日本共産党 茨城県議会議員団 一人一人が大切にされる政治をめざして
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質問・発言

●12年第3回定例会・一般質問(2012年9月19日)

大内久美子議員

1. 県民生活支援について(答弁・知事)
(1)国民健康保険の改善
(2)茨城租税債権管理機構の廃止
(3)子どもの医療費助成の拡充
2. 一人ひとりに行き届いた教育条件の整備について(答弁・教育長)
(1)小中学校統廃合の見直し
(2)少人数学級の拡充
(3)定数内臨時職員の正職員化と改善
3. 放射能汚染対策と原発について(答弁・知事)
(1)水道水源の測定と対策
(2)子どもの健康診査の実施
(3)東海第二原発のストレステスト問題・廃炉の決断
4. 内需拡大の取り組みについて(答弁・知事)
(1)最低賃金の引き上げ
(2)自然エネルギーの本格導入と地産地消
5. 県民の安全を守ることについて(答弁・知事)
(1)茨城空港と自衛隊百里基地
(2)オスプレイ配備と訓練の撤回

1.県民生活支援について

 日本共産党の大内くみ子です。国会で8月に強行採決された消費税大増税と社会保障の改悪は、県民の暮らしと経済をどん底につき落とすものです。日本共産党は強く抗議し、実施の中止を求めています。
 知事は、この改悪を地方消費税が増えることなどから評価していますが、社会保障について国の責任を骨抜きにするなど重大な内容を含んでおり、評価できなと考えます。

(1)国民健康保険の改善
 最初に低所得世帯に重い負担を強いている国民健康保険について質問いたします。
 水戸市の実態は、国保加入世帯で年所得100万円以下が56%、300万以下は90%です。4人家族で年所得200万円の場合、国保税は33万7千円で、所得の17%にあたります。
 高すぎるため、払いたくとも払えない状況です。県内では2割の世帯が滞納しています。
 国保法第1条は、国民に医療を保障する社会保障制度と定めています。保険証は全世帯に交付しなければなりません。滞納世帯に対し、国保証を取り上げる短期保険証や資格証明書の発行はやめること、税や医療費負担の減免制度を積極的に活用するよう、市町村に求めるべきではないでしょうか。ご答弁下さい。
 国保税が高いのは、1984年に比べて、国の支出を半分以上減らしたためです。国の負担を増やすよう求めると同時に、平成18年からやめてしまった県独自の支援策が必要です。知事の見解を伺います。

(2)茨城租税債権管理機構の廃止
 ところで、本県の国保滞納の差し押さえ額は平成21年度、46億4700万円と、全国で2番目でした。
 本県は全市町村で構成する茨城租税債権管理機構を、平成13年に全国で初めて設置しました。本来、地方税は市町村が徴収することになっていますが、回収困難なものを管理機構に移管させました。強権的な取り立て、財産の調査、差し押さえ、公売など強行しています。市町村職員の滞納整理の実務研修の場になっています。
 管理機構の規則には「国保税は原則として除く」としています。管理機構では13年は国保税の徴収はありませんでした。ところが22年は24%にもなっています。管理機構は、医療を保障する国保税の取り扱いはやめるべきです。
 自治体の本来の責務を投げ捨てて、「収納対策の強化」に乗り出すのではなく、住民の生活実態をよく聞き、生活再建など親身に対応する相談・収納活動に転換することではないでしょうか。そのためにも管理機構を廃止すべきと考えますが、所見を伺います。

(3)子どもの医療費助成の拡充
 知事は「乳幼児医療助成制度を小学生に拡大」と公約しました。本県は小学3年生まで拡大しましたが、県内の市町村では、小学6年まで実施が75%、中学卒業までは45%、所得制限撤廃は68%と拡充しています。
 群馬、東京は中学卒業まで、栃木県は小学卒業までの完全無料化実施です。本県で中学卒業までの無料化は60億円でできるのです。子育て支援として拡充すべきですが、所見を伺います。

2.一人ひとりに行き届いた教育条件の整備について

(1)小中学校統廃合の見直し
 次に、教育条件の整備について教育長に質問いたします。
 日本の学校は教育制度の欠陥から、子ども一人ひとりが人間として大切にされる教育原理が無視されてきました。管理、競争、画一主義、過密学校と学級、教員の多忙化などです。 こうした下での、子どものストレスが、いじめの原因といわれています。学校は学ぶ喜びと友情を育むなど、子どもにとって楽しい所であり、人間的成長を保障する場にしなくてはならないと考えます。
 本県は平成20年4月に小学校は各学年2学級以上の12学級以上、中学校は9学級以上が望ましいと適正規模の指針をだしました。その後、31市町村で統廃合計画が策定され、平成21年から小学校で24校、中学校で3校が廃止になりました。学校の「適正規模」についての教育学的定説はありません。1973年には文部省が「小規模学校には教職員と児童・生徒との人間的ふれあいや個別的指導の面で教育上の利点も考えられる」と通達を出しました。今回、県教育委員会は、いじめは早期発見して、全職員で共通理解を図って対応するようにと通知しました。大規模校ほど課題を抱えています。
 東日本大震災では、学校が地域の避難場所として重要であることが実証されましたが、地域から学校をなくしていいのでしょうか。
 本県の学校耐震化は全国45位と遅れていますが、統廃合計画が要因の一つです。本県の小中学校1人当たりの教育費は全国34位です。教育予算を減らすための統廃合は、今、学校に求められていることから全く逆行しています。
 適正規模の指針を撤回し、統廃合の見直しについて教育長の所見をお聞かせ下さい。

