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質問・発言

●大内久美子県議の予算特別委員会での質問(2011年6月16日)

〈質問項目〉 こども福祉医療センターについて(答弁・知事)
被災者支援について(答弁・知事)
原子力発電とエネルギー政策について(答弁・知事)
(1)東海第二原発の現状と課題
(2)原子力事故対策
(3)自然エネルギーへの転換

1.こども福祉医療センターについて

○大内委員 日本共産党の大内久美子です。最初に、こども福祉医療センターの民設民営について質問いたします。
 こどもセンターは、障害児の医療と福祉、教育を保障する役割を担って、51年目を迎えました。私は、昨年3月の予算特別委員会で、民営化と桜の郷への移転をやめるよう知事に求めました。その後、水戸養護学校PTAをはじめ、関係者の運動が広がり、隣接の県有地に新設することになりました。しかし、民設民営化の方針は変えず、事業者を公募し、本年5月末に決定しました。
 肢体不自由児35人の入所と重度心身障害児100名の施設とリハビリなどを重点にしています。重症児100名の入所施設は、当初の計画を上回っています。確かに本県は、知的障害者療育施設は、全国で41番と施設は少ない状況です。本来なら地域でくらし、社会参加ができるように障害福祉圏を基本に、養護学校やリハビリや病院と一体になった施設を県南や県西などの地域的な配置も考えるなど、方策を持つべきでした。
 その中心となる県立施設をなくしたいがために、民間に委ねる姿勢は、県の障害福祉の基本的構想が余りにも不十分であることを示しています。
 民間事業者は、採算ベースが運営の基本にあり、重症児施設が大規模となったのではないでしょうか。
 そこで、教育の保障についての方針を伺います。教育と必要とする子どもたち何人と見込んでいるのでしょうか。本来なら、重症児施設や入所児童のために水戸養護学校の分校の位置づけをしなければならないと考えますが、所見をお聞かせ下さい。
○橋本知事 水戸養護学校の分教室という形で今運営をさせていただいているところでございますけれども、これにつきましては、実は、分校時代、平成元年、児童数30人で教職員19人で済んでおりました。しかし、平成20年に数値を見ましたら、児童数7人で、教職員が16人、教頭とか事務職員なども置いているということで、隣接していて、そこまで必要ないのではないかということで、分教室にさせていただいた次第でございます。
 現在は、児童数6人で4人の教職員で担当しておるところでございます。今回の新しいこども福祉医療センターの中で、どのぐらいの生徒数が予想されるのかということでございますけれども、今、私どもが現段階でつかんでいる重症心身障害児施設への入所希望者のうち、30名程度が学齢児と思っております。その約半数程度、13人ぐらいが現在、訪問教育を受けておりますので、残りの半数が入所後、本校へ通学することが想定されるところでございます。
 現在の児童を合わせて、今の段階で約20名程度と考えられますが、これからあとまだ少し余裕がありますものですから、そこにどういう方が入ってくるかによって変わってくると思います。
○大内委員 これまでのこどもセンターには、教育の保障として2年前まで吉沢分校が存在していたのです。分校には、教頭、教員、養護教諭などが配置されますが、訪問教育は、週3回、1回2時間が標準です。分校の位置づけを行い、必要な教員の配置、教室の整備など、設計段階で組み入れなければなりません。教育予算も関係してきます。新施設について、水戸養護学校やPTAなど入所者への説明はこれからということです。分校として取り組むよう提案します。
 施設の運営と県が委託するリハビリの充実、発達障害児への医療的支援、地域療育等の支援事業など、職員体制はこれまでの倍以上になると伺っております。
 現在の県職員としての身分を保障し、採用されるのでしょうか。20年も障害児医療に関わっている医師や30年以上の理学療法士や言語聴覚士など、専門性と豊かな経験を生かすことは当然です。見解を求めます。
○橋本知事 新施設におきましては、当然のことながら、現在のセンターの役割と機能を引き継いでいくわけでございますので、ノウハウを持ち、利用者と信頼関係のある県施設の職員の活用を図っていくことも大変必要ではないかと考えております。
