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協同組合報vol.57


共同事業の強みを生かして、患者さんと医療を守る

●新しい協立医師協の誕生

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左・浜浦さん、右・矢澤さん

 協立医師協同組合(以下、協立医師協)は二つの歴史をもつ。一つ目は古く、民医連草創期の1959年、金融事業を中心にした東京民医連の共同事業所として発足した。「民医連は貧乏で、銀行が相手にしてくれませんでしたので、共同で金融事業を立ち上げたわけです」と専務理事の浜浦秀雄さんは説明する。

 80年代に入ると、医療材料・医療機器の共同購入に比重が移り、93年には共同購入実績が15億円を突破した。

 二つ目の歴史は1994年に始まる。同じく東京民医連の共同事業所として1982年に発足したX東京薬剤共同センターとの事業統一によって、薬剤・医材の二つの事業部をもつ新しい協立医師協が誕生したのだ。

 現在の年商はおおよそ50億円にのぼる。大雑把に言うと、薬剤が25億、医材・機器が25億だという。ただし、薬剤の場合は協立医師協が問屋から購入して医療機関に納品する方法と、協立医師協が受発注を行い問屋から直接届ける方法の二通りがあるそうだ。「前者の売上が25億ということで、後者は入っていませんが、価格交渉は前者も後者もうちがやっています。東京民医連に加盟する病院、診療所、薬局は210数ヵ所あり、うち1、2ヵ所を除いて全部うちを通して薬を購入していることになります」と浜浦さんは話す。

 東京民医連全体の薬剤費は年間120〜130億円にのぼるというから、価格交渉を担う協立医師協の役割は大きい。では、具体的な事業活動を見てみよう。

●なぜ価格交渉が大事か

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3階建てビル全部を協立医師協が使用する。
3階 薬剤事業部、医材事業部、総務・経理
2階 薬剤情報室、医療機器倉庫
1階 医薬品倉庫

 協立医師協は薬剤、医材、金融の三つの事業を行っており、薬剤は薬剤事業部が、医材は医材事業部が、金融は総務部が担当する。

 まず薬剤についてだが、協立医師協がもっとも重視するのが製薬メーカーとの価格交渉だ。薬剤事業部部長の矢澤順行さんはこう説明する。

 「診療報酬上の薬価を決めるのは国であり、厚労省は毎年薬価改定をすると言っています。いずれにしろ医療費削減のために薬価引き下げをねらっていることはたしかで、来年4月の改定でまた引き下げられるような事態になれば、医療経営は本当に厳しくなります。一方、薬の問屋が医療機関にいくらで卸すかは個別の交渉で決まりますから、患者さんの負担を軽減し、医療を守るためには、卸値の価格交渉をしっかりやることが重要なんです」

 矢澤さんによれば、日本の薬価は世界と比較すると、「べらぼうに高い」そうだ。トヨタの売上が世界一うんぬんと言われているが、利益率では大手の製薬メーカーが断然トップ、30%、40%と信じられないような数字を出している。

 「ということは患者さんの負担が重く、医療機関は高い薬を買わされているということです。適正な薬を適正な価格で購入し、患者さんと医療機関を守るというのが私たちの事業なんです」

 さらに薬の選定も大切な業務だ。そのポイントは四つあると矢澤さんは言う。「(1)安全性、(2)有効性、(3)経済性、(4)安定供給、です。この四つの整合性をもたせながら薬を選定していくわけですが、そのために重要になるのが情報活動です」

 協立医師協では、東京民医連の拠点病院の薬局長が参加して情報室会議を定期的に開催し、どの薬を選んだらいいか、副作用はどうかなどの情報交換をする。そして、「情報室ニュース」と「流通ニュース」の2種類のニュースを発行し、すべての病院、診療所、薬局に送る。「タミフルはこういうふうに慎重に使ってほしい」というような情報は「情報室ニュース」で、「製造ラインで異物が混入、回収になった」というような流通上の情報は「流通ニュース」で流す。

【組合の概要】
名称 協立医師協同組合
所在地 東京都板橋区上板橋3−15−5
理事長 吉田廣海
出資金 3億円
主な事業内容 薬剤、医療材料・医療機器の共同購入
 政府・厚労省は医療費削減のために、あの手この手を打ち出してくる。DPCによる包括的診療報酬制度がどんどん普及しているが、これにどう対応し、病院の医薬品をどう見直していくか。また、後発品(ジェネリック)の普及をねらっているが、薬で減っても保険料があがれば結果として負担軽減にはならない。どうすれば患者さんの負担を軽減し、医療経営を守ることができるか。協立医師協の役割はますます重要になっている。

●SPDシステムで医材管理

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3階の薬剤事業部。同じフロアに
医材事業部、総務・経理がある

 次に医療材料・医療機器の事業に移ろう。一口に医療材料といっても、その種類はどのくらいあるのだろう。浜浦さんの説明では、「医療材料と医療機器の境界線が難しいものもありますが、大雑把に言って、医療材料は5万〜6万です。薬の種類は1万2千〜3千ですから、薬の5、6倍になります」

 医療材料は薬よりも種類が多く、金額も大きい。これを効率的に管理することは昔からの課題だったのだが、なかなかうまくいかなかった。「医材は看護師や事務が片手間で発注していて、絆創膏一つとっても、ひどい場合は病院の各フロアごとにメーカーが違ったりして、非常に非効率でした。さらに、緊急事態に在庫がないと困るので、余分に在庫していて、それが不良在庫になる場合も多かったんです」

 1990年代に入って、SPDという物品供給管理システムが開発され、医材の管理を外部の業者が行うというスタイルが出てきた。しかし、すべての情報を業者に握られ、価格もコントロールされるため、自分たちで管理したいという流れが出てきた。これが5年ほど前のことだ。

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2階の薬剤情報室

 そこで協立医師協では医材SPDシステムを導入し、医材の円滑な管理、在庫の適正化を行い、価格管理にも力を入れている。中には独自で管理システムを立ち上げている法人、外部の業者に頼んでいる法人もあるが、それ以外の法人は協立医師協のSPDシステムで医材管理を行っている。

 一方、医療機器の購入は、高価で病院の経営を左右するため、個別に購入する所が多く、集中が2、3割にとどまっているそうだ。「まとまってやれば効果は大きいですよ、と提起しているんですが、どうすれば集中できるか、課題です」。CTや透析関連機器など成果も出てきているので、引き続きメリットを訴えていきたいと浜浦さんは話す。

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1階の医薬品倉庫

●共同の力で

 金融事業は、各法人で積み立てをしてもらい、それを原資に貸すという互助会形式をとっている。貸付総額は13億だったが、今年の総会で17億に増額した。経営が厳しい所が多くなってきており、東京の連帯基金としてますます必要性が高くなっているためだ。

 浜浦さんは最後にこう締めくくった。「どこも経営が厳しくなっていますから、団結して共同の力で価格交渉などを行うこうした共同事業はもっともっと必要になってくると思います。物品の共同購入はもちろん、高齢者事業や派遣事業など、可能性は広がっています」

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