日本共産党 茨城県議会議員団 一人一人が大切にされる政治をめざして
議員紹介 県議会報告 質問・発言 申し入れ・提案
HOME BACK
質問・発言

●11年第3回定例会・一般質問(2011年9月20日)

大内久美子議員

1. 東日本大震災復旧・復興について(答弁=知事)
(1)被災者の生活再建支援
(2)学校施設の復旧と耐震化
(3)県民文化センターの復旧と今後の方向
(4)復旧対応の基本姿勢
2. 介護保険制度の改善について(答弁=保健福祉部長)
3. 市街地再開発事業と住宅政策について(答弁=土木部長)
(1)大工町1丁目再開発事業
(2)県営住宅の新築・建て替え計画とバリアフリー化
4. 原発からの撤退、自然エネルギーへの転換について(答弁=知事)
(1)東海第二原発は廃炉の決断を
(2)原子力関係施設の増設計画への対応
(3)放射能汚染から子どもを守るとりくみ
(4)自然エネルギーの本格的導入
5. 布川事件への深い反省と今後の課題について(答弁=警察本部長)

1.東日本大震災復旧・復興について

(1)被災者の生活再建支援
 日本共産党の大内久美子です。東日本大震災と原発事故は、人間社会にとって何にもまして大切なものが命と暮らしであり、それを守ることが行政と政治の根本の課題・使命であることを示しました。復旧・復興はこの立場で取り組まれるよう知事に求めるものです。
 被災者の生活基盤の回復と再出発への公的支援についてです。住宅被害は被災県のなかで1番多く、約17万7千棟で9割は補助がない一部損壊です。県内の自治体では家屋補修と住宅リフォーム助成、見舞金などで独自の支援をしています。全壊、半壊、一部損壊を含めて国に拡充を求めると同時に、一部損壊に本県独自の支援が必要です。義援金を17億円も積み立てるのではなく、被災者のために活用すべきではないでしょうか。
 本県には福島県などから2,500人以上が避難生活を送っています。家賃などを無料にする民間賃貸住宅の借り上げは、災害の翌日から適用できました。ところが本県は災害救助法の精神に反して市町村に事務を委託してしまいました。8月1日からの実施で、3分の2の市町村ではこれからです。
 原発事故で「いつ家に帰れるか見通しがもてない」など、不安をかかえている福島県民にあまりにも冷たい対応です。避難区域以外の自主避難者も対象になっており、県が責任をもって速やかに行うことを求めます。
 被災した中小業者等の最大の足かせになっているのが「二重ローン」の問題です。産業復興機構をただちにスタートさせ、全ての事業者を支援することを要望します。

(2)学校施設の復旧と耐震化
 本県は小中学校の耐震化率は64%で、全国42番目、東北3県を除いて下から3番目と大変遅れた状況です。被害額は公立の小中高と特別支援学校合わせて169億円でした。一日も早い復旧と耐震化事業は、公共事業の中でも最優先すべきです。
 とりわけ公立の小中学校で倒壊の危険がある建物は全国で5番目に多いのです。全国13の都県で実施している県独自の支援策を強く求めるものです。

(3)県民文化センターの復旧と今後の方向
 県有施設の復旧も急がなければなりません。
 県民文化センター大ホールは、1,500席をもつ県内最大の施設です。震災で破損した主なものは音響壁と舞台装置でした。専門家などの協力をえて、効果的な復旧をすべきです。国民文化祭の開催後、県文化団体連合会が文化芸術活動の拠点となる施設の建設などを要望しています。建築から45年がたち、今後の構想について検討すべき時期を迎えていると考えます。見解をお示し下さい。

(4)復旧対応の基本姿勢
 さて、復興財源は国に求めるのは当然ですが、知事の基本姿勢として、企業を呼び込むための大型開発の破たんを認め、福祉と防災の県政に切り換えることです。
 莫大な税金をつぎ込んだ港湾は、液状化で大きな被害を受けました。被害額は329億円で、県公共施設被害額の4分の1にあたります。
 常陸那珂港には、すでに3,400億円以上も事業費を投入し、今後、中央・南ふ頭建設に3,000億円以上もかける計画です。これまでもわずか1日2.7便の利用が、被災後は大幅に減少しています。どんなに税金を投入しても、本県の産業振興につながる保障はありません。
 公社と一体になって開発した工業団地や住宅・開発用地が売れ残り、破たん処理に、この6年間で760億円も投入しました。昨年は補正で追加し250億円、今年は当初予算で110億円です。
 大震災をうけ、真っ先にこれらの支出は凍結し、銀行側の貸し手責任を改めて求めるべきです。知事の決意をお聞かせ下さい。