 このため、特に、医師や理学療法士など利用者と直接かかわる職員については、治療や訓練の継続性を確保する必要なども考えて、事業者及び利用者双方から新設に変わってほしいという強い要望を受けていることなども踏まえて、県職員としての派遣、あるいは法人への移籍について、本人の意向を確認しながら、今後調整を図ってまいりたいと考えております。
○大内委員 2008年5月の国連の障害者権利条約では、障害のある子どもが一般の教育制度から排除されず参加を保障される教育、インクルーシブ教育の確立を提唱したのです。障害児に対する医療と福祉、教育の保障について、本来、県の公的責任は大きいのです。関係者にきちんと説明を行い、要望・意見を聞き、必要な予算措置を行うなど、県が役割を果たさなければならないことを強調して、この質問を終わります。

2.被災者支援について

○大内委員 東日本大震災から3カ月がたちました。被災者に対して、国や県が必要な支援を速やかに具体的に行わなければなりません。本県の住宅被害は6月15日時点で、全壊2,052戸、半壊1万3,823戸、一部損壊12万7,544戸です。被災家屋は14万3千戸で、持ち家世帯の約2割に当たります。国の被災者生活再建支援法では、全壊に300万円、大規模半壊に250万円支援していますが、さらに拡充しなければなりません。一部損壊には見舞金も家屋の修理補助などの支援策はありません。「屋根や家屋の補修で見積もりをとったら、600万円もかかるということです。年金暮らしで新たなローンを組むことはできません」など、私は切実な訴えをたくさん聞いてまいりました。
 日立市や常陸太田市、大洗町などでは、独自の支援策を決めました。本県でも家屋の補修に対する支援策を創設すべきと考えますが、被災住宅支援について知事の見解を求めます。
○橋本知事 日立市など4市町におきましては、既に被災家屋を補修するための制度を市独自の財源により設けているところでございます。
 しかし、その後、社会資本整備総合交付金につきましても、今回の震災を契機に、新たに被災家屋の補修を行う市町村独自の助成制度への適用も可能であることが国から示されたところでございます。
 私どもとしては、そういうことも踏まえまして、市町村におきまして、新たに被災家屋を補修するための助成制度をつくってほしいなと考えております。ただ、今年度の交付金につきましては、地域住宅支援分野のものにつきましては、必要な国費が73億6,400万円に対して、内示が67億900万円と91.1%にとどまっております。
 そういうことでございまして、既にこの交付金が市町村へ配分されて、使途が決まっておりますこと、また、多分対象被害家屋というものが大変たくさん出てくるのではないかといったことなどから、何とか国の方から追加配分をしてもらえないかどうか、そういうことも含めて市町村と話をしていきたいと思っております。
○大内委員 確かに県内の市町村では、このような事業を行って、財源がないということで、独自に一般財源で見なければならないということでございます。
さて、県段階では、昨年3月、秋田県が全国初めて住宅リフォーム制度の実施に踏み出しました。工事費の10%、最大20万円を補助するものです。県の制度に伴い、ほとんどの市町村が制度を創設して大きな効果をあげています。これらの財源も、さきほど知事が答弁しように、社会資本整備総合交付金、この活用をすることができるわけです。昨日の国会答弁でも、日本共産党の議員に被災者の家屋にも活用でき、補助増額についても検討すると大臣が答えております。
 本県の交付金は1,046億1,200万円ですが、既に配分は決まっています。第2次補正で大幅に増額させなければ、このことはもっと有効に活用できないのでございます。
 そこで、知事、私が提案するのは、県として、この被災者家屋支援住宅リフォーム制度、これをつくれば、県内の商工団体も、そして地域の活性化にもつながるということで、強い要望が出ているのでございます。市町村だけに任せるのではなくて、県独自の支援策をつくり、国に交付金の増額を求めるなど、積極的に取り組むことを求めるものですが、再度見解を伺います。
