今年度、事務センター事業がスタート
●三多摩ブロック10法人で設立

柳原さん

小林さん
三多摩医薬・福祉協同組合は東京民医連三多摩ブロックに加盟する10法人が結成した事業協同組合だ。その特徴は、何といっても地域が広いことだ。イメージしやすいように、今回は特別に地図を作成してみた。三多摩ブロックは東京民医連4ブロックの中でダントツに広いことがわかる。
地図には10組合員の病院と診療所だけを掲載したが、それだけでもいかに広域に展開しているかがわかる。病院は、急性期を担う立川相互病院と療養病棟のあきしま相互病院の二つ、診療所は医科が22、歯科が3の計25だ。訪問看護ステーションは16ヶ所、グループホームは2ヶ所、ほかにヘルパーステーション、介護ショップ、調剤薬局など多数の事業所がある。
設立は2003年12月、今期で4期目に入った。設立の経緯を専務理事の小林順一さんはこう説明する。
「言わずもがなですが、三多摩の民医連を引っ張ってきたのは急性期を中心とする345床の立川相互病院であり、臨床研修指定病院でもあります。立川相互で医師を養成し、診療所に派遣するという方法をとってきましたので、立川相互の医学対活動は三多摩ブロックで財政支援してきました。その医学対事業を受け継ぎ、その他の共同購入事業なども視野に入れて事業協を設立しようということになったんです」
立川相互病院は東京民医連センター病院として東京や全国の民医連の医師養成に貢献してきたが、パンフレット『健生会50周年』の中で「94年以降、医師確保と養成で一定の前進を得ましたが、医師体制の後退もあり、医療活動や経営に影響を及ぼしています」と書いているように、厳しい医師体制をどう克服するかが大きな課題になっている。そのための事業を中心に据えて事業協はスタートした。
●立川診療所と立川市の歴史
| 【組合の概要】 |
| 名称 |
三多摩医薬・福祉協同組合 |
| 所在地 |
立川市錦町一丁目17番15号 |
| 設立年月日 |
2003年12月5日 |
| 出資金 |
500万円 |
| 代表理事 |
小池盛明 |
| 地区 |
三多摩全域 |
| 組合員 |
10組合員 |
|
医科法人: |
医療法人社団 健生会
医療法人財団 共立医療会
西都保健生活協同組合
北多摩中央医療生活協同組合
医療法人社団 ゆうの会 |
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薬局法人: |
(株)地域保健企画
(株)エイトライフ
(株)ひまわり薬局 |
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NPO法人: |
地域福祉サービス協会
いきいき福祉会 |
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健生会の前身である立川診療所は1951年1月に誕生した。健生会医師部事務局長の柳原晃さんの説明によると、立川市は昔も今も人・物・金が集まるポイントだという。
「中央線の駅の乗降客数が新宿から西で一番多いのはどこだと思います? 吉祥寺だったんですが、2、3年前に立川が抜いたんです。立川市は商業資本が相当集まっているのが特徴で、バブルが崩壊したあともそれほど地価が下がりませんでした」
たしかに立川は大きな駅だが、乗降客数がそんなにすごいとは知らなかった。三多摩を知るためにも、立川市の歴史を柳原さんにもう少し教えてもらおう。
「戦前、日本で一番大きな飛行場は立川基地でした。ゼロ戦の基地ですね。その立川基地を中心に軍需工場が立ち並び、それゆえに空襲も激しかった。戦後、立川基地はアメリカ軍に接収されましたが。立川というのは軍の中枢が集まっているまちだったわけで、医療機関でいうと、立川駅北口に陸軍病院、南口に海軍病院がありました。その陸軍病院と海軍病院に挟まれた格好で、駐留軍の基地で働く労働者や日雇い労働者、引揚者、在日朝鮮人など最下層の人々の手によって作られたのが立川診療所なんです」
ちなみに陸軍病院は今の独立行政法人国立病院機構災害医療センター、海軍病院は今の国家公務員共済組合連合会立川病院だそうだ。
「立川市は一見華やかですが、生活保護受給率が高い市です。一方で、国立、国分寺、府中など一定の所得のある人たちが集まっている市もあって、三多摩は複雑で多様な地域だといえます」
なるほど、だいぶ理解が深まった。
●主に四つの事業を展開
では、具体的な事業内容に入ろう。三多摩医薬・福祉協同組合は主に四つの事業を行っている。

第31回学術運動交流集会
(1) 共同求人事業
前述したように医学生対策、既卒医師対策を事業協の事業として位置づけ、新卒または既卒の医師への働きかけを行っている。
(2) 共同購入事業
コピー用紙など消耗品を中心に共同購入を行っていたが、委託業者からの契約解除により現在は休止中。共同購入のあり方は今後の検討課題だ。
(3) 情報・教育事業
三多摩ブロックと共同で教育研修事業を行っている。大きな取り組みとしては、毎年2月に学術運動交流集会を開催しており、今年2月で31回を数えた。三多摩ブロックの事務局長でもある柳原さんは教育研修事業の重要性をこう話す。
「健生会以外は小さな法人が多く、現地採用の看護師や事務など、実際に病院医療を“体感”したことのない職員も増えています。そういう人たちが管理部を担っていかなければいけないという状況の中で、教育研修事業は非常に大きな意味をもっています」
また、看護部会、薬剤部会、リハビリ部会など部会活動の一部を援助している。さらに、各組合員の1ヶ月の薬剤購入一覧を作成し、購入する上で必要な情報を提供するなど、情報提供事業も行っている。
(4) 事務センター事業
07年度から開始した新しい事業だ。当面は経理業務を中心に事務センター化することで、月次決算の迅速化、財務コンピュータなど設備の有効活用などをすすめていく。経理業務の移行後に、その他の業務も検討する予定だ。

事務センター
「今年度は第一段階として、健生会、地域保健企画、地域福祉サービス協会の3法人で開始しました。あとの7法人をどうするかが当面の大きな課題です」と小林さん。10法人同時にと行かないのは、それぞれの法人独自の到達点があるからだという。「小さな法人は会計を自前処理できずに会計事務所にお願いしている所もあるし、民医連統一会計基準に基づく会計処理がまだ十分でない所もあります。ですから、技術的なところをクリアできれば、事務センター化のメリットは大きいです」
06年度の事業収益は3500万円で、医師の共同求人事業が中心だった。07年度は事務センター事業が加わり、事業収益予算額は7400万円を計上した。
職員数は、理事長、専務理事など理事5名、監事1名で全員非常勤、事務局員は三多摩ブロックからの派遣1名(柳原さん)、医学対事業は4名が健生会からの出向で医局で働く。事務センター事業は5名、健生会から4名、地域保健企画から1名の出向という構成だ。
今後の計画については、事務センターの参加法人をどう拡大していくか、共同購入の検討など、小林さんたちは模索しつつ一歩一歩進めていこうと考えている。