♪春のうららのすみだ川……♪
上京して35年。初めて隅田川の桜見物に行った。日曜日のせいか、早朝にもかかわらず、橋の上は水上バスを待つ人で長蛇の列。「ここが最後尾」と書いた札を持ちつつ並んでいる。川の真ん中を走る船は満員で沈みそう。
おもむろに川岸を歩き始めると、突然、
「杉本さん!!」
こんな見知らぬ土地で、誰が私の名を?
振り向くと、なんと堀場さんがにっこり。堀場さんは代々木病院医事課を2年前定年退職された方だ。家族でお花見とのこと。シートの上の手作りのお重が、とても美味しそう。
桜は見事な古木もあったが、ここは橋の上からの景観が素晴らしく、やっぱり♪春のうららの隅田川……眺めを何にたとうべき♪を実感した。
屋台からいい匂いがする頃、隅田川をあとにして落合へ。落合から東中野に向かって神田川沿いに歩く。右岸は中野区、左岸は新宿区。「アンニョンハセヨー」。韓国人のお花見客があちこちに。若い笑顔がほとばしる。
桜は両岸の枝が水の上で手をつなぐように咲き誇り、地元ながらあっぱれ。
新井中野通りや哲学堂、青山墓地の桜などを眺めたが、今年の桜はピンク色が薄く、全体的に白っぽかったような印象をもつ。
その中で私の心をとらえたのは、市ヶ谷駅ホームから観た堀側の風景。桜と水と光と、あのカーブが絶妙なのだが……ウウ、カメラを持っていなかったのが悔やまれる。
さらにまた、八重桜の存在感。例年に比べ、目立って美しかったように思う。来春の楽しみにつなげたい。
【写真と文】 はたがや協立診療所 杉本育子
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