○橋本知事 現在、住宅リフォーム助成制度につきましては、社会資本整備総合交付金を活用して、11ほどの市町村が実施しておるところでございますし、これは、だんだん拡大している傾向にございます。そういうことも踏まえて、私どもとしては、それぞれの市町村が市町村内の業者による施工ということを条件にしながら、地域活性化と絡めてやっておるものですから、全体としての国の方の交付金の枠を増やしていくことによって対応できるのではないかと思っております。
○大内委員 知事は市町村が行うことを枠を拡大要望すると言っているわけですけれども、私の提案は、秋田県のように、独自に県が支援策をつくれば、市町村に広がって全体的にこの家屋の補修とリフォーム事業が進み、県内の中小業者もそのことを望んでいると、このことをしっかりとらまえていただきたいと強く要望いたします。

3.原子力発電とエネルギー政策について

○大内委員 次に原子力発電とエネルギー政策について質問いたします。
 福島原発事故は、日本と世界の人々に大きな衝撃を与え、原発に依存したエネルギー政策をこのまま続けていいのかという、重大な問題を突きつけています。イタリアでは、先日実施された国民投票で、原発復活に反対が94%と圧倒的多数でした。福島原発は、地震と津波ですべての電源を失い、冷却ができなくなり、水素爆発と炉心溶融がおこり、放射性物質が大量に放出されました。未だに収束せず、被害の拡大が続いています。
 放射能汚染は、本県も含めて広範囲で、土壌、水道水、牧草、農作物、水産物などに被害を及ぼしています。海洋汚染も深刻です。
 今の原発は、冷却水がなくなると炉心が溶けてコントロール不能となり、大災厄をもたらすという本質的欠陥が証明されました。
 また、使用済み核燃料を後始末する方法が確立されておりません。原発技術の重大な弱点であり、危険性も明らかです。
 本県は、45年前に全国初の商業炉として東海原発が動き、10年前に廃止となりました。開始と廃止がおこなわれた唯一の県です。私は改めて、運転から33年がたちました東海第二原発について、廃止を求めるものです。
 そこで、知事に質問いたします。東海第二原発で、今度の災害によってどんなことがおきたのか。地震と津波の危険性についての見解をお示し下さい。
○橋本知事 今回の地震による津波に対しましたは、辛うじて東海第二発電所では安全に停止ができたところでございますけれども、このままでは十分ではないのではないかとくことで、国から緊急安全対策の指示を受けまして、高さ15メートルの津波を想定して移動式発電機や可搬式動力ポンプ等を高台へ配備しますとともに、原子炉建屋を囲むような高さ15メートルの防潮堤の設置を検討しているところでございまして、津波対策の強化に取り組んでいるところでございます。
 しかし、これで十分かどうかということになりますと、これはこれから十分に検証していかなければいけないと思っております。例えば、地震の可能性というものが最近、茨城県沖というようなことも大分言われておりますし、それがどのぐらいの可能性があるのかということも十分検討しなければいけません。
 また、今回の原子力事故を踏まえまして、どこに原因があったのか、そこについて、津波であらゆることが起きたというだけではないようないろいろな検討もしてみなければいけないのではないかなと思っておりますので、原子力安全委員会の方で、福島の検証が終わった後、それを踏まえていろいろ検討していただけたらと思っております。
○大内委員 ところで知事は、災害の後、現地の調査を行っているでしょうか、お答え下さい。
○橋本知事 東海第二原発につきましては、現在のところ行っておりません。近いうちに行こうと思っております。
○大内委員 行っていないということでした。国際原子力機関も日本に来て、最初の調査は5月26日、東海第2原発でした。知事の答弁通り、6.1mの防護堤工事が未完成ということで、5.4mの津波が来たのです。地震で外部電源が使えなくなり、非常用発電3台のうち、冷却用海水ポンプが津波で水没して、1台は手動で停止し、残り2台で2日間、原子炉を冷やし、3日後に外部電源とつなぐことができ、福島のようにはならなかったのです。
 私は現地調査をして改めて、あと70センチ以上高かったら大変なことになったと思いました。