(2)少人数学級の拡充
 教育条件整備の要は、少人数学級の拡充です。
 文科省の「学級規模及び教員の配置の適正化に関する検討委員会」の副主査を務めた小川正人東大名誉教授は、少人数学級のメリットについて、「児童生徒の問題の把握と指導を適切にできる」「子どもの状況と課題に対応した授業を展開でき、創意工夫の幅が広がる」「思考力、コミュニケーション力などの育成や協働型学習がやりやすくなる」などをあげています。国はこれから5年間ですべての学年で35人学級をめざす方針を出し、導入順は都道府県に委ねています。
 本県は小学1年から4年、中学1年生に35人以下学級を実施していますが、小学1・2年生以外は3クラス以上を条件にしています。全学年実施を県独自で行った場合、59億円の支出です。すみやかに実施すべきであり、見解をお聞かせ下さい。

(3)定数内臨時職員の正職員化と改善
 教師の多忙化の解消は切実です。文科省が委託した調査では、「授業を準備する時間が足りない」「教員が行うべき仕事が多すぎると感じている」と9割が答え、教員を増員し担当する授業時間を減らすことが解決策だと回答しています。
 本県は小学校で566人、中学校で490人が定数に必要な教員を臨時職員の配置にしています。9月10日発表の調査結果では、いじめられた児童生徒の相談を担任教師にしているのが、小学校で82%、中学校でも79%でした。子どもと向き合う時間を保障することが必要です。教員の増員と臨時職員の正職員化について、所見をお聞かせ下さい。

3.放射能汚染対策と原発について

(1)水道水源の測定と対策
 次に、放射能汚染と原発について知事に質問いたします。
 福島第1原発の事故から1年半がたち、放射性物質の汚染の広がりは住民の強い不安となっています。日本共産党はこれまで七次にわたって、除染や検査体制の強化など県に要請してきました。湖沼、河川、河口、海底の測定は増やさなければなりません。次の2点について対策を求めます。
 1つは、水道水源としてのダム湖底の測定についてです。昨年3月13日、北茨城市の放射線量は1時間あたり15.8マイクロシーベルトが測定されました。県管理の水沼ダム、小山ダムの湖底の調査と公表を党市議団は県に何度も要望してきました。7月30日に開かれた県環境放射線監視委員会でも測定の要望が出されています。
 ダム湖底の測定は、群馬は19ヵ所、栃木は8ヵ所、福島は20ヵ所で、環境省が調査し公表しています。本県も、すみやかに実施すべきですが、どう取り組むのかお答え下さい。

(2)子どもの健康診査の実施
 2つは、子どもの健康調査の実施です。
 福島県の調査では、甲状腺がんが発見されており、健康調査の実施を望む声はますます広がっています。東海村では1歳から中学3年生までの希望者に超音波による甲状腺調査を行うと決めました。牛久市、竜ヶ崎市でも独自の対策をとりました。知事は7月の全国知事会で国に要望していますが、県独自の実施に踏み切るべきではないでしょうか。お答え下さい。

(3)東海第二原発のストレステスト問題・廃炉の決断
 原発からの撤退を求める国民世論はいよいよ明白となっています。
 政府がおこなった意見公募では「原発ゼロ」の支持が87%、そのうち即ゼロが78%です。県内でも、東海第2原発の廃炉を求める署名は23万6千人から提出され、県内自治体議会の半分以上が請願・陳情を採択しています。運転差し止めの訴訟も行われました。9日に発表された茨大地域総合研究所のアンケートでは、廃炉にし、運転再開すべきでないとの回答が87%です。
 この世論に背を向けたのが、事業者の日本原子力発電です。8月31日にストレステストの1次評価結果を保安院に報告してしまいました。6.1メートルの防護堤しかないのに、15メートルの津波がきても耐えられる、全電源を喪失しても備蓄燃料で冷却できる、などと明記しています。高萩沿岸から日立海域のF1断層と、北茨城陸域の車断層が連動した場合、大きな地震動が起きて重大な影響を及ぼすことが想定されますが、予測も対策も立てておりません。さらに、4キロ沖合いにある「F2断層」は検討から外しています。
 福島第1原発の事故原因が解明されていないのに、東海第2原発で事故はおきないと結論づけることは認められません。ストレステストは再稼働を前提にしたものであり、日本原電の強引なやり方に知事は強く抗議すべきです。所見を伺います。
 知事は国への要望で、東海第2原発について、30キロ圏内に約94万人が居住し、運転開始から33年9ヵ月を経過し、首都東京に極めて近いことを指摘しています。財界や電力業界は原発推進に固執しています。「命を基準に決断してほしい」という県民の願いに応え、国にはっきり東海第2原発の廃炉を表明すべきです。決意を伺います。

4.内需拡大の取り組みについて

(1)最低賃金の引き上げ
 次に、内需拡大への取り組みについて質問いたします。
 最低賃金の引き上げについてです。本県の平成21年度1人当たりの県民所得は265万3千円で、全国平均の266万円を下回り、平成9年と比較すると48万3千円も下がっています。県内総生産も10.9%マイナスです。経済の低迷と後退から抜け出すためには、内需を拡大する経済への転換が求められています。経済の6割を占める家計を温めることです。
 地方最低賃金審議会答申が出されました。本県は全国平均より50円低い、1時間699円です。関東では群馬に次いで下から2番目に低い賃金です。茨城労働組合総連合は、最低賃金で生活体験を実施し、異議申立書を提出しています。月額12万1486円では、家賃、医療費、交際費などが不足し、生活できないと訴えています。
 労働基準法第1条は、労働条件は人たるに値する生活を営むためのものでなければならない、と定めています。早急に時給千円以上に引上げること、中小企業支援と合わせて、国に働きかけるべきですが所見を伺います。

