
島の象徴・トルハルバン(石のおじいさん) |
韓国の最南端にある済州島(チェジュド)という島をご存知でしょうか? 近年韓国の代表的なリゾート地として宣伝されている所です。
済州島は韓国最高峰、標高1950メートルの漢拏山(ハルラ山)の噴火によってできた火山島で、広さはほぼ大阪府と同じくらいです。漢拏山を中心に「オルム」と呼ばれる300を超える寄生火山(かつての噴火口)が点在しており、また、太古の溶岩流出によってできた巨大な洞窟も数多く存在します。これらが美しい景観をなし、昨年ユネスコの世界自然遺産に登録されました。
また西南部の海岸は切り立った崖が続き、風光明媚な大規模リゾート地になっています。このあたりは、様々な韓国ドラマのロケ地にも使われており、「チャングムの誓い」のそれも代表的な観光名所になっています。
このように済州島は豊かな自然に恵まれた美しい島です。しかし、この島のたどってきた歴史は決して平穏なものではありませんでした。36年にわたる日本の植民地支配は、当然この島にも大きな影響を与えました。とりわけ太平洋戦争の末期には、本土決戦にそなえ島全体が要塞化されます。もう少し終戦が長引いていれば、済州島も沖縄と同じ運命をたどっていたはずです。島には地下要塞や飛行場跡、人間魚雷の基地として掘られた洞窟など、生々しい痕跡が数多く残っています。
終戦により、いったんはこの島にも平和が訪れるように見えました。しかし旧ソ連と米国の思惑により朝鮮半島は二つに分断されます。1948年4月3日、半島の分断を阻止すべく、島民による武力蜂起が起きました。「4・3事件」と呼ばれるものです。これ対して政府軍・警察は激しい弾圧を加え、3万人以上の人々が犠牲になったと言われています。しかし、実際にどれくらいの人が殺されたのかは今も不明です。数年前からやっと、真相究明のため遺体の発掘調査などが行われるようになりました。
済州島の表玄関である済州国際空港は当時米軍の飛行場として使われていましたが、ここも集団処刑場のひとつでした。近年その発掘調査が行われ、数十体の遺骨が発掘されています。
もし済州島を訪れる機会があれば、島のそのような歴史にも想いを馳せてみてはいかがでしょうか。その旅がより実り多いものになるはずです。
【写真と文】
みさと協立病院・組織広報室 泊谷健一
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