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質問・発言

●大内久美子県議の予算特別委員会での質問(2011年12月15日)

 <質問項目〉
  〔1〕東日本大震災復旧・復興について(答弁・土木部長)
  〔2〕原発事故による放射能被害対策について(答弁・知事)
  〔3〕特別支援学校の改善策について(答弁・教育長)
  〔4〕TPP(環太平洋連携協定)交渉参加中止を求めることについて(答弁・知事)
  〔5〕東海第二原発の再稼働中止、廃炉について(答弁・知事)

〔1〕東日本大震災復旧・復興について

(1)被災住宅の支援策
○大内委員
 日本共産党の大内久美子です。最初に東日本大震災の被災住宅の支援について質問いたします。
 本県は、被災住宅が一番多く、全く支援のない一部損壊は16万棟を超えております。国に法改正を求めるとともに、県独自の支援策をと私は繰り返し提案してきました。今議会に金融機関からの融資640万円を限度に、1%の利子補給を5年間実施する議案が出されました。一歩前進です。
 県内の5つの自治体で独自に利子補給を実施していますが、この際、利子分をゼロにする改善策が必要と考えます。さらに、社会資本整備総合交付金を活用した施策を求めるものです。常陸太田市など6つの自治体が行っている修繕費助成制度や県内11市町で実施している住宅リフォーム助成を県の制度としてつくり、市町村と一体になって取り組むことについて所見をお聞かせ下さい。
○後藤土木部長 被災住宅の支援策についてお答えします。被災住宅の復旧を支援する制度といたしまして大別して復旧工事費の借り入れに係る利子相当額の補給によります支援と工事費の一部を補助する支援の2つがございます。
 このうち、今回の補正予算で提案させていただいております被災住宅復興支援事業は、前者の利子補給による支援についてでございます。
 この事業におきましては、利子補給を行う際に設定しております1%の利率限度を撤廃できないかというお尋ねでございます。被災住宅復興支援事業におきましては、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資制度を利用いたしまして、補修費用、借り入れることを想定しておりまして、この制度を利用した場合は、当初5年間は、金利負担が1%生じますことから、今回の事業におきましては、この1%を限度として利子補給を行うこととしたところでございます。
 一方、市中銀行の住宅復旧にかかわります融資制度を利用する場合には、借り入れの際の金利は、各銀行や返済状況によりまして異なるものの、例えば、10年返済、5年固定金利の融資を受けた場合、補修を行う場合には、現在1.6%の金利となっております。
 このため、市中銀行からの融資を利用する場合につきましても、1%を限度とする利子補給によりまして、当初5年間の金利負担を3分の1程度に縮減できますことから、被災した住宅を補修される方に対しまして、軽減負担が図られるものと考えております。
 さらに、この事業は、県から市町村へ補助を行い、市町村が事業主体となって住宅を補修される方へ支給していただくことになっております。
 このため、この事業を市町村に利用していただく場合、例えば、独自の上乗せ支援を行うことによりまして、さらなる金融負担の軽減を図ることも可能となりますことから、本制度におきましては、1%を限度といたしまして、利子補給により被災住宅の復旧を支援してまいりたいと考えております。
 次に、工事補助による支援についてでございます。
 国の社会資本整備総合交付金を活用いたしまして、住宅復旧を行う被災者の方々へ工事費の一部を補助する補助につきましては、日立市など6市町で実施されております。
 この交付金を活用いたしますと、市町村のおきましては、事業に要する経費の50%につきまして、国からの助成を受けることができますので、財政的負担の軽減を図りながら、被災者への支援を行うことができることとなりますことから、多くの市町村で、この交付金を活用していただけるよう期待しているところでございます。
 このため、県といたしましては、市町村の住宅担当職員などと会議におきまして、交付金の活用を働きかけておりまして、この結果、新年度から交付金を活用して制度を検討する市も見受けられるなど、制度への理解も進んできたところでございます。
 このようなことから、県といたしましては、引き続き、交付金を活用した事業内容や既に事業を行っております市町の事例などにつきまして、積極的に市町村へ情報提供を行いますとともに、あわせて国に対し必要となる交付金の確保を働きかけ、この事業の拡大を図ってまいりたいと考えております。
○大内委員 一歩さらに進めて、県の施策をつくり、市町村と一体になって推進をする、そのことを要望いたします。
 東海村の南台団地は、盛土の滑動崩壊によって大きな被害が発生いたしました。住民はこれまで国や県、村に支援策を求めてきましたが、国の第3次補正で造成宅地滑動崩落緊急対策事業や液状化対策に予算化されました。住宅再建策に積極的に取り組むことを要望します。

