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協同組合報vol.97
2011年4月号
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愛車カブで、恋人に会いに行く

東京都現代美術館文●東京勤勤医会 法人組織部 新井 潔(写真はインターネットより)

在りし日の同潤会清砂通アパート(上) 現代美術館のレストラン(下) 母親の自宅介護が6年目をむかえ、長期の休みを利用しての旅行などは望むべくも無い。

 そんな日常でも時間が3時間あると、「エイヤ」と愛車カブC100を駆り、三つ目通りの東京都現代美術館にいる恋人に会いに行く。おおよそ片道50分の道のりは、そろそろ齢(よわい)48を迎えるOHVエンジンにはちょうどいいリハビリである。

 近くには民医連の扇橋診療所。清州通り交差点の、「同潤会」アパートの中でも600世帯と全国屈指の規模を誇った清砂通りアパートは、解体されて久しい。ちょっと感慨に浸ろう。

 石原「箱モノ」行政の象徴と揶揄される現代美術館は、特別展示のない日は閑古鳥が鳴いている。外国からの観光客の方が日本人を上回るような状態だ。

 恋人「へアリボンの少女」の作者ロイ・リキテンスタインは、アンディ・ウォーホルと並ぶ、いわゆる60年代アメリカンポップカルチャーの旗手。新聞連載の通俗な漫画の1コマを、印刷インクのドットまで含めてキャンヴァスに拡大して描いた作品で名を成した。

 そうそうこの絵の購入時は、「こんな漫画みたいなものに都民の血税6億円を使うのか!」と都議会が紛糾した。発言した議員の見識の無さは失笑ものだが、購入価格6億5千万は確かに「吹っかけられた」のだろう。リキテンスタインも草葉の陰で「てへっ」と笑っているに違いない(アメリカでも草葉の陰というのかしら)。

 恋人との逢瀬が過ぎたら、地下のハイカラな喫茶室へ。定番のエリック・サティ「ジムノベティ」の音が、温かみある管球アンプから流れている。ここはひとつ550円のコーヒーを奮発し、至福の時を過ごそう。

 帰り道はちょっと憂鬱。嫁に「この現実逃避!」となじられることは必定だ。でも「へっへっ、こいつだけはやめられませんぜ、お客さん」なのである。



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