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質問・発言

●予算特別委員会での大内久美子県議の質問(2012年9月26日)

 〔質問項目〕
  1.介護保険の改善について(答弁・保健福祉部長)
  2.県職員の職場環境改善について(答弁・知事)
   (1)採用と人事
   (2)自殺防止・メンタルヘルス対策
  3.大型公共事業から生活密着型への転換について
  (1)茨城港常陸那珂港区(答弁・知事)
  (2)県営住宅(答弁・土木部長)
  (3)公共施設(答弁・保健福祉部長、教育長)

1.介護保険の改善について

○大内委員 日本共産党の大内くみ子です。
 最初に介護保険について、保健福祉部長に3点質問いたします。
 本年4月に介護保険料改定があり、全県平均は4,528円で、22%も値上げとなりました。「年金が減っているのに負担ばかりが増えている。切り詰めても生活が立ち行かない」と切実な声をたくさん聞いております。一方で、介護報酬は実質0.8%も引き下げになりました。介護職員処遇改善交付金が3月末で廃止され、介護報酬に組み入れられたためです。訪問介護、生活援助やデイサービス、居住系施設など、介護保険施設に深刻な影響がでています。とりわけ、ヘルパーの生活援助では、これまでの「30分以上60分未満」「60分以上」という時間区分が「20分以上45分未満」「45分以上」に再編され、介護報酬が2割近くも引き下げられました。
 現場では、「時間不足で洗濯ができなくなった」「時間が足りず副食を3品から2品に減らした」「ヘルパーが忙しそうで、声をかけられない」など、一番大事な会話の機会まで奪われてしまい、コミュニケーションがとれなくなってしまいました。
 このような事態を生んだ介護報酬引き下げを撤回させ、必要な介護サービスが受けられるようにすることが求められていますが、国への働きかけにどう取り組むのか見解を求めます。
 2つ目は、施設の整備についてです。特別養護老人ホームの入居を待っている方が本県では、6,185人おります。平成24年から26年の本県の第5期高齢者プランでは、特養と介護老人保健施設で3,828の増床の計画です。今後さらに入所希望者が増えることが予想され、絶対的に不足することは明らかです。介護療養病床廃止方針をやめさせ、施設の整備に重点的に取り組む必要がありますが、見解を伺います。
 3つ目は、介護保険料と利用料の減免制度についてです。県内では、住民税非課税世帯など所得の低い方に、保険料では17自治体、利用料では15の自治体が独自に軽減しています。本県でもまだ17億円もある財政安定化基金を取り崩し、軽減のための独自の支援を行うことではないでしょうか。見解をお聞かせ下さい。
○土井保健福祉部長 まず、介護保険の改善についてでございます。今般の改定によりまして、訪問介護で生活援助の時間区分が60分から45分程度という見直しが行われたところでございますが、これは、あくまで介護報酬における評価の際の区分の変更でございまして、この前提供されてきたサービスを利用者の意向を無視して、踏まえずに新たな時間区分に適合させるといったようなことを強いるものではないものと考えております。
 適切なアセスメントとケアマネジメントに基づきまして、利用者のニーズに応じたサービスを提供する趣旨であると考えております。
 そのため、県といたしましては、訪問介護事業者が利用者にたしまして、適切なサービスを提供できるよう、ホームページなどを通じて周知を図っているところでございます。
 また、介護保険制度の見直しにつきましては、今後一層の高齢化が見込まれる中で、充足可能な制度となるよう、引き続き国に要望してまいりたいと思っております。
 続いて、施設整備についてでございますけれども、県では、第5期いばらき高齢者プラン21に基づきまして、在宅で困難な高齢者の方が必要な施設サービスを利用できるよう、地域のニーズに対応した計画的な介護施設の整備を進めているところでございます。
 特に、需要が多い特別養護老人ホームにつきましては、介護療養病床の転換による受け皿の一つとしての役割を期待されているところでございますけれども、これらの創設整備を進めますとともに、増築により整備を促進いたしまして、また、既存施設の運営、安定化も図っていきたいと、そのように考えているところでございます。
 また、介護療養病床の廃止期限につきましては、当初、平成23年度末とされていたわけでございますけれども、平成29年度末まで延長されたところでございますので、今後も、国の動向を注視しながら対応してまいりたいと考えております。
 また、介護療養病床の転換による受け皿という施設としては、介護老人保健施設が想定されますが、円滑な転換が行われるよう、事業者間の相談体制の整備ですとか、あるいは介護療養病床にいらっしゃる方やその家族が不安にならないように万全の体制を整えてまいりたいと、そのように思っております。
 保険料の減免策につきましては、市町村で行われているわけでございますが、この独自の減免策、市町村におきまして、例えば、保険料の減免が17市町村、あるいは利用者の方の利用者の減免というのは15市町村、それぞれ独自で行われているというふうに承知しております。
 利用者の負担が高額になり、また、一方の条件額を超えた場合には、利用者世帯の所得の状況に応じまして、超えた分が払い戻される高額介護サービス制度等の制度もございますので、こういったものを使っていただくよう、保険者である市町村と連携いたしまして、全市町村に情報を提供してまいりたいと考えている次第です。
○大内委員 開始から12年経た介護保険ですが、制度的にも財政的にも限界となっております。利用が増えたり、労働条件を改善すれば、低所得者層まで含めて、保険料と利用料が値上げされるという根本的な矛盾です。
 政府の「社会保障と税の一体改革」では、国の支出を徹底的に減らすことを前提に、「入院や施設から在宅へ」「医療から介護へ」「軽度から重度へ」と再編しようとしています。介護の公的負担を拡充することが抜本的な改善だと私は考えます。公的負担を増やすことについて、見解を伺います。
○土井保健福祉部長 介護保険料そのものも税と社会保障の一体改革の中で議論されているわけでございますけれども、医療費その他と同じように、それぞれの形での負担と受益の割合というものが適切に考えられていかなければいけない、しかも、なおかつこれは持続的でなければいけないという考え方に関しましては、私もそのように思っております。
 今後とも、それに対してさまざまなご意見があろうかと思いますけれども、十分検討させていただきたいと思います。
○大内委員 まず、国庫負担の25%、これを大幅に増やさなければ、抜本的な改善にはならないことを強調し、一緒になって取り組めるようお願いをいたします。

