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質問・発言

●大内久美子県議の予算特別委員会での質問(2012年3月19日)

 〈質問項目〉
  〔1〕後期高齢者医療制度について(答弁・知事)
  〔2〕子どもの医療費助成制度の拡充について(答弁・知事)
  〔3〕保有地問題と財政運営について(答弁・知事)
  〔4〕原子力行政について(答弁・知事)

〔1〕後期高齢者医療制度について

○大内委員 日本共産党の大内久美子です。
 最初に後期高齢者医療制度について質問いたします。
 本県は、平成22年と23年は茨城県広域連合の基金と剰余金を活用して、保険料の値上げは実施しませんでした。平成24年と25年は、初めて県の財政安定化基金を13億5千万円取り崩して、2.5%、1人平均1,250円の値上げとなりました。年間の保険料は平均51,320円です。全国で均等割、所得割の据え置きを決めたのは9県でした。東日本大震災で被災した青森、岩手、福島、千葉の4県が入っております。本県も値上げをしない手立てをとるべきではなかったでしょうか。
 県の財政安定化基金残高は10億6千万円です。すべて取り崩すこと、医療費の伸び率は6.47%と見込み実績の2倍を見込んでおり、見直すことで値上げをしなくても運営できるのです。知事の所見を伺います。
○橋本知事 後期高齢者医療財政安定化基金の取り崩しについてご質問をいただきました。財政安定化基金は、保険料抑制のため、基金を取り崩す場合には、国のガイドラインによって保険料賦課総額の3%以上を基金に残すものとされており、最大に充てられる額は約24億8千万円となってまいります。
 一方、本県におきましては、医療費が2.5%伸びており、保険料を現状のまま据え置くためには、約74億4千万円が必要になってまいります。
 広域連合の剰余金及び準備預金を約35億5千万円すべて充てた上で、財政安定化基金を最大限、約24億8千万円を取り崩しても、約14億1千万円が不足することから、保険料を据え置くことができなかった次第であります。
 また一方では、平成20年度の制度の発足以降、4年間、保険料を据え置いていることや、この制度がまだ続く見込みをしている人もおられますので、次回の改正も考慮し、保険料の引き上げ率を1人当たり医療費の伸び率と同じ2.5%に抑えるため、13億5千万円を取り崩すこととしたところでございます。
 なお、新聞報道によりますと、全国43都道府県で保険料の引き上げを予定しており、徳島県の13%増を筆頭に、25都府県において5%以上を増加する中で、本県の2.5%増は、全国平均を大きく下回っている状況にございます。
 なお、被災県のうちでも、宮城県は剰余金と基金を限度額まで上げても、約4.7%の引く上げになると伺っておるところでございます。
○大内委員 知事は宮城県の例を出しましたけれども、宮城県と茨城県以外、被災県はどちらかを値上げをしなかったのです。悪いところを例に出して茨城を比較するのは、おかしいと思います。
 4月からは介護保険料が値上げとなり、私の調査では、本県は平均21.9%の値上げ、月4,492円になると予定されております。年金も昨年と今年で0.7%下がり、後期高齢者医療保険料と介護保険料が同時に値上げとなり、高齢者にとっては三重苦を強いるものです。暮らしが成り立たないという切実な声を私はたくさん聞いております。医療の差別と保険料負担を増やす現行制度は、廃止すべきです。
 政府は新制度を「社会保障と税の一体改革」に盛り込み検討してきました。75歳以上を別勘定にする現制度の根本的な欠陥を変えず、国庫負担を減らすものです。「財政負担が明確でない」と知事会は反対を表明し、国会提出を見送る方向です。
 今こそ、元の老人保健制度にもどし、国の責任で75歳以上の医療費無料化に向けて取り組むことではないでしょうか。知事の所見をお聞かせください。
○橋本知事 今、ご指摘がありましたとおり、国の最終取りまとめによります新制度の創設の内容というのは、高齢化低所得者層の増加による市町村国保の構造的問題が議論されていないことや、国の財政責任が不明であること等々多くの問題を抱えているところであります。
 また、厚生労働省の案は、形式的には、75歳以上、国保と被用者保険に戻し、別立てを解消するとしていますが、区分経理は残すなど、単なる看板の書きかえにすぎないものもございます。
 こういったことを考えますと、私どもとしては、今、元の制度にというお話ございましたけれども、新たな制度を考えていく場合には、将来にわたる財政試算のもとで、十分に都道府県の意見なども聞いて上で、国民的な合意を得られる制度とするようにしていく必要があるだろうと思っております。
 国保につきましては、財源問題としては、例えば平成22年度には、本県だけで約112億円、全国では約5,500億円、一般会計からの繰り入れがなされているところでございまして、こういったことについても、現在の案を見てみますと、都道府県が肩代わりさせられることが大変危惧されておるところでございますので、そういった点も踏まえながら、今後、国の方に対して、地方の負担が増加することのないようしっかりした制度をつくってくれるよう要望していきたいと思っております。
○大内委員 本県は、医師会が全国に先駆けて、後期高齢者保険制度廃止を掲げて、運動が広がった県でございます。
 先ほど、私が述べましたけれども、被災県は茨城と宮城を除いては、すべて据え置いたと、私は、これだけ高齢者が大変な状況の中で、せめて茨城県としてできる手立てはなかったのか。値上げをしなくて済んだという、この取り組みを本来はしていただきたいと強く要望をしておきます。