 日本原電は、来年3月まで、あと1.5m防護堤の嵩上げを行い、7.6mにするということは明記しております。しかし、福島を襲った15mを想定した防潮堤設置は、検討中、まだ決まっていない、こういうことでございます。
 そこで、パネルをご覧いただきたいと思います。これは、地震予知連絡会が定めていた特定観測地域です。東海第二原発は、このプレート、これがちょうど交差しているところに近い、それから、この近くには海底に活断層が無数にある。ですから、今回、津波、予想外だったと言われておりますけれども、危険地帯ということについては、これはもう既に明らかにされていた地帯のものでございます。
 地震予知連絡会の島崎会長は「日本海溝でマグニチュード9級の地震は起きないと思い込んでいた」と語っています。茂木元会長も「今までないから、今後もないとはいえない、ということを今回の地震で教えられた」とのべています。大地震や大津波に見舞われる危険性がないと断言できる原発は、全国54基どこにもないということでございます。東海第二も同じです。
 知事は今後、この大地震、大津波にどのように、原発の立地を含めて検討だと言っておりますけれども、私は、もうこれ見ただけでも、原発はどこでも危険なところに立地しているという認識をもつわけですが、いかがですか。
○橋本知事 この間の東日本大震災の確率で言うと、0.01と言われたところで起きておりますので、そういった点では、委員のおっしゃられることはまことにそのとおりだと思っております。ただ、一方で、今定期検査の最中で、11月に終わってまいります。それまでにどういうことをやっていくのか、例えば、15メートルの防潮堤、これにつきましても、私のところには責任者がやってまいりまして、やる方向で検討しているということで、周りをぐるっと取り囲みまして、後ろはがけですから、これでやっていきたいという話をしていかれております。
 今後どういう方策をとっていくのか、しっかりと見ながら方向を決めていきたいと思っているところでございまして、今の段階でどうということを申し上げるわけにはいきませんが、ただ、私どもとして、今、全国の知事が、ある意味一番関心がありますのが浜岡原発を止めました。30年以内に87%確率ということで止めているのですけれども、0.0でも起きているということになると、全部一緒じゃないかと。何であれだけ止めたんだろうと。安全対策をどうすれば、それでは十分なのだというようなことについてしっかりと国からの説明がないと、私どもとして対応のしようがないということを全国の原子力発電所の立地道県の知事の間では話しているところでございます。
 いろいろそういうことを踏まえながら、これから検討を重ねてまいりたいと思っております。
○大内委員 予想した津波に耐えられるような防護堤、防潮堤、この高さをどのぐらいにしたか、そのことによって、この大事故を防げる、そういう自然的な日本列島を取り巻く状況のもとでは、想定がもうできないということで、原発は危険なものであり、なくさなければならないというのが世論でございます。
 そこで、福島のような重大事故を想定した場合に、10キロメートル、20キロメートル、30キロメートルの避難区域、その人口想定含めまして、茨城県はどのような影響を予測するのでしょうか。伺いたいと思います。
○橋本知事 10キロメートル、20キロメートル、30キロメートルのそれぞれの範囲に入ってくる人口等につきましては、もちろん私ども把握をしておりますけれども、どういう事故の場合に、どういう被害に拡大していくかということについては、現在のところ、20キロメートル、30キロメートルといったようなことについてはやっていないのが実情でございます。これにつきましては、原子力防災指針の中でEPZとして8ないし10キロメートルというものが定められております。それに従いまして、全国的にも10キロメートルということについて一応のポイントを置きながら対応をやっているところでございます。これから、今回の事故を踏まえまして、そういった点については、全面的な見直しをしていく必要があるのではないかなと考えております。
