「仲間」を実感できるような交流企画をやろう!
●アットホームな組合活動
手前が国吉さん、後方左が稲垣さん、右が根本さん
精神障害者と高齢者。みさと協立病院は困難を抱えるこの二つの分野に挑み続けてきた。1985年に旧勤医会が140床特例許可老人病院だった旧みさと協立病院の経営を継承し、86年、龍樹会「みさと協立病院」としてスタート、10月には精神科病棟50床を開設した。そして、90年に現在地に新築移転、精神120床、老人120床となった。
「私が東葛病院から異動してきたのは98年で、忙しい東葛と違ってアットホームな病院だなというのが第一印象でした。看護師さんやヘルパーさんが患者さんをひんぱんに散歩に連れ出したり、じっくりとコミュニケーションをとったりしていました」。みさと分会執行委員長の稲垣智治さん(理学療法士)は振り返る。
「患者さんと深く関わろうとする、独自の時間の流れがあったよね」と話すのは書記次長の国吉郁子さん(ヘルパー)だ。精神障害者と高齢者に寄り添って生まれる“みさと時間”があったようだ。そうした業務の特徴が影響してか、組合活動が活発で、しかもアットホーム、職員の日常の中に当たり前のように定着していたという。
その一方で、経営は赤字構造が続いていた。医療・経営構造をどう転換するかという熱い議論を経て、2002年、精神を120床から60床に縮小し、老人120床を療養病棟に再編成した。
「これによって経営的には黒字に転化できたんですが、忙しさが増してきて、組合どころじゃないという状況になり、この頃から組合活動が低迷してきたように思います」と稲垣さんは話す。
●バスで15人が団交にかけつけた!
新人歓迎会(2007年7月13日)
組合活動の低迷は団交の参加人数にも表れていた。以前は代々木病院での団交に、執行委員以外にも病棟から何人も参加していたが、02年頃には執行委員しか参加しないという状況になっていた。ところが、2004年暮れの年末一時金の団交は違った。
「『仕事がきつい』という声はいっぱいあがってくるんですが、『団交に出て、自分たちの要求を直接訴えようよ』と話すと、「それよりも早く帰って少しでも体を休めたい」という組合員が多く、仕事の密度の高さが表れていました。それならば、組合でバスを出したらいいじゃないか、ということになったんです」と稲垣さん。
総勢15人が集まり、バスでかけつけて、団交の席についた。稲垣さんが見ると、前に並んでいる理事の顔色が変わったそうだ。みさと分会の組合員たちは、「職員はこんなに大変な中で働いています。100円でも200円でもアップしてほしい」と訴えた。理事会も「たしかに皆さんの大変な状況はわかった」と言い、結局、1000円のアップになった。「中央執行委員会の中では様々な評価がありましたが、みさとでは、我々が訴えたからだ、みんなで取り組んだ成果だと確認しあいました」。久々の感動だったと稲垣さんと国吉さんは話す。
そこで、2006年暮れもバスを出すことにした。ところが、「バスでも帰り、遅くなるでしょう?」と言われ、今度は5人しか集まらなかった。「2匹目のドジョウをねらったんですが、甘くはなかったですね。この低迷をどう打開したらいいか。今までの延長線ではだめだということはわかるんですが……」。委員長としての稲垣さんの悩みは深い。それでも、みさと分会の執行委員たちの中には「なんとかなるよ、頑張っちゃおうよ」という雰囲気がある、そこがいい、と国吉さんは言う。
●大切なものがわかっているから……
仕事が厳しいからこそ、「仲間」を実感できるような活動ができないだろうか。執行委員たちは話し合い、交流企画をやっていこうという方針を立てた。手始めは07年6月の新人歓迎会(写真)。童心に帰って、ハンカチ落としやゲームを楽しんだ。
新しい芽も出てきた。書記長の根本賢治さん(作業療法士)は、プロのミュージシャンをめざしてバンド活動していた経験をもつ。その経験を生かして、根本さん、事務の男性職員、ソーシャルワーカーの女性職員の3人で「キャラメルズ」というユニットを結成、クリスマスコンサートなどで演奏をしていた。この「キャラメルズ」が広がって“キャラメルズ劇団”になり、今年1月の「新春のつどい」で自作自演の寸劇を披露した(写真)。「自分の中に伝えたいものがあるんです。それを表現しながら、人と人をつなげる媒体になれればと思っています」と根本さん。
国吉さんは、「格差社会がテーマだったんですが、子どもにも受けるように、おしりかじり虫が出てきたりして、笑いあり、ホロッとする場面ありで、地域の方にも職員にも大好評でした。交流しながら仲間意識を高めていくという点でも、すごい力があると思いましたね」。稲垣さんも国吉さんも「キャラメルズ」の新しい感覚に期待する。
みさと分会には役員専従がいない。課題が山積みという状態の中で、交流企画をどんどんやろうと言っても、では誰がどう具体化していくのかとなると、行き詰まることもある。この間の医療改悪で、療養病床に転換した頃よりもさらに忙しくなっている。
「組合活動どころじゃないという状況がさらに進行しています。私たち役員も、大変な思いをしながら組合活動をしています。それでも、仲間とか団結とか連帯とかがどんなに大切なものか、それがわかっているから、『組合は大変だけど、面白いよ、やりがいがあるよ』と言えるんです。これからも仲間や団結を実感できるような組合活動をやっていきたいですね」。3人は異口同音にそう語った。