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協同組合報vol.69
2008年12月号

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トピックス 記念講演2

東京勤医会との20年 その到達と課題

協働 公認会計士事務所 公認会計士 坂根利幸

I 20年のトピックス 

1、東京勤医会の顧問開始

写真 「協働」は今年20周年を迎えました。そこで今日は「東京勤医会との20年」ということでお話ししたいと思います。

 民医連とのお付き合いが始まったのは1983年、山梨勤医協の倒産からでした。私の記憶ではその2年後だったと思いますが、1985年、旧東京勤医会の顧問になってほしいという依頼がありました。ただし税務だけという限定つきでしたが。その直後に旧中野勤医協の経営点検を依頼され、根本会計士と木村会計士が担当しました。これが東京民医連の最初の経営点検作業で、「あれ? 山梨だけではないぞ。民医連は課題がいっぱいありそうだ」と思ったのを覚えています。

 山梨勤医協の倒産の重要な教訓となった会計課題は、多くの民医連に共通するものでもありました。そこで私たち会計士が支援しながら民医連が作ったのが、1989年の「民医連統一会計基準」です。この会計基準を武器に多くの民医連が自ら経営評価を行うようになり、私たちも数多くの民医連の経営調査に適用しました。そうした実践を取り組む中で、勤医会も税務だけではまずいということになり、会計上の意見を言うようになりました。

 そうこうする中で、1987年ごろから東葛病院の再建に関わり始めます。苦しい闘いの中で金融機関、建設会社との話し合いをつけて、長期の再建計画を作りますが、利益が出てくるわけもなく、困ったなと思っていましたら、突如、東京勤医会との合同という話になりました。私自身は全く想定していませんでしたので、衝撃でした。東京勤医会は1985年にみさと協立病院の経営を継承しており、三つの法人が合同していくという事柄は、極めて面倒なこともありました。私は税務上の処理の考え方や面倒な課題の相談に乗ったりしました。

2、累積赤字への一大挑戦

 1992年に合同計画が発表され、翌93年に「医療法人財団東京勤労者医療会」が設立されます。合同で引き継いだ旧東葛病院の債務総額は41億4000万円であり、この合同によるコストによって、東京勤医会は利益が出ないというより、むしろ累積赤字が増えていく過程がありました。1994年の暮れ、「赤字を何とかしたい」という相談を受け、その年の正月はそれに忙殺されたのを覚えています。1月初旬に私から「経営の抜本転換を」という緊急提言を行い、理事会は「経営体質・構造の抜本的転換にただちにとりくもう」と提起します。これを受けて2月、抜本転換をめざした95年度予算大綱が決定されます。

 94年度決算は3億1000万円の赤字でした。それが抜本転換の取り組みによって、95年度は3億8700万円の経常利益を達成したのです。マイナス3億からプラス3億に、差し引き6億も改善するとは思ってもいませんでした。

 96年の事務長合宿に私も参加しました。95年の上半期ですでに利益が出始めていたんですが、なぜ利益が出るのか、どの事務長もわからない。したがって私もわからない(笑)。雑談のときに、「要するに今までがいい加減だったんだ」という話をした記憶があります。

 もう少し言いますと、民医連の経営は、一般の病院、あるいは一般の企業と違います。どこが違うかというと、“思い”や考え方の部分です。民主的管理運営という考え方は、人や効率を含めて経営的な意味で言えば、不採算みたいなことになりがちです。なぜなら、利益を最優先にしないからです。だから、少しうっかりすると、利益が出ない。利益は第一の目的にはしないけれど、赤字では困るということです。

3、代々木病院の自力建設方針の衝撃と闘い

 当時、代々木病院本館のリニューアルの課題があって、土地を売却することが前提でした。ところが、バブルがはじけたこともあって、突如、売らないと。これまた私には衝撃で、考えてみると、勤医会では衝撃的な出来事がいくつもありました(笑)。

 売らずに自力で建て替えるとなると、どうなるのか。建て替え事業は大きな課題ですから、これはえらいことだと思いました。しかし一方では、職員の力でマイナス3億からプラス3億に改善した取り組みがある、そういう取り組みができるならば病院は建つと思いました。

 一般企業と違って、民医連はこうやって予算合宿をして、みんなで議論します。こういうことは普通の企業ではまずありません。だから、手間も時間もコストもかかる。しかし、皆さん方の頭が少し変わると、すごいエネルギーになるということです。

II グループの到達と課題

1、到達

 ここで利益についてお話しします。赤字・黒字は計算の仕方で変わってくる部分があります。山梨勤医協のときは、利益を出さない限り返済できませんので、再建に歩みだした瞬間から利益を追求しました。事業収益の7%を返済資金積立金とし、これを経費に立ててなおかつ利益を出すという方法をとりました。そこから出る資金で、15年間で140億の大衆資金を返済するという計画でした。

 とにかく利益を出すことは極めて重要なことなのです。利益を第一の目的にしないという理念はいい。ただ、存続発展のためには一定の利益は必要です。

 赤字はしばらくたってから必ず資金化します。例えば退職金の準備を費用として積む。そのとき資金は出ません。しかし、いつかは退職金という資金は出て行く。したがって退職引当金を積んで赤字だという場合は、どこかでこの引当金部分のお金が足りなくなるということを意味します。そのことが理解されていないと、損益、赤字、黒字、お金がわからなくなってしまいます。

 お金が足りているように見えていても、赤字は必ず資金化して、お金が足りなくなる。毎年赤字が連続していれば、どこかでまとめて、あるいは連続してお金が足りなくなることになりかねない。その辺を少し整理して考えておく必要があります。

2、課題

写真
懇親会にて

 必要な利益というお話をしましたが、「必要な」ということをもう少し説明します。2009年度に必要だという場合は単年度として必要な利益です。もう一つは、3年から5年の間の必要利益はどのくらいかと。経営幹部の方々は2009年度の予算づくりの利益と、3年から5年の、事業収益と人件費と経常利益ぐらいでもいいですから、いつも考えておくことが大事です。そして、これをベースにしながら、2009年度の予算の論議をする。

 予算論議の背景になるのが必要な利益、それから、必要な事業キャッシュフロー、必要なお金です。この事業キャッシュフローを、3年から5年の損益計算の横に描いて、長期、短期の返済、資金の増減、設備投資を描いておく。とにかく3年から5年の間、このトータルをまかなえれば、あとは金のつなぎなんだということがわかるはずです。

 したがって、3年から5年の必要な事業キャッシュフローをまかなうための必要な利益、その中での2009年度の利益ということです。ぴったり合うなんてことはあり得ませんから、だいたいこのスパンで合っているということだけは、皆さん方のところで確認をしていただくことが必要だと思います。そうすれば、突如の危機はないはずです。

 この12月にこういう予算論議をしているところはほとんどありません。素晴らしい取り組みだと思います。皆さんのこれからの奮闘に期待しております。(拍手)

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