○大内委員 パネルをご覧下さい。これは私が独自に10キロメートル、20キロメートル、30キロメートル、40キロメートル、50キロメートルを地図に落としたというものです。そして、この20キロメートル、ここに県庁があり、それから10キロメートルちょっと過ぎたところにオフサイトセンター、災害のときの拠点になる施設があります。福島のよう事故が起きたら、もうすべて県の本部も、国の現地対策本部もすっぽり包まれてしまう。ですから、知事が今後検討と言いましたけれども、即、このような影響がどのように出るかということは、すぐにでも県の段階で予測をしなければならないわけです。因みに20キロメートル圏内に住む人口は71万人、福島の10倍、日本で一番の人口であるという、これが茨城県の東海第二原発の影響力ははかり知れないという人口密集地にある問題でございます
 1995年1月の阪神大震災直後の第1回定例会が、私が県議になって初めての質問でした。そこで私は、東海第二原発の地震対策についてとりあげました。当時の生活環境部長は「耐震設計指針どおりの構造であり、安全です」と答弁しました。1979年にスリーマイル原発事故が起こり、1986年にチェルノブイリ原発事故という炉心溶融が起きた2つの過酷事故を経て、国際原子力機関(IAEA)は、1988年に勧告を各国に行いました。過酷事故の拡大防止と影響緩和策をとることについてです。しかし、日本だけは、勧告を無視して1992年に、「苛酷事故はおこらない」と、「安全神話」に固執する方針を決め、対策を全くとってきませんでした。
 福島の事故は対策を怠った、まさに人災です。「県民の安全が第一」と福井県知事は、運転再開に慎重な考えを示し、愛媛県知事も再稼働は認められないと表明しています。東海第二原発は、この災害の後、5月21日から11月まで第25回定期検査に入りました。ですから、今は停止しています。前回の定期検査では、炉心のシュラウド・サポートに、40カ所以上のひび割れが見つかるなど老朽化の症状がはっきり現われています。
 橋本知事は、国の動向を見てと、先ほどの答弁でしたけれども、私は、先ほどのどこも、もう地震、津波の危険性があるこの原発、そして33年たった東海第二原発、71万人も20キロメートル圏内に住んでいるこの東海第二原発、運転再開を認めない立場を県民に明確にすべきだと考えますが、答弁を求めます。
○橋本知事 私どもも別に福井の知事と変わっているわけではございませんで、安全が確認できなければ、もちろん認めないわけでございますし、安全が県の原子力安全委員会の中で大丈夫だと確認されたとしても、その後、原子力審議会というものもございます。そういった形で、安全面、あるいはまた県民の皆さん方の考え方といったものをもとに判断していかなければいけないと思っております。
 現段階でいいとも悪いとも全く私は考えておりませんで、ただ、早く原子力の事故が収まって、あの影響が少なくなってくれないかなと。そうすれば、あそこの事故についても、ちゃんと検証ができる。検証ができる中でいろいろな対応策というものも考えていけるのだろうと思っております。
 先ほど、まだ行っていないと申し上げましたけれども、11月までは定期検査の最中でございますから、私どもとしては、その間に、向こうの対応策というものの十分に聞いてやっていけばいい。それよりは、農業とか水産業に広がる風評被害対策等々に今力を入れているところでございます。
 そいったことでございますので、若干時間をいただきたいと思います。
○大内委員 風評被害の補償は全国的なものであり、茨城県でも、知事が先頭に立って取り組んでいることは承知しております。しかし、原発の存在そのものが、このような過酷事故が起きた場合には、日立にある経済活動も、そしてこの県庁の機能も避難地域となり、全く果たせなくなるという認識に立つならば、はっきり原発についての今後の知事がどういう対応をとるかということは、私は、知事に求められている最大の課題だというふうに思うわけでございます。
 そこで、過酷事故を想定していなかったことによって、茨城県の防災計画も、そして原子力の防災計画も現実には合わないものになってしまいました。地震と津波などの自然災害と原子力過酷事故が同時に起きた場合の防災計画は、これからつくらなければならないのでございます。
 自然災害のときには、知事が本部長で県庁に対策本部を設けます。原発事故では、総理大臣が本部長となり、国に対策本部を設けて、副大臣が現地対策本部の指揮をとり、県や市町村の職員は、ここに派遣をされるのです。本部は、ひたちなかのオフサイトセンターです。