2.介護保険制度の改善について

 次に、介護保険制度の改善について保健福祉部長に質問いたします。
 震災の復旧の最中、6月15日に介護保険法が改定されてしまいました。施行後10年を経た介護保険制度は、「保険あって介護なし」といわれるように、高すぎる保険料と利用者負担、県内で5,500人も特養ホーム入居待ちという深刻な施設不足、実態を反映しない介護認定や利用限度額によって、利用できる介護が制限されるなど、多くの問題が噴出しています。今回の改定は、これらの問題解決には手をつけず、新たな給付抑制等を盛り込んでいます。
 私は、改善を求めて3点提案いたします。
 第1は、介護保険料の値上げをやめることについてです。来年は第5期の保険料改定を迎えます。厚生労働省は25%の値上げを試算しました。財政安定化基金を取り崩す規定を設けて値上げ幅を抑えるとしていますが、一時しのぎでしかありません。
 介護事業者と懇談したとき、「実利用者は増えても回数は減っている。高齢者の負担が増えていることが原因です」と話しておりました。
 これ以上の値上げをやめさせるためには、国に公費負担の引き上げを求め、低所得者への軽減制度をつくることではないでしょうか。
 第2は、軽度の介護利用者のサービスを低下させないようにすることです。今回の改定で、市町村は介護予防、日常生活支援総合事業を創設することができるようになり、要支援者に対し予防給付を受けるのか、総合事業に移行させるのか、市町村が判断することになります。ところが5.9%占めていた要支援者の介護給付を、市町村事業は3%以内に制限するのです。これでは必要なサービスが提供されなくなり、市町村によってサービスも利用料金も格差が生じてしまいます。
 第3は、介護職員の処遇改善のとりくみです。財団法人介護労働安定センターの調査では、本県の平均賃金は昨年に比べ4,458円少なくなり、離職率は15.4%です。月額1万5千円アップさせるとして設けられた「介護職員処遇改善交付金」は3年間の措置で今年度で終了します。継続し、拡充させるべきです。
 以上3点についてどう取り組むのか、ご見解をお示し下さい。

3.市街地再開発事業と住宅政策について

(1)大工町1丁目再開発事業
 次に、市街地再開発事業と住宅政策について、土木部長に質問いたします。
 震災の後、被災者支援等、新たな課題が生じている最中、4月8日に水戸市大工町一丁目地区市街地再開発事業が強行されました。
 施行区域は1.5ヘクタール、事業者は再開発組合、総事業費は121億円、国、県、市の補助対象は44億円です。地下1階、地上15建て、ホテル161室、業務施設、住宅100戸、駐車場となっています。長谷工と株木建設の共同企業体が、特定業務代行者です。平成11年に都市計画決定、1年前に規模縮小の変更、オープンは2年後です。
 水戸市内ではホテルは過剰、マンションも売れ残りが目立っております。いまだに業務施設のテナントは決まっておりません。ビルテナントが決まらないままの着工は異常です。
 予想される破たんの一つは事業の継続ができるかどうかです。困難になったとき、都市再開発法114条では、事業代行者は知事とし、知事は市長を定めることができるとしています。
 2つ目の破たんは、再開発ビルオープン後の運営です。公費負担の拡大か、公の施設の導入が問題になります。
 「被災者に支援しないで、民間事業者への税金投入は納得できない」「隣接地に風俗営業と暴力団事務所があり、地域活性化にならない」などの声が寄せられています。
 今からでも遅くはありません。知事には組合設立と事業計画の許認可、組合を監督する権限があるのです。県は事業の中止を組合に求め、補助をやめるべきですが見解を伺います。

(2)県営住宅の新築・建て替え計画とバリアフリー化
 この事業は国の住宅局の所管です。過剰であってもマンション建設計画がなければ成り立たない事業です。今、県民が求めているのは、安価で良質で住みやすい公営住宅の建設ではないでしょうか。
 昨年、県営住宅の応募倍率は3.8倍でした。新築は40戸、建て替えは30戸でした。30年経過した県営住宅は5,840戸あり、全体の44%を占めています。開発で売れ残った不便な土地に新築し、水戸ニュータウン藤ヶ原の住民から「周りに商店も病院もなく、学校まで4.5キロ、車で送り迎えをしなければならない」と切実な声が寄せられています。
 新築は市街地の便利なところに、老朽化は廃止するのではなく、建て替え計画を、既存住宅のバリアフリーにどう取り組んでいくのか伺います。

4.原発からの撤退、自然エネルギーへの転換について

(1)東海第二原発は廃炉の決断を
 次に、原発からの撤退、自然エネルギーへの転換について知事に質問いたします。
 福島第一原発の事故で、原発をめぐる内外の情勢は激変しています。炉心溶融と原子炉建屋の水素爆発で大量の放射性物質が放出され、本県をはじめ東北・関東などに汚染が広がり、生活と健康への不安と莫大な経済的損失を引き起こしました。事故の収束と合わせて、巨大な被害の社会的影響は長期にわたり続くと予想されています。
 放射性物質がいったん放出されれば、それを抑える手段がないこと、安全な原発などありえないことが誰の目にも明らかになりました。
 今、住民はこの事故を通して、「危険な原発は、人間社会と共生できない」「なぜ原発が地震と津波の多い日本に54基もつくられたのか」「政府や政治家、電力会社、原子力メーカーなどが安全を強調してすすめてきた責任は大きい」など、「原発をやめるべきだ」という声を上げています。昨日も東京・明治公園で「さようなら原発」集会がもたれ、6万人が集まりました。
 茨城大学地域総合研究所が東海村と近隣市の住民に行ったアンケート調査では、東海第二原発の再稼働に慎重・反対は合わせて85%にもなりました。
 私は7月13日に、東海村の村上達也村長と懇談をいたしました。村上村長は、「もし10メートルをこえる津波が東海第二原発を襲っていたらメルトダウンし、ここには住んでいられなかった」「30キロ圏内の100万人が避難できると思いますか、できないならこういうところに原発をつくるべきではない」と語っておりました。
 原発の危険性が明らかとなり、住民の意識も大きく変わっているのです。知事の見解を求めます。
 東海第二原発は11月中旬に定期検査が終わる予定でしたが、地震の影響でタービンにいくつもの損傷があり、低圧タービン翼の交換など実施するとして、事業者は検査期間の延長を発表しました。
 運転開始から33年たった老朽化の問題も大きく問われているのではないでしょうか。原子炉内では核分裂反応で高エネルギーの中性子が飛び交います。この中性子にたたかれて、圧力容器の鋼鉄が劣化し脆くなり、緊急時に原子炉を急に冷やした時に、原子炉が壊れるという問題をかかえています。世界で原発を廃炉にした平均年数は22年です。
 東海第二では前回の定期検査で、原子炉内の水流仕切り板(シュラウド)に、ひびわれが40カ所発見されています。
 日本原電は、地震と津波対策を行って、再稼働させ、今後は「出力向上」や「プルサーマル計画」をすすめると、今年の事業計画に記しています。
 再稼働のための定期検査は、これらの計画をすすめる前提ではないでしょうか。危険な老朽化原発の「延命」措置は、安全最優先の立場から認めるわけにはいきません。ただちに中止し、廃炉の決断こそ必要です。知事の決意をお聞かせ下さい。

