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協同組合報vol.53

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介護の現場から

(11)今年も実現できた1ヶ月の避暑


 今年は5月から暑い日が続いた。体温調整がうまくできなくなり体調をくずしたAさんが夏の間、山梨の家に行けるかどうか迷う日々でもあった。「脊髄小脳変性症」発症から14年、胃ろう・気管切開をしてから5年近く、コミュニケーションをとることも困難になってきている。ご家族の介護とそれを支えるサービス事業者のがんばりで在宅で過ごすことができている。ご家族としては少しでも涼しいところで過ごさせたいとの思いが強く、7月、例年よりも早く山梨の家に移った。

 1ヶ月過ごすために訪問介護・訪問看護などサービス事業者を探すのは本当に大変だった。東京と違い移動距離の長さ、定期的にサービスを受けるのとは違い1ヶ月間の限定、いくつかの制約がある中で訪問看護・訪問介護・訪問入浴と福祉用具の事業所と訪問診療をしてくださる医療機関がみつかり、毎年移動できる体制作りができた。「今年はいつ来ますか」という連絡を受けたが、Aさんの体調はかんばしくない。

 ご家族も「何があってもやむをえない。しのぎやすい環境のもとで過ごさせたい」と出かけた。そんなAさんのいるK市を初めて訪ねた。標高1000m、さわやかな緑の木々は気持ちを穏やかにしてくれる。東京での憔悴しきった表情のAさんとは違い穏やかな表情で迎えてくれた。終末には息子さん夫婦や娘さんが見えるが、それ以外はご主人と二人で過ごす日々、何も語ることはできなくても1日1日を大切に生きている姿がそこにはあった。その様子をみて、思い切ってK市で過ごすことを今年も選択してよかったと思った。

 Aさんの介護を支えてくれている訪問介護のスタッフも待っていてくれた。Aさんのような利用者を支えて頑張っているが、小さな事業所なのでそこまでする必要はないといわれ結構大変とのこと。自分たちのやっていることを理解してくれる家族やケアマネがいることが大きな支えだと言う。一人ひとりを大切にして身体介護や生活援助をするヘルパーさんに私のほうが励まされる思いだった。

 どこの自治体に移っても同じように安心して暮らせる体制は、ケアマネやサービス事業者の努力と負担でしか実現できないものだとしたら、あまりにも悲しい国のありようだと思う。(在宅支援相談室桜丘 原 玲子)

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