅168戸の303世帯820人が生活しています。この第1種低層住宅専用地域に、水戸ニュータウンメガソーラパーク合同会社による、50ヘクタール、3万2千キロワットの巨大事業が持ち込まれました。19万枚のソーラパネルと騒音がでるパワーコンディショナの60台の設置など、今年の5月に工事着工し来年6月に運転開始の計画です。
 良好な住宅を求めて居住した住民から、反射光や騒音など住環境が悪化することへの不安と住民無視のやり方など、疑問と不安が出されています。
 そこで伺います。環境アセスメントの実施、住民への説明はどのようにしてきたのか、お答え下さい。
○橋本知事 先般、東京の事業者から、水戸ニュータウンの未利用地の一部の約50ヘクタールにおいて、メガソーラー事業を実施する計画が出され、検討が進められているところでございます。環境アセスにつきましては、茨城県環境影響評価条例において、75ヘクタール以上の開発行為について適用することとしておりますが、今回のメガソーラー事業は、面積が約50ヘクタールであること、また、開発行為にも当たらないことから、要件には該当してまいりません。
 なお、現時点では、メガソーラーが環境に与える影響は小さいと考えられておりますことから、国においても環境影響評価法の対象事業とはしておりませんし、メガソーラー施設を条例で対象としている自治体もございません。
 したがいまして、県といたしましては、今のところ環境アセスの義務付けは考えておりませんが、ご指摘のとおり水戸ニュータウン居住者の皆様の生活環境の保全は極めて重要であると考えておりますので、当初から事業者に対し、住環境に影響が出ないよう、十分配慮するよう強く要請してまいりました。
 このため、事業者では住民の方々の理解が得られるよう、騒音、電磁波、反射光、温度上昇、雷の誘因、電波障害などの影響について、事業者独自に検証を行い、水戸ニュータウンの住民である藤が原町内会等の方々には5回、城里町増井区町内会の方々には1回の合計6回にわたる説明会を開催してきたところでございます。
 県では、事業者に対し、住民の方々との間で合意形成を図り、周辺環境に配慮して事業を実施するよう、今後も引き続き要請してまいりたいと考えております。
○大内委員 50ヘクタールの場合、茨城県は環境アセスの対象にしないとしておりますけれども、群馬県では50ヘクタール、独自に県条例でアセスの対象にしています。これが本当の自治体の役割ではないかと私は強く思います。
 この事業は、経済産業省資源エネルギー庁が行う、再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援事業を活用しています。本体の10分の1、蓄電や送電に3分の1の補助がそれぞれ5億円の上限で受けられます。計画したのは、平成24年2月に設立の「くにうみアセットマネージメント」という不動産投資会社です。補助決定は、24年6月12日で、その3日後に合同会社が設立され、7月に固定価格買い取り制度が始まり、8月に土地売買契約となりました。売れ残っていた89ヘクタールはすべて事業者の土地となり、10分の1以下の超安値で売却されたといわれています。そして9月2日に事業者は初めて住民説明会を持ちましたが、住民は納得しませんでした。
 この事業の交付要件には、環境影響に関する調査等の実施及び地元説明会を実施し、地元の了解を得ることとしています。交付要件を満たしていないのではないでしょうか。お答えください。
○橋本知事 住民に対して、先ほど申し上げたような形でやってきておるところでございますので、現在の段階で交付要件を満たしていないということは言えないと思います。
○大内委員 先ほど私は、この経過についてお話ししましたが、全ての土地の売却が済んで初めて住民に説明した。それまではこの巨大な計画は全く住民に知らされていなかったということでございます。
 独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)が、平成23年3月に発表した「太陽光発電システム導入の手引書」では、「特に大規模な計画では付近住民への早期の事前説明が必須」としています。また、「日本では設置例がなく、環境への影響の検討が特に必要」とし「環境アセスメントやモリタリング調査の実施」を求めています。
 今、法律が不十分な中で起きていることです。計画した不動産投資会社の代表取締役は元ゴールドマン・サックス投信社長です。このような、住宅地に巨大なメガソーラーは全国で例がありません。莫大な開発用地の破たんに付け込んで環境や住民生活を無視して、投機、もうけの対象にしているのです。このまますすめていいのでしょうか。県は事業者に対し、環境アセス計画の見直しを求め、住環境を守るための責任ある対応をとるべきと考えますが、ご答弁下さい。
○橋本知事 ほかの県等々でも対処しているということはございませんし、また、NEDOは、「手引き」を出しておるところでございますけれども、これも一つは適用し、一つは適用しないという形でやっておりまして、必ずしもこのNEDOの「手引き」が法的拘束力を持っているものではございません。
 また一方で、太陽光発電につきましては、今、再生利用可能エネルギーとして大変注目を浴びておるところでございますし、クリーンなエネルギーとしても極めて重要なものではないかと考えておりますので、私どもとしては、今の計画に沿って進めてまいりたいと考えております。
○大内委員 住宅地につくる、この巨大な計画は、全国で例がない、先ほど私が話したとおりです。
 保有地対策は環境と県財政をゆがめています。最後のパネルをご覧ください。

グラフ

 もう私は何度かこの問題は討論などでお話しておりますけれども、平成18年から工業団地や開発用地の破たん処理として、銀行への借金返済のために保有土地対策として、1,613億円も支出しています。やり方も、補正予算での異常な増額です。平成21年度は当初予算の2.7倍、22年度は2.2倍、23年度と24年度は2.9倍とエスカレートしています。財源は、県税収入などの一般財源です。県民が納めた血税です。優先して破たん処理を行うことは抜本的に見直すべきですが、所見をうかがいます。
○橋本知事 保有土地に係る将来負担につきましては、義務的に対策を講じていかなければならないものでございます。したがって今後20年間にわたり、毎年度100億円規模の対策を講じていくこととして、計画的に当初予算に所要額を計上してまいりました。
 一方で、調査特別委員会からは、繰上償還やより有利な借り換えなど、保有土地にかかる債務残高の早期縮減につながる取り組みを進めるべきとの提言をいただいておるところでございます。
 こういった状況を踏まえまして、私どもとしても、返せる範囲で、できるだけ多くの金額を早期に返していこう、それによって金利負担の抑制、あるいはまた短期貸付金の解消などを行っていこうということで、補正で実施をしておるところでございます。
 そういうことでございますので、これからも、そういった形で財政的に余裕があれば、早期の償還ということに努めてまいりたいと考えております。
○大内委員 県民が納めた県税こそ、中学3年までの子どもの医療費無料化や中学3年生までの全ての学年での35人以下学級の実現、そういうことに使うべきです。これだけでも100億円で十分できるのです。
 県と市が関与した組合施行の鹿嶋市の平井東部区画整理の破たん処理の際、関係者が要望し、銀行は利子をゼロにしました。
 知事は、銀行への要請は当然すべきであり、開発行政の見直しは重要課題です。橋本県政20年は「生活大県」どころか、1,200ヘクタールもの売れ残り土地を抱えて、全国4番目の後年度負担、「借金大県」にしてしまいました。
 今こそ、住民福祉の向上という地方自治の原点にたった県政へ転換しなければならないことを強調して、質問を終わります。

以 上


PAGETOP

〒310-8555水戸市笠原町978-6茨城県議会内 日本共産党議員室TEL:029-301-1387(直通・FAX兼)
Copyright(c)2010 日本共産党 茨城県議会議員団 All right reserved.