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協同組合報vol.73
2009年4月号

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トピックス(2) 報告

フィールドレポートに込められたそれぞれの思い

〜看護第2科の合宿研修から〜

写真
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上・下とも撮影=小林功氏

 4月20日(月)〜21日(火)の2日間にわたって、東葛看護専門学校看護第2科の合宿研修が行われました。この合宿研修は1年生では看護総論の一環として位置づけられており、2年生にとっては1年間の学びの総括を行い、2年の出発点となるものです。

 1年生の合宿研修は患者さん宅への訪問から始まります。5〜6人でグループを組んで訪問し、患者さんの生の声を聞き、介護者の苦労を目の当たりにし、病気を抱えて生きるとはどういうことか、自分が何をどう感じたかをグループごとにレポートにまとめて発表します。その発表が20日の午前9時から午前中かけて東葛看護専門学校の講堂で行われました。

 午後1時からは2年生の「学びのガイダンス」があり、そのあと各係りが準備に入り、午後6時から夕食、午後7時半からレクリエーション、体育館での合宿と続きます。翌21日は朝食のあと、全体の振り返りを行って解散となります。

 それにしても、入学早々、授業が始まる前に患者さん宅を訪問するなんて、少々早すぎるのでは? 実際、「患者さんの生活史を聞いて何の役に立つのだろう?」「何を話せばいいの?」と、戸惑う学生も多いそうです。看護第2科教務主任の松原郁子さんは「合宿研修には深い意味があるんです」と話します。それでは、松原さんのお話と、当日のフィールドレポート発表をドッキングさせながら、その“深い意味”を探ってみましょう。

「事実から出発する」って?

2科教務主任の松原さん
2科教務主任の松原さん

 看護第2科には年齢も経験も様々な学生が集まります。今年の入学生37人のうち半数は看護師経験者。経験の中で自分なりの看護観を作り上げている人もいます。

 「だからこそ2科は、『事実から出発する』ことを新入生の最大の目標としています。合宿研修は地域で生活する患者さんの生の声や生き方から事実を発見することが目的です」と松原さん。

 でも、「事実を発見する」って、そんなに簡単なことではないのでは? 「いえ、患者さんのお話をありのままに聞いて、クラスの仲間にありのままに紹介できればいいんです。患者さんの生の声を聞くことで、健康って何だろう、看護って何だろうということを考えていく。これが『事実からの出発』ということなんです」

 重い病気を抱えた患者さんの言葉はときとして学生の胸に鋭く突き刺さり、その重さにたじろぐこともあります。1グループが訪問したAさん(男性)は50代前半にもかかわらず心臓動脈疾患を患い、手術の合併症で脊髄梗塞となり、下肢が麻痺しています。それでも自分の人生をあきらめずに通信で社会保険労務士の資格に挑戦し、社会に参加したいと願っています。

 学生たちはその姿勢に感動しつつ、「生きる力は自分で見つけるしかないんだよ」と話すAさんの言葉を聞き、「その言葉が私自身に重くのしかかってきた」「一言では表現できないほど、奥深く重い言葉に感じた」と、そこにたどり着くまでのAさんの苦悩に思いをはせます。そして、「あきらめないことの大切さを改めて感じ、これから頑張っていこうと思う」と結んだ学生もいます。

自分の中の何かが変わっていく

フィールドレポートの発表
フィールドレポートの発表
会場から活発な発言が
会場から活発な発言が

 5グループが訪問したTさんは慢性心不全を抱える87歳の女性です。8歳から子守り奉公に出され、「いつも泣いていた」と話します。奉公のあとも、魚の行商、缶詰工場、お好み焼き屋など、「貧乏人」とさげすまれながらも働き続けてきました。

 その苦労話は学生たちの想像を超えていたようですが、だからこそ、「私は辛く悲しい体験で何度も涙を流してきたから、人にはけっしてそんな思いはさせたくない」「今の幸せがあるのは周囲の人のおかげと感謝している」と語るTさんならではの言葉は学生たちの胸を強く打ちました。そこで、テーマを『辛い過去を仲間と笑顔で乗りきり、真の幸福をつかむまで』と決めました。

 学生たちの感想には、懸命に生きてきたTさんへの共鳴が表れています。「患者さんの思いをしっかり聞くことの大切さを学び、患者さんの歩んできた人生の大きさに感動しました」「辛く厳しい時代を生きぬいてきた方のおかげで、今の豊かな日本があることを肝に銘じたい」

 事実の重みの前にたじろぎながらも、患者さんの人生に共感し、自分の中の何かが変わっていく……学生一人ひとりの小さな変化が感じ取れる発表となっていました。

「仲間づくり」のレッスンの場にも

待ちに待った夕食 レクリエーションの一コマ

 合宿研修は「仲間づくり」のレッスンの場にもなっているそうです。

 「同じ患者さんの話を聞いても、違うとらえ方があることに気づきます。様々な意見を出し合い、議論し、力を合わせて一つのレポートを作り上げていく作業はなかなか大変なんですよ」と松原さん。

 同時に全員がリーダー、サブリーダー、食事係り、レク係り、保健ニュース係りに分かれ、一人ひとりが役割を担うことでリーダーシップ、メンバーシップについても学んでいきます。そして、2日間を通して、仲良くなっていきます。松原さんは最後にこう語りました。

 「これからもできるだけ患者さんの生活や労働のフィールドに触れながら、そのつどそのつど患者さんから学んでいきたいと思っています。そうしないと、患者さんの苦しみ、何を願っているのか、医療・看護に何を期待しているのかが見えてきませんから。患者さんからの学びから私たちの看護は始まります」

 この合宿研修が終わると、看護総論の授業が始まります。学生たちはきっと、入学して早々に出会った患者さんのことを繰り返し思い起こしながら授業を受けていくことでしょう。

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