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質問・発言

●大内久美子県議の予算特別委員会での質問(2011年9月30日)

〈質問項目〉 1. 国民健康保険の諸課題について(答弁・保健福祉部長)
2. 定時制高校の自校方式給食の完全実施について(答弁・教育長)
3. 水資源開発の見直しと課題について(答弁・知事)

1.国民健康保険の諸課題について

○大内委員 日本共産党の大内くみ子です。
 最初に国民健康保険について、保健福祉部長に質問いたします。
 高すぎる国保税が大問題になっており、保険税が払えない世帯が増え、保険証をとりあげられ、医療機関への受診が遅れ、重症化するという深刻な事態が増えています。
 国保の実施主体は市町村ですが、国保法第1条で、国保は「社会保障及び国民保健の向上」のための制度として規定し、4条では、運営の責任は国が負っていること、健全運営に対する県の役割を明記しています。この原点にたって改善を求めるものです。
 今年は、大震災があり、6月時点で、滞納世帯が22.8%と過去最高となっています。
 保険証取り上げとして、短期保険証や資格証明書の発行をやめ、加入者全員に保険証を交付すべきですが、実態を伺います。
 平成21年10月、本県は短期証の発行が全国で1番多く、長期間の窓口留め置きについて、「速やかに届ける」よう水戸市と県は厚生労働省から指導を受けました。
 その後、どのような改善をしているのでしょうか。あわせて伺います。
○根本保健福祉部長 お答えいたします。まず、短期保険者証、資格証明書の交付状況についてでございますが、平成23年6月1日現在で、滞納世帯11万2596世帯のうち、短期被保険者証交付世帯が5万1465世帯、資格証明書交付世帯が5614世帯となっております。
 次に、短期被保険者証の窓口留め置きについてでございますが、短期被保険者証の交付は、滞納世帯と接触する機会を確保し、保険税の納付相談や特別な事情の把握、こういったものを目的として行うものでありますので、窓口での交付が原則となっております。
 市町村では、滞納者が納税相談に来庁するまでの間、やむを得ず窓口で留め置くことがありますが、漫然と留め置くことなく、その期間が長くならないよう、納税者への文書通知だけでなく、電話や訪問をしたり、夜間休日窓口の開設などをするなどして滞納者との接触に積極的に努めているところでございます
 なお、ご質問の高校生世代以下の子どもについては、国の通知を受けまして、速やかに被保険者の手元に届くように助言をしているところであり、市町村でも、迅速に交付をしているところでございます。
○大内委員 留め置きは1カ月以内というのが通常行われていることです。昨年、一昨年と茨城県内では、1カ月以上の市町村が大変多くなっている。これについては、きちんと対応をしていただきたいと思います。
 水戸市の場合は、平成22年度の国保加入者のうち、年間所得100万円以下の世帯は55%も占めております。国保税は、1世帯平均16万3,657円で、高くて払えないのが実態です。滞納理由の83%は失業、営業不振などです。厚生労働省は、経営難や失業など「特別の事情がある場合は、丁寧に相談にのり、資格証明書を出してはならない」と強調する通知を繰り返しだしているのです。
 ところが本県は、滞納者に無慈悲な取り立てを行い、2009年の差し押さえ件数は全国1、差押さえ額は全国2番目となってしまいました。
 県租税債権管理機構と一緒になって、強権的な取り立てを行い、機構実績の24%は国保税が占めるようになってしまったのです。本来、生計費などの差し押さえは国税徴収法などでは禁止となっています。このような強権的な取り立てはやめるべきですが、見解を伺います。
○根本保健福祉部長 保険税における差し押さえ件数、金額については、滞納額自体がふえていることに伴いまして、増加傾向にあるところでございます。
 国民健康保険事業の運営に当たりましては、保険給付費等に見合う保険税の収入を確保し、適正に納付している世帯との均衡を図る必要がございます。
 地方税法におきましても、差し押さえ等の滞納処分を実施するよう規定されているところでございます。