(2)偕楽園・弘道館への対応
○大内委員
 次に偕楽園と弘道館の復旧と復興について伺います。
 弘道館は国指定の特別史跡、重要文化財であり、偕楽園は史跡及び名勝の常磐公園です。2ヵ所とも大きな被害を受けました。11月23日には「弘道館・偕楽園の復興、再生と再発見」と題して、シンポジウムが開かれ、私も参加をいたしました。
 「弘道館は文武を兼ねる総合学校であり、19世紀後半に東アジアの中で、このような学校は他に例をみない」など、パネリストの話しに新たな認識が深まりました。
 復旧・復興に当たっては、歴史・文化遺産としての位置づけを重視して行うことを求めるものです。1つは、専門家の意見を入れた取り組みをすすめること。2つ目に、学芸員の増員です。現在は、弘道館に嘱託として1人しかおりませんが、偕楽園にも配置し、歴史館との連携も必要です。3つ目に、偕楽園公園魅力向上懇談会が提案していますが、歴史的な景観の保全と梅古木や植物の適正な管理に専門家を配置していくことについてです。所見をお聞かせ下さい。
○後藤土木部長 まず、1点目の弘道館の復旧についてでございます。国指定特別史跡「旧弘道館」におきましては、国の所有であります正庁や至善堂などの重要文化財を初め、学生警鐘、弘道館記碑等が被災いたしましたが、これらは国により直接復旧されることとなっております。
 県の所有であります孔子廟や築地塀等につきましては、文化庁の災害補助の採択を受け、県が復旧することとしております。
 また、今後の復旧に当たりましては、これら復旧整備に関する方針や課題につきまして、専門的な見地から検討していく必要がありますことから、県では、国と共同で旧弘道館復旧整備検討委員会を設置いたしまして、有識者の意見を伺いながら工事を進めていくこととしております。
 この委員会につきましては、去る11月30日に第1回の委員会が開催されたところであり、委員の方々から建物の沈下や傾斜について詳細な調査が必要である、あるいは施設の耐震補強などの検討が必要である、さらには、古い部材をできるだけ再使用することなどのご意見が出されたところでございます。
 このようなことから、今後、委員会でのご意見を踏まえまして、本年度中に耐震診断調査を行いますとともに、その結果に基づきまして、再度ご意見を伺いながら、歴史的価値を損なうことのないよう慎重に復旧整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に学芸員の増員についてでございます。
 弘道館では、これまで、県立歴史館と連携を図りまして、江戸時代から伝わる貴重な資料等の展示を行ってまいりましたが、専門家が常駐していなかったため、詳しい歴史資料の調査や整備が十分に行われておりませんでした。
 一方、近年のいわゆる歴史ブームを背景といたしまして、弘道館の建造物や展示されている歴史資料への関心の高まり、本県で開催されました国民文化祭などを契機といたしまして、弘道館の持つ学術的価値を積極的に情報発信するため、学芸員の資格を持つ嘱託職員を1名配置してきたところでございます。
 この嘱託職員は、専門的知識を生かして、収蔵資料の調査や展示に関する企画を行うほか、国内外の要人や政府関係者の視察の際の案内などに幅広く対応している状況であります。
 しかしながら、学芸員としての本来の業務は、専門的な知識を生かしました歴史資料の調査、収集、展示、普及等であると考えておりますので、例えば、観光案内の充実につきましては、水戸観光協会と関係団体の協力を得ながら、観光ボランティアのさらなる活用により対応してまいりたいと考えております。
 さらに、歴史文化的な位置づけを高めるためには、弘道館や偕楽園に造詣の深い歴史館の学芸員の方々から指導、助言、協力をいただきながら、所蔵資料の調査、研究、整理、あるいは展示等に関する連携をこれまで以上に深めていくことによりまして、弘道館の歴史的、文化的価値を高めていきたいというふうに思っています。
 3点目でございますけれども、偕楽園における専門職員の配置についてでございます。日本三大名園であります偕楽園の景観を保全していくためには、梅の剪定や竹垣の造作など伝統的な技術を用いて継続的に管理することが必要でございます。
 このため、これまで本県の梅の管理や庭園の維持管理に専従いたします土木技術者1名を1年ごとの業務委託により配置してまいりました。このような中、今後、管理内容をより一層充実させるため、本年度からは、これまでの業務委託による1年ごとの1名の配置にかえまして、梅の苗木の育成や樹木の病害虫の予防、駆除に関する専門家1名、さらに植栽や公園整備の施工管理の経験のある者1名、都合2名の県退職者を県が直接嘱託職員として採用し、継続的な管理ができるようにしたところでございます。
 さらに、今後は、梅の古木等を含めました樹木の適正な管理ができますよう専門家の意見を聞きながら、樹木等の維持管理に関するマニュアルの作成を行い、これに基づき、偕楽園の整備、管理に携わる県職員を初め、施工業者などを対象とした研修を行うことにより、適切に管理ができる人材育成を図ってまいりたいと考えてございます。
○大内委員 市民のみなさんが偕楽園公園を愛する市民の会、さらには4月に「偕楽園・弘道館復旧支援の会」を設置し、支援しております。積極的に取り組まれることを要望します。

