1年目を振り返って
〜「慣れてきたかい?」のあたたかい言葉に励まされ〜
東葛病院5階東病棟 中山 容子
「看護師になりたいんです」とそれまでの勤め先を辞め、3年間の長い看護学生生活、国家試験を無事合格し、看護師として東葛病院に入職して早1年が経とうとしています。
●「わからない」の連続
1年目を振り返ってみると、目の前にいる患者さんをどう捉えていくか、という観察や看護技術を研修・勉強会を通して、また毎日業務をこなす中で先輩方から実際に教わりつつ学んできました。
はじめは、あんなに看護学校で頑張って3年間学んできたことが全く身になっていないんじゃないのか?と思うくらい「わからない」の連続でした。けれどこんな私でも患者さんから見れば看護師の一人。「できません」「わかりません」なんて言えないし…とてもあせりあせり仕事をしていました。
そんな私を5東病棟の先輩方はきちんと「看護師」として扱ってくれました。だからこそ優しくも厳しく指導してくれたように思います。それは今振り返るとありがたいことだなと実感しています。
●何か一つ決めて、できるようにしたい
1年間で多くの患者さんに出会いましたが、その中で忘れられないエピソードがあります。入職して部屋を受け持てるようになった頃、いつも時間に流されてしまうけれど、何か一つ決めてできるようにしたいな、と思っていました。そんな折、肺気腫のKさんという患者さんに「あんパンとコーヒー買ってきてくれる?」と頼まれました。私は売店に行き、あんパンとコーヒーを買って渡すと、欲しかったものではなかったようで「このあんパンじゃないんだよなあ」と一言。「ごめんなさい」と謝ると「いいよ、いいよ」と言ってくれましたが、私は「そうだ! 酸素ボンベを使って車椅子に乗れば売店に行ける」と思いつき、翌日Kさんに「今日、午後から一緒に売店に行きましょう」と話すと、「そうだね」と喜んでいただけました。しかしその日急に6階へベッド移動になり、挨拶する間もなく移っていってしまわれました。
その後Kさんはすぐ退院されたそうですが、「約束したのに申し訳なかったな。しかも車椅子で行くことまで思いついたのに」とずっと心にひっかっかっていました。
●患者さんが覚えていてくれた!
7ヵ月後の12月、先輩から「患者さんが中山さんのこと呼んでいるよ。1年目の中山さんと言っているから行ってみて」と言われて訪室すると、Kさんが入院されていました。ベッド移動されたときのことを思い出し、「あのときは急に6階へ行かれることになってしまってパンを買いに行けなくてごめんなさい」と話すと、「本当だよ! ずっとパン買えなかったなって思っていたんだよ」としっかり覚えていらっしゃいました。ずっと心にひっかっかっていたので、入院という形ではあるけれど直接会って謝ることができてよかったです。
私の名前まで覚えているとは思わなかったのでびっくりしましたが、「1年目も慣れてきたかい? 頑張っているみたいだね」と励ましてくれ、とても嬉しく心に残っています。
どんなに小さいことでも患者さんは覚えていてくれるし、だからこそ自分の行動にも責任を持たなければ、と身が引き締まる思いがしました。目の前のことでいっぱいで、忙しさを理由に患者さんの声を聴けていないのではないかと反省することの多い毎日ですが、やはり何か一つでいいから患者さんの話を聴くという看護師としてのプライドを持って、これからも看護をしていきたいと思っています。