(2)自然エネルギーの本格導入と地産地消
 自然エネルギーの地産地消について伺います。
 本県の自然エネルギーの自給率は1.97%で、全国平均の6割で全国34位です。県は、新エネルギー対策室を設置しました。自然エネルギーの固定価格買い取り制度が施行され、民間事業者の発電事業への参入が増加しています。これを新たな事業と雇用を創出し、地域経済の振興につなげる内需拡大の機会としてとらえるべきではないでしょうか。
 中小企業や市町村が行う、地域にあった風力や小水力、バイオマスなど、自然エネルギー導入の取り組みを積極的に支援すべきと考えます。具体的には、県内5ブロック地域で、モデル事業の実施を工業団地の売れ残りなどを活用して行ってはいかがでしょうか。
 24の市町村がすでに住宅の太陽光発電に補助しています。本県は補助をやめてしまいましたが、復活を求めます。
 「原発ゼロ」を前提に自然エネルギーの導入目標値を決め、具体化のための財政支援にどうとりくむのか、所見を伺います。

5.県民の安全を守ることについて

(1)茨城空港と自衛隊百里基地
 最後に、県民の安全を守る立場から質問します。
 茨城空港と自衛隊百里基地の問題です。茨城空港開港から2年半が経ちました。需要予測の81万人に比べて3割の利用実績です。
 私はこの事業が自衛隊基地の強化が目的であると指摘し、中止を求めてきました。先日、あらためて自衛隊基地の視察をしてきましたがこのことを実感しました。見学者に対し「百里基地は2つの滑走路を有している」と説明しています。250億円かけて国土交通省と県の負担でつくった新滑走路と管制塔は、防衛省所管となりました。
 さらに移転した弾薬庫に隣接して県は緑地帯を20億円かけて提供しました。109億円も投入した工業団地は全く売れておりません。30億円の空港公園には自衛隊戦闘機が2機展示しているだけです。523億円も税金投入しましたが、得をしたのは自衛隊百里基地ではないでしょうか。
 ところで、民間機は1日数便ですが、新滑走路を自衛隊はどのように使用しているのでしょうか。天候の悪い時は、計器着陸装置(ILS)をもつ自衛隊の滑走路を使用するという理由で、自衛隊滑走路の補強をしましたが、利用状況はどうなっているのでしょうか。実態についてお答え下さい。
 国内便唯一のスカイマーク社は、国交省から安全上の問題がある6件について、今年の5月に厳重注意され、改善の報告が求められています。
 茨城空港には今年も10億5千万円も予算化しました。「北関東の玄関口」「首都圏第三の空港」をアピールして、茨城の発展のシンボルにしていいのでしょうか。多額の税金投入をやめるべきと考えますが、知事の所見をお聞かせ下さい。
 防衛省は、自衛隊の訓練を妨げないことを条件に茨城空港建設を認めました。平成23年の飛行回数は3万回で、早朝、夜間、深夜の回数は2千回以上です。早朝、夜間、深夜の訓練をやめるよう地元自治体から毎年要望が出されています。訓練の縮小にどのように取り組んでいるのかお答え下さい。

(2)オスプレイ配備と訓練の撤回
 百里基地をめぐって、新たな問題が浮上しています。
 日米両政府は、新型輸送機オスプレイを10月にも沖縄県の普天間基地に配備し、本格運用しようとしています。米軍は全国7ルートで低空飛行訓練を計画しています。そのうち、東北地方を縦断する「グリーンルート」は、本県の県境が入り口となっており、オスプレイが本県上空を通過することは十分考えられます。
 その際、日米共同使用基地である百里基地の使用があるのかどうか、私は、国会議員を通じ防衛省に確認しました。防衛省の回答は、「百里基地にも飛行することはないとは言えない」との見解でした。本県上空だけでなく、百里基地使用の可能性も出てきたことはきわめて重大です。
 オスプレイは、開発段階から墜落事故を繰り返しています。エンジンが停止した場合、安全に着陸する自動回転機能の欠如が指摘されており、本来、日本の上空は飛べない構造上の欠陥をもっています。日米安保条約下の日本では、日本の国内法があってもオスプレイの配備や低空訓練飛行がおこなわれるという治外法権状態にあります。
 沖縄では配備に反対する10万人の県民大会が開かれました。
 知事は県民の安全を守る立場から、オスプレイの配備と低空飛行訓練に反対し、本県上空の飛行と、百里基地の訓練をやめるよう政府に申し入れるべきと考えますが、所見を伺います。以上で質問を終わります。答弁によって再質問を行います。

〔大内県議の一般質問にたいする答弁〕

〔橋本知事〕
 ●国民健康保険の改善について
 大内久美子議員のご質問にお答えいたします。
 まず、国民健康保険の改善についてお尋ねをいただきました。
 国民健康保険は、税と一部負担金、公費をもって運営される制度であり、保険税と一部負担金を適切に支払っていただくことが基本であります。お尋ねの資格証明書及び短期被保険者証は、保険税の納付を促すとともに、滞納者との接触の機会を確保することによって、納付相談を行うことを目的としているもので、本県におきましては、全滞納世帯の資格証明書は約6%、短期被保険者証は約45%の世帯に対し交付されております。これらの取り扱いは法律で定められ、特に、短期被保険者証は、滞納者の状況に応じた納付相談が行われるよう積極的に活用されているところであります。県といたしましては、今後とも適切な交付が行われるよう、助言してまいります。
 次に市町村の一部負担金や保険税の減免についてでございますが、災害などにより、生活が著しく困難になった場合には、ほとんどの市町村で減免が実施されております。県といたしましては適切な減免が行われるよう、取扱基準の策定を助言してきたところであり、その結果、保険税については44市町村中37市町において策定されているところであります。
 さらに保険税の延滞金につきましたは法律に則って徴収しなければならないところですが、被保険者の状況によっては、減免することもできることとなっております。県といたしましては、引き続き、市町村に対し、減免措置の適切な運用を図るよう助言をしてまいります。
 次に国保財政健全化対策費の復活についてでございます。市町村独自の医療費助成制度の実施に伴う国庫負担金の減額措置に対しては、県において減額分を補てんする補助金を交付しておりましたが、本来、国が措置すべきものであることから、廃止に至った経緯がございます。県といたしましては、このような市町村の単独事業にたいし、国が国庫負担金の減額措置をおこなうこと自体、問題があると考えておりますので、減額措置の廃止を要望してきているところであります。今後とも全国知事会とも連携して、廃止する働きかけを強めてまいります。

