情報を有効に生かすリスク管理には、わかりやすい文書が必要です。
仕事で出合う文書は、二通りに分類されます。相手が理解して行動することをめざす「提案文書」と、都合が悪いことを隠す「いいわけ文書」です。
私たちは、読者が時間をかけて解析し、行間に潜む真意を探ることに労力を必要とする文書を作らないようにしましょう。
文書を書くことは、現場で働く職員にとって苦痛な課題です。しかし、いくつかの基本を学ぶことで、必要な文書を作れるようになります。
● 定型を守ろう
大事な文書は、論文形式でまとめましょう。目的、主張・根拠、討論、結論の4部構成で記載することで、説得力のある文書ができます。この構成は科学論文の書き方に準じたものですが、ちょうど文学で期待される「起承転結」に対応します。
重要なことは、問題提起に対応した結論をつけることです。読者にどのような行動変化を起こしてもらうかがわかれば、他のセクションの記載が少々不十分でも著者の意図は伝わります。
セクションを分けることで、考えもまとまるし、読者も理解しやすくなります。
この連載のように、説得を目的としない文書では、セクションを並列にした「解説型」の構成も親しみやすいものです。
● 反論を意識しよう
「討論」の部は、日本ではなじみのない部分です。この部分は「考察」ともよばれるため、自分の感想を書くところと誤解されがちです。ここは、提案に対する読者の反論を意識した紙上討論をおこなうセクションです。
自分の主張にあったデータだけをもとにした文書は説得力に欠けるものです。医薬品メーカーのパンフレットが信用ならないように、一方的な主張をする文書は割り引いて読まれます。
反対意見も考慮したうえで結論を出す、弁証法の手法を取り入れるようにしましょう。
● 文字数を決めよう
いくら良い内容であっても、読まれなければ意味がありません。忙しい読者に読んでもらうには、字数を制限することが大切です。
A4用紙1枚以内に収めることをおすすめします。この連載は、本文1350字と図表とで構成しています。これくらいの文書であれば、内容を知らない人にも3分以内で読み取ってもらえます。
文字数は、Wordの場合、[ツール]−[文字カウント]をクリックすることで簡単に知ることが可能です。
参考資料を記載することで、詳しく知りたい読者の要望にもこたえることができます。
● 参考書
1. 医科学者のための知的活動の技法、諏訪 邦夫、メディカル・サイエンス・インターナショナル(2008.6) \2,625
2. 心くばりの文章術、高橋 麻奈、文春新書(2008.3)\746
3. 説得できるドキュメンテーション200の鉄則、永山 嘉昭・山崎 紅・黒田 聡、日経BP社(2005.6)\1,680
4. 論文のレトリック 改訂第2版 医学研究発表のTips & Pitfalls、広谷 速人、南江堂(2001.7)\3,150
● 参考サイト
1. 素人のためのコンピュータ講座
http://www.gaiki.net/lib/2007/07122com0.html
2. 文章の書き方・文書の作り方
http://www.gaiki.net/lib/199x/99/99a25wrt2.html