2.県職員の職場環境改善について

(1)採用と人事
○大内委員
 次に県職員の職場環境の改善について、知事に質問いたします。
 知事就任の平成5年に比べて一般行政職員は1,800人も減らしました。全国トップクラスのスリムな体制にし、行政改革の成果だと評価していますが、現場の実態はいかがでしょうか。
 この5年間を見ても、心の病、メンタル疾患で1ヵ月以上の長期病休者は1.5倍に増えており、自ら命を絶ってしまった職員も毎年いると聞いております。
 退職者に比べて、新規採用は平成5年は94%でした。平成23年は、退職者が282人、採用は135人と半分しか補充されておりません。再任用や非常勤嘱託職員は、873人と全職員の23%にあたります。長期病休の代替が配置されないなど、職場によっては、サービス残業や、家に持ち帰って休日も仕事をすることなど、常態化しているということです。
 さらに、本人の意向もきかず、経験もない職場に配置され、仕事や上司のパワハラなど人間関係の悩みがストレスになっているともいわれています。このようなメンタル疾患や自殺などの実態、職員の採用や人事について現状と対策について伺います。
○橋本知事 メンタル疾患の現状でございますけれども、長期病休者といたしましては、平成19年から申し上げますと、51人、57人、55人、65人、79人という状況にございます。
 また、先ほど、自殺をした方がというお話しがございましたけれども、これも同様に申し上げますと、平成19年度が1人、平成20年度が6人、平成21年度がゼロ人、平成22年度が4人、平成23年度が2人といった状況にございます。
 メンタル疾患の原因、社会職場環境といったもののほか、身体的要因、心理的な要因など、さまざまな要因によるものと言われておりまして、なかなか特定できない現状にございます。
 職員採用数の抑制、あるいはまた人事配置上の問題などが原因ではないかといったご指摘をいただいたところでございます。
 まず、職員採用数に関しましては、組織の再編統合や市町村への権限移譲、IT化の推進など、組織の簡素化や事務の効率化を進めた上で必要な職員数を採用しているところであります。
 極めて厳しい財政需要に対応するために、今後とも、一方で行財政改革は進めていかなければいけませんが、引き続き、徹底した業務の見直しや効率化を進めて、職員の負担が過度にならないように配慮してまいりたいと存じます。
 先ほど、極端に職員数が減っているじゃないかというお話しもございましたけれども、これも組織の再編統合、あるいはまた市町村への事務移譲といったことがかなり要因を占めているということについては、ご理解をいただきたいと思います。
 また、組織の活性化を図っていきますためには、職員の年齢構成にも配慮しながら、計画的な採用を行っているところでございまして、今、山が来ているものですから、それに対する採用割合というものがやや低くなってくるということはやむを得ない面もあるかと存じます。
 次に、人事配置についてでございますけれども、毎年度の人事異動に当たりましては、職員の意向や勤務希望などに関する調査を行いますとともに、所属長によるヒアリングを通じ、職員本人の意欲、適正、実績などを把握した上で、職員が能力を十分に発揮することができるよう、適切な箇所に配置することに努めているところであります。
 また、自ら従事したい業務や研修を提案できる庁内公募などの制度も整備をしてきております。
 職員一人ひとりが自信を持って、また、やる気を出して仕事に取り組めるよう、職員のアイデアを積極的に県の政策として打ち出すなど、適材適所の人事配置はもとより、仕事のやり方なども含めて、職員が日々充実した気持ちを持って仕事に取り組めるような環境整備に努めてまいりたいと考えております。

(2)自殺防止・メンタルヘルス対策
○大内委員
 知事は、胸が痛まないのでしょうか。平成23年だけでも79人の方が心の病で長期休暇となっております。そして、お話しにありましたように、この5年間で13人も自ら命を絶っているのです。