 ●茨城租税債権管理機構の廃止について
 次に茨城租税債権管理機構の廃止についてございます。
 まず機構における国民健康保険税の取り扱いについてであいます。機構は税負担の公平性の確保と市町村税等の滞納額の縮減を図るため、平成13年度に全市町村税と個人県民税の徴収を専門的に行う組織として全市町村が構成団体となり設立されたものであります。
 その際、まずは徴収率が全国下位に低迷している個人市町村民税・県民税や固定資産税などの滞納額の縮減に全力で取り組むという観点から、国民健康保険税については、原則として取り扱わないものとされましたものの、機構規約に基づく市町村との協議により、国民健康保険税を含む複数税の滞納があり、かつ市町村が不動産を差し押さえている大口滞納事案などについては、引き受けを行うとされたところであります。
 この取り扱い方針につきましては現在においても変わっておりませんが、国民健康保険税の引き受け割合が高くなっておりますのは、機構の設立以降、平成23年度までで、国民健康保険税を除く市町村税の滞納額が479億円から443億円に減っている一方で、国民健康保険税の滞納額が約282億円から461億円に年々増加してきたところから、市町村の要望が強まったことによるものであります。
 こういったことから県において、国民健康保険税の取り扱いをやめるよう求める状況にないものと考えております。
 次に今後の機構についてであります。
 機構では、引く受けた案件について、まずは改めて滞納者の資力等の状況をしっかりと把握することとしております。その上で、納期内に納付する多くの納税者との公平を図る視点にたち、納税資力があると認められた滞納者に対しましては、滞納処分を行っております。一方で、生活困窮者に対しましては、納税相談を丁寧に行い、納税の猶予や滞納処分の執行の停止の判断など個々の実情に応じた取り扱いを行っており、その件数は平成23年度では千件を超えております。
 また機構は、平成13年度に全国に先駆けて設立され、全国にモデルとなっており、全国的にも市町村の財政状況が厳しく、税収確保が課題となっておりますことから、市町村が参加する一部事務組合や広域連合などの徴収組織は、直近5年間に18団体が組織され、全体で44団体と増加傾向にございます。
 本県及び本県内の市町村の財政状況は依然として大変厳しく、歳出削減の取り組みが限界に近づくなかで、税の滞納額の縮減は、財政健全化の観点からも、公平性の確保からの観点からも、喫緊の課題であり、これまでも滞納額の縮減に大きな成果をあげている役割は極めて大きく、廃止する状況にはないものと考えております。

 ●子どもの医療費助成の拡充について
 次に、子どもの医療費助成の拡充についてお答えいたします。
 いわゆる小児マル福制度につきましては、子育て世帯の経済的負担を軽減することを目的とし、市町村が実施する事業に県が助成をするものであり、平成22年10月に未就学児童から小学校3年生まで拡大し、入院、外来を総合しますと、対象年齢面で全国上位の水準にあるところです。
 平成23年度の年間実績額は20億9千万円となり、拡大前の平成21年度の実績と比較しますと、7億2千万円の大幅増となったところです。今後、対象を小学校6年生まで拡大する場合には、さらに約5億円以上が必要と見込まれますが、県では依然として厳しい財政状況でありますことから、対象拡大を早急に実施することは非常に難しいものと考えております。
 また、所得制限は、限られた財源を効果的に活用するために設けているものであり、収入額では扶養1人で約600万円までの方が対象となり、小学生3年生までの全対象者の76%が該当となっていることから、必ずしも厳しいものではないと考えております。
 また、本県では全国に先駆けて平成10年から妊産婦医療費助成制度を実施しておりますが、こういった福祉のすそ野を広げるためにも、必要ではないかと考えております。
 今後、更なる制度の拡充につきましては、財政見通しや、国、他県、市町村の動向等を注視しながら検討してまいります。

 ●水道水源の測定と対策について
 次に、放射能汚染対策と原発についてお答えいたします。
 まず、水道水源の測定と対策についてでございます。
 県内の河川・湖沼などの公共用水域における放射性物質の調査につきましては、環境省が環境基準点において、これまで3回調査を実施しているところでございます。
 ご質問の水沼ダム及び小山ダムにつきましては、それぞれ上流及び下流に環境基準点が1地点ずつ設定されており、それらの地点で河川水及び底泥の調査が実施されております。これまでの結果、河川水からは放射性セシウム等は検出されておりません。
 底泥につきましては放射性セシウムは検出されておりますが、最大で1回目3100ベクレル、2回目750ベクレル、3回目109ベクレルと、濃度は低下傾向にございます。
 また、これらのダムの下流の河川水を水道水源としているそれぞれの浄水場では、定期的に検査を実施しており、昨年6月以降、放射性セシウム等は不検出となっております。
 これらのことから、水利用の観点からは安心していただいて大丈夫なものと考えておりますが、ご要望の趣旨を踏まえまして、県民の不安を払拭して、より安心感を得ていただくため、これらのダムにつきましても、底泥の放射性物質の調査について検討してまいりたいと考えております。