〔2〕子どもの医療費助成制度の拡充について

○大内委員 次に、子どもの医療費助成制度の拡充についてです。
 知事はマニフェストに「小学生に拡大し、子育て家庭の経済的負担を軽減する」と記し、一部負担、所得制限がありますが、小学3年生まで広げました。
 県内自治体では、小学6年生まで29市町村、中学3年生まで18市町村が拡充しています。所得制限をなくしたのは30自治体で約7割です。
 この際、小学6年生と、中学3年生まで完全無料にすることについて、試算をし、実施にむけてとりくむべきと考えますが、知事の所見を伺います。
○橋本知事 計算方法、難しい面ございますけれども、現在、6年生あるいは中学生まで実施しているところの医療費の状況などを参考にして算出いたしますと、ごく粗い数値ではございますけれども、小学校6年生まで拡大した場合、現在より約20億円増加の41億円が必要となってまいります。
 また、中学校3年生まで拡大した場合では、約29億円増加の約50億円が必要になってくるものと推計されます。
○大内委員 中学卒業までの完全無料化は、約50億円でできるという答弁でした。平成23年度だけでも、開発で売れ残った土地に366億円も一般財源を投入しているのです。財政が苦しいとの理由は成り立ちません。
 子育て支援を最優先すべきではなでしょうか。隣接の栃木県では、小学6年生まで、群馬県、東京都では中学卒業まで完全無料化です。
 ところで、本県の所得制限は、393万円と全国でも大変厳しいものとなっています。そのため水戸市では69%の家庭しか受けられません。所得制限がないのは全国で14都県です。本来ならなくすべきですが、せめて所得制限は児童手当特例給付532万円に引き上げるなど、改善を求めるものですが、知事の所見をお聞かせ下さい。
○橋本知事 確かに、栃木、群馬は本県よりもかなり進んでおります。本県におきましても、平成22年10月から小学校3年生まで対象を拡大したところでございますけれども、私どもとして、どういう方法でやっていくのか、むしろすそ野を広げるのか、手厚くするのか、そういったことについて、かなり内部で検討をさしていただいたところでございます。
 本県の場合には、例えば、外来で見ますと小学校6年生まで拡大している、中学までも含めて5県しかございません。外来だけで見ると、全国で6番目になっておるところでございます。
 そういった形でわれわれは、県としてのいろいろな考えを、例えば、妊産婦医療費助成制度とつくるとかいう形で展開をしておるところでございます。
 その中で、現在の児童手当特例給付額で所得制限をしておるところでございますけれども、この額は、実は、扶養を1人しておりますと30万円に達しておりますので、所得額で見ると、423万円、収入額では約596万円、600万円近くなるものでございます。
 この現行基準による小児医療費助成制度に該当している割合は、昨年7月1日時点で、本県の小学校3年生までの全対象者のうち75.8%となっておりまして、多くの児童が対象となっているところでございます。
 私どもとしては、この割合をさらに上げていくよりは、また中身の方をどういう形で変えていくのか、いろいろ検討をさせていただきたいと思っております。
○大内委員 知事も答弁したように栃木、群馬、そして東京、完全無料化で小学6年生、中学3年生まで既に実施をしているということになりますと、茨城県の状況が隣県との関係では最も遅れているというのが、もう明らかでございます。
 栃木県の大学病院に行った子どもたちが栃木では無料なのに茨城はどうして無料にしていないんでしょうと、直接このような場面に親御さんが、保護者がぶつかるわけです。
 私は、先ほど言いましたけれども、税金は使いようです。売れない土地の対策のために莫大な税金を使うより子育て支援に使うべきです。そういう立場で、ぜひとも小学6年生、中学3年生までの医療費助成、そして無料化に向けて取り組んでいただきたい、強く要望いたします。