 今年の3月に「茨城県職員メンタル疾患予防プログラム開発事業報告書」が出されました。職員共済の予算で筑波大に委託した調査研究です。昨年の11月から12月にかけて全職員に調査を行い34%が回答しました。860人が抑うつ状態だと答えており、全職員の17%、6人に1人の割合です。
 報告書の提案には、短期的な対策として、相談しやすい体制や生活習慣の改善、業種ごとのストレス原因の対策などが示されています。中長期的には、県職員全体のメンタルヘルス体制の構築が必要として、継続して調査を行い、因果関係を明らかにして、予防に取り組むことを提案しています。どのように取り組むのか伺います。
○橋本知事 ただいまの筑波大学の調査でございますけれども、私どもとしては、委託先に確認をいたしましたところ、心の健康を崩している可能性がある職員が回答を寄せた中で約15%ではないかというようなお話しを聞いております。15%でも大変大きいわけでございます。
 また一方で、回収率が3割程度ということで、健常な方が回答していない可能性も結構あるのではないかということも推測されるところでございます。いろいろ調査結果につきましては、参考になる面もありますので、これから、このメンタル疾患により、長期療養をする職員をどうやって減らしていくかということに努めていかなければいけないと思っております。
 県におきましては、平成18年の3月に職員の心と体の健康づくり推進計画を策定し、現在は、この計画に基づきまして、未然防止、早期対応、職場復帰支援と再発防止の3つの段階に分けて、各種のメンタルヘルス対策を講じているところでございます。
 まず、メンタル疾患の未然防止対策としましては、職員に対して研修や庁内ネットワークによる意識啓発を行いますとともに、心の健康診断や所属長を対象とするメンタルヘルス研修会を実施しております。
 次に、早期対応によるメンタルヘルス疾患の重篤化の防止策としましては、精神科医による健康相談、臨床心理士によるカウンセリング、さらに保健師を本庁及び合同庁舎に配置し、悩みを抱える職員のケアを行っております。
 職場復帰と再発防止のための対策につきましては、平成19年度に、職場復帰支援制度を設け、長期病休中の職員に対し、所属長、産業医、保健師等関係者が連携をとりまして、職場復帰を積極的に支援しているところでございます。
 さらに、今年度、早期発見、早期対応を徹底する観点から、満35歳から満44歳のすべての職員を対象に、ストレスチェックを行うこととしております。また、これらのメンタルヘルス対策とあわせて、職場内での良好な人間関係の醸成やコミュニケーションの活性化が重要でありますことから、グループミーティングやランチミーティングなどさまざまな機会をとらえたコミュニケーションの強化を奨励しているところでございます。
 今後とも、職員が生き生きと健康に働ける職場づくりに努めてまいりたいと考えております。
○大内委員 知事の答弁に欠けているのは、平成18年3月に厚生労働省が出した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」、その中に、「メンタルヘルスケアは、人事労務管理と連携しなければ適切に進まない場合が多い」としています。そして知事は、平成18年の自殺対策基本法第5条、平成19年の労働契約法第5条に、必要な措置を講ずるのは知事の責務として明記されているのです。
 職員が経験を積み重ね、適切な判断力をもち、信頼される仕事をすることを県民は望んでいます。現場から発生しているストレスの原因を定期的に調査して、職場環境を改善することこそ必要です。そのためにも、今の答弁で欠けていた職員の意向調査、職員の実態把握に加えて、人事異動や組織編成をすべきではないでしょうか。職員削減は、見直さなければならないと考えます。
 私は、知事に強く申し上げます。この県庁で働いている職場の中で、私が先ほど言いましたのは、自分で抑うつ状況だと答えている方が17%、6人に1人、そして亡くなられた方、病気の方、これは普通ではありません。改善をするために、どのように知事として責任を持って取り組むのか提案をいたしましたので、よく考えていただきたい。そのことを強く申し上げまして、この質問は終わります。

