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協同組合報vol.61

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トピックス 座談会

在宅の患者さんを支える豊かな連携めざして

<参加者>
代々木病院 副院長 井上  均
外苑診療所 看護師・ケアマネージャー 蛭田 浩子
事務長 長谷川恵子
在宅療養支援担当 前佛 友子
代々木病院 介護保険企画室・ケアマネージャー 阿部 孝史
・司会/代々木病院 事務長 大葉 清隆

訪問診療を拡大しよう!

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【司会】きょうは、在宅医療を充実させるための連携について、特に診療所と病院との連携という視点で話し合いたいと思います。長谷川さん、このところ外苑診療所の訪問診療の件数が非常に伸びていますね。何が特徴でしょうか。

【長谷川】数字で見ますと、3月末で管理患者数が145名、昨年度と比べてかなり増えています。新規の患者さんの比較では、07年度は73名、25名の増です。特に2月、3月は2ケタの新規登録がありました。日赤病院が4、慶応病院が2など、近隣の大病院からの紹介が増えているのが大きな特徴です。

 また、ケアマネからの紹介も増えています。法人内はもちろんですが、法人外からの紹介が06年度は6件だったのが、07年度は18件になっています。

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司会の大葉さん

【司会】法人外の病院やケアマネからの紹介が増えているのはなぜだと思われますか。

【長谷川】去年から「訪問診療を拡大しよう」と職員で話し合い、パンフレットを作り、大学病院や地域包括支援センターなどを回って「紹介してください」とお願いする取り組みをしました。それから、医師会や職能団体が開く学習会とか研修会に可能な限り参加してパンフレットを渡し、診療所の在宅診療の存在をアピールしてきました。また、コーディネート機能を強化し、“断らない”努力をしてきたことだと思います。

 日赤も慶応も、最初1件の依頼があって、そのあとも続けて紹介していただいています。これは、私たちの在宅診療の取り組みを評価していただいたからではないかなと思っています。

【司会】一度ご縁ができると信頼が得られて、つながっていくということですね。

「断らない」の実践

【司会】代々木病院で相談室のソーシャルワーカーとして活躍していた前佛さんが、診療所に昨年異動になりました。それをきっかけに在宅調整などが何か変わりましたか。

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前佛さん

【前佛】以前は看護師さんが受付窓口を担当していました。看護師二人体制で、一人が往診や在宅診療で出かけることもありますので、在宅の依頼が来ると、患者さんやご家族に診療所に来てもらって面談を行っていました。私が入ってからは、電話を受けると私がすぐに訪問します。ご自宅に行けばおおよその病状や課題がわかりますから、何をどうすればいいかがすぐに判断できます。「とにかく訪問する」ということができるようになりました。

 それから、看護師が往診中で不在でも、新規相談に対応します。ケアマネさんから電話がかかってきて、「いつ行けるか、今決めたい」と言われた場合、即答できますから、初動のスピードアップになりました。

【蛭田】スピードアップとともに、相談活動も合わせてやってくれるので、一人ひとりに合った援助ができています。「すぐ応える」ために訪問体制も強化しました。また、月1回のカンファレンスを続けてきました。宣伝もしました。こうしたいろいろな積み重ねの結果、「断らない」を実践できるようになり、患者さんが増えてきたと思います。

【前佛】今、急性期病院では、点滴が継続したまま退院するなど展開が早いんですね。金曜日に電話をもらって月曜、火曜にはお帰ししたいというような話になる。ところが実際は、介護保険は手続きしたばかり、自宅で暮らすための準備は整っていないといった状態が多いんです。そういう中で、でも、「ご紹介ありがとうございます」と出向いていく。こんなふうに「断らない」を実践してきていますので、そういう実績が認められて2回目3回目の紹介につながっているのかなと思っています。

患者さんやご家族の期待に応えるために

【司会】在宅での高齢の一人暮らし、あるいは老々介護が増えていて、在宅での看取りも多くなっているようですね。

【長谷川】年齢で見ると、80代、90代の方が多く、最高齢は103歳の女性です。終了者は06年度が43名、07年度が53名、終了者の中では、在宅で亡くなる方が増えています。

