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協同組合報vol.69
2008年12月号

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vol.69トップトピックス 記念講演1トピックス 記念講演2|リスクを減らす情報技術|読者のたよりから看護 NOW!

リスクを減らす情報技術 藤竿 伊知郎

(7)情報伝達

―― プライバシーを守る


写真 研修会で発表したり、ニュースの記事を書くときに、患者さんのプライバシーを守ることが大切です。不用意な記述で、患者さんが差別されたり、知らないうちに自分の情報が流されていることに不安を感じさせないようにしましょう。

 一方で、個人情報保護法を表面的に捉えて、過剰反応が見られることは残念です。私たちが発表するのは、専門職として研鑽を深め、医療事故や副作用を防ぐ目的があります。また、患者さんや地域の人に療養や介護の知識を紹介し、医療知識の格差を解消することも大切な仕事です。

 個人情報を取り扱う基本を紹介します。

● 本人に確認をしてもらう

 本人には病名も告げていないのに、学会で症例発表をしていた研究者の横暴な行為があったため、患者さんは不安がっています。具体的な事例を紹介することが医療安全の向上につながることを説明し、同意いただくことは最も重要な配慮です。

 その機会に、カルテや看護記録などに患者さんが読んだら不快になるような記載がないか、見直してみましょう。自分の観察結果を相手の発言と混在させたり、自分の価値基準で相手の行動を裁いていないか、チェックしてください。

● 匿名化する

 発表に合意を得ていても、本人が特定されると、病気を理由に就職差別を受けるなど不都合なことが起きる場合があります。その症例から教訓を引き出すために必要な情報以外は、できるだけ省きましょう。

 氏名、住所、生年月日、性別、患者番号など、個人が特定できる情報はマスクすることが求められます。過去には、部分情報を突き合わせて作った病人リストが販売されたことがあります。

 ニュースなど多くの人に読まれる媒体に載せる場合は、発表の趣旨を損なわない範囲で患者情報を脚色することも有用です。

医療記録の匿名化方法
不適切な記載 改善例 解説
斉○和×さん、Sさん 多嶋俊平さん(仮名)、Aさん イニシャルや伏字は、特定が容易。推測できない名称にする
68歳女性 60代 年齢は丸める。性別は必要がなければ省略する
2008年10月16日に発作 今年秋に発作、2008年10月に 日付は丸める
松戸市立病院に入院 近くの公立病院に入院 他にかかっている医療機関名は伏せる
勝手に中断 受診しなくなる 行動を一方的に評価しない。事実だけを記載する
わがままな性格で 家族の介護を拒否 人格を傷つける表現は避け、起きたことを記載する

● 目的を間違えない

 患者情報保護を意識しすぎて、発表を取りやめたり、具体的な症例経過を示さないことは、医療技術の向上を妨げ、かえって患者さんに不利益な状況を作り出します。今まで示されたガイドラインや解説は、念のためにという記載が多く、過剰反応を引き起こしました。

 プライバシーを守りながら医療の発展をめざす技術と法解釈は、発展途上です。これからの実践活動で、現実的な対策を作り出していきましょう。

● 参考サイト

1. 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」等について

 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1227-6.html

2. 【内閣府】個人情報保護トップページ

 http://www5.cao.go.jp/seikatsu/kojin/index.html

3. 医療情報の電子化とプライバシー再考

 http://www.fine.bun.kyoto-u.ac.jp/tr4/kurata.pdf

4. 個人情報

 http://www.livingroom.ne.jp/r/personaldata.htm

● 「リスクを減らす情報技術」まとめページ

 http://www.gaiki.net/lib/2008/08b06saf0.html

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