●子どもの健康診査の実施について
 次に子どもの健康診査に実施についてお答えいたします。
 福島第一原子力発電所の事故後1年半を経過し、各市町村のモニタリングのデータの最高値は9月11日現在で、毎時0.161マイクロシーベルトと年間1ミリシーベルトを下回るレベルまで落ち着いてきています。
 これは放射性セシウムによる影響でありますが、物理学的半減期に加え、風雨など自然要因により、今後さらに減衰していくと思われます。
 また、放射性セシウムの内部被ばくにつきましては、本県に比べて空間線量率の高い福島県で、すでに6万人を超える方に実施された検査の結果でも、被ばく線量が十分低いことが分かっております。
 一方、放射性ヨウ素に関する調査につきましては、昨年3月に福島県で1,080人に実施した検査結果では、甲状腺等価線量で1人、最大42ミリシーベルトでありましたが、ほとんどの方が低い値でありました。
 福島県で現在実施中の甲状腺超音波検査では、これまで80,174人の検査結果が公表され、うち99.5%が「2次検査の必要なし」と判定されております。残り0.5%の425人につきましては、2次検査の対象になり、うち検査の結果が判明している38人から1人、甲状腺がんが発見されておりますが、専門家は進行の遅い甲状腺がんが1年で発生することは考え難いことから、今回の原発事故による影響を否定しているところであります。
 一方、本県では東海村の原子力研究開発機構で測定した空気中放射性物質濃度のデータで、3月から5月まで24時間屋外にいたとしての積算で、1歳児換算の甲状腺等価線量は15ミリシーベルトとなっております。また本年5月に公表されたWHO、世界保健機関の推計からは、福島県の近隣県という区分で、1歳児で1〜10ミリシーベルトという数値が示されています。県内では他に、つくば市の高エネルギー加速器研究機構における空気中放射性物質濃度のデータがありますが、東海村より十分低い数値になっております。
 いずれのデータからも、IAEA、国際原子力機関で示された安定ヨウ素剤の服用基準である50ミリシーベルトより十分低い値となっております。
 チェルノブイリ原発事故において甲状腺がんの増加が見られましたのは、事故後、4、5年を経過してからでありましたので、いまの時期に検査を実施しても被ばくによる甲状腺がんが見つかることは考えにくいこと、さらには、超音波検査によって良性病変も多く見つかり受診者が不必要な医療を受けたり、不安になる弊害をもたらす可能性も十分にあることなどのアドバイスを専門家からいただいているところでございます。現に福島において実施された80,174人のうち、39%に結節や嚢胞が発見されております。
 現在、福島県で行われているような、疫学調査につきましたは、国がその必要性を十分検討し、何を検査すべきか、どの地域を対象にすべきかなどについて統一的基準や方針を示し、系統立てて実施すべきと考えております。
 そのようなところを含めて、国にたいし要望をしているところでありますが、事故初期段階の放射性ヨウ素の内部被ばくにつきましては、本県を含めどの程度であったのか、放射線医学総合研究所で調査をしており、今年度中には示されると聞いております。
 さらに本年6月には、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」が成立し、今後、政府が健康診断を含む対象者の基準や支援の具体策についての基本方針を示すことになっておりますので、その結果を見守っているところであります。
 今後とも、健康影響調査については、国の適切な対応を求めますと共に、県としても状況の変化に応じて対応してまいりたいと考えております。

 ●東海第二原発のストレステスト問題・廃炉の決断について
 次に、東海第二発電所のストレステスト問題・廃炉の決断について、お答えいたします。
 原子力発電所のストレステストにつきましては、昨年7月22日、原子力安全・保安院が各電気事業者等にたいして、実施を指示したものであり、国内全ての原子力発電所において、その評価結果を国へ報告することとなっております。
 先般、全国50基のうち30番目に提出された東海第二発電所のストレステスト1次評価結果につきましても、国からの指示に基づき、あくまで事務的に報告がなされたものと考えております。
 ストレステストの1次評価は、安全上重要な施設・機器等が、設計上の想定を超える地震・津波などの事象にたいし、どの程度の安全裕度を有するかを評価するものでありますが、東海第二発電所の再稼働に結びつくものではないと考えております。
 一方、ストレステストの実施によって、現在の東海第二発電所の安全性に関する状況がしっかりと把握でき、また、その状況を県民の皆様にも知っていただけるという観点からは、私としては、必要な取り組みなのではないかと考えております。
 また、東海第二発電所の廃炉の決断をとのことでございますが、東海第二発電所の取り扱いについては、30キロメートル圏内に約94万人が居住していること、運転開始から約33年10ヵ月が経過していること、首都東京に極めて近いこと、約23万筆を超える廃炉を求める署名の提出を受けていること、なども十分に勘案して判断する必要があると考えております。
 一方、本年4月にある新聞社が実施しました東海第二発電所の30キロメートル圏内の14市町村長への再稼働の是非に係るアンケートによりますと、2市村が反対、2市町が条件付き賛成、9市町が未定、1市が未回答であり、また同じく14市町村議会の廃炉を求める請願の採択の状況につきましては、採択が2市町、趣旨採択が2市、不採択が3市、継続審査が5市町村、未提出が2市町と意見が分かれているところでございます。
 このような状況に加え東海第二発電所については、依然として国から再稼働の要請がされておらず、かつ燃料の装荷時期や定期検査の終了時期も未定とされております。
 私といたしましては、今後、新しく発足いたしました原子力規制委員会の動向を見守りますとともに、県の原子力安全委員会での技術的・専門的見地からの検証、原子力審議会での審議、さらには県議会や地元自治体と十分協議させていただいた上で、県としての方針を決定していきたいと考えているところであります。