【司会】そうした中で、印象的な看取りも経験されたようですが。

【井上】どんなに困難な事例であっても、「断らない」という姿勢でやってきています。1例をあげると、流山市の在宅で療養されていて、地域の開業医と法人の訪問看護ステーションで対応していたがん末期の患者さんが、「最後どうしても渋谷の家に帰りたい」と希望されました。在宅療養の準備がまったくできない状態での紹介でしたが、短期間で受け入れ体制をつくってお受けしました。

 この方は、移送中に急変する危険性の高い方でした。しかも年末でしたので、年末年始の休みは全部つぶす覚悟で受け入れたんです。どんなに大変でも、患者さんやご家族の期待に応えようということで、1週間ちょっとのお付き合いでしたが、みんな、本当によくやってくれました。

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蛭田さん

【蛭田】訪問看護の体制の厳しい中で、ほんまち訪問看護ステーションとよく話し合い、「やろうよ」ということになったんです。青山、代々木の訪問看護ステーションとも実績を積み重ねてきており、ステーションとの信頼関係が築かれているからこそできた看取りだったと思います。

【井上】以前は法人の訪問看護ステーションですら、「外苑診療所だとちょっと無理かな」(笑)という感じで、選んで紹介してくれていました。最近は、どんな患者さんでも「ぜひ外苑診療所で」というふうに紹介してくれるようになりました。

 それから、代々木病院がバックについているので、紹介しやすいという話はよく聞きます。いざというときに入院できる病院が後ろに控えているということは、在宅の患者さんを支えるうえで大きな利点です。

【蛭田】本当に「代々木病院があるから安心できる」と言ってくれる患者さんが多いです。訪問看護ステーションがあり、代々木病院があり、と在宅を支えるための手をつなぐ事業所がいっぱいあることが強みですね。

高齢者は入院できない!?

【司会】では次は代々木病院から。介護保険企画室のケアマネージャーの阿部さん、外苑診療所との連携をどんな形でやっていらっしゃいますか。

【阿部】前佛さんが配属になってからは、いつでもつながるし、連絡も受けやすくなり、毎日のように連絡をとりあっています。うちの居宅と外苑診療所とセットでお願いしたいという依頼もあったりして、連携を密にしています。

 在宅でご家族が一番心配されるのは、もしものとき、具合が悪くなったときにどういう対応をしてもらえるかです。病院だとなかなか先生のところまでつながらないという心配もありますし、救急車で運ばれても、たらい回しということもあります。「外苑診療所は24時間連絡がとれます」と携帯番号を教えていますが、その安心感のもとに在宅が続けられているんだと思います。

【司会】高齢者が安心して入院できない現状があることは事実です。先日、渋谷区の救急指定病院と救急隊員の方々との懇談会に参加したんですが、救急車の受け入れ困難は渋谷区でも起きているそうです。10件、20件と電話してやっと受け入れ病院が見つかる。場合によっては30件などということもあるそうです。

 受け入れてくれない一番の対象は高齢者だそうです。入院日数が長くなってしまうというのがその理由とのことでした。

 渋谷区にはこれだけたくさんの病院があるのに、高齢者がいざというときに安心して入院できる病院がまだまだ少ない。代々木病院は診療所やステーションと連携しながら、高齢者が安心して入院できる役割をさらに明確にしていくことが重要だと思います。

連携をより豊かにするために

【司会】今後の連携をより豊かにしていくためにはどうしたらよいか。長谷川さんからお願いします。

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長谷川さん

【長谷川】代々木病院との連携をもっと強化したいという思いは私たちも強いです。一つは、退院調整のシステムですね。退院に向けた調整会議を開き、そこに外苑診療所も参加する。同時に、地域の病院、ケアマネと「顔の見える連携」で信頼関係を強めていくことと、在宅支援診療所の役割を充実していくことだと思います。

【前佛】法人内に訪問看護ステーションがあって、ケアマネもいて、診療所も24時間対応している。さまざまな事業所がそれぞれいっぱい情報を持っているわけですから、それらをつなぐ役割が病院の中にできると、すいぶん違ってくると思います。

【司会】代々木病院の中の地域医療連携室を、今1名体制ですが、体制も増やして機能も高めようという議論をしています。東京民医連の第49回総会方針にも書かれていますが、都内の中小病院はもはや自己完結では生き残れない、周辺の大病院との連携をすすめる必要性と、地域の診療所、訪問看護ステーションとの連携もより積極的にすべき時代であるという認識をもっています。