 県としては、市町村に対し、滞納処分の実施に当たっては、支払い能力があるのに納付しない世帯や理由もなく納税相談に応じない悪質な滞納者に対して差し押さえ等の滞納処分を行い、一方では、滞納処分をすることができる財産がないときや滞納処分をすることによって、その生活を著しく窮迫させるおそれがある世帯に対しては、滞納処分の執行停止をするなど、個別の案件に応じた適切な対応をするよう助言をしているところでございます。
○大内委員 なぜ茨城県が、滞納差し押さえ件数が1位なのか。悪い意味での1位です。ぜひこれは調査をして改善を求めたいと思います。
 減免制度の活用こそ丁寧に行う行政の仕事ではないでしょうか。国保法77条は、失業や倒産、経営不振や世帯主の病気など、「特別の事情」がある場合、条例を定め、国保税を減免できるとしています。国保法44条は、窓口自己負担分の免除制度です。実態は、どのように行われているのか、伺います。
○根本保健福祉部長 一部負担金の減免につくましては、従来の規則等に基づいてやっていたところでございますけれども、平成22年9月に厚生労働省保険局長通知が出されまして、減免に係る詳細な基準が示されました。
 これに基づいて、県では市町村に対して、一部負担金の減免措置を実施するための取り扱い基準を策定するなどの助言を行なっているところでございます。
 これによりまして、本年5月時点では、前年度と比較して8市町が増加し、現在、10市町において取り扱い基準が策定されておるところでございます。
○大内委員 保険料の減免措置ができる77条は、7割の自治体がやっと基準をつくったという状況です。そして、お答えの自己負担分の免税制度は、10の自治体がつくったということですけれども、まだ5つしか実際には行われておりません。
 本来、このような減免制度は、国が行なわなければならない仕事ですが、その2分の1の負担は市町村の一般会計、このようなことは改善させなければなりません。私は、減免制度に積極的に取り組むよう、市町村への支援は、県の仕事だと考えます。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 国保会計の赤字も深刻です。平成22年度、水戸市は13億2000万円の一般会計繰り入れを行いました。しかし、25億円の赤字決算でした。全県でも、保険税の負担を抑えるなど、一般会計繰り入れは69億円にも上っております。国保の抜本的な解決は、国の負担を増やすことではないでしょうか。1984年までは、医療費の国庫負担は45%でしたが、38.5%に引き下げられてしまいました。さらに、事務費や保険料軽減措置の縮小などを行って、国保会計に占める国庫負担の割合は、1984年の50%から2008年は24%まで半減しております。そのために、保険税の値上げが滞納者をふやし、国保の財政難と、悪循環から抜け出せなくなってしまったわけです。
 ところが厚生労働省は、平成21年5月に国保法を改定し、国保の広域化に向けて取り組みを始めました。都道府県を運営主体にして、新たな負担増につながる一般会計からの繰り入れをさせない仕組みをつくろうとしているのです。
 全国知事会は、昨年12月に「財政論が欠如しており、持続可能な制度となり得ない」と指摘をいたしました。国庫負担の増額しか解決の道はありません。広域化について、所見を伺います。
 本県独自の補助は平成18年からやめてしまいました。復活をすべきですが、あわせてご答弁下さい。
○根本保健福祉部長 まず、広域化についてでございますけれども、本県の市町村国保を見ますと、規模の小さい保険者が多く、また、高齢化や低所得者層の増加などによる保険税収納率の低下などがございまして、一般会計からの繰り入れが多額に上り財政運営は非常に厳しい状況にございます。
 また、被保険者の年齢構成や所得水準の違いが大きく、保険税が市町村ごとに異なっているといった問題も抱えてございます。
 こういった問題を改善し、安定的な事業運営を行い、市町村間の格差を平準化するためには、いずれは県単位による広域化を図る必要があると考えてございます。
 しかし、今、委員のご質問にもありましたように、国保財政の恒常的逼迫といった構造的な問題、それから財源のあり方、そういった議論が国において、まだ十分になされていない状況でございますので、このまま広域化しましても、国保財政の安定化につながるのかどうか、疑問もあるところでございます。