〔3〕保有地問題と財政運営について

○大内委員 次に保有土地問題と財政運営について質問いたします。
 平成23年3月31日時点で、県と開発公社、土地開発公社が保有している土地は、1,479ha、借金残高で3,809億円と莫大なものです。保有面積は大洗町の6割にあたり、借金残高は23年度の県税収入の1.3倍にもなっております。
 平成18年度から、売れない土地の破たん処理として保有土地対策を行ってきました。税金投入額と銀行への返済割合について明らかにして下さい。
○橋本知事 ご承知のように、減損会計や低価法の導入などに伴う債務超過を解消するために計画を策定して、それに沿って支援を実施してまいりました。
 また、平成22年度には、県出資団体等調査特別委員会においてご審議をいただいて、1,890億円の将来負担の解消に向け、20年間にわたり、毎年度100億円規模の対策を講じていくこととしたところでございます。
 こういう中で、これまで、平成18年度から平成23年度、最終補正を含んでの数字でございますけれども、これで、対策額が約1,131億円となっております。このうち、約1,113億円を金融機関への元本及び利子の支払いに充てております。
○大内委員 パネルを用意しましたので、ご覧下さい。

 開発公社には、586億円、全体の52%です。住宅供給公社は、平成22年度に破産手続きをして、第三セクター債で返済をしておりますが、28%に当たる314億円、TX沿線開発に152億円、13%となっております。