 ●最低賃金の引き上げについて
 次に、内需拡大の取り組みについてお答えいたします。
 まず、最低賃金の引き上げでございます。
 最低賃金は、賃金が低くなりすぎることや、企業間で社会的に不公正な競争が行われることを回避するために、最低賃金法に基づき、国が定めることとされております。
 最低賃金につきましては、公益委員、労働委員及び使用者委員で構成される最低賃金審議会におきまして、金融経済概況等の様々な資料をもとに、労働者の生計費、労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払い能力の3要素を総合的に勘案し、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮して決定することとされております。
 議員からは、国に対して最低賃金の引き上げ要望を行うようご提案をいただきましたが、県といたしましては、このような最低賃金決定の仕組みを踏まえますと、明確な根拠もなく要望することはできないと考えております。
 したがいまして、中小企業に対する賃金助成につきましても国に要望することは考えておりません。

 ●自然エネルギーの本格導入と地産地消について
 次に、自然エネルギーの本格的導入と地産地消についてお答えいたします。
 再生可能エネルギーの導入に当たっては、地産地消の観点も大変重要であると考えております。
 このため、県におきましては、県中央水道事務所にメガソーラーを、鹿島下水道事務所に風力発電設備を整備し、それぞれの施設の電力使用量の一部を賄っているところであります。
 また、災害時に必要な電力を避難所等で確保することができるよう、今年度から地域グリーンニューディール基金を活用し、防災拠点となる土木事務所や県立学校等、約70の県有施設において蓄電池を備えた太陽光発電設備の整備にも着手しております。
 こうした取り組みに加え、県におきましては、これまでも、坂東市のリクシルと共同したメガソーラーの整備などに取り組んでまいりましたが、本年7月の固定価格買取制度の施行を受けて、民間事業者の発電事業への参画が活発になっていることを踏まえ、先般、鹿島港港湾区域の一部を再生可能エネルギー利活用ゾーンとして位置づけ、全国に先駆けて大規模洋上風力発電事業者の公募を行うなど、再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組んでおります。
 また、メガソーラーなど発電事業に参入しようとする民間事業者にたいして、再生可能エネルギー導入に係る適地情報の提供に努めるとともに、県の一部の工業団地については、立地要件を緩和して、工場等に加え、メガソーラーの導入も可能とし、今月3日から公募を開始したところであります。
 今回の固定価格買取制度の発足に当たりましては、その価格が比較的高い事業者にとって有利に設定されたところから、県には既に20を超える国内外の企業等からメガソーラー発電など再生可能エネルギーに係る事業参入の打診があったところです。
 しかしながら、こうした動きの一方で、再生可能エネルギーの急速な拡大を行ったスペインやドイツでは、国民負担の増大を招き制度の維持に問題が生じていること、今後、技術開発等によって太陽光パネルや風力発電機などの性能の向上や価格の低減が期待できること、などを考えますと、私としては、発電効率の低い設備が急速に普及拡大していくことは、将来に禍根を残すことにもなりかねないことから、再生可能エネルギーについてはきちんとした計画をつくり、段階的に導入を図っていくべきではないかと考えております。
 国においては、今月14日に「革新的エネルギー・環境戦略」を決定したところであり、今後は国のエネルギー政策を踏まえ、再生可能エネルギーの導入を一層促進し、その割合を大幅に高めていく必要があるものと考えております。
 こうしたことから県におきましては、現在、新たなエネルギープランの策定に取り組んでいるところでありますが、年度内に策定することとしております計画には、太陽光、風力、バイオマス等再生可能エネルギーの導入目標を掲げ、積極的に再生可能エネルギーの導入促進を図ってまいりたいと考えております。

 ●茨城空港と自衛隊百里基地について
 次に、県民の安全を守ることについてお答えいたします。
 茨城空港と自衛隊百里基地についてお尋ねをいただきました。まず、茨城空港についてでございます。
 茨城空港は、国管理空港であり、滑走路を防衛省、駐機場を国土交通省が管理しております。民航機については、ターミナルビル側の滑走路、B滑走路を使用することを基本としながら、悪天候時には、計器着陸装置、ILSによる誘導が必要となる場合がありますので、計器着陸装置を有する自衛隊側の滑走路、A滑走路を使用する事例もあると聞いておりますが、空港の管制業務は防衛省によって行われておりますことから、それぞれの滑走路の使用頻度については、県では把握しておりません。
 なお、ご指摘の事業費の中には、交通の安全確保や円滑化等のための周辺の県道整備費なども含まれており、全事業費に占める県の負担割合は半分程度となっております。
 次に、茨城空港の利活用につきましては、県民の利便性向上と地域活性化のために空港を役立てたいという強い思いから、これまで、県と地元が一体となって積極的に取り組み、就航路線についても着実に充実が図られてきたところであり、これまでに63万人を超える方々にご利用いただいております。こうした方々からは、「茨城空港ができて、大変便利になった」と非常に喜ばれております。
 また、茨城空港は、LCCに対応した新しいタイプの空港として、国内外のメディアに数多く取り上げられました結果、空港ターミナルビルには、県内のみならず、県外からも多くの方が訪れております。開港以来240万人を超える方々にご来場いただき、本県のイメージアップにも大きく貢献しているものと考えております。
 今後とも引く続き、空港の就航対策や利用促進に努め、県民はじめ多くの方々に茨城空港をご利用いただきますとともに、地域振興に寄与できるよう、茨城空港の利活用に積極的に取り組んでまいります。
 次に、自衛隊百里基地周辺の生活環境についてでございます。
 県ではこれまで、防衛省や北関東防衛局、百里基地等にたいしまして、飛行回数の縮減や、早朝、深夜等における飛行の自粛など、航空機騒音対策について毎年継続して要望してまいりました。
 県では、自衛隊の訓練という形では回数は把握しておりませんが、飛行経路の真下に設置した2ヵ所の自動測定局において、年間お通して航空機騒音の連続測定を実施しております。