 しかし、同時に起きた時は、この現地対策本部となるオフサイトセンターは、東海第二原発から11キロメートルしか離れておりません。避難区域となり、機能が果たせなくなってしまいます。県庁も東海第二原発から20キロメートルです。どのよう対応するのでしょうか。見解を示してください。
○橋本知事 オフサイトセンターにつきましては、近いところは本当に2、3キロメートルのところもある状況にございまして、最初の段階で、国の方でしっかりした指針を示してなかったというのが問題だと思います。
 私どもの県につきましては、実は、オフサイトセンターを9億円で2基つくりたいという話がありました。そして、1基は原子力研究所の中につくりたいと言ってきたものですから、原子力研究所そのものが対象だということで、あえてその2つを統合して離す形で、ひたちなか市十三奉行につくったところでございまして、当時としては、かなり離れておったのですけれども、今回の事故を見ますと、これで十分だろうかということは、委員のおっしゃるとおりになってきているわけでございます。
 そういうことを踏まえて、今後、原子力防災指針がどういうふうになっていくのかわかりませんけれども、いずれにしても、原子力防災指針そのものもかなり大幅に改定されると思います。今は、8〜10キロメートルということでEPZをやっていますけれども、これだともたないのは明らかでございますので、そうすると、何キロメートルまでやるのか、20キロメートルまでやるのか、30キロメートルまでやるのか、そしてオフサイトセンター、うちはまだ11キロメートル離れていますけれども、もっと近いところがたくさんあるわけですので、それをどういうふうに扱うのか、そういったことを含めて、これから議論をしていかなければいけないだろうと思いますし、オフサイトセンターそのものが今回はほとんど機能していないわけでございますけれども、間に入ることによって、スムーズにかえってこの仕事の対策が進まないのではないかという感じも私は持っておりまして、そういうことを含めて、いろいろ検討していく必要があるのだろうと思っております。
○大内委員 検討をしなければならない、当然のことでございます。そこで、住民の立場から見ますと、このような過酷事故を想定した防災訓練というのは、不十分なわけで、原発の所在の自治体と隣接の代表などで、この茨城県では何回か行われておりました。
 私はこの際、この避難計画、これも見直さなければならない。せめて30キロメートルに及ぶ避難計画、これをつくり、防災訓練が必要だと考えます。乳幼児の甲状腺がんを防ぐため、ヨウ素剤が有効であります。現在は10キロメートル圏内、40歳未満を対象に夜間人口想定の2日分しかありません。必要な配備と服用について、速やかに行える体制も必要です。これらの課題にどう取り組んでいくのか、合わせてお答えください。
○橋本知事 原子力防災訓練のやり方につきましては、事故検証委員会を受けて、原子力防災指針が改定されていくと思いますので、そういったものも参考にしながら、新しい総合防災訓練のあり方を検討していきたいと思っております。
 特に、例えば、屋内退避というのがございました。ああいったことが果たしてどういう場合やるべきなのか、あるいはああいうことは余りやらなくてもいいのかどうか、あるいはヨウ素剤の配布につきましては、余り早い時期に今回飲んでしまっていると、24時間でヨウ素剤の効果が切れてしまいます。そうすると、何回も飲むということについては、まだはっきりした説はございませんけれども、単回であれば副作用はないだろう。しかし、複数回になるとどうなるかというようなことについても、まだ明らかな医学界での判断というのはされてないようでございますので、そういったことについても、飲む時期をどうするかといったような問題はございます。