グラフ

 問題は、当初予算に比べて補正予算で、最終補正予算での増額を続けていることです。とりわけ、平成21年度は、当初予算に比べ総額で2.7倍、22年度は2.2倍、23年度は2.9倍と異常な増額でした。
 本来、県民生活に使われるべき地方交付税などの一般財源を破たん処理に最優先に使っていいのでしょうか。知事の見解を伺います。
○橋本知事 平成22年度の県出資団体等調査特別委員会におきまして、繰上償還やより有利な借り換えなど、保有土地に係る債務残高の早期縮減につながる取り組みを進めるべきであるとのご提言もいただいているところでございます。
 私どもといたしましては、このお金につきましては、いずれにしても、県のある意味、義務的負担のようなものでございますので、できるだけ早期に解消していきたいということで、全力を挙げて、この予算の許す範囲内で早期の債務残高の縮減に努力をしているところでございますので、その結果がこうなっておるところでございます。
○大内委員 知事は、銀行の債務を義務的なものだと答弁をしました。これは、借金返済の全体の9割以上が銀行への返済、それが義務的なものだと、これほど県民ががっかりすることはありません。例えば、平成23年度の366億円という、この大切な税金は、水戸市の平成21年度の市税収入の9割にも当たる大変な額なのです。この税金投入の9割以上が銀行への借金返済、こうしたやり方をいつまでも続けていいのか、問われます。
 私は、続けるべきではないと強く主張いたします。銀行にも貸し手責任をとらせるべきです。利子分の負担をなくすこととか、期限の延長、返済額の縮減など、取り組むことが必要ではないでしょうか。知事の見解を伺います。
○橋本知事 県としては、損失補償をしている以上、金融機関が法律に基づいて行使する権限を制限するようなことはできませんため、県としては、負担せざる得ないものと考えており、これは、金融の専門家や弁護士等に相談した結果でもございますし、また、最近、神栖市と柳川土地区画整理組合の裁判でも、神栖市に損失補償の全額支払いの命令が出されておるところでございます。
 県としては、一方で、金融機関に対して、常に協力を求めているところでございまして、例えば、住宅供給公社の解散に際して、三セク債を381億円ほど発行しておりますが、これにつきましては、通常の県債の利率を下回る水準で引き受けをお願いしておるところでございまして、金利差によって約20億円程度の利子負担の軽減になっているのではないかと考えております。
○大内委員 地震は自然災害でございました。しかし、今回の銀行から借り入れ責任は知事を含めて関係者です。
 知事が就任したのは、バブル経済が崩壊した翌年、平成5年の9月です。2ヵ月前に竹内前知事が逮捕されました。橋本知事は国と一体になって、景気回復のためにと借金を増やし、常陸那珂地区、TX沿線開発、圏央道周辺開発、工業団地と突き進んでしまったのです。平成10年には、新たな工業団地の凍結を決めたにもかかわらず、茨城空港工業団地、阿見吉原、古河名崎と工業団地を強行しました。こうした開発用地の売れ残りの8割以上は、橋本知事就任後のものであり、責任は重大です。
 開発用地を買収してきたのが土地開発公社と開発公社でした。52年前に鹿島開発のために設立した財団法人開発公社が存在しているのは全国で茨城県だけです。土地開発公社はすでに6県が解散しているのです。
 開発行政からの脱却を決断し、開発公社、土地開発公社をなくしていくことが必要と考えますが、知事の所見を伺います。
○橋本知事 開発公社は、工業団地の造成、その他のことをやってきているところでございますけれども、これまでに、約2,900ヘクタールの工業用地に420社を超える企業に立地していただいおるところでございまして、雇用の面で見ると、例えば、アステラス製薬で1,300人とか、日立建機で400人とか、数万人規模の雇用に結びついております。
 また、最近では、古河への日野自動車の進出によって、将来的には、数千人の雇用が見込まれておるところでございます。
 また、税収面でも、これまで立地した企業の法人関係税や固定資産税などが年間数百億円規模になっているのではないかと推計をしております。
 ただ、ご指摘のように今、いろいろその後、バブルがはじけた中で、土地需要が低迷する厳しい財政状況に置かれているところでございまして、私どもといたしましても、この開発公社につきましては、絶えずそのありようを検討しているところでございますけれども、しかしながら、開発公社を解散させる場合には、県は、開発公社の借入金については、金融機関との間で損失補償契約を締結しておりますことから、1,000億円を超える金額を解散にあわせて処理しなければならなくなるほか、現在行っている古河の用地整備などをどこが行うかといった問題なども出てまいります。
 また、土地開発公社につきましても、今、例えば東関道水戸線の仮称鉾田インターチェンジから潮来インターチェンジまでの約31キロメートル区間の用地取得に向け、国に協力して、県、地元、市が用地買収に向けて動き出そうとしておるところでございます。これにつきましても、土地開発公社を活用していくことが避けられないのではないかと思っておりますので、現在の段階で、すぐに両公社を解散するというのは難しい面がございます。
○大内委員 先ほど、私は、財政支出に大変な問題があると、まず、補正予算で組んだ約3倍も、この破たん処理に最優先したと、それが平成23年度の最終補正予算でございました。これだけ銀行にだけお金を返すために県民の大切な税金、地方交付税などの一般財源すべて最優先に回すというのは、もう本当に歪んでいると。それだけではなくて、何のために企業を呼び込む開発をしているのかと、抜本的な問題が問われます。
 ちなみに平成21年度の県民所得1人当たりは265万3千円で全国16位、減少率は全国ワースト2位です。開発すれば茨城はよくなる、こう言って開発用地をどんどん買ってきましたけれども、茨城県民の生活は良くなりません。やはり内需の拡大こそ必要です。知事は就任してから県の職員を4分の1削ったことを誇りにしておりますけれども、間違いです。県の職員は、県民のために仕事をする、その分野の職員が嘱託とか1年間の期限雇用、こういうことで何とか現場は行っている。そして市町村に対しては、補助金は削る、それから県独自の事業は、3年間で区切って行う、こういうことをして、次々と県民と市町村、職員に犠牲を押し付けてきた、これが茨城県の開発行政の実態です。
 私は、企業を呼び込むために税金を投入し、莫大な売れ残りを抱えて、借金返済を最優先する県政は、改めるべきと強く主張いたします。今こそ、内需を拡大する経済政策に切り換えなければならないことを強調して、次の質問に移ります。

