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協同組合報vol.178
2018年1月号

インフォメーション1

「医療と福祉」予算合宿

中林梓氏の講演を聞いて

東京勤労者医療会 大葉 清隆

 中林梓氏は2018年度診療報酬改定の基本方向を概ね以下のように語った。私はここまでして、厚労省官僚は医療機関の機能分化のために狡猾な知恵を使うのかと舌をまいた。

●2018年度診療報酬改定の位置づけ

講演する中林さん
講演する中林さん

 2018年度の改定は、6年に一度の診療報酬と介護報酬の同時改定であり、団塊の世代が全て75歳以上の高齢者となる2025年に向けた道筋を示す実質改定となるため、医療・介護両制度にとって重要な節目となる。

 今回の改定では、医療機能の分化・強化、連携や、医療と介護の役割分担と切れ目のない連携を着実に進めることが重要であるとされている。

 今後の医療ニーズの変化や生産年齢人口の減少、医療技術の進歩等も踏まえ、制度を支える医療現場の人材確保が重要である。

●改定の基本的視点と具体的方向性

○地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進

 患者の状態等に応じて質の高い医療が適切に受けられるとともに、必要に応じて介護サービスと連携・協働する等、切れ目のない医療・介護提供体制が確保されることが重要である。(図1

 このためには、医療機能の分化・強化、連携を進め、効果的・効率的で質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築していくことが必要である。

【図1】
【図1】

○医療機関間の連携(病病連携・病診連携・診診連携)

○かかりつけ医機能と連携の強化

 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、複数の慢性疾患を有する患者に対し、療養上の指導、服薬管理、健康管理等の対応を継続的に実施するなど、個別の疾患だけでなく、患者の療養環境や希望に応じた診療が行われるよう、かかりつけ医の機能を評価。薬剤調製などの対物業務に係る評価や、いわゆる門前薬局・同一敷地内薬局の評価の「適正化」をすすめる。

○医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価

 人口構造や疾病構造の変化に伴い、入院医療ニーズも多様化する中、地域において必要な入院医療が提供されるよう、医療機能や患者の状態に応じた評価を行い、医療機能の分化・強化、連携を推進。7対1、10対1という枠組みよりも患者の医療看護必要度に視点を移行させる。(図2

【図2】
【図2】

○外来医療の機能分化、重症化予防の取組の推進

 大病院受診時定額負担の見直しを含め、大病院と中小病院・診療所の機能分化を推進し、生活習慣病の増加等に対応できるよう、情報通信技術(ICT)の有効活用や、かかりつけ医と専門医療機関等との連携、医療機関と保険者、地方公共団体等との連携をすすめる。

○質の高い在宅医療・訪問看護の確保

 多様化しながら増大する在宅医療ニーズに対応できるよう、地域の状況、患者の状態、医療内容、住まい・住まい方等に応じた、質の高い訪問診療、訪問看護、歯科訪問診療及び訪問薬剤管理等を評価する。(図3

【図3】
【図3】

○重点的な対応が求められる医療分野の充実

 緩和ケアを含む質の高いがん医療、認知症の者に対する適切な医療、地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療、 難病患者に対する適切な医療、 医薬品、医療機器、検査等におけるイノベーションを含む先進的な医療技術を評価する。

○ICT等の将来の医療を担う新たな技術の着実な導入、データの収集・利活用の推進

 最新の技術革新を取り込むことにより、医療の質を向上させるため、遠隔診療の適切な活用や、医療連携を含めたICT等の有効活用をすすめるとともにデータを収集・利活用し、実態やエビデンスに基づく評価を推進する。

○アウトカムに着目した評価の推進

 質の高いリハビリテーションの評価をはじめとして、アウトカムに着目した評価を推進する。

●最後に中林氏が強調したのは

○自院の患者さんも高齢化していく。高齢化・認知症発症・廃用症候群、単独世帯・老々世帯が増加していく。外来に通えなくなったらどうするか? 在宅医療実施か連携である。

 軽度だが急性期(発熱・脱水・低栄養等)の対応は? 入院可能な医療機関との連携を構築しておく。

 認知症悪化の場合は? 認知症治療病棟や介護施設との連携である。歩けなくなってきたら? 通リハ・訪問リハ・地域包括ケア病棟紹介が必要になる。

○地域の医療介護ニーズを正確に捉えることが最重要

 地域医療構想、人口推移 、地域の他の医療機関の動向、自院の患者さんの年齢構成、地域の介護サービスの需要と供給は把握すべきである。

○医療の重点が移動している

 高度急性期は重要(だが)、現実は患者のほとんどは高齢者であるので、ニーズは生活を支える医療(急性期も)であることは明らかである。自立支援の医療・リハビリ、院内のコメディカルを地域へ。地域のために何をするかアピールが重要である。自院の診療圏で地域医療におけるどの部分・分野の医療介護を担うのか、そうした議論を期待したい。

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