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協同組合報vol.105
2011年12月号

インフォメーション2

薬害イレッサ東京高裁判決

―国・企業の責任を認めず、医師の責任に

(株)外苑企画商事 藤竿伊知郎


 11月15日、東京高等裁判所は、一審判決をくつがえし、国とアストラゼネカ社の責任を認めない不当判決を出しました。

●国・企業の責任を認めた地裁判決

写真 イレッサは、アストラゼネカ社が開発した肺がん治療薬。2002年7月、わずか5ヵ月の審査で厚生省は輸入を承認しました。

 発売前からインターネットやマスコミを通じて「副作用の少ない夢の新薬」という宣伝が行われていました。一方で、間質性肺炎の危険性は添付文書の裏面に、下痢や皮膚症状の記載のあと4番目に記載するという不備がありました。この結果、発売後半年で180名が間質性肺炎で死亡し、今年9月までに843名の副作用死が報告されています。

 6年を超える審理の結果、2月25日大阪地裁でアストラゼネカ社、3月23日東京地裁ではアストラゼネカ社と国の責任を認める判決を出しました。医療現場へ薬の安全性情報伝達が不十分であったことが認められたのです。

●ところが高裁判決では

 高裁判決では、「有害事象と医薬品投与との間に『因果関係がある』」ことを「具体的事実に基づいて認定した上で、これに基づいて、添付文書における副作用の記載に欠陥等があったといえるかどうかを判断する必要がある」としました。因果関係が確定しなければ対策不要というのでは、薬害再発を防げません。

 また、添付文書による情報伝達が不十分であったという地裁判決を否定し、副作用死発生の責任は医師にあると書いています。その部分を引用します。

 「本件添付文書第1版は、イレッサの適応を『手術不能・再発非小細胞肺癌』に限定し、『重大な副作用』欄に間質性肺炎を含む4つの疾病又は症状を掲げていたのであり、添付文書を一読すれば、イレッサには4つの重大な副作用があり、適応も非小細胞肺癌一般ではなく、手術不能・再発非小細胞肺癌に限定されていることを読み取ることができ、それを読む者が癌専門医又は肺癌に係る抗癌剤治療医であるならば、それが副作用を全く生じない医薬品とはいえないものであることを容易に理解し得たと考えられる。これらの医師が,仮に本件添付文書第1版の記載からその趣旨を読み取ることができなかったとすれば、その者は添付文書の記載を重視していなかったものというほかない。」

●支援活動を強めていこう

 発売当時、重大な副作用はないとする医師向けの宣伝があふれていました。「Medical Tribune」2001年10月25日号で、近畿大学医学部第4内科中川和彦らは次のように語っています。

 「副作用では皮疹が非常に多く現れると言われていますが、その他、何か注意すべき副作用はみられますか。」

 「その他の副作用としては、頻度はそれほど高くはないのですが、下痢と肝機能障害が挙げられます。ただし、投与をある程度中止すれば非常に速やかに改善しますので、臨床上あまり問題にはならないと思います。」

 間質性肺炎にはまったく触れていません。このページのスポンサーはアストラゼネカ社でした。

 事実を認めず医療機関に責任転嫁をはかる不当判決を確定させないため、支援活動を強めていきましょう。

【資料】
・ 薬害イレッサ 書庫
 http://www.gaiki.net/yakugai/gef/index.html

グラフ

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