3.大型公共事業から生活密着型への転換について

(1)茨城港常陸那珂港区
○大内委員
 次に大型公共事業から生活密着型への転換について質問いたします。
 茨城港常陸那珂港区について、知事に伺います。知事が就任した平成5年は、バブル経済が崩壊し、不況に入りました。この年、常陸那珂港北ふ頭が建設着工となり、平成10年に開港しました。平成13年に中央ふ頭着工、平成18年に深さ7.5メートルの岸壁が使用開始となったのです。
 今、常陸那珂港区はどうなっているのでしょうか。パネルをご覧下さい。

図

 これは、私ども日本共産党が9月5日に視察を行って、直接撮影してきたものです。北ふ頭地区は200haの面積で、70%は東京電力の所有です。北ふ頭用地を占めているのが、日立建機とコマツの大型機械です。製品のまま船に積み込むため、常時置かれています。
 次のパネルです。これまでどぐらいお金がかかったかということです。3,340億円かかりました。この事業は6,800億円の事業で、下に書いてあるのは、中央ふ頭に造成される、東京電力が埋め立てなどの利用しているその負担です。3,340億円も投入されましたが、半分に当たる1,680億円は県民の税金です。国の負担は875億円で26%、つまり、市町村の負担を入れると、約8割が税金であり、公共ふ頭ということです。この莫大な税金投入の結果が、大企業のいわば専用ふ頭になっているのが現状です。
 平成23年の取り扱いを見ても、東電の石炭が32%、完成自動車21%、産業機械が13%と、全体の66%は大企業が占めています。
 常陸那珂港は、これからも3,460億円もかける事業です。このまま中央ふ頭、南ふ頭の建設をすすめていいのでしょうか。財政が苦しいといって、福祉を削り、職員を削り、そして課題に取り組まないという、そういうことをしながら、この建設を進めるのでしょうか。見直しについて、知事の所見を伺います。