〔2〕原発事故による放射能被害対策について

(1)健康調査の実施
○大内委員
 次に福島原発事故による放射能被害対策について伺います。
 「放射能から子どもを守ろう」ネットワークが広がり、11月28日には健康調査を求める要望書を知事に提出いたしました。県は「専門家の意見を聞いて、必要ないと判断した」と答え、要望が受け入れられず、不安と不信はさらに広がっています。
 私は、9月の一般質問でも「これ以下なら安全」という「しきい値」はなく、「少なければ少ないほど良い」というのが、放射線防護の大原則であると主張し希望者への健康調査を求めてまいりました。この立場で要望に応えるべきだと考えます。
 福島県は、チェルノブイリ原発事故後に明らかになった、放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺がん対策として、18歳までの子どもを対象に甲状腺超音波検査を実施することにいたしました。全県民を対象にした基本調査と内部被ばく調査も始まっております。
 低い線量の被ばくは不明点が多く、長期にわたり健康を見守る必要があるということです。本県は、JCOの事故を経験し、ホールボディカウンターは県内に9基あります。希望者には、ホールボディカウンターによる内部被ばく検査や尿検査、甲状腺超音波検査を実施すべきです。その費用はすべて国と東電が負担をしなければなりません。知事の所見を伺います。
○橋本知事 健康調査の実施について、ご質問いただきました。福島と同じような形でやってはどうかということでございますけれども、ホールボディカウンターにつきましては、値を計測した後、その計測時の放射線物質の量を推計し、体内に取り込んだ放射性物質の量、大もとの部分を推計して、そこから被ばく線量を推計するという形になっております。
 そして、これにつきましては、安全側に立って、事故直後に一度に取り込んだという前提で、その量を積算して求めておるところでございます。こういったやり方でやっているわけでございますけれども、原発事故後270日経過した今、測定しても体内のセシウムの量は、生物学的半減期の関係で10歳の子どもで500分の1、乳児では10億分の7になっておりまして、検査をいたしても、正確な被ばくの評価が困難になってまいります。
 また、安全側に立って事故直後に一度に取り込んだという形で推計しますので、大変大きな数字が出てきてしまいます。そういったことからも、福島県で実際に6,600人余のホールボディカウンターを用いた内部被ばく検査の結果では、成人で50年間、子どもで70歳までの累積線量で99.7%が1ミリシーベルト未満、全員が3ミリシーベルト以下となっている結果も出ておるところでございます。
 また一方で、甲状腺の超音波検査でございますけれども、これにつきましては、甲状腺がんを調べるためのものでございまして、そうなりますと、果たして被ばく9ヶ月で何らかの映像が出てくるだろうかということもございますし、また、甲状腺につきましては、一番こういった超音波検査といったことも初めとして、がん検診に向かない病気であるということも言われておるところでございまして、これは、どんな医者に聞きまして、ほとんどの方がそういう論調をとっておられます。
 そしてまた、福島の検査でも、子ども1,080人を対象に簡易測定を行ったわけですが、原子力安全委員会にこの数値以下であれば問題となるレベルではないとしている、毎時0.2マイクロシーベルト以下でございました。
 こういったことを前提にして専門家の方々に、私どもとしてご意見を伺ったわけでございますけれども、その結果、現時点で、ホールボディカウンターによる内部被ばく調査や甲状腺の超音波検査などの健康調査を実施する必要はないというようなご指摘、ご指導をいただいたところでございます。
 ただ、そうは言いましても、事故当時、原発周辺に滞在した方の行動の履歴からして、特に心配するような理由のある方がおられる場合には、保健所などにご相談をいただければ、個別に対応してまいりたいと考えております。
 また、今申し上げましたような状況でございますので、私どもとしては、福島県の状況を高い関心を持って見守っていきたいと考えております。
○大内委員 福島県の状況を関心を持って見守りたいということですが、福島県は、何よりも県民の健康、これを長期にわたって見守る必要があるということで、全県民を対象に調査を始めているということですから、この点をぜひ私は希望者にということで、茨城県も取り組むことが不安解消の道ではないかと強調するものです。

