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協同組合報vol.182
2018年5月号

診察よりメンバー同士の力

メンタルクリニックみさと 師長 大橋 由美子

 当クリニックデイケアは、20代から60代の患者さん(以下、メンバー)が通っていて、30代のメンバーの割合が一番高くなっています。デイケアの参加のしかたは、個人の目的や目標にあわせて様々です。基礎の疾患も様々ですが、過去にいじめを受けた体験者も多くいます。他者との関係や家族との関係で傷つき他人の目が怖い、人と接するのが怖い、コミュニケーションが苦手で何年も他人と話したことがない、外に出ることができず引きこもっていた等々の悩みを抱えている人たちがほとんどです。

●他者への気遣いまでできるようになった

メンバー手作りの駐車場看板
メンバー手作りの駐車場看板

 はじめはみんなの中に入れず、離れて過ごしていたメンバーが通所回数を重ねることで話ができるようになり、プログラムや休憩時間の交流で他のメンバーが同じような悩みをもっているとわかり共感、受容できたり、励まされたりして元気をもらうなど変化が生まれてきます。

 短気で何人かのメンバーと衝突を繰り返し「怖い」存在だった A さん。仕事の傍らプログラムに参加しますが、今では別人のようになっています。「デイケアでの経験がなかったら成長してなかったし仕事にも就けなかったと思う」「俺のせいで来られなくなったBさん、どうしているかな」と気遣いまでできるようになりました。

●成長し、晴れて正社員に

そば打ち
そば打ち

 自殺未遂、家庭内暴力を繰り返していたCさん。初めていじめ体験を告白、それへのメンバーからの共感と受容、プログラムへの積極参加を通じてメンバーから一目置かれる頼れる女性として成長し、一般就労に従事。その間挑戦していた資格試験を今春クリアし、晴れて正職員として医療系に就職しました。

●自力でたどり着いた「まあいいか運動」

 6年前の初診の時は緊張で何もしゃべれず、2年前までは受付で次の予約の確認を必ず5回以上しないと帰宅できなかったDさん。自力でたどり着いた「まあいいか運動」についてメンバーの前で解説してくれました。この考えの妨害要因として、完璧主義、ゼロか百かの発想を紹介。「他人から傷つけられたらどうするのか」というメンバーからの質問に対しては逃げたら良いと返し、結論として「間違ったって良い。百点じゃなくて良い。自分も他人も思い通りにならない」と板書して解説を締めくくりました。

 その1週間後、就労恐怖のみを語り突然感情失禁をみせてスタッフを戸惑わせるEさんが、珍しく「Dさんの話を聴きたい」とプログラムの注文をしてくれました。 

●メンバーがメンバーを救う

革細工 革細工
革細工

 メンバーのあいだから生まれる、キラキラした、スタッフが思いもかけなかったような一言がどれだけメンバーを救ってきたか体験させてもらっています。スタッフとしては、メンバーからの宝石のような言葉や態度が、自然に生まれて、他のメンバーの中で実を結べるように応援していこうと思っています。

※Dさんが帰り道で作った俳句を紹介します。

  ひとりでは かかえないでよ デイケアへ

  デイケアは 心の悩み ときほぐす

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