図

○橋本知事 建設機械の専用ふ頭となってしまっているのではないかというお話しでございますけれども、今後、ほかの用地の整備も進んでまいりますので、本来のコンテナ船の利用に差し支えないように対応してまいりたいと考えております。
 また一方で、今いろいろこういう形で使われていることについて問題だというお話しがございましたけれども、常陸那珂地区に立地するコマツと日立建機の3つの工場だけで、合計で2,000人を超える従業員が働いております。また、関連企業も立地しておる協力企業の業務も増加している、そういった状況にございます。
 地元雇用を積極的に行って、若者の働く場の確保にも貢献しているところでございまして、私どもとしては、今のパネルを見まして、大変喜んでおるところでございます。ぜひとも、もっともっとここからの輸出、輸入を多くなって使われていくように期待をしております。
 また、今、いろいろ数字がご説明ございましたけれども、私どもとしては、工場用地ももちろん売って、それによって収入もありますし、さらに、法人事業税、あるいは荷さばき地の使用料、さらには市や村への固定資産税などの地元へのメリットが大変大きいものがございます。そういったことも考えますと、これからいろいろ経済状況厳しいものがございますけれども、私どもとしては、この常陸那珂港というものは、きっちりと整備して、地域の発展に貢献していってくれることになると思っておりますし、また、先般、7.5メートルの耐震岸壁ができておりますけれども、これが大地震のとき大変役に立ちました。これから、今、12メートルの耐震岸壁の建設を進めておるところでございますけれども、これにつきましても、多分、首都直下地震などが起きた場合には、近くの唯一使える岸壁として極めて有効になってくるのではないかと思っております。
 先ほども、郡政務官が来られたので、これを至急やってくれということをお願いしたところでございまして、縮小することは今のところ考えておりません。
○大内委員 本県に新しく進出し、拡張する企業に、不動産取得税と3年間の法人事業税を免除しておりますけれども、この地域は、震災後5年間の免除となりました。日立建機とコマツも対象になっているのではないでしょうか。
 東京電力は、100万キロワットの常陸那珂火力発電所を北ふ頭で運転していますが、建設中の2基目もあと1年後には運転開始です。「CO?削減のため、新潟の柏崎刈羽原発は来年再稼働を想定している」、本年5月28日の茨城エネルギープラン策定委員会で、東電からの委員がのべています。これは私が一般質問で明らかにいたしました。
 CO2を一番多く排出する火力発電所を増設しながら、一方で、CO2削減のためにと原発を動かす、これが大企業の利益最優先の本質ではないでしょうか。
 県民の税金をつぎ込んで、企業を呼び込む産業政策は、県民生活の向上につながっているとは考えられません。本年の県民所得は、全国平均より下回っています。東京湾の過密状態化で、外資コンテナ貨物が課題として建設がはじまりましたが、数年来、コンテナ貨物はわずか2%です。
 大型建設機械のブームはいつまで続くのでしょうか。中央ふ頭には、68ヘクタールもの工業用地をつくると計画変更しましたが、見通しはあるのでしょうか。私は計画を見直して、莫大な税金投入をやめることについて、知事がこのことについて真剣に考えていただきたい、このことを強く申し上げる次第です。
 なぜかと言えば、今、優先すべきは、中小企業振興につながり、県民が必要としている生活に密着した公共事業です。全国43位の小中学校の耐震化の遅れは、県が独自に財政支援を行って、早急に100%達成しなければならないことを、私はこれまで繰り返し提案してきましたが、実行に至っておりません。
(2)県営住宅
○大内委員
 まず、県営住宅の建て替えについて伺います。
 県営住宅は1万3千戸ありますが、建て替え、改築、改善、リフォームなど、計画的に取り組むという方針はどのようになっているのでしょか。廃止を予定していた水戸市内の4つの団地では、西原や釜神など、現在の便利な所で建て替えてほしいという、強い要望が出されています。計画的に整備することについて、土木部長に伺います。
○小野寺土木部長 お答えいたします。県営住宅の整備についてでございます。
 県では、低廉な家賃で良好な住まいを提供することを目的に、これまで 約1万3,000戸の住宅を整備してまいりました。今後とも、この戸数につきましては、維持していくこととしておりまして、昨年度改定いたしました茨城県住生活基本計画におきましても、既存の県営住宅の適切な維持、保全及び更新、再編に努めていくものとしております。