(2)原子力関係施設の増設計画への対応
 原子力関係施設の増設計画への対応も問われています。
 三菱原子燃料は平成23年度の新増設計画を東海村に説明しました。原発の燃料になるウラン再転換工程を変更し、2倍以上の増産と、原料貯蔵所や燃料集合体組立施設、廃棄物管理倉庫の増設をめざしています。いずれも、国の認可手続きを本年中に行い、平成25年には着工の計画です。新しい工程はこれまでより水素爆発の危険が伴うと専門家は指摘しています。
 福島原発事故で、「これ以上新増設は認められない」という、世論が広がっているとき、世論に逆らう取り組みではないでしょうか。知事はこの事実をご存知でしょうか。
 さらに私は、先日、三菱原子燃料に行き、工場長に説明を求めてきました。増産・増設の目的はアメリカが新設する大型原発の燃料ということでした。さらに他の国への輸出に向けての増産も加わっているということです。
 政府の原子力新成長戦略に基づく、原発輸出拡大の計画です。
 福島原発事故の収束の見通しが示されず、日本のエネルギー、原子力政策の転換が国民的に議論されている中で、このような増設計画を認めていいのでしょうか。知事の所見を伺います。

(3)放射能汚染から子どもを守るとりくみ
 放射能への感受性が高い子どもの健康を守ることは、日本社会の大問題になっています。
 福島原発の事故で放射性物質は、「ウラン換算で広島原爆の20個分」との見解もだされ、県内各地で放射能への不安が広がっています。放射性被ばくは少量であっても、将来発ガンなどの健康被害がおきる危険性があるのです。国際的に確立されている大原則は「これ以下なら安全」という「しきい値」がなく、「少なければ少ないほど良い」ということです。
 校庭の表土の除去費用を国が負担する「毎時1マイクロシーベルト以上」に限らず能動的・積極的な放射能対策を打ち立てるべきです。学校や幼稚園、保育園、通学路、公園など、子どもが近づく場所、側溝など「ホットスポット」になりやすい場所は集中的に調査を行い、必要な除染措置を行うことを求めます。
 放射能汚染が疑われる食品を迅速に検査するため、今回予算化された「簡易測定器」を全市町村、学校等への大量普及にとりくむべきです。
 内部被曝への不安も広がっています。本県ではJCO事故に対し、村民要望により健康調査が実施されています。今回も、ホールボディーカウンターなど特別な設備と体制を国に求め、健康調査を実施すべきではないでしょうか。
 県南地域では、取手、守谷市などが除染に取り組んでいます。守谷市では、夏休み中に校庭と園庭の除染を建設業協会に委託し、第1次分6,800万円を東電に請求しています。
 知事はこのような取り組みを全県的に支援し、子どもと県民の命と健康を守る一大事業に本腰を入れたとりくみをすすめるべきだと考えますが、見解を求めます。

(4)自然エネルギーの本格的導入
 原発からの撤退と同時に、自然エネルギーへの本格的な取り組みが求められています。
 日本のエネルギー自給率は50年前の1960年に56.6%ありましたが、2008年は、わずか4%にまで落ち込みました。理由は、アメリカのエネルギー政策に従属し、炭鉱閉山が強行され、石油輸入へと転換し、さらに原発増設の道を突き進んできたためです。いまでも、濃縮ウランの73%はアメリカからの輸入に依存しています。
 日本における自然エネルギーは、大きな可能性を持っています。環境省の試算では、導入が可能な量は、太陽光、中小水力、風力、地熱だけでも、いまある原発54基の発電能力の43倍です。
 日本共産党は今後、5年から10年の間に、原発をゼロにし、総発電量の2割から3割程度を自然エネルギーにするプログラムを提案しています。これは日本の技術水準からみても決して不可能なことではありません。
 本県でも、平成14年に、「21世紀のエネルギー先進県を目指して」というタイトルの「茨城県エネルギープラン」が策定されました。「プラン」は、「本県は日照時間が長く、太陽光発電システムを導入する上ではすぐれた地域性を持っている」と、豊かな可能性を指摘しています。特に、バイオマスについて、「本県は農業生産額が全国3位(当時)の農業県であり、バイオマス資源の潜在利用可能量は高い」とのべ、県内の大学や研究機関と連携して、利用技術の開発と普及に努めることを示しています。風力発電についても、県北山間部や筑波山周辺、鹿島・波崎地区の海岸周辺などでの導入支援を明記しています。
 ところが本県は、太陽光発電への補助制度を今年度やめてしまったのです。いま全国では、8割の都道府県が補助をしているのです。本県は先進県どころか、後進県になってしまったのです。いまこそ自らつくった「エネルギープラン」を実行し、補助を復活させるべきではないでしょうか。本県の売れ残った開発用地、1,400ヘクタールに、太陽光発電を導入したらどうでしょうか。
 自然エネルギーの地産地消の仕組みをつくることは、新たな仕事と雇用を創出し、地域経済の振興に大きな力にもなります。自然エネルギーの先進県をめざす取り組みについて、知事の所見を伺います。