 県といたしましては、国に対し、全国知事会などを通じまして、持続可能な国保制度の構築に向け、国の財政責任も含めた検討を強く求めてまいりたいと考えております。
 次に、県の補助金の廃止の関係でございますけれども、医療福祉事業実施に伴う国庫負担金の減額分の一部を補助する補助金は、ご質問のとおり、平成17年度限りで廃止をいたしました。
 その当時、同じ医療福祉事業、マル福の一つであります乳幼児医療費助成制度の拡大につきまして、市町村を初め、県医師会、歯科医師会等々多くの団体から強い要望がありまして、対象年齢をそれまでの3歳未満児から未就学児に拡大をいたしたところでございます。
 当時の廃止のときの廃止した補助金額は、約7000万円に対しまして、乳幼児医療費拡大に要した経費は、約4億円というような状況でございまして、この拡大に伴う財源の確保をどのようにするかというような問題もあったところでございますけれども、財政状況の厳しい中でも財源を確保して、乳幼児医療費の拡大をしたところでございます。
 このような経緯もあるわけでして、さらには、現在でも、本県の財政状況が大変厳しい中、この補助金を復活させることは大変厳しい状況にあるというふうに考えております。
 県といたしましては、医療福祉事業は、地域福祉に大きな役割を果たしておりますことから、国庫負担金の減額措置の廃止を国に対して要望しているところでございますが、今後とも、その実現に向けて働きかけをしてまいりたいと思っております。
○大内委員 先ほど、私は、国保法の第1条が社会保障、国民の保健福祉の向上、これは、まさに命を守るのは国と自治体の責任、国の責任が大きいということを法律の第1条に掲げているわけです。
 そうした立場から、社会保障、住民福祉としての国保制度を再建するのか、負担増と徴収強化で住民を苦しめていくのか、国保は大きな分岐点に直面しております。
 私は、住民の暮らしと健康を守る国保制度に変えていくよう強く求め、県の補助金復活、ぜひ検討していただきたいということを強くのべて、次の質問に移ります。

2.定時制高校の自校方式給食の完全実施について

○大内委員 次に定時制高校の自校方式給食の完全実施について、教育長に質問いたします。
 平成22年10月に県教育委員会は定時制の給食を外部委託宅配弁当への変更を提案してきました。さまざまな困難を抱えている生徒が多く、自校給食は心身の健康と成長にとって、かけがえのないものであり、完全実施を求める請願が今議会に出されております。
 夜間課程を置く高校における学校給食に関する法律4条で「国と県は普及と健全な発展を図るよう努めなければならない」と定めています。本年4月には第2次食育推進計画が出されました。「食育を通じて生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育む」ことを基本理念にしています。
 朝食を毎日食べるのは、高校3年生で男子が67%、女子が73%で、改善が課題とのべています。ある定時制高校の生徒へのアンケートでは、朝食を毎日食べるのは男子54%、女子33%でした。さらに、いばらき教育プランでは、平成27年までに高校生の朝食摂取を100%にする目標をかかげています。法的根拠、食育の理念、教育プランからしても、完全給食こそ継続し充実していかなければならないと考えます。宅配弁当に変更することは、これらの理念と目標に反するのではないでしょうか。見解を求めます。
○小野寺教育長 お答えします。県では、ご指摘のように法律に基づいて、すべての定時制高校において学校給食を実施しているところでございます
 また、第2次の食育推進計画やいばらき教育プランに食育が盛り込まれておりますけれども、高等学校におきましては、学校給食を実施していない全日制の学校も含め、学校教育活動の全体で食育を推進し、家庭課等の教科の授業においても、食に関する指導の充実に努めているところでございます。
 一方で、全庁的に行財政改革の推進という面から、定時制高校の学校給食につきましても、民間活力の導入を検討してきておりまして、既に、鹿島灘高校と結城二高におきましては、外部の調理施設から調理済みの給食の提供を受ける、いわゆるデリバリー方式、デリバリー給食を実施しているところでございます。