 私どもとしては、今、ヨウ素剤の配布状況を申し上げますと、市町村に27万6,000丸、県で同数を持っておりまして、合わせて55万2,000丸持っております。半径20キロメートル圏内の人口が70万人を超しますので、若干足りなくなってまいりますけれども、20万ぐらい足りないかなという感じになってまいりますが、そういったことについて、増やしていくということについては、そんなに難しいことではありませんから、やっていくことは十分に考えていきたいと思っておりますけれども、ただ、そういったものについてどう使うか。例えば、屋内退避というものを言って、それで一方でヨウ素剤を配布した市が福島にございました。そこの人たちは、どんどん茨城の方へ流れてまいりました。今何でもない状況になっております。そういうことなども踏まえて、やり方というものについては、十分に検討した上で、どういう形で配り、どういう形で飲んでいただくか、服用していただくかということについては、慎重な検討が必要だろうと思っております。
○大内委員 今、県民の中で、とりわけ子育てをしているお母さん方の不安は一番のものとなっております。
 そこで、私が取り上げてきた過酷事故を想定した、まず計画、そして避難訓練などを県民にきちんと示せば、そこでヨウ素剤の服用についても、どういうときに服用するか、特に、6歳までは液体で溶かして服用しなければならないということをどれだけの方が知っているでしょうか。ほとんど知らされていない。これが現状です。
 ですから、あくまでも原発が存在している以上、過酷事故は起こると想定をして、影響が出てくる30キロメートル、71万人を対象にした、このような緊急時に備える。私は、具体的にヨウ素剤という提案をしましたけれども、その一つとってみても、ほとんどの方がどんなときに服用するかもわからない状況にあるということ自体が問題でございます。
 この際、私は、このような事故を想定して、きちんと県民を信頼して、各家庭に配備をして、こういうときに、こういう事態に飲むのが適正ですよということまで踏まえて、思い切った対策をとらなければならないということを提起をするものでございます。
 県民は、知らないことが不安だということです。ところが、対策本部になる、自然災害ですが、県庁には、固定の放射線測定局モニタリングポストがありません。県庁職員がきょうは、一体放射線量はどのぐらいなのかとリアルタイムで見られなければならないわけでございます。正確な情報を知る、そしてきちんと判断をする、そういう県の体制、県民への提供、これが私は根本だと思います。県庁と全市町村に固定のモニタリングポストの配備について伺います。
○橋本知事 先ほどのヨウ素剤の話でございますけれども、福島で現実に配られて飲んでしまっている人もいるんですね。ですから、十分にそこは注意をしながらやっていかなければいけないと思っております。
 それから、もう一つの固定の放射線測定局でございますけれども、これにつきましては、実は、今の固定測定局というのは、風の流れ、その中にどういうふうに含まれているかということを測るようになっておりまして、一番低いところで1.5メートル、山口県、一番高いところは宮城県で80.3メートルのところでやっているのです。ですから、これは物凄い差が出てきております。これをどうするか。その流れの把握でいいのかどうか。私は、それよりは市町村が必要としているのは、この1メートル位のところで、子どもたちにどう影響するかということだと思います。
 そういった点からすると、この固定放射線測定局ということについては、文部科学省の方で、できるだけ建物なんかの影響を受けないように、そういう場所に付けなさいといっておりますので、逆に言えば、低いところへ付けるためには別の方法をまた考えてもいいのかなと思っております。
 いずれにしましても、住民の皆さんは大変心配でしょうから、とりあえずの機械を各市町村に配布しましたけれども、どういう形で今後監視体制をしていくかということについては、検討してまいりたいと思っております。
 県庁の場合には、もともと石川町の方に監視センターがあったものですから、そこですべてを掌握するという形にしていたわけですけれども、今度、ひたちなかの方へ行ってしまいましたから、そういったことを踏まえて対応策というものを検討していきたいと思っております。
○大内委員 原発は危険であり、私は、老朽化した原発から段階的に廃止をして、原発ゼロを目指す、自然エネルギーへの切りかえが必要だと提起して、この質問を終わります。

〈パネル〉

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