(2)農産物の検査体制の強化、規制値の見直し
○大内委員
 さらに食品の規制値についてですが、厚生労働省が見直しの検討に入りました。日本は、チェルノブイリ事故後の規制値に比べて、野菜は5倍、飲料水は10倍です。規制値の見直しが必要ですが、この点について要望をしておきます。

〔3〕特別支援学校の改善策について

(1)整備計画の見直し・不足教室の解決策
○大内委員
 次に特別支援学校の改善について教育長に伺います。
 パネル(1)をご覧下さい。

パネル(1)

 現状ですが、仮設教室いわゆるプラハブなどを加えて、本県は167教室が不足しており、17校中13校が教室の不足です。10年前に比べまして2.3倍にも増えてしまいました。この間、2007年につくばに新しく養護学校を建てただけでございます。200人以上の大規模校は8校もあります。来年4月の境特別支援学校の新設だけでは、全く改善になりません。なぜなら、つくばは、新しい境特別支援学校の通学区域には入っていないのです。
 そこで私は、2010年につくりました整備計画は、抜本的に見直しが必要と考えます。つくば養護学校は開校3年目の2009年に教職員と保護者にアンケートをとりました。校舎や教室の増設、上郷高校跡地に学校建設、土浦養護への通学区域の見直し、県南に高等養護学校をなど、具体的な要望、意見が出されていたのです。高等学校教職員
 組合でも、現場の声をもとに検討結果をまとめました。
 見直しにはこうした現場の職員や保護者も入れた検討会を設けて進めることを提案いたします。つくば養護学校の増設と、この検討について教育長に伺います。
○小野寺教育長 つくば養護学校につきましては、つくば市の人口増加や小中学校からの転入学児童生徒数の予想以上の増加ということで、整備計画を策定した当時と比べますと、かなり大きく変わってきておりまして、現在は、児童生徒数が360人を超える状況にございます。
 県といたしましては、このように他校にはない増加傾向を示しておりますことから、これまで以上にしっかりと今後の児童生徒数の推移を見守る必要があると考えております。
 どのぐらいの期間増え続けるのか、あるいはどこまで増えるのか、そういったことをしっかりと精査した上で適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
 今、上郷高校跡地を活用した新設というお話しもございましたが、もちろん、それも選択肢としてはあるかもしれませんが、特に今現時点では新設ということには限定せず、仮設の設置や増築等も含めまして、広く対応を検討してまいりたいと考えております。
 そして、その際ですが、もともとこの整備計画をつくった際にも、教職員、保護者の方のアンケート調査などを実施して、広く意見を伺った上で策定したわけですが、今後、このつくば養護学校の検討をするに当たりましても、そういったこれまでの手続きを踏まえまして、しっかり各方面からの意見を聞いた上で対応してまいりたいと考えております。
○大内委員 ぜひ現場の職員、保護者の意見を聞いていただきたいと思います。特別支援学校には、小中学校のような学校設置基準がなく、適正規模が示されていないのです。よりよい教育条件をつくるためには、基準をつくらなければならないことを強調して次の質問に移ります。