 今般、可能な範囲で、さらに民間活用を図りますため、夜間課程が募集停止となりまして、今後、生徒数が減少すると見込まれます2校、具体的には、水海道一高と日立一高でございますが、それを来年、再来年と1年ずつ順次デリバリー給食へ移行するよう調整を進めているところでございます。
 このデリバリー給食につきましては、自校方式と同様に、学校給食実施基準等に基づいた完全給食として提供するものでございまして、学校には、栄養職員を配置し、摂取基準に基づいて栄養化を考えた献立作成や食の安全といった面での衛生管理に取り組みますほか、委託業者に栄養士がいることを業者選定の条件としております。
 したがいまして、自校方式に比べましても、遜色のない給食を提供できるものと考えておりまして、にわかにこのデリバリー給食が法や食育の理念に反するものではないと考えております。
○大内委員 教育長は、行財政関係の部署に長くおられた方ですけれども、実際に、この学校給食の実態は見たのでしょうか、伺います。
○小野寺教育長 直接現場でまだ見たことはございませんけれども、いろいろな現場の話を聞きながら、実態は私なりに把握しているつもりでございます。
○大内委員 私は、先日、水戸南高校の給食の状況を見てまいりました。調理室はオープン式で、給食ルームと一体になっています。生徒には、調理員から直接温かいご飯とみそ汁が手渡されるのです。テーブルを囲んで、先生と生徒、学年をこえた生徒同士が和やかに食事とお話しをしていました。
 「経済的理由で1日1食の生徒もいます。バランスのとれた温かい食べ物を」「手作りで生徒の健康に気を配って提供しています」など、お聞きしてまいりました。
 昨年11月に、県定時制通信制教育振興会は、臨時理事会を開き、自校給食の存続の要望書を提出いたしました。「不登校経験者やひきこもり、学力不足の生徒が数多く在籍しており、家庭崩壊や貧困など社会的に恵まれない場合が多く、不規則かつ不健康な食生活を送らざるを得ないのが実情です。自校給食は、唯一温かい給食を提供できる場であり、食文化を実感できるすばらしい教育の機会です。なくすわけにはいきません」と訴えております。
 生徒や保護者の意見を聞いたが、納得が得られなかったということでした。また、「経済的に恵まれない生徒が多いことを考えても、外部委託弁当で、1年分を一括前納できない生徒が生まれてしまうことが予想される」とのべています。経費をほんの少し削るために、関係者の切実な声を踏みにじって強行していいのでしょうか。私は、方針の撤回を強く求めます。ご答弁下さい。
○小野寺教育長 昨年度も各学校には意向をお聞きしたところ、学校としては継続を求めるというようなご意見でございました。
 しかし、先ほどから申し上げてございますように、既に2校でデリバリー給食を実施しております。また、その中身におきましても、自校方式には見劣りしない給食の提供をされておりますことから、今後、そうしたことを現場に対しましても丁寧に説明し、理解していただくように努めてまいりたいと考えております。
○大内委員 教育長、教育には温かい、この気持ちがなければ、子どもたち、生徒は本当に未来を担うすこやかな成長はできません。撤回を強く求めてこの質問は終わります。

3.水資源開発の見直しと課題について

○大内委員 次に、水資源開発の見直しと課題について知事に質問いたします。
 2007年3月に茨城県長期水需給計画を改定しました。これは2002年の長期計画を、日量30万2,400立方メートルも縮小したのです。ところが改定しても大変過大な計画でした。パネル@をご覧ください。
 改定した長期計画の目標年次は2020年です。人口を297万2,000人と見込みました。1人1日最大給水量は450リットル、そして1日最大給水量は143万1,000立方メートルです。この立方メートルは、同じ水量ですから、以下、私はトンと表現いたします。2004年度に比べまして、何と1人1日最大で1.15倍、給水は1.37倍と見込みました。ところがどうでしょう。この「茨城県の水道」の給水量実績です。これを見ますと、1995年からほとんど横ばいで、むしろこの数年は減っているのです。長期計画との乖離ですね。この差、この乖離、これは架空の数字と私は考えちゃいますね。実態と全く接点がありませんから、全部架空です。これ。実態とこれほどかけ離れている長期計画があるのでしょうか。