 昨年代々木病院は、回復期リハビリテーション病棟をオープン、近隣の病院から患者さんを受け入れ、その方が在宅へ帰っていくという取り組みを成功させることができましたが、その役割をより明確にしていく必要があります。また今年4月の診療報酬改定では、これまで10%までしか取れなかった亜急性期病床が、30%までできるようになります。亜急性期病床は、急性期の治療を終えた方の療養を行い、主にリハビリを提供して、患者さんそれぞれが機能を高めて在宅へ復帰される支援をする病床です。必要性が増していますから、ますます連携室が大事で、在宅事業所との関係では、情報の提供、連携の窓口、共同カンファレンスの開催などをきちんとやっていかなければいけません。これを今年度の方針の重要課題として代々木病院は考えています。

 ケアマネの立場から阿部さんはどうお考えでしょうか。

【阿部】名前は「地域医療連携室」ということで病院の中にあるんですが、現状は「入院調整係」という形で動いてくださっていますので、外の事業所からの問い合わせなどは、居宅にかかってきたりすることもあります。たしかに、外から見ると、どこに窓口があるのかが見えないのを感じます。窓口を設けてもらえれば、事業所だけでなく、利用者さんにとっても相談しやすくなると思います。

【司会】地域医療連携室が、そうした役割を発揮できるような体制を早くつくりたいと思います。窓口をきちんとつくり、在宅からの様々な問い合わせにもお答えできるようにしたいと思っています。

在宅のやりがい

【司会】では最後に、在宅のやりがいをひとことずつお願いします。

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井上さん

【井上】患者さんは家に帰ると元気になり、病院では見られないような笑顔を見せてくれます。私たちが訪問するのを心底待っていてくれ、「先生が来てくれるのが一番の薬です」などと感謝してくれます。訪問診療をするようになって、患者さんたちが病気を治療しながら生活をしていくうえで何が大事なのか、が全体的に見えるようになりました。患者さん・ご家族がどういうことで困っていて、どんな希望を持っているか。そこのところを理解して、力になる。それが少しでもできたかなと思ったとき、やりがいを感じますね。

 ただし、在宅で過ごせる人はまだ恵まれた方たちであることを忘れてはなりません。去年、具合が悪いからと緊急で依頼のあった方たちの中には、悲惨な生活をしている方が何人もいらっしゃいました。病院や診療所にかかったことのない方たちには、私たちが関われるきっかけがなかなかないんです。こちらから出かけていって、そういう方たちとつながることが必要ですし、困っている方たちを支える施設や資源をもっと充実させていくことが重要です。

【蛭田】家で暮らす患者さんの生活や生きてきた歴史をわかったうえで、じゃあこの人に何をしてあげたらいいかを考えることが私たちの仕事です。

 看取りも大変ですが、最後に「皆さんのおかげでこんなこともしてあげることができました」などとご家族から感謝されると、やって良かったと思います。在宅での関わりは病院のように1週間、2週間でなく、一生です。“最後の時間(とき)”を私たちがどう支えてあげられるか。心から良かったと思えるような援助がしたいですし、それをすることがやりがいです。

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阿部さん

【阿部】高齢独居、老々介護の方たちが安心して暮らすためには何が必要か。民間の企業や役所の方とも連携をとりながら、一人の利用者さんをチームで支えていくというところにやりがいを感じています。

【前佛】その人の希望をかなえるために皆がいろいろ考える。本当に生活に密着した話し合いができて、やりがいがあります。都内はサービスが充実しているし、外苑診療所はメンバーも充実していますので、ちょっと無理かなと思うようながん末期のケースでも、みんなで話し合って「引き受けようよ」と言えるので、充実感があります。

【長谷川】目標をもって取り組んできたことが、悩んだりしながらも、進んできていることでしょうか。経営的な側面からも、しっかり診療所を支えていることが実感できています。

【司会】07年度は経営の側面でも代々木病院と外苑診療所を両方合算して、黒字にできたという前進をつくってきました。在宅・外来・病棟・介護を中心とした活動を前進させながら経営改善できたという点にも確信を持ちたいと思います。

 今日はありがとうございました。

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