〔4〕原子力行政について

○大内委員 次に原子力行政について質問いたします。
 福島原発事故の放射性物質に汚染された環境の除染、廃棄物や土壌、焼却灰の処理をどうすすめるのかが、重要な課題になっています。
 本県は20市町村が「汚染状況重点調査地域」で、除染計画を策定しているところです。環境省は、除染の場所や除染の仕方で国の支援をしないところもあると説明していますが、市町村と住民は納得していません。取手市や牛久市、守谷市などでは、すでに学校や公園など必要な除染対策を行い、東電に費用の請求をしております。
 毎時0.23マイクロシーベルト以下の地域も独自に取り組んでおり、こうした測定と除染対策の費用は、すべて国が責任をもつべきです。知事の所見をお聞かせ下さい。
○橋本知事 今のご答弁の前に、保有土地につきまして、金利負担の軽減という意味では、これだけ早期繰上償還をやりますと、大変大きなものがございますので、最終的には、本県の財政にとってプラスになっているものと考えておりますし、また、人口減少のお話しもございましたけれども、開発公社関連の土地に立地した企業だけで数万人の従業員が生まれているところでございます。これがなかったらどうなっているかということを考えると、大変厳しいもとがあるのではないかと思います。
 それから、放射能汚染対策についてでございますけれども、市町村が毎時0.23マイクロシーベルト未満の地域の除染に要した事業費につきましては、昨年の10月31日までの実績につきまして、既に12月分の特別交付税により措置されております。本県の場合、まだこの段階では額はわずかでした。
 さらに、国からは、昨年の11月1日以降の事業費につきましても、今年度分については、3月に震災復興特別交付税等によって措置する予定と聞いておりますほか、来年度当初予算案の中でも、除染経費が震災復興特別交付税の中に位置づけられているところでございます。
 ただ、一部の市町村からは、こういったものをもらっていても、どうも除染にかかる経費のすべてが対象となっていない。例えば、学校等においては除去した土壌を地下に埋めて、現場保管しようとする際に発生してくる残土、この土地の処理費などが対象になってこないとか、いろいろな意見がございますので、そういった意見を踏まえながら、すべて国の方で面倒見るように対応してまいりたいと思っております。
○大内委員 子どもや妊産婦の被ばくについて健康調査を求める声は切実です。私は保健福祉委員会でも、国の方針を待つだけでなく、県独自に実施をすべきと主張してきました。
 この点については、知事にも強い要望が出されておりますので、ぜひ実施をしていただきたいと要望でございます。
 さて、東海第二原発の再稼働を認めず、廃炉を求める要望署名が10万人以上から知事に提出され、8つの市町議会で廃炉を求める意見書が可決されています。
 私は昨年の定例議会のたびに、知事に廃炉の決断を求めてきました。知事は「原子力安全対策委員会において専門的技術的評価」などを得て、判断していきたいと繰り返し答弁をされています。
 県原子力安全対策委員会は14名ですが、委員長を含め3人が原発業界から寄付を受けていたことが明らかになりました。公正な判断ができるのでしょうか。知事の所見を伺います。
○橋本知事 原子力安全対策委員会の委員のみなさんにつきましては、しっかりした識見、知識等をお持ちの方々に就任をしていただいているところでございまして、国が実施を指示した緊急安全対策等の妥当性についてはもとより、委員会独自に安全性の確認に必要な事項を抽出し、地震、津波対策に係るハード面の対策に加え、組織や人員などのソフト面について、あらゆる観点から厳格な検証を行っていただいているところでございまして、適切な判断がいただけるものと考えております。
表○大内委員 パネルを用意しましたので、ご覧下さい。
 岡本委員長は、三菱重工業から寄付を受けています。
 原子力安全・保安院によるストレステストの意見聴取委員を務めています。本年1月6日の第6回の意見聴取会で複数の委員から「利益相反の疑いがある方は除かれてはどうか」と指摘を受けています。
 田中委員は、電源開発、日立製作所、日立GEから寄付を受けています。日本原子力学会会長であり、内閣府原子力委員会新大綱策定会議専門委員を務めています。本年2月7日の新大綱策定会議で「利害関係者は委員になるべきではない」と2人の委員から意見書が提出されました。
 昨年6月に新たに加わった関村委員は、原子燃料工業と三菱重工業から寄付を受けています。原子力安全・保安院の「高経年化技術評価ワーキンググループ」の責任者です。このグループの専門的意見を根拠に、原子力安全・保安院は昨年2月7日に、福島第一原発1号炉について「60年を一つの目安とした期間を仮定して機器・構造物の健全性評価が行われている」と認可を下しました。この1カ月後に事故が発生したのです。
 県の原子力安全対策委員会の委員の選定の見直しが求められていると考えます。知事の見解を伺います。
○橋本知事 今挙げられた先生方3人とも東大大学院の教授をなさっておられるわけでございますけれども、寄付につきましては、企業から大学に払い込まれた奨学寄付金であり、大学のルールに基づいて管理されているものであると聞いております。