〔4〕TPP(環太平洋連携協定)交渉参加中止を求めることについて

○大内委員 次にTPP(環太平洋連携協定)参加をやめさせることについて伺います。
 TPPは関税を原則撤廃するもので、農林漁業、国民の食料に大打撃となります。さらに、非関税障壁撤退の名の下に、食の安全や医療、金融、保険、官公需、公共事業の発注、労働など、国民生活のあらゆる分野での規制緩和と撤廃です。
 アメリカ型の「貿易と投資の自由化」と「市場原理」を日本に押し付けるものであり、「国のかたち」が大きく変えられてしまいます。本県は全国に先駆けて、JA中央会と県医師会が共同し、10月19日に反対集会をもちました。本県を含む44の道県議会から「反対・慎重」の意見書が出され、全国町村議長会は11月に反対の特別決議を満場一致で採択しています。
 本県は、農家人口全国1位、農業産出額第2位であり大きな影響が出てきます。農業産出額1位の北海道は、農政における影響を産出額、産業、地域経済17万人の雇用減など、2兆1千億円の試算を明らかにしました。北海道の知事は自ら反対を表明し、11月14日に道庁内に、「TPP協定対策本部」を設置し、知事が本部長、すべての部長が幹事となり、情報の共有と今後の対応など総合的に協議する取り組みが始まりました。
 本県も対策本部を立ち上げ、各分野の影響を調査し、県民への情報提供を行うなど、参加中止を求めていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
○橋本知事 TPP協定につきましては、今、委員の方からいろいろ内容のご説明がございましたけれども、まだ正直のところさっぱり内容、具体的な形では明らかにされていないところでございます。
 そして、TPP協定締結による影響につきましても、国においても、例えば、GTAPモデルによるGDPへの影響だけを試算しておりますけれども、具体的な各分野の影響というものは明らかになっておりませんし、北海道におきましても、農業関連産業の影響は試算しておりますけれども、その他の産業分野への影響は含まれていない状況にございます。
 本県におきましても、農業産出額への影響については、1,481億円減少すると試算されているところでございますけれども、こうったことも踏まえながら、今後、具体的な形でメリット、デメリットというものをしっかりと、この情報を収集しながら対応してまいりたいと思っております。
 TPP協定に対する反対意見が県内でも非常に強い状況にありますし、国民や各種団体等もその内容を十分に知っていない状況でございますので、全国知事会等と連携を図りながら、国に対して十分な説明を早急に行って、慎重な議論を行うよう要請をしておるところでございます。
 今後とも、県といたしましても、しっかりした体制、政策調査会議等を活用して、全庁的な情報共有に努めていきますとともに、今後どう対応していけばいいかということにつきましても、議論をしてまいりたいと考えております。
○大内委員 本県が農業第2位の産出額をもっている県ということで、本来なら北海道と同じように、その農政部門にかかわる産業、そして雇用、この影響は当然試算すべきでございます。同時に、国に対して、今、地方自治体が意見を言わなければならない時代だと思います。
 TPPに対して、知事は反対の表明をなぜしないのでしょうか。ぜひ反対の立場でこの点については取り組んでいただきたいと強く要望いたします。