 基本となる人口も、2007年5月の国立社会保障・人口問題研究所が予測したのは、2020年は279万人です。県の予測より18万2,000人減少するのです。人口予測、実績からして、今後、水需要の増加は見込むことはできないのです。この実態との乖離、それから、今後の見直しについて、知事の所見を伺います。
○橋本知事 県の長期水需給計画についてお尋ねをいただいたわけでございますけれども、これにつきましては、マクロ的な観点から、本県の水需給を推計し、平成32年を目標年次として策定をさせていただきました。
 その中で、水道用水については、併用井戸からの水道用水への転換、核家族化の進展、高齢化の進展などの増加要因はありますものの、節水などが大分進むのではないかということで、当時、改定前の計画で、1人当たり508リットルとしておったのを1割ほど減少させて450リットルになるものとさせていただきました。大分少なくしたのですけれども、これは、どういう根拠かと言いますと、当時の全国の実績、平成16年の実績しか出ていませんでしたけれども、それによりますと、全国平均で433リットル、さらに群馬県では459リットル、栃木県では454リットルという実績値があったわけでございまして、こういったものを参考にさせていただいたところでございます。
 また、水需要については、当時の県の総合計画の人口予測等を踏まえて、学識経験者による検討委員会を通じて客観的に推計したところでございます。
 近年、1日当たりの最大給水量がトイレ、洗濯機等の節水器の普及などによりやや減少しておりますけれども、本県の水道普及率が全国と比べてかなり低く、今後、井戸から水道への転換が進んでいくことが予想されますし、井戸水につきましては、飲料水としての水質基準を満たしていないものが多いことなどから、1日当たりの最大給水量がこのまま減少し続けるかどうかということについては、必ずしもはっきりしていないのではないかと思っております。
 実際に、群馬県では、平成16年度の459リットルから平成20年度には490リットル、実績で増加しております。また、平成21年6月30日の水戸地方裁判所におきます八ッ場ダム住民訴訟の判決におきましても、長期的な水資源の安定的な確保を重視すべき水道事業者の観点から見れば、茨城水のマスタープランの推計値が明らかに不合理であるとは言えないとの判断が示されているところでもあります。
○大内委員 大変残念な答弁です。知事。茨城県は391リットルですよ。群馬県の話を私は聞いているのではないのです。本県は、もう既に400リットルは下回って、それが減り続けていると。大体、実際の1人当たり1日最大は380前後です。群馬県のお話しじゃありません。実態からかけ離れた予測であるとしながら、なぜ見直しができないのでしょうか。それは八ッ場ダムなどの水源開発が前提になっているからです。
 この長期計画では、水が余ると県自ら予測をいたしました。水道用水は、日量18万1,000トン、工業用水は28万5,000トン、合わせて日量47万トン、これは余ると予測しているのです。100万人以上の水です。
 私どもの試算では、人口減実績から見ると、1日73万トン、180万人以上の水が余ると、余りにも過大な水計画、この見直しを繰り返し求めてきました。見直しをしない理由は、八ッ場ダム、霞ヶ浦導水事業、このような莫大な税金を使う公共事業、ダムの建設が前提にある。私は、そのようにどうしても考えざるを得ないのです。知事の所見を伺います。
○橋本知事 先ほどの群馬の例は、その数字というか、これだけ上がっている例もあるということを申し上げたわけでございまして、これから、例えば、つくばエクスプレス沿線などで人口が増えていく等々もありますので、そういった可能性がゼロではないということで、先ほど申し上げましたように、八ッ場ダム住民訴訟の判決においても、茨城水のマスタープランの推計値が明らかに不合理であるとは言えないと判断されておるところでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、この水の需給計画については、今の段階では改定を考えておりませんが、全国的にも、長期水需給計画というものについては、最近は、策定していない道府県が4割ありますし、策定している場合でも、需要量を満足する供給量を確保できたなどの理由により、改定をしていない県が約半数に上っておるところでございます。