 これらの測定局において70デシベル以上の航空機騒音が測定されたのは、昨年度のデータで年間29,573回であり、航空機の飛行回数は概ねその半分と考えられます。
 航空機騒音のうち、夜7時から朝7時までの時間帯、いわゆる早朝、夜間、深夜では2,007回となっておりますが、平成16年には3,370回でありましたので、徐々に減少している状況にあります。特に、午前零時から朝7時までの時間帯については、平成16年に200回を超えていたものが、昨年は14回と大幅に減少しております。
 県といたしましては、今後とも、騒音による周辺の生活環境の悪化を防止するため、騒音対策の強化について、引き続き防衛省等に要望してまいります。

 ●オスプレイ配備と訓練の撤回について
 次に、オスプレイ配備と訓練の撤回についてでございます。
 オスプレイにつきましては、今年4月にモロッコで、6月にはフロリダで墜落事故が発生しましたことにより、その安全性にたいする懸念が大きくなり、沖縄県や山口県等を中心に配備に反対する動きを強くなっております。
 このため、全国知事会では、オスプレイの安全性が確認できていない現状においては受け入れることはできないこと、政府においては、安全性や事故原因、飛行訓練による周辺住民への影響等について責任を持って関係自治体に詳細に説明するとともに、配備や飛行訓練等の具体的な内容を明らかにし、関係自治体の意向を十分尊重して対応すること、との緊急決議を行い、7月20日に内閣官房長官や外務大臣などに要請しております。
 オスプレイの安全性につきましては、本日午前、外務省、防衛省、在日米軍で構成する日米合同委員会において、国内運用に関する安全確保策が正式に合意されたことを受け、政府が先ほど安全宣言を出したところでありますが、国民や関係自治体に十分に説明し、理解を得るまでは飛行訓練を開始すべきではないと考えております。
 また、公表されております低空飛行訓練ルートに、本県は含まれておりませんが、百里基地での移転訓練や、東北への移動でオスプレイが本県上空を通過する可能性などについて、北関東防衛局などに問い合わせをしておりますが、未だ明らかにされておりません。
 私は、オスプレイの国内への配備や訓練は、日本やアジアの安全保障に関係することでありますことから、国が責任を持って対応すべきものと考えておりますが、県民の皆様に不安を与えることがないよう、引き続き全国知事会や渉外知事会などでも連携し、対応して参りたいと考えております。

〔小野寺教育長〕
 ●小中学校統廃合の見直しについて
 一人ひとりに行き届いた教育条件の整備についてお答えいたします。
 まず、小中学校統廃合の見直しについてでございます。近年、少子化の進展により年々児童生徒数が減少するなか、小規模な学校では、体育や音楽など集団による学校活動が出来にくくなったり、人間関係が固定化することで互いに切磋琢磨する機会が少なくなるなど、子どもの成長面においても改善すべき状況が生じておりました。
 そのような中、県議会財政再建等調査特別委員会のご提言や市町村からの要望も踏まえて、県では、平成20年4月に「公立小中学校規模の適正化について」の指針を策定いたしました。この指針では、児童生徒のより良い教育環境づくりの観点から望ましい学校規模の基準を示すとともに、個別の学校の適正規模・適正配置につきましては、地域の地理的・歴史的な背景を踏まえ、保護者や地域の方々の意見をしっかり聞いたうえで、市町村が主体的に判断するよう示しているところであります。
 県内では、既に31市町村で計画が策定されておりますが、県といたしましては、その他の市町村においても、引き続きこの指針に基づき、保護者や地域住民としっかりと話し合いを持ちながら統廃合に関する計画づくりが円滑にすすみますよう、今後とも助言や情報提供をしてまいります。

 ●少人数学級の拡充について
 次に、少人数学級の拡充についてでございます。
 少人数教育は、子ども一人ひとりに学習習慣や生活習慣をしっかりと身につけさせ、きめ細かな指導を行ううえで極めて効果的であると考えております。
 このため、県では独自の少人数学級を小学校1年生から4年生及び中学校1年生で実施してきており、わかりやすく楽しい授業づくりや児童生徒に寄り添ったきめ細かな指導の充実に努めているところでございます。
 この少人数教育につきましては、国におきまして、昨年度から全ての小学校1年生の学級で35人以下学級が実施され、今年度からは小学校2年生に拡大されております。
 また、国の義務標準法改正により、今年度から市町村教育委員会の判断で、地域や学校の実態に応じ、柔軟に学級編制ができることとなりました。
 これにより、定数の範囲内で小学校5、6年生、中学校2、3年生においても少人数学級が実現可能となり、現在、12市町村21校で独自の少人数学級が実現しているところでございます。
 なお、県ではこれまで、中央要望など様々な機会を通して、国に対して少人数学級の拡大を要望してまいりましたが、来年度の国の概算要求においては、今後5年間で全ての学年に35人以下学級を拡大する新たな定数改善計画の策定が盛り込まれたところであります。
 県といたしましては、国の新たな計画の策定を大変期待して注視するとともに、全ての小・中学校で、35人以下学級が実施できるよう、今後とも国や市町村の動向を踏まえながら、少人数教育の更なる充実に努めてまいります。