 具体的には、建てかえや住戸の全面改善、また長寿命化型改善などの中から、団地の立地環境の敷地の所有状況、また建物の構造規模などを考慮いたしまして、最適な手法を選択しながら計画的かつ効果的に整備をすすめているところでございます。
 まず、建てかえについてでございますが、これにつきましては、立地環境がよくて、また需要が期待されるにもかかわらず、老朽化が進んで、構造体の劣化に加えまして、住戸の狭小など住宅水準の低い団地などを対象に事業を行うこととしております。
 これまでに、老朽化の進んだ低層住宅の中高層化への建てかえがほぼ終了いたしましたことから、今後は、中層の住宅の建てかえに本格的に取り組んでいく予定でございます。
 また、住戸の全面改善につきましては、柱や梁の構造体を生かしながら、間取りの変更などを行う全面的なリフォームによりまして、住宅機能の更新を図るものでありまして、中層の鉄筋コンクリートづくりの団地などのうち、構造体が今後も十分活用できる場合に、事業を実施しております。
 さらに、長寿命化型改善につきましては、屋上の防水や外壁、手すり、設備、配管などの予防的な改修により、計画的に建物の延命化を図るものでございまして、住宅機能の更新までは必要がないと考えられる場合に事業を実施しております。
 県といたしましては、これらの保全、更新手法によりまして、今後とも良好な県営住宅のストックの維持改善に努めてまいりたいと考えております。
○大内委員 その計画執行がいつぐらいまでになるのか、そして本格的に取り組むのか、予算づけ、そういうことが一体になって、住民の環境整備ということになります。ぜひ取り組んでいただきたいと要望いたします。
(3)公共施設
○大内委員
 次に、県立福祉施設です。築44年のリハビリテーションセンターと築39年のあすなろの郷について、障がい者施設として、大事な役割を果たしています。
 高次脳機能障害や回復リハビリ、障がいが重度化している現状など、一日も早い改築計画を立てるべきですが、取り組みについて保健福祉部長に伺います。
○土井保健福祉部長 県立リハビリテーションセンターについてでございます。
 ご指摘のように、身体障害者更正援護施設として開設して以来43年が経過いたしまして、老朽化が進んでございます。平成22年に耐震の診断を行いましたところ、耐震強度が不足しているという部分もあるという結果も出てございます。
 また、東日本大震災の際には、高架水槽、体育館の天井、あるいは空調のダクト等の一部が破損したといったようなことがございました。現在は、復旧が終わっております。
 このセンターにおきましては、特に利用者の中で占める高次機能障害の方の割合が増加傾向にございまして、平成19年には、高次機能障害の支援拠点として国から指定を受けております。高次機能障害の方の相談支援、普及啓発、あるいは関係機関とのネットワークの充実等の事業に取り組んでいるところでございます。このように、利用者の方のニーズが変化して、老朽化も進んでいるところでございますので、ことしの3月に策定いたしました「新いばらき障害者プラン」におきまして、県立施設として、その機能及び役割、またはリハビリ関係機関との連携等の方策を検討していくということを課題にさせていただいているところでございます。
 また、県立あすなろの郷につきましても、建設後38年、老朽化が進んでい現状でございます。さきの県出資団体等調査特別委員会におきまして、県立施設としての必要規模や建てかえによる施設の集約化の検討のほか、民間施設では支援が難しい障害者への専門的な支援などの役割を果たしていくべき等のご提言をいただいているところでございますので、あすなろの郷を管理運営しております県社会福祉事業団と事務的な検討を行なってまいりました。さらに議論を深めてまいりたいと考えております。
○大内委員 議論というのは、予算づけの方向がなければ計画は立てられないということでしょうか、最優先に税金投入をして、建てかえ計画を本格的に行うということなのでしょうか。お答え下さい。
○土井保健福祉部長 今お答え申し上げたように、さまざまな角度から検討してまいりたいと、そのように考えております。
○大内委員 はっきり答えられないことは残念です。