5.布川事件への深い反省と今後の課題について

 最後に、布川事件について警察本部長に答弁を求めます。
 本年5月24日、水戸地方裁判所土浦支部は「強盗殺人事件につき、被告人両名は無罪」と判決を言い渡し、6月7日に検察庁が控訴しないことを表明し、桜井昌司さん、杉山卓男さんの無罪判決が確定しました。逮捕から43年8ヵ月を経た再審無罪は、戦後の最長記録であり、7つ目の歴史的な判決でした。
 私も15年前、仮釈放で出獄した2人の歓迎会に出席し、多くの支援者と共に、「無実の者を無罪に」と運動してきました。真実と正義の勝利を喜び合いました。2人は逮捕当時、どんなに「やっていない」と否定しても、警察は「お前が犯人だ」ときめつけ、「自白をしなければ死刑になる」など連日脅かし、2人はウソの自白に追い込まれたのです。
 布川事件は、捜査機関の見込み捜査、代用監獄での長期間の身柄拘束を利用した自白の強要、検察官に不利な証拠は開示させない自白偏重の裁判など、日本の刑事司法の問題点があらわれています。
 取調べと捜査にあたった茨城の警察は冤罪をつくった重大な責任があります。深い反省が求められておりますが、警察本部長の見解をお聞かせ下さい。
 このような冤罪事件は二度と生んではなりません。そのためにも取り調べの全部録音・録画などの全面可視化を早急に実現すべきです。
 別件逮捕による長期拘束も絶対にあってはならないことです。全面証拠開示など、2人の失われた43年をつぐなう第一歩にするためにも、これらの課題にどう取り組むのか、お答え下さい。以上で質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。

〔大内県議の一般質問にたいする答弁〕

〔橋本知事〕
 ●被災者の生活再建支援について
 大内久美子議員のご質問にお答えいたします。東日本大震災の復旧・復興についてお尋ねをいただきました。まず、被災者の生活再建支援についてでございます。
 一部損壊の家屋に対する県独自の支援策を設けてはどうかというお尋ねをいただきました。大震災被害にたいする対応については、全壊又は大規模損壊にたいしては被災者生活再建支援法により最大で300万円が支給されますほか、支援法の対象になってこない半壊世帯にたいしましては、県独自の支援制度として災害見舞金制度があって、3万円が支給されることになっております。一部損壊にたいする県支援制度を新たに設けた場合、被害戸数が大変膨大でありますことから、例えば、半壊と同額の3万円を支給したとしても、約45億円の支給となってまいります。財政的負担が相当なものになります。県としては被害の大きい家屋を優先してすすめていく必要がありますので、住宅被害への支援措置を一部損壊まで広げるのはなかなか難しいと考えております。
 次に県外避難者にたいする民間賃貸住宅借り上げの取り組みについてであります。
 福島県等からの避難者にたいする住宅の借り上げが遅かったのではないかというご指摘をいただきました。同じように被害を受け、避難をおこなっている茨城県民の取扱いについて国との調整に時間を要したことから、遅れてしまったわけでございますけれども、これにつきましては誠に申し訳ないと思っておるところでございまして、8月1日以降、順次、取扱いを開始しているところでございます。
 なお、借り上げの契約事務について、茨城県民の取扱いを市町村にお願いしておりますので、福島県民等も同様に、市町村が手続きを行うことが効率的であると考えております。具体例をあげますと、一棟の民間住宅を借り上げて、他県からの避難者と茨城県民に一緒に入居してもらう場合などに、県と市町村がそれぞれ別個に借りる手続きをすることが避けられるといった面もございます。県といたしましては、市町村と緊密な連携をはかり、借り上げの事務手続きが迅速にすすみますよう、一体となって被災者の支援に取り組んでまいります。

 ●学校施設の復旧と耐震化について
 次に学校施設の耐震化についてお尋ねをいただきました。
 公立学校のうち約95%にあたる873校がなんらかの被害を受けたところでございます。耐震化の大切さを大変痛感しているところでございます。今後、ほとんどの学校施設が年度内に復旧していく見通しでございますけれども、躯体に損傷を受けた水戸二高や常総市の石下西中学校など50校につきましては、来年度に復旧が遅れてしまうのではないかと心配をしております。
 小中学校の耐震化につきましては、茨城県耐震化促進計画において、平成27年度末までの耐震化率90%にする目標を掲げておりますが、大震災を踏まえますと、そういったことではなくて、耐震化はまさに喫緊の課題でありますので、今後、100%をめざして努力するように市町村に働きかけてまいります。
 なお小中学校の耐震化につきましては、全国共通の課題でありますことから、国において市町村の財政負担の軽減をはかり、推進するよう要望しているところであります。国においてはIs値が0.3未満の建物については、補助率のかさ上げ措置を平成27年度末まで延長をいたしました。その結果、市町村の負担割合は総事業費の13.3%程度で済むなど、1割ちょっとで済むことになってまいりますので、取り組みやすくなってきたのではないかと思います。先般、取り組みが遅れております市町を訪問し、この制度を積極的に活用して耐震化をできるかぎりの前倒しを図ることについて、働きかけをおこなってきたところでございます。
 県といたしましては、これからIs値が0.3以上にたいするかさ上げ措置の拡充を引き続き国に対して要望しているところでございまして、今後、第3次補正予算において耐震化に係る予算が措置されることを期待しているところでございます。