 そういった傾向なども見ながら、私どもとしては、今後の対応、例えば、八ッ場の検証がどうなっていくかとか、そういったことの状況を見ながら考えていきたいと思います。
○大内委員 ぜひ見直しを考えてください。パネル2をごらん下さい。このパネルは、2009年の県内市町村の実態を示しています。給水量は、1日最大で98万1,000トン、認可地下水は28万5,000トンで、既存水利権は85万3,000トンでございます。この既存水利権と地下水を合わせますと、いわゆる保有水源ですね、保有水は、113万8,000トンということで、実際の98万トンより多いということですね。そうしますと、この新規の分は丸々要らないということになってくるわけでございます。
 八ッ場ダム、霞ヶ浦導水事業、湯西川ダムはもう出来上がりますけれども、これらのすべての水源開発を必要としない茨城県の保有水源の実態です。
 そのなかで、とりわけ、この地下水源、非常に貴重な自己水源です。長期計画では、この地下水源をさらに減少させて、新たなダムの開発に持っていきたいというような水源開発を示しておりますが、私は、貴重な資源は切り捨てないで、むしろ無駄なダムこそ切り捨てる、この立場で地下水の継続的な有効活用を求めるものですが、ご見解をお示し下さい。
○橋本知事 今回の震災などで、地下水、大分その存在感が見直されたところでございますが、ただ、一方で、大量に採取し続けますと地盤沈下を引き起こし、あるいはまた、地下水の枯渇を招くといったこともございます。特に、本県では、県南、県西地域や鹿行地域において一定規模以上の井戸による大量の地下水採取を許可制として、地下水の利用の調整を図らなければいけないほどの地盤沈下の状況などが見られます。例えば、この関東地域一帯、そういう傾向があるわけですけれども、県の茨城県地盤変動量調査によりますと、例えば、古河市や龍ヶ崎市では、平成18年から5年間の間に最大で56.5ミリメートルの沈下が観測された地点もございますし、また、年間2センチメートル以上地盤沈下がすると被害を生ずる恐れがあるとされているわけでございますけれども、この面積が平成19年には4.53平方キロメートル、平成22年にも2.28平方キロメートルとなっておりまして、地盤沈下は大変深刻な課題となっておるところでございます。
 そういったことから、私どもとしては、地下水から水道水への転換というものをできるだけやっていただきたいということで、市町村には要請をしておるところでございます。
 また、この水需給につきましては、取水地点や供給区域により大変制約がございますので、個別の給水系ごとにその実態を見ていく必要があるわけでございまして、もう既に暫定水利権でかなり給水を行っているところでございますけれども、これでも県南西地域の市町村からは、地下水の増量が見込めないことや企業誘致への支障から水が足りなくて困っているという声も届いているところでございます。
○大内委員 2002年以降、茨城県の地盤沈下は沈静化しております。
 次に、八ッ場ダムについて伺います。
 八ッ場ダムの総事業費は4600億円、本県の負担は268億円です。すでに232億円も負担してきました。9月26日、国交省の検討結果を踏まえて、早期完成を求める申し入れ書を、本県を含む6都県が提出してしまいました。50年に及ぶ住民の運動と、本県をはじめ、各都県で中止を求めて、裁判が行われてきたのです。これら住民の声を無視して、政治の力で強行させるやり方は認めることができません。
 検証検討主体の関東整備局は八ッ場ダムの事業者であり、事業者にダム見直しの作業を委ねて、ダムの是非について客観的、科学的な検証が行われるはずがありません。検証の問題の1つは、私が指摘した本県の過大な水計画を含めて、1都5県の過大な水需給計画をそのまま容認していることです。