 そして、東大の奨学寄附金の扱いにつきましては、寄付取り扱い規則の中で、寄付者に対して寄付の対価として何らかの利益または便宜を供与する寄付については、受け入れることができないものとされているところでございまして、私どもといたしましては、そうした大学のルールに基づいてしっかり管理されているのではないかと考えております。
○大内委員 学問や科学の名を語って原発を推進する――「原子力ムラ」における学会の役割でした。
 日本では「原発は安全」ということが絶対的な神話としてまかり通ってきました。福島原発の事故は、安全神話をたてにした「原発利益共同体」といわれるように、電力会社と原子炉メーカー、建設業者、政府、学者などがひき起こした人災です。そのことをこの東京大学教授と肩書きがついておりますけれども、私が実際、会議録を調べて、すべて原発は安全だということで、再稼働にまで今加わっているのが岡本委員長です。
 このような電力会社、事業者から寄付を受け、国民の立場できちんとした判断ができると知事は考えているのでしょうか。そして、この関村委員というのは、新しく去年の6月に加えたのです。この方は、福島第一原発の1号炉は、60年使ってもいいですよという許可をおろした責任者です。どうして県民の立場で安全を守るという公正な判断ができるという保障があるのでしょうか。
 私はこのような今の原発、なぜ日本で54基も、地震、津波が多い日本でつくられ続けてきたのか、この背景が原発を推進してきた事業者と政府、そして学者がお墨付きを与えてきたという問題があります。この当事者が茨城県の原子力安全対策委員会の中には多いというのが現実です。
 知事は、この茨城県の原子力安全委員会、私は、選考をし直さなければならない事実が発生しているという提起をしておりますが、いかがでしょうか。
○橋本知事 実は、この3人の方々については、それぞれ選考の過程で、関係者からご推薦をいただいて選任をさせていただいております。その分野の専門家であることに加え、原子力安全行政に係る茨城県の状況についても、深くご理解をいただいているというのが大きな理由でございまして、例えば、関村委員につきましては、平成18年10月から茨城県原子力施設高経年化対策等調査研究会の委員をお願いしておったところでございまして、そういったこともあって、今回もお願いをしておるところでございます。
 国の方でも、この3人の委員の皆さん、いろいろな委員会の委員に就いておられます。これから、国の方でも、利益相反ではないかということについては、クリアをしているという判断に立っておりますので、私どもも、その点については、この委員の皆さん方、それぞれ立派な方でありますので、十分に自分で考えながら委員会活動をやっていただけるのではないかと思っております。
○大内委員 原子力安全対策委員会のこれらの構成について見直しを強く求めます。
 それは、今後、東海第二原発をどうしていくのかというところにかかっていると思います。
 県民世論は、原発からの撤退が多数を占めています。知事は10万人の署名を重く受け止めていること、東海原発は30キロ圏内に100万人が住み、避難計画を立てることはできないと答弁しました。今こそ、廃炉の決断を表明すべきと考えます。知事の見解を求めます。
○橋本知事 東海第二原発につきましては、先般、廃炉を求める10万人を超える署名の提出を受けたところでありまして、これにつきましては、大変重く受け止めております。
 また、いよいよ再稼働の判断に当たって、30キロメートル圏内に100万人を超える方々がおられるとか、そういったことについても、十分配慮しながら、今後の方針を決めていくことは当然であると思っております。
 一方、先日、ある新聞社が実施しました定期検査で停止中の原子力発電所で、再稼働に係る全国の142自治体アンケートの実施結果によりますと、回答のあった137自治体のうち、57%に当たる78自治体が条件つく賛成、反対が23、その他が36となっており、原子力発電所立地道県について見ますと、条件つき賛成が3、その他が9となっております。
 また、東海第二発電所の再稼働に係る30キロメートル圏内の14市町村へのアンケートによりますと、2市村が反対、7市町が条件付き賛成、4市が未定、1市が未回答であり、意見が分かれているところでございます。
 私としては、廃炉について考えていないのかとの質問でございますけれども、福島第一原子力発電所事故の検証結果も明らかとなっておらず、国から再稼働要請もされていない上に、周辺市町村の意見も、今申し上げたように分かれている状況でございます。さらに、東海第二発電所は、8月まで定期検査中であるということも合わせて考えますと、その取り扱いについて、余り急いで結論をだすべきでなくて、今後、県議会や地元自治体と十分協議をさせていただいた上で県としての方針を決定していきたいと考えております。
○大内委員 県民の世論は再稼働を認めない、廃炉にしてほしいということでございます。このことを強く受け止めて、今後取り組んでいただいきたい、この廃炉の決断をぜひしていただきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。

以 上


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