 ●県民文化センターの復旧と今後の方向について
 次に、県民文化センターの復旧と今後の方向についてお答えいたします。
 県民文化センターへの対応につきましては、今回の震災によりロビーの柱や梁が損傷したり、外壁が崩落したり、舞台のせりが稼働できなくなったり、天井の音響反射板が一部落下するなど、重要な個所に被害が生じており、現在使用できない状況にございます。
 県民文化センターは本県の文化の拠点であり、早期再開の要望も数多く寄せられております。1日も早く大ホールを再開できるよう復旧工事をすすめてまいります。大ホールが被災した当初は、お尋ねがありましたように、建て替えを含めて考えたところでございますけれども、地元負担が極めて少ない災害復旧のための国の手厚い助成制度を活用できるようになりましたので、茨城県としてはほとんど負担なしでこの制度を活用して復旧工事ができるということを踏まえまして、復旧対応にすることにいたしました。
 今回の改修により当分の間は使用できるようになってまいりますし、文化センターの建設には数百億円の経費がかかることを考えますと、建て替えを含めた将来構想の検討につきましては、もうすこし後にさせていただきたいと考えております。舞台装置や音響装置の修復にあたりましては、ご提案をいただきましたとおり専門家の意見を十分に取り入れながら工事をおこなってまいりたいと考えております。

 ●復旧対応の基本姿勢について
 次に復旧対応の基本姿勢についてお答えいたします。震災のための復旧・復興のための事業につきましては、必要なものは柔軟かつ速やかに積極的に対応するということを基本姿勢にして、これまで今回の補正を含め4回の補正予算を編成してまいったところであります。その財源につきましては災害復旧のための国庫補助金や交付税措置のある災害復旧債など積極的に活用し、一般財源負担の抑制に努めてきているところでございます。
 先ほど、保有土地対策として計上されている110億円を復旧・復興に活用したらどうかというお話しをいただきましたが、復旧・復興に要します費用につきましては、国において特別な財政支援措置が講じられておりますことから、これらを活用して事業をすすめる方が賢明であると考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
 また、港湾にたいして大変きびしいご意見をいただきました。確かに便数は少ないかもしれませんが、港湾ができたために、例えばコマツ、日立建機といった企業も立地をしているところでございまして、地元への好影響という意味では、私は大変大きなものがあると考えております。したがいまして、これから港の利用をもっともっと盛んにしていくということがもちろん大切ですけれども、必ずしも議員がおっしゃるような無駄だったとは考えておりません。
 貸し手責任についてお話をいただいたところでございます。損失補償や債務保証を県としてやっているところでございまして、弁護士と相談しても法律上、貸し手責任を問うことはむずかしいという返事をいただいているところでございまして、私どもとして、それを前提にしたうえで、何とか銀行側に県にたいして協力してもらえないかという中から、金利等の面でさまざまなメリットが生じるような措置を講じていただいているところですので、ご理解をいただきたいと存じます。

 ●東海第二原発の廃炉の決断について
 次に東海第二発電所の廃炉についてお答えいたします。
 東海第二発電所は本年11月で運転開始から33年目を迎えます。国内では福島第一発電所を除く48基の原子炉のうち10番目に長い原子炉になってまいります。なお、国内の原子力発電所において運転開始から30年を超えている原子炉は13基ありますが、そのうち40年を超えている原子炉は2基でございます。こういった状況でございますけれども、アメリカの状況を見ますと、2007年2月現在の資料ですけれども、運転中の原子炉の約半数にあたる48基の原子炉が40年を超える運転認可を取得している状況でございます。
 わが国におきましては、運転開始から30年を超える原子炉につきましては、高経年化対策として、経年変化事象に関する技術的な評価と、それにもとづく保全計画の策定が義務付けられており、それらが妥当と評価された場合に運転が継続できることになり、現在やっているところがあるわけでございます。東海第二発電所の経年変化事象に関する技術的評価と保全計画につきましては、国において妥当と評価され、県におきましても原子力施設高経年化対策等調査研究会で専門的意見を聴取し、妥当性を確認したところであります。この保全計画にもとづき、東海第二発電所では、定期検査時に対策を実施しているところでございますので、高経年化がすぐ廃炉に結びつくものとは考えておりません。
 しかしながら東海第二発電所の今後の取り扱いにつきましては、福島第一原子力発電所で未曾有の大事故があったということを十分肝に銘じながら考えていかなければならないと考えております。エネルギー政策全体の議論を深めていくなかで、国がどう判断するかが基本になりますが、東海第二発電所については、現在のところ国から再起動の要請がなされていない状況にあります。したがって今後、国の動向を見ながら、県原子力安全対策委員会での専門的、技術的評価、県原子力審議会の意見などを踏まえ、県議会や地元自治体と協議しながら、判断していきたいと考えております。