 50年も経つ県営スポーツ施設について、平成23年3月に「県営スポーツ施設整備のあり方」報告書が、県スポーツ振興審議会から出されました。笠松、東町、堀原運動公園の老朽化について、中長期なビジョンに立った計画的な取り組みが必要です。
 どのように検討されてきたのでしょうか。教育長にお尋ねいたします。
○小野寺教育長 お答えいたします。県営スポーツ施設の整備のあり方に関する報告書でありますが、県営スポーツ施設の多くが昭和49年の国体にあわせて建設されたもので、大変老朽化が進んでいるということ、一方では、今後の20年の国体も見据えていく必要があること、といったことから、将来、中長期的な視点に立って、本県のスポーツ施設の整備方針の大枠を決めようということで検討をスポーツ振興審議会にお願いし、報告をいただいたところであります。
 その内容でございますが、3つある運動公園のそれぞれの役割分担を明確にするということで、笠松につきましては、スポーツ全般を対象とする総合的な施設、東町については多目的に使用できる施設、さらには堀原運動公園については各種武道を中心として施設というような方向で整備をしていく方向が出されたところであります。
 しかしながら、その後、大震災によりまして、これらの施設も大きな被災をこうむりました。当面の対応といたしまして、まずは震災からの復旧を優先に進めておりまして、現在も鋭意その早期復旧に向けて取り組みをすすめているところでございます。
 一方、このあり方報告書につきましては、今度の震災の、これはある意味、想定外のことでありましたけれども、今後の大枠に影響を与えるものではないと考えておりまして、今後も引き続きこの報告書に沿いまして、短期的には7年後に国体がございますので、そういった国体の開催も踏まえまして、県の国体の準備委員会で検討しております競技会場の選定にあわせました整備をまずしていくということ、あわせまして、中長期的には、あり方報告書で示されました各種運動公園の役割を踏まえまして、各それぞれの施設が生涯スポーツ施設の拠点として、あるいは競技スポーツの振興拠点として役割を果たせるよう引き続き、施設の整備について検討してまいりたいと考えております。
○大内委員 知事は、先ほど、私の質問に答えたかったようなので、最後に、知事に伺います。
 県民が必要としている公共事業は、財政が苦しいという理由で計画的な整備は後回しです。それは、教育長の答弁でも、保健福祉部長の答弁でもはっきりしないのです。中央ふ頭など大企業が要望している事業は、最優先して税金を注ぎ込む、県政運営のあり方が私は問われていると思います。
 本県は、平成9年3月に「高齢者福祉の充実がもたらす経済的効果に関する調査研究」報告書を発表し、全国的に注目されました。福祉部門への投資は雇用を大きく誘発し、建設部門の投資に比べて、2倍の効果があると報告しています。
 今、公共事業のあり方を、自ら研究してきた報告書の原点にたって考える必要があるのではないでしょうか。限られた財源です。その中で、これから3,400億円以上の中央ふ頭、公共事業、本当に必要なのか、それよりも必要としている福祉や教育の施設を優先するのか、ここが問われていると思います。知事のご答弁を求めます。
○橋本知事 私は、いずれにしても、地域がこれから発展していくためには、働く場所がないといけないと思っております。人口がある程度張り付いていないと、教育であろうが、医療であろうが十分なものは準備できないだろうと。そういった点からしても、今の段階、各地で大変激しい地域間競争というものが行われております。そういったものに打ち勝っていくためにも、中央ふ頭の整備、特に防災対策ということが最近出てきておりますので、そういう面も含めれば、これまでの計画どおりに進めてくことが大事だろうと思っております。
 もちろん、教育関係、福祉関係、これにつきましても、投資できればしていきたいと思っておりますけれども、残念ながら、今のところ、財政的にそこまで行ってないという現状にございますので、ご理解をいただければと思います。
○大内委員 私は、知事とここに根本的な考えの違いがあると、きょうも改めて感じました。教育や福祉の、そこに人が必要、それが地域経済につながり、その公共事業が中小企業に回るという、この観点がなければ、内需拡大の茨城県の経済は発展しません。そのことを強く申し上げて、質問を終わりと致します。

以 上


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