 ●定数内臨時職員の正職員化と改善について
 次に、定数内臨時職員の正職員化と改善についてでございます。
 学校現場での様々な問題を解決していくためには、教職員が子どもと向き合い、一人ひとりの日々の成長や変化に気づくことのできる教育環境づくりが求めたれているところでございます。
 現在、教職員の一部には、臨時職員が配置されておりますが、継続的に子どもとかかわっていくためにも、議員ご指摘のとおり正職員化を図っていくことは大切なことであると認識しております。
 一方、平成18年度以降、国による定数改善計画が策定されず、中・長期的な視点にたった計画的な採用・配置が出来にくい状況になったことにより、全国的にも臨時職員が増加する傾向にございます。
 また、児童生徒の転出などにより、年度当初の時点で学級数が減る可能性がある場合には、定数を超えて教職員を配置することは困難なことから、やむを得ず臨時職員を配置することにより対応している面もございます。
 この現状を少しでも改善するために平成24年度の教員採用にあたり、これまでより50名増やして400名としているところでございます。
 今後、県としましては、国の定数改善計画策定の動向を注視しつつ、退職者数や児童生徒数の推移等も見据えながら、出来る限り臨時職員の正職員化を図り、教育条件の整備に努めてまいります。

〔大内県議の再質問〕

 それぞれご答弁いただきました。全国のモデルになったという茨城租税債権管理機構、これは全市町村で構成しているのは全国に未だに7つしかありません。茨城県のように44名体制で強化しているところはありません。つまりは県民に納税相談できめ細かに相談に乗るより、まず取り立て、この冷たい県政の私は悪いモデルであると指摘しております。
 2つ質問をいたします。第1は原発についてです。知事は国に判断を委ねる、とりわけ原子力規制委員会は原子力を推進してきた人が責任者、国会を閉会してから総理大臣の指名でつくったとんでもない委員会です。知事は国に判断を委ねるとして、自らの意見表明はありません。
 国は9月14日のエネルギー環境戦略で、原発ゼロの社会を目指すとしながら、「原子力規制委員会の安全確認を得たものを再稼働させる、使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクル計画の継続」をうたっています。再稼働を認める危険なものです。
 茨城エネルギープラン策定委員会が5月28日に、第1回委員会を開きました。東電からの委員も入っておりますが、「来年から柏崎の稼働を想定している」と、のべています。事故をひき起こした当事者として無反省な発言であり、原発から撤退すべきとの国民・県民の世論に挑戦するものです。
 東海第2原発の廃炉をはっきり主張しなければ、危険な原発再稼働をやめさせることはできません。知事の見解を再度求めます。
 第2点は、茨城空港についてです。防衛省の所管なので茨城県はその実態については把握をしていないという答弁でした。
 私どもの調査では、新滑走路を自衛隊は年間600回、1日平均2回使用しています。地元への通知はしておりません。一方、民航機が自衛隊の滑走路を使用することは、ほとんどないということでした。
 平成22年3月25日に天候が悪いとの理由で、アシアナ航空のソウル便は2時間遅れで仁川を出発し、成田空港に到着、旅行会社が用意したバスで茨城空港に着きました。当日の天候はくもりでした。なぜ着陸できなかったのでしょうか。天候が悪い時のために自衛隊滑走路を補強したのではないでしょうか。
 このように自衛隊の訓練が最優先されているのが茨城空港です。茨城空港に安全の保障はありません。百里基地の訓練縮小について、どう取り組むのか、お答え下さい。
 以上で終わります。

〔再質問にたいする橋本知事の答弁〕
 原子力規制委員会のこれからの様々な検討を待っていくと答弁申し上げたところでありますが、私どもといたしましては田中委員長、いろいろなご意見をおっしゃる方もおりますけれども、先般の事故のときにもですね、大変いろいろな面で収束に向けて意見を出された方であり、大変すばらしい方であると思っております。そのもとで何をやってほしいのかというと、例えば、本県の場合、94万人が30キロ圏内、UPZ圏内に含まれております。この94万人全部について避難計画をつくらなきゃいけないのかどうか、そういったことがさっぱり明確になっておりません。本県の東海第二発電所の場合には、この避難計画という点が一番大きな課題ではないかと思っておりますので、そこについて原子力規制委員会できちんとした方向を早く出して欲しいと、いうことを私としては強く期待しているところであります。したがいまして、廃炉うんぬんということについては、今の段階では一番肝心な点と思われる避難計画について判断ができませんので、私の考えを表明できない状況にございますし、また、私自身で勝手に決めていくというより、議会とも十分相談していかなきゃいけないと思っております。
 それからアシアナ便がなぜこちらに来れなかったのかということについては、私は具体的なことは存知上げません。計器着陸装置、ILSというのがありながらなぜだめだったのかということについては、これから少し調べて見たいと思いますけれども、いずれにいたしましても、大変、民間用の方については、自衛隊に使われていながら、逆の方は少ないんじゃないかと、いうことについては十分頭においてこれから国の方ともいろいろな意見交換をやっていきたいと思っております。
 それから自衛隊の訓練の縮小ということでありますけれども、訓練縮小自体についてはこれは、自衛隊の方といいますか、国の方で判断していくことでありますので、私ども防衛上、どれだけ必要かということについては、私ども口を挟む立場にございますけれども、ただ、生活環境という面では、われわれとしては、きちんと言っていかなきゃならないだろうと思っております。そういった点で騒音が増えないように、そしてとくに夜間とか、早朝の部分をどうやって減らすか、ということについては積極的に国の方に申し入れをしていきたいと思っております。

以 上


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