 ●原子力関係施設の増設計画への対応について
 次に原子力関係施設の増設計画についてでございます。先ほど、知っているかというお話しがございましたけれども、詳しくはまだ聞いておりませんですけれども、三菱原子燃料株式会社は、三菱グループ3社に加えフランスのアレバ社が出資し、原子燃料の設計、開発、製造販売、アフターケアまで一貫して対応できる総合原子燃料事業会社となり、アメリカ、ヨーロッパなど海外への営業活動を行っていると聞いております。
 そういった中で今回の三菱原子燃料株式会社の計画は、資本関係があります三菱重工業株式会社が米国で原子力発電所3基建設する計画がすすめられており、その燃料を供給するために、ウラン加工施設を増設するものと聞いております。このような原子力施設については、安全の確保が何よりも重要になってくるものと考えております。したがって、今回のウラン加工施設の増設につきましても、増設計画書が提出された段階で、県原子力安全対策委員会において、専門的見地から安全性をしっかりと確認しますとともに、原子力審議会の意見をお聞きし、県議会や地元自治体と十分に協議して判断してまいりたいと考えております。

 ●放射能汚染から子どもを守るとりくみ
 次に放射能汚染から子どもを守るとりくみについてお答えいたします。
 福島第一原発事故に伴う県民への健康調査につきましては、放射線量率が本県に比べて非常に高い福島県の地域で、子どもを含めて実施された検査結果を見ましても極めて少ない被ばく線量になっております。放射線被ばくの専門家からも本県民への健康調査は必要ないんではないかとのご意見をいただいておりますことから、現段階で県内において実施する必要はないものと考えております。
 また、県では県立学校のほか青少年教育施設や児童公園等において放射線測定をしておりますし、市町村におきましては公立小中学校や保育所、公園などで実施しているところであります。測定結果を見ますと県内の放射線量率は国が示した目安であります毎時1マイクロシーベルトに比べて十分に低い値でありますことから、安心してご利用いただいて差し支えないんではないかと考えております。一方で、ホットスポットの検査などもしっかりやれということでございますが、いろいろ点から不安をお持ちの保護者も大変多い状況にございます。県南部の学校を中心に積極的に除染に取り組む市町村もありますほか、県立学校でも先般、取手第一高校の調整池で国の目安を超える放射線量率が計測されましたので、早速、除染を行ったところでございます。
 こういった除染に要する費用につきましては、国の基準を上回る学校、1マイクロシーベルト毎時を上回る学校の校庭につきましては国の助成制度がございますが、本県内には今のところこの基準を上回る学校はない状況にございます。なお、国はさる8月26日に、除染に関する緊急実施基本方針を公表し、今回の事故による被ばく線量が年間1〜20ミリシーベルトの地域においては、市町村が主体的に除染計画を策定することとし、その除染活動が円滑に行われるよう財政措置などの支援を実施するとしております。ただ、これにつきましては具体的な財政措置の内容についてまったく不明でございまして、私ども国が開催する説明会での状況等見ながら適切に対応してまいりたいと思います。
 そして、この方針におきましては、県は市町村のさまざまな活動を支援するとなっているところでございまして、先般も県が実施しました実証実験をもとに保育園、幼稚園等での測定や除染の方法を示した独自の手引きを策定し、これを参考にするよう通知をさせていただいたところでございます。今後はこの手引きがさまざまなところで活用されますよう、市町村や学校への周知に努めますとともに、技術的な支援を行ってまいりたいと思います。

 ●自然エネルギーの本格的導入について
 次に自然エネルギーへの本格的導入についてでございます。
 原子力や化石燃料に代わるエネルギーとして期待される再生可能エネルギーは環境負荷が小さくエネルギー供給源の多様化という面からも優れておりますが、発電力量に占める割合を見ますと水力が7.3%であり、新エネルギーは1.1%と、まだまだ極めて低い上に電力の安定供給等の面からも、なお多くの課題が残されているところでございます。
 例えば具体的に申し上げますと、先般、坂東市に設置されましたメガソーラー、設置面積7ヘクタールございますけれども、発電の設備容量は3,750キロワットであり、面積の面から見ても発電の容量としては、太陽光発電はそんなに大きなものではないなという感じをしております。まして、この整備につきましてはかなり時間がかかっていくんではないかと思っております。私ども、原子力エネルギーを再生可能エネルギーに転換するという考え方をとるんではなくて、それは、時間的、時期的に見ても現実的ではないので、石油エネルギーを含めて、環境に与える影響も考慮しながら、エネルギーの安定化を図る方策やいっそうの省エネルギー対策について総合的な議論を行っていくことが大変重要であると考えております。
 再生可能エネルギーに向けた取り組みでございますけれども、県では平成14年に策定しました「エネルギープラン」において、エネルギーの導入目標を設定し、導入の促進に努めてきたところでございます。その結果、太陽光発電につきましては、目標達成には至りませんでしたが、風力発電につきましては、目標の倍以上の伸びを示しますと共に、バイオマス発電も達成するなど一定の成果が上がってきているものと認識しております。因みに本県におきます再生可能エネルギーの導入状況を全国と比べてみますと、風力発電は設備容量が約8万6,000キロワットで全国第8位になっております。洋上発電は本格的なものは本県にあるのみでございます。バイオマス発電につきましては、設備容量が約8万キロワットで、第4位でございます。太陽光発電は、住宅用太陽光発電の設備容量が約4万1,000キロワットで、全国第15位となっております。
 現在、国におきましては、エネルギー環境会議を設置し、今後のエネルギー戦略を検討しますとともに、エネルギー基本計画の見直しに向け、9月中に総合資源エネルギー調査会において議論をはじめ、来年夏を目途に新しい戦略と計画を打ち出す方針を示しているところであります。また、さる8月26日には、電気事業者に対して、国が定める一定の期間、一定の価格により、再生可能エネルギー電気の買い取りを義務づける電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が成立し、来年7月1日から施行されることになりました。これにより、今後定められることになる買い取り期間や買い取り価格によっては、再生可能エネルギーの導入が飛躍的にすすむものと考えられます。
 県といたしましては、県中央水道事務所、こころの医療センター、カシマサッカースタジアムで太陽光発電を実施しているところでありますけれども、今後とも県有施設への導入をすすめますとともに、国のエネルギー政策の見直しを踏まえ、新たなエネルギープランを策定し、再生可能エネルギーの導入に努力してまいりたいと存じます。
 なお、ご指摘がありました、住宅用太陽光発電への設置補助についてでございますけれども、住宅用太陽光発電につきましては、余剰電力買い取り制度のもとで、10年程度で投資回収が可能になってくるんではないかと考えております。したがいまして、スペインやドイツの例も踏まえて、そういった轍を踏まないようにしていかなければいけないと考えております。今後、固定価格買い取り制度の内容、設備価格が急速に低下しておりますので、その状況、あるいは国がこれからどういった補助制度を設けていくのか、等々を考えながら、補助制度を県としても今後設けるかどうかについて検討してまいりたいと考えております。