〔5〕東海第二原発の再稼働中止、廃炉について

○大内委員 最後に、東海第二原発について再稼働を認めず、廃炉にすべきとの立場で質問します。
 日本原電東海事業所は本年12月10日に「東日本大震災の際にも安全に原子炉の冷却を行った」「現時点では、福島と同じ規模の津波が発生しても同様の事故を防止することができる」と、県民に広告を出しました。
 まずパネル(2)をご覧下さい。これは、3月11日から東海第二発電所でどんなことが炉心の中で行われたかという、日本原電が公開しているものです。東海第二原発は、地震で停電をして、5.4メートルの津波が襲い、非常用発電機の冷却用海水ポンプ1台が水没し、停止し、緊急炉心冷却システムが使えなくなりました。
 そこで、このグラフを見ていただきたいのですが、7時間たちましたけれども、温度は200度以上です。それから、圧力も非常に高い、これは通常運転と同じだということを示しています。これがグラフのないようです。ですから7時間たっても、通常運転の事態が続いた。なぜならば、緊急炉心冷却システムが使えなくなったからです。冷却が十分進まず、原子炉の自動停止から7時間後の時点で炉心内の水温は二百数十度、圧力は67気圧と通常の運転時とかわりない状況でした。水温と圧力、水位の変動を見極めながら作業が続き、14日にやっと外部電源は入り、3日半かかってやっと100℃以下の通常の状況になった冷温停止、「綱渡りの3日半」――これがあのときの東海第二発電所の実態です。

パネル(2)

