協同組合医療と福祉 ゆたかな医療・介護・福祉をこのまちに medical&welfare
HOME BACK

協同組合報vol.62
2008年5月号

後期高齢者医療制度がスタートして

〜患者さんの声から〜

外苑診療所 看護師長 中田美智子

 私が、代々木病院から外苑診療所へ異動になって1ヵ月後の4月1日、ついに「後期高齢者医療制度」がスタートしてしまいました。

 初めは、窓口での対応も思ったほどの混乱やトラブルも無く、数日がたったころのことです。徐々に患者さん達の怒りや不安・不満の声が聞かれるようになりました。

●怒りは治まらない

 その声の内容は多様で、75歳を過ぎたばかりのAさんは、「『後期高齢者』と呼ばれることが非常に不愉快だ、考えるたびに腹立たしくて気持ちが悪くなる。年齢を意識しないで頑張っているのに」と、怒りは治まりません。

 Aさんに限らず、このような声は他の方からも結構聞かれました。経済的問題だけではなく、いつまでも健康で元気に頑張りたい、と願っている人々の思いに対して、まるで「もう後がありませんよ」と言わんばかりで、心の張りを無くすような制度の名称にも、この制度の問題の深さを感じさせられました。

●年金からいくら引かれるの?

 外苑診療所は、神宮前2丁目に位置し、アパレルなどファッション関係や美容関係で働いている若者が多いのも特徴です。その一方で、戦前から住み続けて来られたご高齢の方々や、近くの霞ヶ丘団地(新宿区都営住宅)にも、ご高齢で独居の方が、沢山住んでいらっしゃいます。

 そこにお住まいの86歳のOさんも一人暮らしで、年金が頼りの生活です。「高齢者医療制度」についてもなかなか理解できず、その戸惑いを訴えてこられました。「年金からは、いくら引かれるんですか。いつから引かれるんですか。できれば引かないで欲しい」と不安な表情で、年金が振り込まれている通帳を持って診療所にやって来ました。年金からの天引きについては、支払われている年金の額によって各自違うこと、新宿区も新制度の中で混乱しているようで、保険料の天引き4月実施を断念し、延期になったことなどを説明しました。

●中止・撤回の声をこれまで以上に高く

 足腰の弱いOさんの日常生活は、週2回デイサービスに通い、週1回ヘルパーさんが来て、買い物を中心にした介護サービスを利用しながら生活をしています。

 Oさんに限らず80代や90代になっても、子どものお世話にならず気丈に生活されている方々を、不安に陥れる制度に対して、本当に腹立たしく思います。

 おしゃれな街としてもてはやされ、今時と思われる若者も多く診療所へ来ますが、熱があっても休むこともできない中、夜遅くまで真面目に働いている若者からも、後期高齢者支援金の負担が求められるのです。

 4月1日からスタートし、各医療機関の混乱等マスコミも取り上げましたが、本当に遅い! ほとんどの国民が、いつかお世話になる「医療」について、国会が「強行採決」で決めたこと自体ひどい話です。

 私たちは、誰もが平等に医療を受ける権利(受療権)を持っているはずです。全国30都府県の医師会も異議を唱えているこの制度に対して、診療所も職員全員が、地域の患者さんと一緒に中止・撤回の声を、これまで以上に高く上げていきたいと思っています。

Copyright(c)2003 medical & welfare All rights reserved.