個人情報の収集は、治療の重要なステップです。医療現場では、患者を診るよりも書類作成に追われることが悩みとなっています。
30年前から、POS/SOAP形式などで医療記録の改善をはかる動きがあります。しかし、時間に追われる現場では「前回と同じ」の繰り返しや、個人メモの状態が続いています。SOAP方式は、そんな時間をかけることはムリと敬遠されがちです。
基本を理解することで、現状の改善をはかれます。ポイントを紹介します。
● 記録することが目的ではない
ガイドラインなどにしたがって質問事項を整備していくと、聞かなければいけないことが増えていきます。記録を残さなければいけないという正論に対して、省略してみようという発言はしにくいものです。
患者に問診をすることは、患者が抱えている問題を明らかにし、治療方針を決定するために必要な行為です。そして、治療結果が有効であったのか、副作用など新しい問題を引き起こしてないのか聞き取る、重要な手段です。
詳しく聞くのは、初診時や治療の再評価時点にしぼり、時間を有効に使うようにしましょう。
● 使える記録を残す
読みにくい手書きの記録をめくることからは解放されましたが、小さなコンピュータ画面は一覧性が悪く、見落としを起こしやすい欠点があります。
退院時サマリーのように、その人が抱えている問題点を重要度順に整理し、治療方針と患者の理解状況をまとめた文書を、外来でも作成することをお薦めします。1年に1回という提案もありますが、ミーティングで報告された「気になる患者」に対してサマリーを作成することが現実的でしょう。
サマリーを作成することは、症例を検討し方針の見直しをするチャンスです。
● 患者との情報共有へ
今後、医療記録の開示を患者や患者家族から求められることが増えるでしょう。治療方針の決定や評価にあたり、患者の理解と合意をえるために、医療記録を患者に見せられるように整備することが必要です。
症例検討や学会発表で、患者さんの貴重な症例に学び職員が研鑽を積んでいることを紹介することも、信頼関係の形成に役立ちます。共同組織での医療講演会で治療技術を解説し、病気の理解を深めてもらうことで、問診時の回答がレベルアップします。
患者さんとともに医療をおこなっていくことが、リスク回避に役立ちます。
● 参考書
1. POSの基礎と実践 看護記録の刷新をめざして、日野原 重明 他、医学書院(1980.11)¥2,310
2. 本当に患者の利益になるPOSと薬歴の活用、上町 亜希子、薬事日報社(2005.8)¥2,520
● 参考サイト
1. 医学書院/週刊医学界新聞 〔鼎談〕誰がために記録はある(日野原重明,児玉安司,阿部俊子)
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2005dir/n2653dir/n2653_01.htm
2. 日本POS医療学会: eラーニング
http://www.pos.gr.jp/elearning.htm
3. 本当に患者の利益になるPOSと薬歴の活用
http://homepage3.nifty.com/akika-pos-yakuzaishi/
● 「リスクを減らす情報技術」まとめページ
http://www.gaiki.net/lib/2008/08b06saf0.html