〔根本保健福祉部長〕
 ●介護保険制度の改善について
 介護保険制度の改善についてお答えいたします。
 まず、介護保険料の改定についてですが、高齢化の進展に伴う介護給付費の増加や保険料抑制のための臨時特例交付金の終了などによりまして、次期、保険料の上昇は避けがたい状況にございます。このような状況に対応するため、まず第4期同様、市町村が管理します介護給付費準備基金について、その活用を助言してまいります。第4期におきましては、41の市町村が、この基金から合計約70億円取り崩しまして保険料の上昇を抑制したところでございます。平成22年度末の基金の残高見込みが県計で100億円を超える額がございますので、この基金につきましては、最低限必要と認める額を除いた額を活用するよう市町村にたいし助言をしてまいります。合わせまして今般の介護保険法の改正によりまして、介護保険財政安定化基金の一部取り崩しが可能となりましたところから、今後、この基金の取り扱いについて検討してまいりたいと思っております。
 次に軽度の介護保険利用者にたいするサービスについてでございます。今回の法改正により、新たに配食・見守りなどの生活支援サービスが加わり、よりきめ細かなサービスが提供されることになりますので、サービスが低下するものではないと考えております。また、軽度の方々にたいして、従来の予防給付で対応するか、新しいサービスで対応するかは、市町村が判断することになりますので、利用者の状態や意向に応じて適切に判断するよう十分に周知徹底をしてまいります。
 次に介護職員処遇改善交付金制度についてでございます。介護ニーズが増大するなかで賃金水準が異業種と比較して低い傾向にある介護人材の確保のためには、賃金などの処遇改善を図ることが極めて重要であります。このため介護職員処遇改善事業を実施いたしましたところ、介護職員の賃金が全国平均で15,160円改善されたところでございますが、この事業期間が来年3月までとされていますことから、来年度以降も引き続き改善策を講じるよう国にたいして強く要望してまいります。

〔後藤土木部長〕
 ●大工町1丁目再開発事業について
 市街地再開発事業と住宅政策についてお答えいたします。まず、大工町1丁目再開発事業についてでございます。
 本事業は、都市再開発法にもとづく組合施行による事業であり、平成11年度に都市計画決定をおこなっております。平成13年9月には、再開発組合が設立され、その後、必要な手続きを経て、本年4月には、建築工事に着手し、平成25年5月のオープンに向けて現在、基礎工事をすすめているところでございます。
 この事業は、老朽建築物が立ち並び、都市機能が低下しております大工町1丁目地区の面積約1.5ヘクタールを対象に、生活及び地域サービス拠点の形成による都心環境の充実をコンセプトといたしまして、都市機能の向上を図り、賑わいを創出しようとするものであります。具体の計画といたしましては、細分化された敷地を統合し、広場や公共用通路等を整備するとともに、偕楽園や千波湖に隣接した立地を活かし、集客性の高いホテルや業務施設並びに中心市街地における定住人口の増加に大きく貢献する都市型住宅など、複合的施設を整備することとしております。
 また、この事業におきましては、水戸市が再開発組合にたいし、全体工事費のうち、共同施設の整備費の一部を補助することとしており、国と県は市がおこなう補助費の一部を負担するものであります。さらに県は、事業計画の認可等をおこなうとともに、補助金の適正な執行について指導を行うこととしております。今後とも本事業が交流を促し、中心市街地の活性化を促進するとともに、この地区にふさわしい街づくりに寄与するものとなるよう水戸市とともに引き続き助言をおこなってまいりたいと考えております。