 緊急冷却システムが停止したこと、これは非常に重大な問題でしたけれども、事業所の広告にはこの文字が一項目も出てこないのです。
 さて、福島原発は15メートルの津波に襲われました。日本原電は「15mの津波を考慮した防潮堤設置は3年程度を予定している」「ポンプが冠水しないように、津波の防護壁の強化は平成24年9月予定」と、8月31日の新聞広告で県民に示したのです。自ら発表した計画も達成していないのに、安全宣言をすること自体、県民をだましていることになるのではないでしょうか。
 こうした日本原電の姿勢について厳しく対処すべきであり、震災のときにどんな事態が起きたのか、徹底的に検証を行うよう知事は求めるべきです。見解を求めます。
○橋本知事 東海第二発電所からは、住民説明会での説明内容等を広く県民へ広報するため、新聞広報を行ったということを聞いているところでございますけれども、私どもといたしましては、この新聞広告の内容はともかくといたしまして、安全対策については徹底して検証していかなければいけないと思っております。そのために、今回いろいろ地震や津波の専門家等も原子力安全対策委員会に入っていただきまして、いろいろな角度から、例えば、原電でとってきた安全対策等についても、しっかり検証できるシステムをつくり上げたところでございます。
 例えば、緊急安全対策とか、シビアアクシデントの対応などの措置がこれまでにとられてきて、国の方では、これでいいということを言っておりますけれども、私どもとしては、県の委員会としてしっかりこれをもう一度チェックをしていきたいと考えております。
 また、この中では、地震及び津波の想定をどう見積もるのかとか、想定を超えた場合に、どのような対策をとるのか等々、さまざまな視点から課題も出されているところでございますし、特に、先般、地震調査研究推進本部の方から三陸沖から房総沖で起きる恐れがある地震の発生確率が見直されたところでございまして、こういったことを踏まえて、今月末に開催予定の第2回委員会におきましては、地震の震度、津波の高さ等についてご審議をいただかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、現時点でどのような安全対策を講ずべきか、県の原子力安全対策委員会で検討を行なっているところでありますので、今後、ハード面の対策はもとより、ソフト面の対策なども含めて徹底した安全性の検証をしてまいりたいと思います。
○大内委員 私が最初にお話ししましたように、12月10日、新聞に載った現時点で、福島と同じ規模の津波が発生しても、同様の事故を防止することができる。これは、知事として、本来なら抗議をしなければならない内容です。津波に対応できるだけの対策はとっておりません。
 福島第一原発1号から4号機は、すべて東海第二原発より古いものでした。地震で配管などが重大な損傷をうけ、津波も襲って大事故となった、これらの検証はまだまだでございます。
 東海第二原発は、現在25回の定期検査中ですが、来年の8月まで15ヶ月もかかる予定です。33年も運転をしてきた老朽化の問題と災害の影響が大きいと考えます。5月に定期検査に入りましたが、その後、蒸気タービンの羽根に地震の影響と見られる擦れ痕や軸受けの土台の部分に傾きが見つかり、原子炉内構造物の蒸気乾燥機にひびが確認されました。重大なのは命綱といわれる高圧炉心スプレイ系スプレイノズルの部品の一部が脱落したことです。
 私は、危うい状態であったというのは、何といいましても、緊急に冷却する、それのシステムがこの東海第二の場合も崩れて、これがそれなのです。この圧力と水を、この水を入れるか圧力を止めるかで、これが大変な事態を示していて、やっと電源が入って、この状態ということです。ですから、危険な状態でございました。重要な部分に今定期検査のときに出ているということを私はしっかりつかんでいただきたいということでございます。
 とても再稼働を認められる状況ではないことを示していると思います。
 政府の地震調査研究推進本部は11月25日に、地震活動の長期評価見直しを発表しました。茨城県沖はマグニチュード6.7から7.2の地震が30年以内に90%の確率で発生すると推定したのです。東海第二原発の安全の保障は全くありません。
 30キロ圏内に100万人の人口を抱え、避難計画をたてること、県庁やオフサイトセンターの移動など困難であり、不可能ともいえる課題です。
 11月8日、再稼働中止と廃炉を求める署名が5万筆以上提出をされ、知事も「重く受け止める」とのべました。再稼働中止と廃炉について知事の見解を求めます。
○橋本知事 東海第二発電所の再稼働についてでございますけれども、去る6月18日に当時の海江田経済産業大臣が発電所の再起動について声明を出しておりますが、その中では、東海第二発電所につきましては、福島第一、第二、女川と並んで地震の影響について検証する必要があるからということで、再起動の要請がなされていないところでございます。
 私どもとして、かなり古いということもありますし、今後、国の方でどういうふうな方針を示していくのか、例えば、エネルギー政策全体の中で、東京電力で言いますと、ことしの供給能力の中で、原子力、9月に入りますと、234万キロワットでございますので5%です。その中で、どれとどれをやっていくのか、あるいは全部やめていくのか、そういった方向をきちんとエネルギー政策全体を議論する中で決めていくだろうと思っております。
 そして、それに基づいた方向というものが出てまいりましたら、私どもとしては、原子力安全対策委員会において、専門的、技術的見地からの検証、あるいは各界の代表者等で構成する県原子力審議会の意見などを踏まえますとともに、県議会や地元自治体と十分に協議してまいりたいと考えております。
○大内委員 知事の答弁は、私ども、私という知事の意見を私は一度も聞いておりません。重く受け止めるというのは、知事の所見でしたけれども、福島県は、原子力に依存しない社会を目指し、県内10基すべての原発の廃止を求めることを復興計画で決めました。佐藤知事は、地域の既存企業の再構築を図り、再生可能エネルギー関連産業などで雇用、経済に取り組んでいくことを表明いたしたのです。
 そして、日本共産党が取り組んだ東海村の全戸アンケート調査では、88%が原発にかわるエネルギーを望んでいたのです。茨城大学地域総合研究所が水戸市民を対象にした調査では、老朽化した原子炉を使い続けるのは危険と、95%が答えております。県民の声は、もう明確でございます。
 知事は、知事独自として廃止の決断をすべきだと私は強く主張して、質問を終わります。

以 上


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