 2つ目に、治水についても、洪水水量を利根川の最近60年の最大量の実績に比べ1.8倍も設定してしまいました。八ッ場ダムは、必要性がなくなっているのです。この18年間で、利根川流域6都県の水道用水は182万トンも減っているのです。仮に、ダムを再開した場合は、2015年の完成は無理な状況です。そして、費用負担も、あと600億円以上増額になるであろうと予測されております。県民の負担になるわけです。
 国に対して、早期完成ではなくて、中止の決断、この八ッ場ダムからの撤退、これを知事は求めるべきですが、所見を伺います。
○橋本知事 今お話しございましたように、関東地方整備局が主体となりまして、ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目に基づいて、国において利水についての必要量の算出が妥当に行われているか確認することとなっておったわけでございます。
 その中で、県南、県西地域、利根水系の将来の水需給に関しまして、給水人口や原単価の算定方法、事業再評価の実施状況、さらには需給バランスについて確認がなされ、妥当であるとの結果が出されたところであります。
 こうしたことを踏まえまして、9月13日に開催されました八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体から成る検討の場において、ダム案が最も有利と示されたところでございます。
 既にダムの完成を前提に、暫定水利権を取得し、県南、県西地域の8市2町、約50万人の方々に水道用水を供給しているところでありますので、八ッ場ダムは利水上必要不可欠であると考えております。
 また、近年、ゲリラ豪雨が頻発しておるところでございますけれども、特に、利根川に隣接している県南、県西地域の10市町にとっては、治水対策は喫緊の課題ではないかと考えております。そのためには、河川改修事業とダム建設事業の両面から進めていくことが大変重要であると考えておりまして、河川改修事業は、大変長期にわたるものであることを考えると、まずは既に約77%の事業が進捗している八ッ場ダムの一刻も早い完成を目指していくことが適当ではないかと考えております。
○大内委員 コンクリートから人に、そして財政が困難な中で、ダム建設は中止、この流れの中で八ッ場ダムがこのような検証作業に入ったということです。検証していることは、ダムを進めていく検証、これが今回の結果でございました。
 私は、八ッ場ダムは要らないという、この立場で検証をすべきだったと強く考えるものです。
 霞ヶ浦導水事業にしても、都市用水は余り、そして霞ヶ浦、桜川、千波湖の浄化は、2つの河川の流通ではなくて、それぞれのところで行う、さらに那珂川、利根川の渇水対策ももう成り立たない理論、こういう立場から中止を求めてきたところです。
 ところで、今、茨城県内の広域水道は全国で最も高いと言われております。なぜなのでしょうか。これは八ッ場ダム、霞ヶ浦導水事業、そして湯西川ダム、すべてダムの負担金、過大な水需要予測によってつくられてきた、この水道事業によって水道料金が高いのです。しかし、昨年の決算で25億7,000万円すべて黒字でございました。この黒字分は、値下げのために還元すべきではないでしょうか。それは、ダムの建設をやめれば、さらに低くすることができるということでございます。値下げについての知事の見解を求めます。
○橋本知事 水道料金施設整備のための借入金の償還や維持管理費、また、今後の施設改築等の費用を考慮しながら、長期的な展望に立って設定をしておるところでございまして、今お話しがありました利益剰余金約26億円につきましても、企業債の償還に充てているところでございます。
 料金の見直しに当たりましては、私ども、工水など引き下げておるところでございまして、柔軟に考えておるつもりでございますけれども、水道事業については、霞ヶ浦浄水場や利根川浄水場など多くの浄水場で老朽化が進んでいるため、今、総額376億円の大規模な回収事業を進めております。したがって、水道料金の値下げが直ちにできる状況にはないことをご理解いただきたいと思います。

以 上


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