 ●県営住宅の新築・建て替え計画とバリアフリー化について
 次に、県営住宅の新築、建て替え計画とバリアフリー化についてでございます。
 県営住宅を含む本県の住宅政策につきましては、平成18年度に茨城県住生活基本計画を策定し、基本方針として誰もが安心して暮らせる住まいづくり、良質な住まいを確保できる住宅市場の環境整備、地域づくりに資する住まい、街づくりへの誘導を位置づけたところであります。また公営住宅につきましては、適正な供給と管理をおこなうこととし既存住宅の適切な維持管理と更新による良質な住宅の確保を推進することとしております。この計画を踏まえ、県営住宅につきましては、現在、管理中の約13,000戸の戸数を維持していくことを基本に、新築、建て替え及び中古改善などの更新手法により計画的に整備をすすめております。整備にあたりましては、厳しい県の財政状況を踏まえ、新築や建て替えにおきましては、外形形状の単純化や内装仕上げの合理化などによる建設コストの縮減に努めております。また中古改善におきましては、柱や梁の構造体を活かしながら、間取り変更などをおこなう全面的なリフォームなどにより、既存住宅の有効活用を図っております。
 一方、県営住宅の入居世帯に占める高齢者世帯は年々増加傾向にありますことから、手すりの設置、階段の解消、段差の解消、廊下幅の確保など、バリアフリー化が重要な課題となっております。このためバリアフリー化の仕様が追加された平成3年の公営住宅等整備基準の改正や、平成7年に策定されました長寿社会対応住宅設計指針、さらには廊下幅の規定が追加されました平成10年の公営住宅等整備基準の改正等を踏まえ、平成10年度から県営住宅の新築、建て替え及び中古改善にたいし、本格的にバリアフリー化の整備をすすめてまいりました。この結果、県営住宅の全戸数にたいするバリアフリー化率は平成22年度には34%に上昇し、着実に整備がすすめられてきたところであります。
 今後とも建設コストの縮減や既存住宅の有効活用を図りながら、県営住宅の計画的整備とバリアフリー化を引きつづき推進してまいります。さらに、既存住宅の有効活用をよりいっそう図るため今年度改訂する茨城県住生活基本計画におきましても、新たに長寿命化への取り組みを盛り込み、将来の県営住宅の維持コストのさらなる低減や耐用年数の延長を図ってまいります。

〔杵淵警察本部長〕
 ●布川事件への深い反省と今後の課題について
 布川事件についてお答えいたします。警察といたしましては、無期懲役判決にたいする再審無罪判決が確定いたしましたことにつきまして、厳粛に受け止めているところであります。再審判決において指摘されました、自白の信用性への疑問や、客観的証拠の乏しさなどにつきましては、警察ではすでにこれまでの間、科学捜査、初動捜査の高度化などにより、客観証拠の収集の徹底をはかるなど、緻密かつ適正な捜査の推進に努めてきたところでありますが、今般の判決を真摯に受け止め、今後ともこれらの取り組みの徹底をはかり、合法、合理、妥当という捜査の基本に則り、事案の真相解明と人権の保障の調和をはかりつつ、緻密かつ適正な捜査を実践してまいります。
 議員ご指摘の取調べの可視化につきましては、平成22年2月に、国家公安委員会委員長が主催する部外有識者からなる研究会が設けられ、治安水準を落とすことなく、可視化を実現するため、可視化実施国のもつ捜査手法の導入等についても、あわせて幅広い観点から検討中であり、本年4月に中間報告が取りまとめられたと承知しております。今後、同研究会においては、これまでの議論を踏まえつつ、取調べの高度化、可視化のあり方や、捜査手法の高度化について、具体的な検討がおこなわれるものと承知しております。また、これらの検討事項については、法務省の法制審議会においても、審議されているものと承知しております。いずれにいたしましても、この問題は警察捜査や治安そのものにも大きく関わる極めて重要なものでありますことから、警察といたしましては、こうした国におきます検討状況を踏まえつつ適切に対応してまいります。

〔大内県議の再質問〕
 知事は災害救助法では、実施体制は知事がとり、市町村はあくまでも補助でございます。今度の民間住宅借り上げについては、県が責任をもって対処しなければならないのです。このことをきちんととらえて実施すべきでございます。それが第1点。
 第2点は、都市再開発法122条では、地方公共団体は施行者にたいして、事業の一部を補助することができる。「できる」というのが今の都市再開発法の補助です。しなくてもいいのです。全国的には、もう都市再開発の時代ではない、そういう立場で補助をやめている県がでてきました。私は、大工町1丁目再開発については、破たんの2つの、これからおきるであろう危険性を指摘しました。事業の中止の決断と補助を出さないこと、深刻に受け止めていただきたい。この点についてもう一度伺います。

〔橋本知事〕
 いま議員からお尋ねがあった件につきましては、災害救助法によれば市町村に委任もできることになっておりますので、私どもはその規定にもとづいて実施しておりますので、ご理解をいただきたいと思います。

〔後藤土木部長〕
 再開発事業についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、本事業は中心市街地の活性化に寄与するものであり、すでに都市計画決定がなされ、都市再開発法にもとづき、事業の要件を満たしておりますから事業認可をしてきたものでございます。県が一方的に中止をすることはできないということでございますので、われわれとしては、助言を引き続きしていきたいと思っております。


PAGETOP

〒310-8555水戸市笠原町978-6茨城県議会内 日本共産党議員室TEL:029-301-1387(直通・FAX兼)
Copyright(c)2010 日本共産党 茨城県議会議員団 All right reserved.